アクションがよりスピーディーに
2015年6月16日~18日(現地時間)、アメリカ・ロサンゼルスにて世界最大のゲーム見本市、E3(エレクトロニック・エンターテインメント・エキスポ)2015が開催。2015年6月18日には、『DARK SOULS III(ダークソウルIII)』(以下、『ダークソウルIII』)のプレゼンテーションが行われ、フロム・ソフトウェアの宮崎氏がゲーム内容を詳しく解説した。本記事では、その内容をお届けする。なお、2015年6月18日発売の週刊ファミ通では、『ダークソウルIII』について詳しく紹介しているので、そちらもぜひチェックしてほしい。
メディアの前に現れた宮崎氏は、まず『ダークソウルIII』を3つのポイントに分けて紹介した。その3つとは、“世界のスケール感と没入感”、“終末の世界”、“シリーズコンセプトの継承とその先にある進化”である。
■世界のスケール感と没入感
『ダークソウルIII』は、シリーズで初めてプレイステーション4とXbox One用に設計されたタイトルだ。『ダークソウルII』にもプレイステーション4版&Xbox One版はあるが、『ダークソウルII』はもともとプレイステーション3とXbox 360用に設計されており、本作とは少し事情が異なる。プレイステーション4とXbox One用に設計されたことで、立体マップのスケール感がより増しているほか、風に舞う火の粉や動的な光源など、環境描写も大幅なパワーアップを果たした。
■終末の世界
『ダークソウル』シリーズは一貫して、荒廃した退廃的な世界を描いてきた。本作ではそれをさらに突き詰め、独特の枯れた美しさに象徴される、終末の世界を描いていくという。その物語のキーパーソンが“薪の王”であり、マイクロソフトのカンファレンスにて流されたムービーで燃える巨人が現れるシーンは、薪の王が蘇ってくるイメージだという。薪の王と言えば、初代『ダークソウル』の最終ボスが“薪の王グウィン”だったが、両者の関連性はあるのだろうか?
■シリーズコンセプトの継承と、その先にある進化
3つ目のキーポイントは、ゲーム性について。難度が高く達成感の高い内容や、独特のオンラインシステムなど、これまで『ダークソウル』シリーズが築いてきた要素はしっかりと継承。さらに、そこに『ダークソウルIII』ならではの新要素を加えていくという。
やりごたえが伝わるハンズオフデモ
宮崎氏からのコンセプト解説が終わると、続いてアルファ版ROMを用いてのデモプレイが行われた。今回探索するのは、ファンタジーの王道とも言える巨城だ。こうした城は、プレイステーション4&Xbox Oneのパワーによって、造形の美しさ、巨大さがより強調されており、いままでにない立体感を与えている。また、篝火を灯して拠点にしていくシステムは、本作でも健在のようだ。
城の探索を進めていくと、色褪せた太陽やはやにえのような死体、太陽に祈る亡者の集団が見えてくる。こうした演出は、宮崎氏が語る“終末感”の表現のひとつだ。さらに、城には巨大な竜が息絶えて横たわっており、その死体からは、灰が飛び散っている。この舞い上がる灰も、終末感の演出にひと役買っている。
プランナー氏が操作する主人公は、薄暗い建物の中への入っていく。松明を灯すと、ボウッとあたりが照らされるが、よく見ると、光がゆらめていることに気づく。これが、“動的な光源”の演出のひとつと思われるが、こういった表現は、世界のリアルさを増し、物語への没入度をより強めてくれる。
ハシゴを降りて行くと、小さな墓を発見。この小さな墓は本作からの追加要素で、火を灯すことで明かりや目印にできるほか、墓碑を読むとヒントが入手できることもある。墓は各地に隠されており、これを探す楽しみもあるのだそうだ。
続いては、剣戟アクションについての説明へ。剣戟アクションはシリーズの柱であり、今回は直剣や弓といった武器カテゴリーや、消費アイテムが持つ特性を深堀りしていくという。これには、アクションゲームとして戦術の幅を広げるという狙いと、RPGとしてロールプレイの楽しみが増すという、ふたつの狙いがあるそうだ。
ここから、いくつかの武器を実際に使っての解説に移る。最初に主人公が所持しているロングソードは、両手に持った剣の切っ先を相手に向けたまま、柄の部分が右肩付近に来るように構える(『るろうに剣心』の牙突で、剣を両手で持っているイメージ)という特殊な構えを取ることが可能。この構えからは、相手のガードを崩す攻撃が放てるため、盾を持った敵を苦にすることがなくなるのだ。ロングソードはもともと、1対1の状況下における万能性に秀でたデザインであり、今回の強化は、その特性をさらに増すためのものであるという。
