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『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_09

 先週アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルスで行われたE3 2014。2K Gamesが特にプッシュしていたのが、すでにリポートをお伝えしたEvolve』と、本作『ボーダーランズ プリシークエル』だ。

 海外では10月14日にPS3/360/PCで発売を予定している本作は、初代『ボーダーランズ』と『ボーダーランズ2』の間を描く、時間軸では1.5にあたる作品。
 サブタイトルは「プリークエル(前日譚)」と「シークエル(続編)」を合わせたものなのだが、大社長ランディ・ピッチフォードいわく「システム的には2ベースなのに、単に1.5っていうとおかしくなるから」造語にしたらしい。

 さて、ボーダーランズと言えば、最大4人で協力プレイ可能で、イッちゃってる敵を相手に銃をバカスカ撃ちまくり、RPG的にレベルアップして能力を強化したり、さらなるイケてる銃をゲットしてもっと撃ちまくるという、痛快アンド爽快なFPS。
 今回舞台となるのは、惑星パンドラの月。ジャンプすればびよ~んと飛ぶ低重力、ヘルメットをふっ飛ばせばアナーキー野郎も窒息するかつてない空間で、憎きアンチクショウのハンサム・ジャックの手先となってハイペリオン社の未来の為に戦うのだ!

『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_03
『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_04
▲今回の舞台はパンドラのお月様。というわけで重力弱い。空気薄い。

 さて、E3プレゼンとデモの内容は4月のPAX EASTバージョンとほとんど同じだったので、記者が当時書いたリポートを読んだり、本記事に貼った解説動画(英語)を見たりしてほしいのだが、実は本作、Gearbox Softwareと2Kオーストラリアの共同開発作品。「Gearbox Softwareが全部作ってないってことは、面白さもそれなり止まりじゃないの?」と邪推しつつ遊んでみたところ、コレが結構面白い。

 所詮30分も遊んでいないので触りだけといった感じだが、なんといっても『ボーダーランズ』らしく、ちゃんとバカなのがいい。グレネードの爆発で敵が上空にかっ飛んで行ったり、自分もふっ飛ばされたりすると、その妙な浮遊感がバカっぽくて笑えてしまう。
 ジャンプからしゃがみボタンで急降下攻撃(属性付与可能)が出来たり、敵の基地におもむろにジャンプ台が置いてあったりするのだが、プレゼンをやっていたスタッフいわく「これ使うと、「グリーン・ディスティニー」みたいだぜー」って、その例えはわかりにくいよ!(ワイヤーアクションが印象的だった武侠映画。昔ゲーム版もあった)

 そして、ヘッドショットからの窒息攻撃とか、各種レーザーガンとか(同じくスタッフいわく「ピュンピュンいうやつも、スター・ウォーズっぽいのも、ゴーストバスターズっぽいのもあるぞ!」)、凍結銃などで敵を凍らせて砕けるとか、新要素はいろいろちゃんと面白い。

 だが記者の疑念はまだ完全には晴れない。「ゲームの基礎は2で出来てるんだし、問題はストーリーでしょ! ちゃんとボダランらしく、こっちがバカ負けしちゃう頭おかしい感じなんでしょうな?」という意気込みでインタビューに臨んだら、偉い人が出てきちゃったよ……。

ボダラン2のリードライターのアンソニー・バーチ氏も参加!

『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_08
▲左側がGearboxのフランチャイズディレクターのMatt Armstrong氏で、右が2KオーストラリアのジェネラルマネージャーTony Lawrence氏。打ち合わせでは違う人に話しを聞く予定だったのでビビった。

 というわけでインタビューに応えてくれたのは、Gearbox SoftwareでIPとしての『ボーダーランズ』を統括するフランチャイズディレクターのMatt Armstrong氏と、開発を行っている2KオーストラリアのジェネラルマネージャーTony Lawrence氏。つまり本作の2トップ。
 そこでまずは『ボーダーランズ2』成功の一端と言っても過言ではない、初代ボーダーランズにも増してどうかしてる話やセリフや設定を作り上げたアンソニー・バーチ氏の関与から聞いてみた。

