あまりにも緻密! すべてが有機的に結びついたゲーム設計

 2015年6月16日〜18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015が開催。KONAMIブースでは、『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』(以下、『MGSV:TPP』)のプレイデモを実施。その模様をリポートする。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』のプレイデモを実施。ゲーム内課金への言及も【E3 2015】_50
▲プレイデモを披露するのは、ファンにはすっかりおなじみ“ダン君”こと談子昂氏(右)。そしてMCはSean Eyestone氏(左)だ。

 プレイデモに入る前に、ネット界隈で噂になっていた、ゲーム内課金について言及した。『MGSV:TPP』には、マイクロトランザクション(少額決済)の要素はあるが、いわゆるアンロック型のコンテンツや、追加コンテンツの類いではなく、課金を行わなくてもゲーム内のすべての要素を楽しむことができると説明。『MGSV:TPP』は、とてつもなく膨大なゲームのため、時間のないプレイヤーに対しての選択肢であり、あくまでオプションに過ぎないとのこと。パッケージの購入のみで遊びの部分は担保されるので、とくに気にする必要はなさそうだ。遊びかたの問題だろう。

 さて、プレイデモのリポートに移ろう。約1時間ほどのデモだったが、まずは要点をまとめてしまいたい。

・ミッションの選択は本当に自由。拠点であるマザーベースどころか、空中司令室(Air Command Center)にも戻る必要はなく(プレイヤーが戻りたければ戻ればいい)、ひたすら転戦し続けることも可能

・ひとつひとつのミッションが有機的に結びつき、展開に変化が生じる設計が美しい(しかし、それを意識せずにゲームを進めてもよい)

・D-Dogがかわいい(よーしよし)

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 まずは、ヘリ内の空中司令室(ACC)を解説。移動の手段でもあり、ミッションの内容を確認したり、その準備をするための空間だ。ヘリの壁には写真が貼られており、ゲームの進行度やプレイ内容によって変化していくらしい。このACCでは、さまざまなカスタマイズも行える。武器やヘリ、車輌、バディ、エンブレムなどのメニューが用意されていた。

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 実際に、武器のカスタマイズを実演。スコープやグレネードなどのオプションパーツの付け替え、カラーリングの変更、そしてほかの銃のパーツを組み合わせて新たな銃(いわゆるキメラ)を作ることも可能になっていた。

 ACCでは、カセットテープ(ウォークマン)を使ってブリーフィングを受けたり、音楽を聴くこともできる。音楽は、『メタルギア』シリーズの楽曲を始め、往年のヒット曲まで用意されていて、ミッション中にカセットテープを入手することで、そのライブラリが充実していく。このあたりは、プロローグにあたる『メタルギア ソリッド V グラウンド・ゼロズ』をプレイした人は感覚的にわかるだろう。ユニークだったのは、そうした楽曲をヘリの登場曲に指定できること。洋楽のヒットナンバーとともにヘリが登場すると、それはそれでガラッと雰囲気が変わる。カセットテープを集めるモチベーションにもなりそう。

 ミッションは、ストーリーが展開するメインミッションと、直接は関係のないサイドオプスがあり、どれから進めてもいい。ただし、先のまとめの通り、それぞれのミッションが影響し合うことがあり、サイドオプスで回収した人物や、ギミックの処理(レーダーを壊すなど)によって、ほかのミッションでの展開が変わったりもする。今回のデモでは、その一例を見せてくれた。

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▲『MGSV:TPP』では、ヘリで直接ミッションに向かうこともできる。到着時刻の設定や装備、出撃するバディをミッション開始時に設定。マザーベースにいるスネーク以外のキャラクターでミッションに挑むこともできる。

 メインミッションで訪れる東カブールは、ソ連兵が駐留しており、スネークは初めは彼らの言葉が分からない。そこで、言語学に長けた人物をサイドオプスで確保し、通訳の能力を得ることにする(実際は兵士のセリフに字幕が表示されるようになる)。

 サイドオプスでは、バディにD-Dogを選択。D-Dogには探索能力があり、スネークが双眼鏡でマーキングしなくても、近くの人物、動植物をマーキングしてくれる。この動植物というのがポイントで、フィールドでは植物を採集することができるのだが、毒性のある植物が麻酔銃の強化・開発に必要だったりして、わりと見過ごせない。採集目的のときもD-Dogは重宝しそうだ。

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 ところで、このD-Dogがめちゃくちゃかわいい。スネークと伴走するわけだが、ときおりスネークを気遣うようにこちらを見たりして、愛らしい(デモではおしっこしてたけど)。もちろん、かわいいだけでなく、先述の探索能力を始め、戦闘でもスネークをサポートしてくれる。デモでは、見張りがふたりいるところで、その一方にD-Dogが噛み付いて陽動。その隙にもうひとりをスネークが背後から拘束し、華麗に処理していた。こうした噛み付き以外にも、鳴き声などで敵の注意を引きつけることも可能なようだ。

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▲D-Dogが取れる行動は、スネークとの親密度も影響するそう。

 スネークは、拘束した兵士からターゲット(言語学に長けた人物)を聞き出そうとするが、当然ながら言葉がわからず、うまくいかない。しかし、D-Dogの探索範囲にターゲットが入り、位置がわかった。そうして、ターゲットをマザーベースに回収し(殺害せずに回収する必要がある)、ロシア語の通訳が可能に。その効果はすぐに適用され、兵士を尋問したところ、付近に開発資料があることがわかる。この開発資料は特定のスナイパーライフルを開発するために必要なアイテムのようで、これを入手しつつ、D-Dogが発見してくれた捕虜を回収して、ひとまず作戦エリアから離脱となった。

