先週アメリカのネバダ州ラスベガスで行われたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)。マイクロソフトのブースはなく、ソニーも巨大なブースの一角にPS4/Vitaが置いてあるぐらいで、NVIDIAすら自動車関連に絞り込む始末。VR関連を除くと直接的にゲームに関連する展示は昔と比べると大分減ったが、それでも世界の最先端機器が集まるCESには、オモロいネタが転がっている。というわけで、会期中に単独記事としてお伝えしきれなかったネタから、そもそも一本記事を書くほどでもない小ネタまで、まとめてお届けしよう。

伏せ字じゃない!

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 まずウォームアップ代わりに紹介するのは、中国のSnail Gamesが出展していたAndroidゲームコンソール“Obox”。なんか伏せ字っぽく見えるけど読みはオーボックスだ。
 Ouyaなどが発表された頃はAndroidベースのゲーム機の競合機種がいろいろ出てきて「これが家庭用ゲーム機の生き残る道かも」と考えられたこともあったが、少なくとも今のところそういうことにはならず、PS4/XB1の新世代機が順調に数字を伸ばしているのはご存知の通り。
 そこに遅れてやってきたOboxだが、スペックはなかなかのもの。CPUにNVIDIAのTegra K1を搭載し、メモリーも4GB。さらにマザーボードに接続するパーツをCPUボード、HDDボード、サウンドボード(5.1ch対応)とモジュールごと交換可能で、要はカスタマイズ可能。まぁOSはAndroid 4.4 KitKatなんだけど。
 また、どう見てもXbox 360なデザインのコントローラーに、内蔵のジャイロなどを使ったエアマウス機能(コントローラーを空中で動かしてポインティングする)をドカンとブチ込んだものを同梱する。

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▲アイトラッキングつきの裸眼立体視対応スマートフォンなんていうものも出してた。
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▲公式サイトのプロモ画像は、とてもノーコメントな感じの洋ゲーキャラクターたちが登場。それは遊べないから……。

すいません、ちょっと通りますよ(スゥーッ)

 いきなり胸焼けしそうな卒倒ネタをぶっ込んでしまったので、お次はライトなものを。仏Rollkersは、電気ローラースケート風の製品を出展。
 ローラースケートと違うのは、電気アシストで歩行スピードを上げることを目的としたデバイスであるということ。最大で時速7マイル(約11キロ)で“歩く”ことが可能になるという。転倒防止用の安定化機能などがついているほか、日常の使用シーンを制限しないように、ヒールのある靴などにも対応。製品化は2016年を目指している。

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VR+AR両対応のヘッドマウントディスプレイ“Sulon Cortex”

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 カナダSulon Technologiesの“Cortex”は、VRだけでなくARにも対応したヘッドマウントディスプレイ。プロモーション動画でもイメージされているように、前面に備えるカメラを通じてプレイヤーの周囲を視界として映し出す一方、CGをオーバーレイして、プレイヤーの周囲の環境自体をゲーム空間に変えることができる。処理能力を内蔵しており、PCなどを使わず単体動作するのも特徴だ。CESではクローズドなブースを出展し、事前予約限定でデモを披露していた。

 記者は時間が合わずにプレイできなかったのだが、プレイした人に話を聞いてみると、解像度やジェスチャーのトラッキングなどのクオリティはまだまだこれからといった部分がある一方、独自性などは注目すべき点があると評価する人も。今後機会があればチェックしてみたいデバイスだ。公式サイトで499ドルで開発者用キットの予約を受け付けており、今年前半に出荷される見込み。

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▲前面にはAR用のカメラが。上位モデルは後頭部にセンサーを持つ。

ビデオゲームと視線トラッキング

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▲Twitchでストリーミングする配信映像にどこを見ているかをオーバーレイ表示することもできる。

 視線トラッキング技術を得意とするトビー・テクノロジーは、開発者向けキット“Tobii EyeX”(発売中)と、その技術を応用したデバイス“Steelseries“Sentry”のデモを行っていた。

 いずれもディスプレイ下部に設置する棒状の機器で、使用者の視線を追跡し、入力に使うという点は同じ。EyeXではそれをゲームの操作に使用したゲームを作るためのもので、Sentryはよりゲーマー向けに、Twitchでのストリーミングに視線の動きをオーバーレイしたり(配信者が何を見てリアクションしたかが丸わかりというネタがひと味加わる)、プレイ中に記録された視線の動きを解析して、「まだこっちにちゃんと注意を配れてないなぁ」といったプレイの改善に使える。

 ただ解析機能の方は現状『Dota2』と『スタークラフト2』にしか対応していないので、もうちょっと対応タイトルを増やして欲しいところ。個人的に興味があるのは配信者向けの機能のほうで、トッププレイヤーがどこを見ているかチェックしたり、逆に「初心者はまずここを見ろ!」みたいなコンテンツがあったら超見てみたいかも。まぁそれも日本だったらニコニコ生放送に対応してないと厳しいかもしれないが……。

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▲どこをどれだけ見ていたかというスタッツを表示して、プレイの改善に使うこともできる。

