5年振りのナンバリング作品……マルチプレイはどう進化したのか
超銀河FPS『Halo 4』の発売から早くも168時間ほど経過した昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。壮大なる宇宙叙事詩、その新たな幕開けたるキャンペーンモードを堪能しているところでしょうか? それともフレンドとスパルタンオプスで共闘してたり? やっぱり夜な夜なウォーゲームでバトッてたり? はたまたフォージか?……とまあ、たくさんの遊び方が用意されている『Halo 4』ですが、今回は対戦ゲーム大好きライターの私、ハメコ。がマルチプレイ(おもにスパルタンオプスとウォーゲーム)のプレイインプレッションをお届けします。
キャンペーンのバックストーリー+サクサクミニゲーム=“スパルタンオプス”
“スパルタンオプス”は、最大4人で協力してコヴナントやフォアランナーをボッコボコにするゲームモード。……これだけだと、前作『Halo: Reach』の“ファイアファイト”というアーケードスタイル(※)のゲームモードを思い出す読者もいるでしょう。スパルタンオプスはそこにストーリー要素を加味しつつ、ミッションクリアータイプのモードとして生まれ変わっています。しかも、そのストーリーはキャンペーンを補足する内容になっているので、『Halo 4』の世界観を堪能するためにも、必ず遊ぶべきなのです。
※アーケードスタイル…ゲームセンターに設置されたゲームのように、限られたライフで襲い来る敵を倒していくスタイルのこと。
遊んでみてまず感じたのが、展開のメリハリの良さ。このモードは巨大戦艦、UNSC インフィニティの全スパルタンを指揮下に置くサラ・パーマー中佐の指示に応じて、特定エリアへの移動やオブジェクトの確保を目指しつつ、遭遇した敵たちを殲滅していくという流れで進行する。この一回一回の交戦時間がちょうど良いボリュームで、ナイスなサクサク感があります。敵がドバッと出てくる盛り場もわかりやすく用意されていて、だれることなく一気にクリアーしてしまえる印象でした。ひとつひとつのチャプター自体も短めなので、あまり時間がないときでもフレンドといっしょに遊びやすいかも。勝敗もないし、和気藹々と楽しめます。
とはいっても、難易度をレジェンドにすると敵の体力、AIともに大幅に強化されるので、かなり歯ごたえが出てきます。グラントがロッドガン(緑の弾が美しいコヴナント製ロケットランチャー)持ってたり、プロメシアン クローラーがバイナリーライフル(食らうとデータ化して即死するフォアランアーの狙撃銃)持ってたりするので、ザコ戦もまったく気が抜けません。
ワンポイント攻略指南としては、まずヘッドショット可能な武器とプラズマガンを必ず用意すること。敵の脅威度については、スナイパージャッカル、グラント、プロメシアン クローラーが最優先で倒すべき相手。つぎがシールドジャッカルとプロメシアン ウォッチャー。最後が強敵であるエリートとプロメシアン ナイトという順になりますが、最優先の連中の排除に関しては精確なヘッドショットが不可欠です。レジェンドともなると敵の体力がドカ盛りなので、ヘッドショット以外での攻撃はそのまま弾薬欠乏への第一歩になってしまうのです。そんなワケで、エイミングスキルを磨くうえでもかなり役立ってくれるモードと言えるでしょう。とくにプロメシアン クローラーはものすごい小顔ビューティーなので、とっても練習になります。……テクノロジーの犬め!