――クレイジーなストーリーで知られ、プレイヤーとして非常に楽しめるボーダーランズですが、前作のリードライターのアンソニー・バーチ氏は本作にも関わっているのでしょうか?
Tony はい。アンソニーはリードライターとして『ボーダーランズ プリシークエル』の制作に関わっていて、2K AustraliaとGearboxのライター陣と一緒に、プリシークエルのユーモア溢れるストーリーを作り上げています。ちなみに、今回2K Australiaが制作に関わった事でオーストラリアの独特なユーモアがゲーム内に組み込まれています。
Matt ああ、例えばあるシーンのボイスレコーディングで、オーストラリアのアクセントが非常に面白かったので、そのアクセントを採用する事にしたんだ。
 オーストラリアのライターにも関わってもらう事で、コミカルなフレーバーを付ける事が出来たと思う。アンソニーにもオーストラリアに何週間も滞在してもらい、ライターたちと密にコミュニケーションをとって、脚本を全てレビューしてもらったよ。彼が大きく関わっているから、ボーダーランズの世界観を崩さず、新たなユーモアを加える事が出来たと思うね。

『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_01
▲オーストラリアンジョーク? ともあれ、アンソニー・バーチが見てるなら間違いないぜ! ってことでハイペリオン草創期の様子もわかるかも。

――なぜ次世代機ではないんでしょうか?
Tony シリーズファンはボーダーランズをPS3/Xbox 360/PCでプレイしていますし、現時点でシリーズファンにとってプレイしやすいのは現行機の方が得策だと考えたからです。
 その決断に満足していますし、次世代機に移行する場合はノウハウを学ぶのに相当な時間を費やす必要があるのに対して、現行機だと既存エンジンを使う事になりますので、制作にも時間をかける必要がないということもあります。

『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_06
▲グラフィックは2を継承して、極彩色のキレーでトゥーンな感じ。

――なぜクラップトラップがついにプレイアブルキャラクターとして出ることに?
Matt クラップトラップをプレイアブルキャラクターとして出すのは開発の意向でもあったんだ。クラップトラップはマスコットであり、コミカルで鈍臭いキャラクターとしてみんなに愛されている。プレイヤーは常に“勝者”であり、ゲームを楽しみながら目的を達成していくけど、クラップトラップはいつも気が付くと“ルーザー”(負け犬)になっている、そんなチャーリー・ブラウンのように皆さんに愛される、鈍臭いキャラクターだ。皆さんに弄られて責められるクラップトラップだけど、彼にとってプレイヤーが唯一の友達だし、逆にクラップトラップを弄るプレイヤーもいるけど、面白くて人気者なのは確かだよね。

 それである日、Gearboxの代表のランディー・ピッチフォードから、クラップトラップでプレイしたいからプレイアブルキャラクターとして入れるように言われたんだ。
 開発としては、憎たらしくてイライラする性格を残しつつ、面白くてチームの一員として愛される鈍臭いキャラクターであるのを前提に、どうすればそれでもプレイして勝利を呼び込めるキャラクターになるか検討してみた。具体的に何をしたのかはまだ言えないけど、クラップトラップとしてプレイすれば、あの鈍臭いクラップトラップだとすぐ分かると思う。

――PAX EastではGearboxのパネルディスカッションで参加者全員に本作のコードが配布されましたが、なぜ2KとGearbox SoftwareはPAX Eastで大胆な事をするのでしょうか?
Matt PAX Eastの参加者全員にパーティーに参加しているかのような気持ちになってもらうために、何かを持ち帰って欲しいと思ったんだ。
 これはマーケティング担当副社長のスティーブ・ギブソンの固い意思で実現した。彼はGearbox Softwareの前はゲームニュースサイト「Shacknews」を立ち上げ、常にファンとコミュニティーを大事にしていたから、彼の気持ちに応えるべくコードを配布する事にした。

 我々はいつもビジネスを優先した決定を下しているわけじゃない。「Tiny Tinaとドラゴンの城塞」(ボーダーランズ2のDLC)だって、ドラゴンやお城、オーク、新たなコスチュームやウェポンが山ほど収録されている。つまりファンが求めているもの、自分たちが楽しいと思った事を行動にしてファンに提供するようにしているんだ。