リバーシブルだけが欲しいならすでにあるぞ

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 ケーブル界隈で盛り上がっていたのが、規格レベルで両面挿しに対応したUSBの新コネクタのType-C。「もうどっちに挿せばいいか困らない!」といった感じにネットニュースで盛り上がるType-Cだが、ひとつ言っておきたいのは、両面挿し仕様のコネクタは既に市場にあって、ケーブルが普通に売っていること(リバーシブルコネクタといった名称でエレコムなどからも出ている)。

 なので、今持っている機器で使えないType-C(Micro USBサイズの新形状のコネクタが新たに出来たと考えて下さい)を待つより、リバーシブル対応のケーブルを買ってくるのをオススメしたい。まぁゲーミングマウスとか、ハードウェアに直付けされちゃってるデバイスはどうにもならんけど……。

 どちらかと言えば注目しておきたいのは、Type-Cと一緒に扱われることの多いUSB 3.1規格の方。最大で100ワットの給電に対応し(Type-Cの場合)、転送速度は10Gbps。さらに映像や音声も扱うことができる。これによってモバイルデバイスがどんな機能を実装してくるか、可能性に期待したい。

俺のフォースは足りてるのか足りてないのか

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▲バカ面で調子ぶっこき、暗黒面に堕ちる5秒前。

 堅い話をしてしまったので、脱力できる奴を行こう。Uncle Milton Industriesの“Force Trainer II”は、スターウォーズのジェダイになった気分が味わえるおもちゃ。

 一時期ちょっと流行った脳波トイの一種で、頭にセンサーを付けて、ホログラフィック風に表示されるディスプレイに向けて「ムムムッ」と念じると、敵兵がバタバタっと倒れたりするという子供だま……いや、解説してくれた人は「倒したぜいぇーい」とはしゃぐ不審なアジア人を可哀想な目で見ながら「うーん、これほどのフォースを持った人はいないな。キミ、ヨーダに訓練受けたろ?」と褒めてくれたのだが……。

 というのも、「こんな感じかな?」と念じている内にフラグが立ってバタバタ倒れるので、いまいち自分のフォースが足りているのか足りていないのかわからないのだ。初代“Force Trainer”は念に応じて円筒の中でボールが吹き上がるというアナログな仕組みだったので「俺の現在のフォース力」が視覚的にわかりやすかったのだが、“Force Trainer II”にもメーターはあるものの視界の端っこなので、そんなもの敵に向けてフォースを集中している最中に見ていられない。ユーザーインターフェースって大事ですね、というゲームっぽい話で締めくくりたいと思う。

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GTAみたいじゃん! TPS視点で駐車可能なNVIDIAの新技術

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 CESではオートモーティブ(自動車関連)の発表に終始したNVIDIA。クルマに興味がないため割とガッカリな内容だったのだが、それでも燃えたのがTegraシリーズの最新チップTegra X1を搭載した車載用コンピューターNVIDIA DRIVE PXとCXのデモ。

 写真を見ると「GTAかなんかかな?」と思うかもしれないが、これはDRIVE CXのインターフェース画面。周囲の環境を複数の広角HDカメラで撮影してリアルタイム合成することで、後方斜め上からの視点や、初期『グランド・セフト・オート』のような上からの視点で駐車することができるのだ。PXでは同様の仕組みを使って、周囲の物体を3Dマップして自動駐車まで実現している。

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▲車載された4台の広角カメラをTegra X1でリアルタイム合成して、TPS視点のイメージを作り出している。

iPadで動作する3Dスキャナー兼ARデバイス

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 Occipitalの“Structure Sensor”は、iPadと一緒に使える3Dスキャナー。すでに販売中だ(379ドルから)。しかし3Dスキャンだけでなく、周囲の物体を3Dマップして認識できることを応用して、VRヘッドマウントディスプレイに取り付けて手を認識させたり、周囲の環境を利用したARゲームに使うこともできる。

 CESでは体験者の顔を3Dスキャンしてホログラフ風の画像にするデモと、少し広いスペースにStucture SensorつきiPadを持って入り、iPadを視界&コントローラーとして自分の足で歩きながら遊ぶ一人称視点のパズルアドベンチャーゲームを遊べた。

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▲ホログラフィック俺。
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▲カメラはiPadの背面に貼り付けられるぐらい小さい。ARゲームを作ることも可能。

みんな手かざししてて宗教っぽいですがVRです

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 インテルブースでOculus Riftを使ってデモをしていたのは、「孤独にVRするな」をテーマとするAltspaceVR。VRヘッドセットを被ったプレイヤーによるマルチプレイコンテンツの制作を目指しており、今週末からβ参加者も募集予定。CESでは、500マイル(約800キロ)離れた人とボイスチャットしながら、バレーボールで遊んだりできた。

 手の認識をインテルのRealSenseでやっており(だからインテルブースでのタイアップ出展)、指一本一本が線でCGキャラクターの前に表示されているので、手を振ればちゃんと答えてくれる(本当はどれぐらい認識するのか中指を立ててみたかったのだがマジで怒られるのでやめた)。VRなのに空間を共有している感覚が味わえるというのは、これまた面白い体験。VRを個人的な体験だけでなく、距離を超えて空間を共有するというマルチプレイの方向に活用する例は今後増えてくるのではないだろうか?

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▲おまけ。会場で見つけた最新過ぎるゲームハード。