『ドラゴンズドグマ』に新展開!
好評を博したカプコンのオープンワールドタイプのアクションゲーム『ドラゴンズドグマ』に、新たな展開を巻き起こすタイトルが始動。そこで週刊ファミ通では、2012年12月20日号(2012年12月6日発売)にて『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』の見どころを3人の開発スタッフにインタビュー取材した。本記事では、その内容をすべて掲載する。
『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』誕生
――最初に、『ドラゴンズドグマ:ダークアリズン』(以下、『ダークアリズン』)の制作にいたった経緯などをお聞かせください。
小林裕幸氏(以下、小林) 前作の『ドラゴンズドグマ』(2012年5月24日発売)は、2011年の春に制作を発表してから、ずっと注目していただけたタイトルだったと思っています。発売後もその注目の熱は冷めず、"ポーンコミュニティー"など、ユーザーどうしのコミュニティーも続いています。投稿されるスクリーンショットも多く、私も毎日見させていただいています。この熱をつぎにつなげないといけない……。東京ゲームショウ2012で発表もさせていただきましたし、なるべく早めにユーザーさんに届けたいと思い、今回の制作と2012年内の発表にいたりました。
――発売日も近そうですね。
木下研人氏(以下、木下) 近いと思います、新要素の基礎はできていますので。あとは細かい調整を入れつつ、ユーザーさんが楽しんでもらえるように作り込んでいきたいです。
松川美苗氏(以下、松川) 前作を遊んでくださったユーザーのみなさまへの感謝の気持ちを持って鋭意制作しています。このタイトルは、大型バージョンアップのような感覚で、『ドラゴンズドグマ』の"新展開"として捉えて遊んでいただければと思います。
――そのあたりのコンセプトから、『ドラゴンズドグマ"2"』にはしなかったのですか?
小林 そうですね。ユーザーさんに"早くて"、"新しくて"、"きちんとボリュームのある"ものをお届けするということで、『2』にはしなかったです。
――ちなみに、前作の制作はどのくらい時間がかかりましたか?
小林 3年半以上ですかね。ですから『2』にすると……(苦笑)。しかし、そのぶん前作はしっかりしたものができたと思っています。おかげさまで、ユーザーさんの反応もよかったですし、なによりゲームのベースがしっかりできたからこそ、今日までのダウンロードコンテンツや、『ダークアリズン』の制作ができているわけですから。前作の作りが荒かったり、ボリューム不足だったりしたら、こうはできていなかったと思います。日本のゲームらしく、丁寧な作りであることもきちんと伝えられたと思いますし、時間をかけてよかったと思っています。
――配信コンテンツは、いまも豊富ですよね。
小林 今月(2012年12月)には、タイムアタックモードと、ゲーム難度が高いハードモードを配信します(※)。このあとお話しますが、『ダークアリズン』は、前作のセーブデータを完全に引き継げますので、新しく配信するコンテンツを年末年始で遊んでいただき、『ダークアリズン』の発売に備えていただければうれしいですね。
※プレイステーション3版、Xbox 360版にて現在配信中(無料)。
新しいディレクターも誕生
――本作のディレクターは、木下さんなんですね。
小林 ええ。木下は、前作のときから制作に関わっていましたので、新しく変更したという印象はあまりないのですが……。
木下 『ドラゴンズドグマ』は、新規タイトルとして世に出た作品としては、非常に大きな産声を上げられたゲームだなと思っています。ですので、ユーザーさんに"いち早く新展開を感じてほしい"と思い、制作しています。
小林 松川も同様ですね。前作から制作に関わっていましたし。今回はプロデューサーを任せて、『ダークアリズン』はこのふたりがメインで制作しています。
新しい舞台"黒呪島"はどんなところ?
――本作の最大の特徴はオープンワールドですが、黒呪島はどんな世界が広がっているのでしょう?
木下 アクションRPGとミステリー感の融合をテーマに、広大な地下世界にしました。今回のお話の謎を解き明かすという意味も含めて、深く進んで行って、異質な世界を感じていただければと思います。「ダンジョンがあるのかな?」と予想されるかと思いますが、広くて深いステージになっていますので、遊んでもらえれば、分岐や探索の豊富さを実感していただけると思います。
松川 ミステリー感があるストーリーとして、前作では見えなかった"世界の側面"を提示しようと思っています。……こういう終焉もあるんだとか、ユーザーさんが気付いてくれたらと。それと、『ドラゴンズドグマ』では、覚者は世界にひとりだけという設定ですが、この島にはプレイヤーの主人公以外の覚者が何人も訪れていて、すでに命を散らせています。これだけでも、すごく異質なことですよね。黒呪島には、ほかにもいろいろな謎があるんです。生死を懸けて地下世界に深く進んで行き、そうした謎をひとつひとつ解き明かしていくと、やがて大きな世界の理につながっていく……。覚者が背負わされる、覚者の理を解く物語になるのではないかと思います。
覚者を待ち受ける新モンスター
――今回掲載された新しいモンスターのデスは、ヤバそうな雰囲気がバリバリしますね(笑)。
木下 デスは、本作のシンボルモンスターのひとつですからね。神出鬼没を象徴していて、プレイヤーたちにとって劇的な場面で目の前に現れることになると思います。そうして、プレイヤーに恐怖を振りまいては消えるのです。また、デスは黒呪島に1体のみいるモンスターです。何度も戦いながら少しずつダメージを与えていく、いわゆる長期戦をイメージして制作しています。
松川 長期にわたってデスと渡り合うのも、本作のやり込み要素のひとつになっています。演出も木下が一生懸命考えているようで、かなり怖いです。真っ暗な闇の奥から、小さなランタンの光がボーっと揺らぐように近づいてくる……。「こわ~」ってなりますよ(笑)。
――ほかのモンスターについても、ぜひお話を。
木下 囚人サイクロプスは拘束具で動けない状態で登場しますが、プレイヤーが解き放つことができます。解き放って倒せば見返りは大きいですが、相当強いです。いつ解き放つか、プレイヤーの決断のしどころにしたいと思います。ゴブリンは、既存のものより手ごたえがあって、戦いかたもちょっと変えたいと思ってます。このほかにも、まだまだ新しいモンスターがいるので、楽しみにしていてほしいですね。
――対するプレイヤー側の変化はありますか?