細い通路に大量の敵が待ち構える、「『ダークソウル』シリーズにおいての死亡フラグ」(宮崎氏)な状況に遭遇。ここはいったん諦めて違う通路に進むと、今度はドラゴンが待ち構えていた。このドラゴンが突然こちらに炎のブレスを吐いており、これでは進めたものではない。古城の中に住まうドラゴンというと、宮崎氏作品のファンならピンと来るかもしれないが、氏は、“最初の城でドラゴンを出してプレイヤーを倒す”というシチュエーションがお気に入りなのだそうだ。
ドラゴンに行く手を阻まれたが、このドラゴンが出現したことで、1本目の通路のほうが安全に進めるようになる、と宮崎氏。注意深く進んでいくと、敵がひしめく通路の上からドラゴンが顔を出し、ブレスで敵を薙ぎ払ってくれた。『ダークソウルIII』をプレイするうえでは、こういった“気付き”や洞察力が重要になるようだ。
さらに進んで、ふたつ目の武器であるグレートソードを入手。極大剣カテゴリーに属するこの武器にも、もちろん新アクションが用意されている。それは“踏み込み”で、武器を構えた後、腰を落としてグッと相手の方向に踏み込むことで、“肉を斬らせて骨を断つ”大ダメージを与えられるのだ。宮崎氏によると、マンガ『ベルセルク』の主人公、ガッツの戦いかたをイメージしたのだそうだ。
この武器を使って挑むのは、全身鎧に身を包み、直剣と盾を携える騎士だ。宮崎氏は『デモンズソウル』の騎士を例に出し、本作では、対峙しているだけでコントローラーを持つ手が汗ばむような強い騎士が返ってくる、と語った。赤目の騎士のような存在が現れるのかもしれない。
この後、屋根の上に亡者の姿が。相変わらず色褪せた太陽に祈り続けているが、その亡者の体から、突如として黒い化け物が現れる。漆黒の体を持つこの不気味なクリーチャーは、この城の滅びの原因となったものらしい。
探索を進めていくと、ショートボウとシミターのふたつの武器を入手。ショートボウは、エイム画面でなくても撃てるほか、ローリングやステップといった動作からすぐに撃つことも可能。宮崎氏は“『ロード・オブ・ザ・リング』のレゴラスのよう”とたとえたが、近接武器に似た素早い立ち回りは、ロングボウと大きく差別化されていた。また、シミターは両手持ちにすることで、二刀流モードに変化。特殊アクションは“回転”で、攻撃の予備動作として回転を行うことにより、攻撃範囲が拡大するようだった。
また、アクションのスピードが、これまでの『ダークソウル』シリーズと比べて素早くなっているところも、本作の注目点。記者は、『デモンズソウル』に近いスピードと感じたが、いままで以上にスピーディーな攻防が楽しめそうだ。
多くの敵との戦いを経て、いよいよボスへと近づくが、その前には騎士が待ち構えていた。剣の騎士と槍の騎士のふたりをいっぺんに相手にしての戦いだ。1体でさえ強力な騎士と、2体同時に戦っては勝ち目がない。よって、分断させて戦う必要があるという。分断させるにはふたつの方法があり、ひとつは巡回のスキをついて個別に撃破すること。そしてもうひとつは、剣の騎士と槍の騎士の移動速度の違いを突くことだ。槍の騎士は剣の騎士より遅いため、移動し続けていると槍の騎士だけが遅れ、剣の騎士との1対1になるタイミングが来る。ここでうまく撃破できれば、槍の騎士とも1対1で戦えるということだ。今回は、剣の騎士をパリィからの致命の一撃で倒し、続けざまに槍の騎士を相手にしていた。
最後に待ち受けるボスは、全身鎧に身を包み、花嫁のようなヴェールをつけた“冷たい谷の踊り子”。全身鎧ながら、その身はほっそりとしており、二足で這うように歩きながら、手に持った炎の剣で攻撃してくる。剣の炎はカーペットや木の扉などに燃え移り、戦いの激しさを演出。この炎は演出だけではなく、触れるとダメージを受けているような描写もあるなど、戦いにも影響を与えるようだ。
ゆったりとした動きから放つ攻撃を避け、ダメージを与え続けていると、ボスの行動パターンが変化。宮崎氏が手掛ける『Bloodborne(ブラッドボーン)』と同様に、追い詰められたボスの行動パターンが変化するという仕組みが入っているようで、冷たい谷の踊り子は、もう1本の剣を持ち、二刀流で襲いかかってきた。
……というところで、ハンズオフデモは終了。プレゼンテーションの最後は、宮崎氏への質疑応答で締めくくられた。その中から、いくつかの質問を抜粋してお届けしよう。
Q.武器が持つ特殊な動きが紹介されたが、特殊な動きはすべての武器にあるか?
A.なるべくつけようと思っている。ない武器がかわいそうなので。
Q.マップ間のつながりかたは?
A.初代『ダークソウル』や『Bloodborne(ブラッドボーン)』に近いつながりかた、立体感になる。拠点は明確に存在し、篝火間の移動も可能。