――低重力環境はどのように思い付いたのでしょうか? プレイする前は「遅くてイライラするかもな」と思ったんですが、遊んでみたら結構面白かったです!
Matt 確かに、低重力環境では空高く飛び上がると楽しいものの、下りてくる時に遅く感じるのでイライラするかも知れない。でもプリシークエルではその問題を解消するために、急降下機能を加えたんだ。しゃがみボタンを押すと通常重力が発動するので、スパイダーマンのように急に角度をつけて下りてくる事が出来る。
Tony 2Kオーストラリアでも同じように、空高く飛び上がるのは最初は楽しいものの、そのままだとクールではないなと考えていたんです。そこでしゃがみボタンを押す事によって敵めがけてスマッシュして大ダメージを与えるようにデザインを加えて、新たな攻撃スタイルにも使えるようにしました。月面ではその他にも、薄い大気、冷えた環境、レーザーガンなど、その環境にあった新たな状況を作り上げました。
Matt プリシークエルでの「敵」や環境の位置付けは、単に自分に攻撃してくるだけの相手ではなくて、こちらにクールな事が出来る機会を作ってくれる存在でもあるんだ。急降下スマッシュ攻撃ができるように、低重力の環境は単に空高く飛び上がる以上にかっこいい事ができる。例えば酸素にしても、それが足りなくなる恐怖を与えるといったようなネガティブな事だけでは無く、それを面白いことをするためのリソースとしてどのように役立たせる事が出来るのか2Kオーストラリアが考えてくれた。
Tony O2キット(酸素キット)を活用する事によって、様々な効果を見出す事が出来ます。地面に叩き付けると酸素バブルを作り出し、敵に火を付けたり、他のサブ効果では感電させたり、酸を覆わせたりもできて、兵器化する事が出来る。単なる生命維持装置というわけではなく、クールな事が出来るようになるので、プレイヤーにとって一番いいO2キットを求めるようになりますよ。

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▲月ってことで乗り物もスペーシーな感じ。
『ボーダーランズ プリシークエル』クレイジー具合はGearboxも保証! 2トップにインタビューも敢行、ついにクラップトラップで遊べる理由などを聞いた【E3 2014】_10

――ボーダーランズとボーダーランズ2の間のストーリーを経験出来るプリシークエルですが、初代『ボーダーランズ』のキャラクターも登場するのでしょうか?
Matt もし攻撃的に聞こえたら申し訳ないんだけど、ファンサービスの一環として全てのキャラクターを取り入れるような“ファンフィクション”は作りたくないんだ。ダース・ベイダーがC3POを作った事になっているのとか、個人的にはちょっと違うし、やり過ぎじゃないかなって思う。

 だから、プリシークエルの時代に存在しないキャラクターをあえて取り入れる必要は無いと考えた。そして『ボーダーランズ2』のストーリーをヒントに、プリシークエルでも存在しえるキャラクターをピックアップしたんだ。
 例えばNishaやWilhelm、Athenaの場合、存在するのは確かだ。クラップトラップの場合は、ボーダーランズ2のストーリー上、ハンサム・ジャックに復讐したいのは分かっていたから、なぜ大企業のCEOがこの小さなロボットと顔見知りなのか、なぜ彼がハンサム・ジャックに復讐したいのか、プリシークエルではハンサム・ジャックとの関係を明らかにすることにした。
 他にもボーダーランズ2ではクラップトラップと敵対しているものの、一時デートしていたMoxxiとの関係なども明らかにしている。逆にTiny Tinaは非常に人気のあるキャラクターだけど、プリシークエルのストーリー上存在しえないキャラクターだから取り入れていないんだ。

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▲『ボーダーランズ2』で、Jackの片腕として登場したボスWilhelmは、今回はプレイヤーキャラのひとり。

――では最後に、おふたりがそれぞれプリシークエルで一番クールだと思うものはなんですか?
Tony グラディエーターのAthenaを操作して思いっきり空高く飛び上がり、狙いを定め、シールドを敵にめがけて投げ、さらに接近して大打撃を与える事ですかね。敵を凍結させてからシールドを使って粉々にするのもかなり気に入っています。
Matt 敵に攻撃されて後ろに吹っ飛ばされた時に、酸素を使って逆噴射して、敵に「戻ってきてやったぜ!」ってリベンジしてやる時はいいね。
 初代ボーダーランズとボーダーランズ2に登場する全てのウェポンをデザインしたけど、今の一番のお気に入りは2Kオーストラリアの発想による新たなウェポンなんだ。自分が思い付かないようなデザインや機能を思い付くから本当に驚かされているよ。ウェポンデザインに関わっていないのは初めてだから、資料では新たなウェポンのデザインや機能をなるべく見ないようにしてボーダーランズの制作を楽しんでいるかな(笑)。

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▲新しい環境に新しい敵、新しい武器に新しい技。お話もバッチリということで、いいんじゃないでしょうか!

(文・取材・写真:ミル☆吉村)