 このように、ひとつのサイドオプスの中にもさまざまな達成項目があって、どこまで遂行するかもプレイヤーの自由。べつに通訳の能力がなくてもミッションは遂行できるし、スナイパーライフルは必須の武器でもない。だが、敵の会話がわかれば、攻撃するにも、逃げるにも先手を打てるし、スナイパーライフルがあれば戦術の幅も広がる。それは、フィールドや敵地にあるアイテム(素材類)の探索もそう。ついつい時間をかけて、いろいろ回ってしまう。ひとつひとつのミッションがそんな感じだ。

 通訳の能力を獲得したので、いよいよメインミッションへ。いったんヘリ(ACC)に戻るのかと思いきや、情報端末であるiDROID(アイドロイド)を開き、ミッション開始地点を確認。そこまで移動し、何やら通信機器のようなものとiDROIDを接続してミッション開始となった。このように、近くにミッションがあるなら、そのままつぎのミッションに行けばいいし、あまりに距離が遠かったり、何かカスタマイズしたくなったら、適宜ACCやマザーベースに戻ればいいわけだ。

 メインミッションは、スペツナズの英雄を排除するのが目的となっていた。このミッションでは、さきほどのD-DogからD-Walkerにバディを変更。D-Walkerは、小型の歩行兵器で、スネークが搭乗し(やや中腰気味)、攻撃や移動手段としても利用可能。D-Dogよりも索敵や諜報に優れていて、敵地の情報を入手することができる。歩行モードは小回りが利き、走行モードの移動速度はかなり速い。ちょっとぐらいの銃撃は防いでくれるし、アームを使っての格闘攻撃もくり出せるので、かなり機動力は高そうだ。

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 また、さきほどのサイドオプスで入手した開発資料によってスナイパーライフルが開発可能になったので、それを早速実戦投入。マザーベースから補給品として送ってもらうのだが、バルーンによって運ばれてくるため、少し時間がかかる。そのため、D-Walkerで敵地へ移動しつつ、その付近に補給品の落下地点を指定。こうすれば、ムダなく時間を使える。

 作戦領域に入り、まずは偵察を開始。敵にスナイパーがいることがわかり、遠くから捕捉される可能性が出てきた。そこで、さきほどのスナイパーライフの出番。こちらから先手を撃ち、敵のスナイパーをヘッドショット。こうした倒しかたは“タクティカルダウン”という扱いになり、高評価の対象になる。腕に自信があるなら、狙ってみてもいいだろう。ここでスナイパーライフルがなければ、スナイパーの死角を探し、まったく違う作戦、ルートを考える必要がありそう。

 このスナイパーの排除が効いて、スムーズにターゲットがいる建物へ侵入。殺害はせず、CQCで気絶させ、回収という方法を選んだ。室内ではフルトン回収は行えないので、ターゲットを背負い、外に運び出してから回収要請。そのタイミングで、敵に見つかってしまう。そして、デモのお約束(?)のランボーモードに突入。

 ここからの展開が目まぐるしい。いったん部屋に戻り、捕捉されている敵を引きつけて、少し数を減らすことに。しかし、敵は盾を持っていて、防御面を強化していた。じつは、このあたりの変化も、敵の会話からわかるようになっている。プレイヤーのゲームの進めかたによって、敵も対抗措置を取る(たとえば、ヘッドショットばかり狙っていると、ヘルメットをかぶるなど)ので、戦略を変えたり、敵の会話に注意していないと、こちらが一方的に苦しめられることになるわけだ。

 盾を持った兵士をCQCで倒し、その盾を装備。防御を固めつつ、部屋の外へ移動。しかし、そこは敵地のど真ん中。敵の数がかなり多い。そこで、スモークグレネードで煙幕を発生させ、サーマルゴーグルに装備を変えて敵の基地から離脱。同時にD-Walkerを呼び、ホットエリアから脱出を試みようとしたところ、目の前に装甲車が。D-Walkerで応戦するも、装甲車にはかなわず、無念にも大破(バディは壊されると自動でフルトン回収される)。自身の回収要請のためヘリを呼ぼうとするが、候補となるランディングゾーンが近くにないうえ、警戒されているため、撃ち落とされてしまう可能性が大。そこで、敵からロケットランチャーを奪い、対空レーダーを破壊。これでヘリを降ろす場所が確保され、ヘリの支援攻撃によって装甲車を破壊。ランディングゾーンから離脱となった。

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 このように、ひとつひとつの行動に意味があり、うまくハマれば不利な状況でも巻き返すことができる。もちろん、そんなことを気にせず、目の前の敵をすべて排除できる腕があるなら、それでもいい。このゲームとしての懐の広さが、『MGSV:TPP』は半端ない感じがした。

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 今回のデモでは、あえてカットシーンは見せず、ゲームプレイに特化したものになっていたが、小島監督による奥深いストーリーは健在。このあたりは、E3で公開されたトレーラーで確認してほしい。「言葉は人を殺す」という表現は、思わずハッとするものがある。“世界に巣くう英語を駆除することで世界は分裂し、そして自由になる”。このトレーラーの先に待っている結末が、気になって仕方ない。

【公式】METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN | E3 2015 Trailer [Long] (JP)

ブースはマザーベース風!

 KONAMIブースの様子もご紹介。マザーベースを模したブースには、『メタルギア』の遊び心がいっぱい。写真を中心にお届けしよう。

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▲フルトン回収用のバルーンとダンボール。人が本当に入れそう。
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▲ユニークなポスター類。
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▲羊が!
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▲ダン君、Seanさん、そしてコスプレの方々。

以下、E3 2015で公開された最新のスクリーンショット。

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