松川 みなさんが気に入って遊んでいたジョブを、より深く遊ぶための新規要素を用意しています。それは、島の探索によって手に入る新しいものにつながっていく仕掛けにもなっているんですよ。あと、黒呪島ではリム稼ぎがしやすいようにしています。リムに余裕が出れば、好きなレベルのポーンを気軽に借りられます。ぜひ、ポーンのレンタルをまた楽しんでもらいたいですね。
木下 ゲームの進めかたも、ちょっと変えています。クエストをつぎつぎとクリアーしていくような感じではなく、今回は地下世界の謎を解くという大きなテーマに集約しました。とはいえ、隅々まで遊ぶためのクエストも細かく用意してあります。また、武器や防具は前作以上に強化できます。そのあたりも含めて、プレイヤー側の変更に関しては、これから情報を出していきたいと思います。
ゲームシステムは、日本語ボイス対応から!
――今回は日本語ボイスでも遊べるのだとか?
小林 ええ、英語と日本語どちらでも、好きなほうで遊んでいただければと。ユーザーの要望が強かった要素ですし、もともと私たちも日本語のボイスは入れたかったので、ここはすごく力を入れて制作しています。
――キャストは、どのように決めたのですか?
小林 『ドラゴンズドグマ』のイメージは、やはり洋画だと思うので、日本語吹き替え版を出す感覚で声優のキャスティングをしました。……それにしても、予想通りセリフのボリュームが多くてたいへんです(笑)。『戦国BASARA』のときも多いと思っていましたが、今回はそれ以上ですね。ここに掲載しているキャスト以外にも、ボイス収録に関わってもらってますし……(苦笑)。
――ポーンのセリフや、すれ違う人にかけられる言葉など、確かにボリュームは多そうですね。
小林 ええ、ですので、プレイしている方も、ぜんぶのセリフを追い切れてないのではないかと。日本語になれば、耳で確認できますから、「ああ、こんなこと言ってたんだ」とか、新しい発見があるかもしれませんね。木下 セリフが字幕だったときは、"何もかも画面上から目で探す"プレイになっていたはずです。でも、日本語ボイスになることで、"耳で聞いて、目で探す"というプレイ感覚になります。この遊びかたの違いは、じつはいろいろなものに影響してくるのです。意外なところで、いままで気づかなかったおもしろさを発見するかもしれませんよ。
――セーブデータの引き継ぎも気になります。
木下 セーブデータは完全引き継ぎになっています。なおかつ、『ダークアリズン』から遊び始める人でも、すぐにこの新展開を楽しめるように、ゲーム序盤の"メインポーンを作るところ"まで進めれば、遊べるようにしてあります。
松川 それと、キャラクターの容姿を決めるエディットパーツもたくさん追加しているのですが、それらはセーブデータを引き継いでも選択できて、好みのキャラクターに作成することができます。
木下 追加するのはパーツだけでなく、見た目を自由に変更できるようなものもあります。たとえば、"もみあげ"を付けたり取ったりと、オンオフで表示できたりとか。それだけでも結構印象が変わるので、ぜひ楽しんでほしいです。
――そういえば、最近は頭につける装備品の表示をオンオフできるゲームも増えてきましたね。
木下 『ダークアリズン』は前作そのままの仕様ですが、完全に頭部をスッポリ覆ってしまうのがイヤな人向けの装備品もありますので、大丈夫です。「それだと、性能が心配」ということにもならないように、じつは頭部の装備品は、そうしたコーディネイトの幅を狭めないように、それほど重要なパラメーターはつけていないんですよ。頭の装備は、プレイヤーが自由に選択してもいいようにバランスを取る、という形で気を使っています。
松川 私も"つけない派"で、ずっとサークレット系のものを装備してました。プレイしているジョブは、ガッチリ装備系のミスティックナイトですけど(笑)。
ユーザーへのメッセージ
――最後に、本作に期待して発売を待っているユーザーやファンに向けて、ひと言お願いします。
小林 まだまだ言えないことが多いですが、新たなエリア、新たなモンスター、新たなストーリー、そして日本語ボイス化というところをアピールしていきます。ぜひワクワクしながら、期待して発売を待っていてください。
木下 『ドラゴンズドグマ』の世界を広げていきたいという思いで、今回はディレクターをやらせていただき、がんばって制作しています。いいものが作れているという手ごたえを感じているので、早くそれを磨き上げ、お届けしたいと思います。
松川 そう遠くないタイミングで、発売日をお知らせできるかと思います。そうできるように、チーム全員で最後の詰めの調整をがんばって進めていますので、ぜひご期待ください。