なお、4人でちゃんと協力すれば、難易度をレジェンドにしても1チャプターにつき10分程度でクリアーできてしまうので、じつは「もうちょっと長くてもいいんじゃないかなぁ~(余裕)」なんて思ったりもしたのですが、どうやら敵の総数はプレイヤーの人数によらず一定の模様。ソロプレイでエピソード1 チャプター5「コア」の難易度レジェンドにチャレンジしてみたところ、バイナリーライフル持ちを含む多数のプロメシアン ナイトに囲まれ、我がスパルタンは幾度となくデータ化、四散しました。サツバツ! ……クリアーまで約25分もかかったので、これはこれで良いんじゃないでしょうか(顔を真っ赤にしながら)。
毎週新たなエピソードが配信されていく、いわゆる時限アンロック式をとっているので、待つ楽しみもありますね。かくいうワタクシも、エピソード2配信待機からの速攻クリアーよゆうでした状態、でした。早くエピソード3も配信されないかなぁ~。
ちなみに新しいエピソードが配信されても、それ以前のエピソードがまったく遊べないわけではないようです。ソロはもちろん、フレンドとの協力プレイには対応しているので、物語をさかのぼって楽しめるのがうれしいですね。
ガチンコバトルもパーティプレイも! ウォーゲームは遊び方いろいろ
“ウォーゲーム“は、ゲームタイプ別に用意されたプレイリストを選んで参戦するマルチプレイ対戦モード。現在は10種類のプレイリストがありますが、今回はこの1週間でとくに遊び込んだ“Infinity スレイヤー”と“ドミニオン”を中心に紹介したいと思います。
まず一点、本作のマルチプレイヤーのバランスはマップ、武器ともに極めて良いです。本作では武器が人類製、コヴナント製、フォアランナー製の3種類に増え、その総数も大きく増加しましたが、それぞれに得手不得手がちゃんと用意されている=捨て武器がないのはとくに好印象。また、後述するロードアウトのカスタマイズにより、個々が取れる戦術の幅、つまりは遊びの幅も広がっています。そして、強武器や車両を押さえると大幅に有利でありながら、高いアクション性によりエイミングスキルや立ち回りといった個人技で劣勢をカバーできるという、『Halo』シリーズに共通するゲームデザインはやはり爽快感抜群です。
■Infinity スレイヤー
Infinity スレイヤーは、これまでのスレイヤールール(規定数の敵を倒せば勝利。いわゆるデスマッチ)をベースに、「4キルするごとに補給物資を獲得」というボーナス要素が追加されたゲームタイプです。『Halo 4』では従来のスレイヤーはなくなり、このルールがもっともスタンダードな遊び方になりました(スレイヤー ProやSWATはまだあるけど)。
補給物資はランダムで3種類の武器や強化アイテムが選ばれ、そこから十字キーで任意に選択できる仕組み。3種類の選出条件は完全ランダムのようで、スパルタンレーザーやインシニレートキャノンといった超強力な武器をゲットできることもあれば、ニードラーや各グレネード程度の武器しか選べないこともあります。なので、これをアテにして戦闘を進めるほどの戦略的価値はありません。獲得後の状況に応じてもっとも効果的なものを選択し、実際に活用できれば御の字……程度の要素といっていいかも。もちろん補給物資の引き次第では、多数のキルを量産できる可能性も秘めてはいます。
これって、抽選の結果いかんで、対戦の推移に大きな揺らぎを生じさせるシステムなので、勝利至上主義的なハードコアプレイヤーからは「運ゲーじゃん」と言われる危険性を孕んでいます。けれど、幅広いプレイヤー層に支持されている『Halo』シリーズの特性を考えると、ちょうど良い落としどころなのかもしれません。こういったキルボーナスの価値が高すぎると、上手い人ばかりが強くなる一方、そうでない人は対戦に参加しにくくなってしまいます。そんな風景は、こと『Halo』シリーズには似合わないですよね。
