新たな『デビル メイ クライ』がここにある
本日2013年1月17日にプレイステーション3、Xbox 360で発売され、2013年2月28日にはPC版も発売予定のスタイリッシュアクションゲーム『ディーエムシー デビル メイ クライ』のプレイインプレッションをお届けする。
『ディーエムシー デビル メイ クライ』(以下、『ディーエムシー』)の制作が発表されたとき、僕はとても驚いた。そりゃそうだ。これまでの『デビル メイ クライ』シリーズでは長めの銀髪だったダンテが短髪&黒髪になり、“悪魔と人間のハーフ”だったキャラクター設定も、“悪魔と天使のハーフ”に変わっている。『デビル メイ クライ』シリーズのファンは、大きな衝撃を受けたことだろう。
こうした変化は、海外の開発会社である“ニンジャセオリー”に開発を依頼したことによるものだった。本作のプロデューサーである江城元秀氏によると、「シリーズものは、絶えず変化させないとダメになってしまう。だから、今回は海外の開発会社であるニンジャセオリーにお願いをしました」とのことだ。確かに、その狙いはわかる。シリーズものには、どうしてもマンネリ化や、ファン層の固定化という問題がつきまとう。そうした状況を打破するためにも、ゲームメーカーは工夫を凝らして開発を進めているわけだ。だから、新たな展開を見せてくれるのは歓迎すべきことだし、ナンバリングタイトルではない作品ということで、「ここから『デビル メイ クライ』シリーズを始めてみるのもいいかな」とも思った。
だが、僕としてはどうしても“開発会社が変わった”という点が引っかかっていた。カプコンと言えば、『ロックマン』や『ファイナルファイト』、『モンスターハンター』など、良質なアクションゲームに定評のある会社だ。『デビル メイ クライ』シリーズも、ダンテのスタイリッシュなアクションが好評を博しており、衛星放送のWOWOWでアニメ化されたり、対戦格闘ゲームの『マーヴル VS. カプコン 3』にダンテが登場するなど、高い人気を誇っている。そんなカプコンのアクションゲームとしての手触りが、『デビル メイ クライ』から失われてしまうのではないか、という懸念があったのだ。
しかし、リリースされた『ディーエムシー』は、そうした杞憂をすべて吹き飛ばしてくれる快作だった。まず、デザインがリニューアルされたダンテだが、軽妙でスタイリッシュな立ち居振る舞いは健在。そのうえで、自分の身を危険にさらしてでも仲間を助けようとする、熱いキャラクターに仕上がっている。これまでのシリーズのダンテとは少し違うけれど、この新生ダンテもカッコいい。
そして、いちばんの注目ポイントであるアクション面だが、とにかくダンテを動かすのが気持ちいい! アクションゲームの手触りにおいては、ボタンを押してからキャラクターが動くまでの反応速度や、動きのメリハリなどが重要になるが、それらすべてが心地いいのだ。本作の江城プロデューサーや伊津野英昭スーパーバイジングディレクターは、何度も何度もイギリスのニンジャセオリー本社を訪れ、「カプコンのアクションゲームとは何か」をスタッフに説いたそうだが、その成果がしっかりと現れていると言える。たとえば、本作で新たに導入された、天使と悪魔の力を使ったアクションもそのひとつ。ダンテは、長剣のリベリオンや二丁拳銃のエボニー&アイボリーなどを駆使するノーマルモードで戦うが、L2ボタン(LT)を押しっぱなしにしながら攻撃ボタンを押すと“エンジェルモード”の武器による攻撃を、R2ボタン(RT)を押しっぱなしにしながら攻撃ボタンを押すと“デーモンモード”の武器による攻撃をそれぞれくり出せる。エンジェルモードの武器はスピードと攻撃範囲に優れ、デーモンモードの武器は威力に秀でるという特徴を持っており、これらをリアルタイムに切り換えながら、悪魔を倒していくのだ。アクションゲームの初心者は適当にボタンを押しているだけでも連続攻撃ができるし、熟練者であれば、さまざまな武器を切り換えながら軽快なコンボを叩き込める。入り口は広く、それでいて奥行きもあるという、すばらしい作りになっているのだ。
また、天使と悪魔の力には、武器以外の使いかたもある。それは、リベリオンをワイヤー状に変化させることで、遠くの悪魔を引き寄せたり(デーモンプル)、ダンテが敵の近くに高速移動したり(エンジェルリフト)といった能力だ。このふたつの能力を使いこなせるようになると、ダンテが宙に浮いたまま、どんどん敵を倒し続けられるようになる。エンジェルモードのオシリス(大鎌)の攻撃で浮かせてから、エンジェルリフトで敵に近づき、デーモンモードのアービター(斧)でトドメを刺す、などといった使いかたも可能だ。また、デーモンプルやエンジェルリフトを使うと、敵を倒す合間に、余計な移動をしなくて済む。これにより、戦闘がスピーディーになるという効果も生まれており、爽快感がさらに高まっているのだ。
さらに、敵となる悪魔の設計についても触れておきたい。『ディーエムシー』の敵は、攻撃を防ぐバリアを持っていたり、通常攻撃が効かなかったりと、どれも手を焼く相手ばかり。しかし、それぞれの敵には、たとえば“攻撃を剣でパリー(弾く)すると倒せる”とか、“エンジェルモードの攻撃なら倒せる”といった弱点が設定されており、それを実践する腕さえあれば、すんなり倒せる、という作りになっている。適度なストレス(強敵)がかかり、その状況を打開したときに快感が生まれる、というのがいいアクションゲームの条件だが、『ディーエムシー』はこの条件もしっかり満たしていると言える。
『ディーエムシー』は、新たな『デビル メイ クライ』の姿をゲームファンに見せてくれた。アクションゲームが好きなプレイヤーなら、これを体験しないのは損。体験版も配信されているので、ぜひともプレイしてみてほしい。
筆者紹介 北口徒歩2分
アクションゲームや格闘ゲームが大好きな編集者。『ディーエムシー』は、エリクスでぶん殴るプレイが好き。なお、週刊ファミ通2013年1月31日号(2013年1月17日発売)では、『ディーエムシー』の攻略記事も掲載中なので、こちらもチェックしてください!
ディーエムシー デビル メイ クライ
メーカー | カプコン |
---|---|
対応機種 | PCWindows / X360Xbox 360 / PS3プレイステーション3 |
発売日 | 2013年1月17日発売 |
価格 | 6990円[税込] |
ジャンル | アクション / ファンタジー |
備考 | ※PC版は2013年2月28日発売予定、5990円[税込] プロデューサー:江城元秀、アレックス・ジョーンズ、ディレクター:タミーム・アントニアデス、監修:伊津野英昭、開発:ニンジャセオリー |