ベテランCGアーティストによる超絶廃墟美に叙情的なサントラ
あなたは欠伸をしながらゆっくりと陽光が差す廃墟の中で目覚める。かつてここで生活していた人々は去り、今はもう誰もいない静かな場所。そして起き上がる。ああそうだ、何かしなきゃいけないんだっけ……。
Lucky Pauseのアドベンチャーゲーム『Homesick』を紹介する。プラットフォームはPCで、Steamで配信中。価格は1480円。
世界トップクラスのVFXスタジオ・Blur StudiosでCGアーティストとして9年間勤務したBarrett Meeker氏が独立して作った個人的性格の強い作品で、ゲームとしての作りは超ピーキーだが、とにかく映像がメチャクチャ美しい! ゲームエンジンはアンリアルエンジン3相当の無料版であるUDKなのだが、正直アンリアルエンジン4と言われても「道理で」とか納得してしまいそうな感じ。また、ピアニストのHeather Schmidt氏らによる叙情的なサウンドも素晴らしく、廃墟の探索体験を構成する重要な1パートとなっている(なおサントラはインストールフォルダ下にmp3として入っている)。
ジャンルとしてはパズルアドベンチャーゲームで、要はパズルを解いて次のエリアに進んでいくタイプ。その過程で過去この場所でどんなことがあり、どんな人々が住んでいたのかが断片的にわかっていくという『Dear Esther』のような一人称視点の探索ゲーでもある。スリリングなピンチやホラー描写がありそうだが実はなく(ドッキリシーンは一瞬だけある)、ゲーム的な説明やUIすら徹底的に廃して、基本的にはとにかくパズルと廃墟美を愛でるのにステータス全振り! ちなみに、F4キーで4K解像度のスクリーンショットを撮ることもできる。
一切の説明を廃し、何をすればいいかすら敢えて示さないようなタイプのゲームなので、これ以上は全部(少なくとも軽度の)ネタバレになってしまうのが困りどころ。
というわけで、ここで一旦紹介を区切りたいと思うのだが、その前に、音楽と追加のモデリング以外のゲーム部分をほぼ単独で作っている関係上、『Homesick』は中庭をぐるっと取り囲んだアパートの1階層+αぐらいの領域で完結している小規模なゲームだということは言っておきたい。
従って(一部の謎解きに時間が食われるものの)値段とコンテンツ量が見合わないと感じる人も多いだろうし、また謎解きには若干の英語知識が必要だ(英文で頻出するアルファベットは何かとか)。それでも問題ないという体験重視の人はこのままチャレンジしてもらうとしよう。コンセプトと映像にグッと来た人なら間違いはないと思う。