なお、Infinity スレイヤーを含む幾つかのゲームタイプでは、敵に倒されたときのリプレイ(いわゆるキルカメラ)がついに実装されました。どこから倒されたのかを知ることができる、という戦略的価値もありますが、自分を襲ったウルトラキルを再確認してゲラゲラ笑ってみるという楽しいチャンスにもなっています。
■ドミニオン
ドミニオンは、マップ内に設置された3つの基地を巡って、6人 VS 6人の戦いをくり広げるエリア奪取系のゲームタイプ。『Halo 4』で追加された新ルールです。基地を占拠すると、一定時間ごとに要塞化が施され、敵チームの侵入を防ぐバリアやオートタレットが設置されるほか、強力な武器や車両といった補給を受けられます。要塞化に関連するアクションを行うとポイントが溜まっていき、これが規定量に達するか、すべての基地を制圧して敵チームを全滅させれば勝利となります。
これがもうおもしろくて、かなり遊び込んでしまいました。前述の通り、『Halo 4』のマルチプレイヤーでは強武器や車両を押さえるのが重要なのですが、スレイヤールールではその総数が決まっていて(補給物資で獲得する方法もあるにはあるけど運まかせ)、つねに確保できるわけじゃないんですね。けれど、ドミニオンは要塞化ボーナスとして強力な兵器がたらふく支給されるので、「俺つええええええ!!」感を味わいやすいんですよ。つまり、戦いがド派手になります。あまり腕に自信がない人でもそういった武器を扱う機会が増えるので良い練習になるし、エリア奪取系ルールだけに戦線に参加しやすいというところもグッド。
もうひとつ、戦略性の高さもナイス。お互い自陣に近い基地をひとまず占拠して、中央にあるブラボー基地を奪い合う展開が基本となりますが、どのマップもブラボー基地は地理的に優位なので、自陣の基地を捨てて無理矢理ブラボーを確保したり、あえて自陣と敵陣の基地を占拠し、相手をブラボー基地に押し込んだりなど、戦略の幅が広いです。作戦の成否もわかりやすいので、満足感もバッチリ。そのかわり、チーム全員でしっかりと連携する必要があるので、野良(※)だととフラストレーションが溜まることもありますが、そういうときは支給された強武器や車両で無双(※)すれば問題ナシです。
※野良…パーティを組まず、単身でチーム系ゲームタイプに参戦すること。
※無双…強力な武器を使い、単身で暴れ回ること。
不満点があるとすれば、マップが3種類しか用意されていないこと。もちろん、このおもしろさはマップが良く練られていればこそ、というのもわかるんだけど……。あまりにおもしろいので、ぜひ追加をお願い!
仲間でワイワイ遊ぶなら、フラッドとグリフボールもオススメ!
Infinity スレイヤーとドミニオンはわりとガチンコな対戦モードですが、本気で殺り合うだけが『Halo 4』じゃない!ってことで、“フラッド“と“グリフボール”にも触れておきましょう。
フラッドでは、ゲームスタート時に2人のフラッドがランダムで選出され、残りは全員スパルタンとなります。フラッドはスパルタンの全滅を、スパルタンは時間内の生き残りを賭けて戦いますが、フラッドがスパルタンを倒すと感染して、そのプレイヤーもフラッドになる。鬼ごっこの派生系、いわゆる「増え鬼」ですね。
フラッド側はエナジーソードに酷似した武器と高い機動力で接近を図り、対してスパルタン側はショットガンとハンドガンでこれを阻むことになります。ただし、スパルタン側は弾薬の補給ができないので、チーム全員で協力して防衛しなくてはなりません。
が、スパルタン側のプレイヤーはある意味、自分さえ倒されなければ良いので、たま~に味方を犠牲にして、自分だけ助かろうとする裏切り者が発生します。というか、ワタクシが襲われる直前、スオミ松崎が目の前でアクティブ カモフラージュを発動して自分だけ助かるという事案が発生。もちろんフラッド化したワタクシは、急ぎコイツの息の根を止めたワケなんですけども。インガオホー!
そんな感じで、協力したり裏切ったりしながらワイワイと遊ぶのに適したモードです。プレイリストにも用意されているので、サツバツ対戦に疲れてきたら試してみると良いでしょう。
もうひとつのオススメはグリフボール。現時点ではカスタムゲーム、かつ長方形のマップ“Grifball Court“でのみ遊べるゲームタイプです。ルールは簡単で、2チームに分かれて出現したボールを敵陣のゴールに運ぶだけ。プレイヤーはグラビティハンマーとエナジーソードによる近接攻撃のみ可能で、ボールは左トリガーで任意の方向に投げることができます。……えっと、FPSです、一応。
グリフボールでは、ボールの位置を視認しつつモーショントラッカーで敵チームのフォーメーションを把握し続けることが求められます。ボールや特定のプレイヤーだけを注視するのではなく、チーム全員でゾーンを動かしつつ守る、もしくは攻めることが重要。ミニゲームっぽく見えて、実際の球技さながらの戦略性があるワケです。縦パスを通したり、ドリブルで切り抜けたときは盛り上がること請け合い!
また、近接戦闘における間合いの見切りも非常に重要になります。キルに成功すれば敵が戻ってくるまでのあいだは数的優位に立てるので、ボールをゴールまで運ぶチャンス。逆に競り負ければ、自陣のピンチになってしまうのです。そのため、モーショントラッカーを利用して背後からの攻撃に備える、という練習にも役立ちますね。
グリフボールの不満点としては、ゴールが決まった後もゲームが続行されてしまうところでしょうか。ゴールを決められた側はその時点で何人か倒れている状況が多いので、不利な状況がそのまま継続してしまうのはちょっとつらいかも。とはいえ、このあたりは声を掛けあって調整したり、フォージで調整すればなんとかなりそう。やってみるとかなり熱くなれるゲームタイプなので、フレンドがたくさんいるときはぜひ!
ロードアウトをカスタマイズして、トゥービーオレ流スパルタン
前作にもランク自体はありましたが、『Halo 4』ではランクが上がるにつれてロードアウト――マルチプレイ全般をプレイするときに選択できる初期装備――のカスタマイズ項目が増えるようになりました。ゲーム性や戦略性に関わるところまでカスタマイズできるようになったワケですね。
カスタマイズできる項目の中でも、タクティカル パッケージとサポート アップグレードは新たに追加された要素。これらは選択するだけでスパルタンの能力を強化できる、いわゆるPerk(特殊能力)のような要素なんですが、武器や自分のプレイスタイル、ゲームタイプに合わせてロードアウトの組み合わせを考えたり、実際に試したりするのはやっぱり楽しい。日夜、マルチプレイを遊びつつ考えてみたロードアウトを3パターン紹介しますので、参考にしてもらえれば幸いです。
プラズマガンのチャージ射撃からのヘッドショット――『Halo』シリーズではおなじみのコンボを、デクステリティを併用により迅速に行うというロードアウト。こいつをマスターすればレジェンドのエリートも瞬殺可能!
プライマリはスコープ倍率の高いDMRかライトライフルにし、車両対策としてプラズマガンも携行。アクティブ カモフラージュとAA エフェシェンシー、さらにはアウェアネスでスコープ狙撃中の安全性も確保。いわゆる芋向け。
リサプライとエクスプローシブでグレネードを強化。なお、リサプイで獲得できるのは“そのプレイヤーが選択したグレネード“。初期装備であるフラググレネードは獲得する機会が多いので、自分はそれ以外にしておくのがベター。
ランクはすべてのモードで共通となっていて、遊んでさえいればどんどんXPが上がっていくライトな作り(なんと、ひとりでフォージを遊んですぐ終了してもオーケー)なので、『Halo 4』からスタートを切るFPSニュービーな方も安心です。
とまあ、だら~っとインプレを述べてきましたが、驚くべきは『Halo 4』の懐の深さでしょうか。ソロでもパーティでもライトにもコアにも、どうしたって楽しく遊べてしまうのが『Halo』の『Halo』たる由縁。「対戦はちょっと……」という方も、怖がらずにぜひ一度マルチプレイを遊んでみてほしいなと。オススメ!
■筆者紹介 ハメコ。
対戦格闘ゲームやアクションゲーム、FPSから音ゲーなどなどジャンルレスに攻略を執筆するフリーライター。クリーム色のGibson SG Standardがバディ。