「ちょっとやりすぎだろうと思うくらいマニアックな作品」(片山)
ユービーアイソフトから2015年7月30日に発売されたプレイステーション4、Xbox One用ソフト『F1 2015』。モータースポーツの最高峰“F1世界選手権”のリアルなレース体験を味わうことができる本作の魅力を“ガッツリ”お届けする特番が、ニコニコ生放送にて2015年7月24日に放送された。
番組には元F1ドライバーである片山右京氏がゲスト出演。ドライビングシートに設置したステアリングコントローラ(フットペダル付き)を使って、華麗なドライビングテクニックを披露した。ファミ通.comは、番組終了後の片山右京氏を直撃! 『F1 2015』をプレイしての感触などを語っていただいた。
――番組では、ステアリングコントローラを使用して『F1 2015』をプレイされましたが、率直な感想を教えてください。
片山右京氏(以下、片山) 『F1 2015』の“プロシーズンモード”のすごさは、実際にプレイしないとわからないと思います。本物のF1マシンの動きに近いし、僕はふだんゲームで遊ばないのでこういうことができる時代なんだと驚きました。昔のレースゲームは、タイヤの滑りかたやスピンの仕方が不自然でしたけど、本作はシミュレーターに近いので、実際に起こる動きをするし、ステアリングへの反応もリアルに再現されているので、集中力が必要だと感じました。もう本物がいらないじゃんっていうぐらいの領域まできていますね。
――プロのF1レーサーがオフシーズンにレーシングシミュレーターを使って練習する時代になりましたが、『F1 2015』はシミュレーターとしても十分な出来ということでしょうか?
片山 「ちょっとやりすぎだろう」と思うくらい、シミュレーターに近いですね。クルマのセッティングもいろいろと細かく変えられるので、たとえばF1なのにドリフトして走るような遊びかたもできるんじゃないかと思います。
――番組では見事なフリー走行を見せていただきました。
片山 コースアウトした後、タイヤに付いたゴミが取れてグリップが回復するまでに時間がかかるとか、そういうことを再現してあるのはすごいけど、ゲーム中には何も説明されないじゃないですか。だからこのゲーム、とくに“プロシーズンモードはF1に関する基礎的な知識が必要になりますよね。僕はみんなよりF1に乗る経験があったので、多少はうまく走れたのだと思います(笑)。
――いやいや、経験というレベルではないと思いますよ(笑)。
片山 あとはレーシングシミュレーターと同じように、減速Gや加速G、ラテラル(水平)なども感じられるようになれば、よりリアルに近付いていくんでしょうね。あと、実現できるかわかりませんが、路面の継ぎ目とか縁石に乗り上げたときのゴツゴツとした衝撃や、コースアウトしたときに芝生がコックピットに入ってくる演出などが加わると、よりリアリティーが増すと思います(笑)。
――ここ10年のゲームの進化を考えると、この先10年後のゲームは芝生がコックピットに飛び込んでくる演出を採用しているかもしれませんね(笑)。番組では鈴鹿サーキットを走っていただきましたが、コースの再現度はいかがでしたか?
片山 昔のレースゲームは高低差が平面的だったじゃないですか? でも『F1 2015』は完全にゲームということを忘れて世界に入り込んでしまうくらい、キレイでリアルでした。
――プロの目から見ても、高低差やコース幅の違和感はなかったと。
片山 まったくなかったですね。ただもっとマニアックなことを言うと、サーキットってもっと汚いんですよ(笑)。たとえばコンクリートウォールにはタイヤがぶつかって擦れた跡が付いていたりするし、そういう部分も再現してくれたら完璧ですね。ただ本当にコースに関しては、本物と同じです。身体が覚えたまま走れましたね。放送中では否定しましたけど、鈴鹿ならきっと目を閉じたままで1周走ることもできると思います。でも、それをやるには何か賞品がないと……(笑)。白いギターやジーパンとか(笑)。
――懐かしの『TVジョッキー』ですね(笑)。ゲーム中に登場するドライバーのクオリティーはどうでしたか?
片山 人の顔はF1マシンのように無機質なものではないので、完璧に再現するのは難しいですよね。でも、ダニエル・リカルドの髭の濃さまで再現しているのはすごいなと思いました。実際はもうちょっと髭が濃いんですけどね(笑)。それこそレースウイークは縁起を担いで髭を剃らないドライバーが多いので、“プロシーズンモード”では、日が進むとドライバーの髭がだんだん濃くなる演出があってもよさそうですね(笑)。さっきも言いましたが、“プロシーズンモード”は本当にやりすぎているので、それぐらいやっちゃってもいいと思いますよ。
――そういう意味で“プロシーズンモード”は、レースをそのまま再現するだけではなく、ピットイン時の描写もリアルですよね。ピット中にドライバーがドライヤーみたいなもので風を当てられていましたが、あれは本当にやっているんですか?
片山 やっていますね。送風機の風を当てて冷やしているんですよ。
――なるほど。あとゲームではピットクルーからタブレットみたいなものを渡されてマシンのセッティングを変えていましたが、実際にそういうことが行われているんですか?
片山 それはありませんね。確かにいまのF1はすべてをコンピューターで制御しています。クラッチのバイティング(密着率)を70から50にしようとか、ブリッパー(エンジン回転数の制御装置)をもうちょっと上げたいけど燃費が悪くなるから止めようとか、細かなセッティングはピット内のコンピューターで行っています。だから演出としてはあながち間違っていませんが、現実のF1はまだそこまではいっていません。
――いまはF1もデジタル化されているんですね。
片山 僕が現役だった時代はまだアナログな部分も多く残っていましたね。コースを走ったあとは、ここは滑る、ここはオーバーステアなど、すべて紙のコースマップに書き込んでいましたから。でもいまはデータアナリストを何十人と揃えて解析を行っています。サスペンションひとつをとっても、ダンパーやスプリングなどの部品ごとに担当が違うし、さらに前後左右の車輪ごとにも専任の担当がつくんです。いまはそういう時代になっていますね。
――『F1 2015』は“プロシーズンモード”でやり込むこともできれば、誰でも遊べる“クイックレース”で手軽に楽しめるのがいいですよね。番組では“クイックレース”でポルノ鈴木さんと対戦しましたがいかがでしたか?
片山 あれはおもしろかったですね。テレビで言うと、“プロシーズンモード”は川井ちゃんがやってるマニアックなCS放送で、“クイックレース”は解説がわかりやすいBS放送や地上波みたいな感じですかね。だからいろんな人がハマれるゲームなんだと思います。ウチの息子みたいに、家に帰ったらずっとゲームをしてる人が増えそうですね(笑)。
――「これがF1なんだぞ」と息子さんに“プロシーズンモード”をすすめてみては?
片山 彼は本物のF1を知らないので、マニアックに追っかける楽しさを面倒臭いと感じてしまうかもしれませんね。F1のことが好きな人や理解している人は、「もっとマニアックに」となっていくから“プロシーズンモード”がマッチするでしょう。『F1 2015』にゲーム的なものしか求めていないのなら、“プロシーズンモード”はやはり難しいでしょうね。
――そうするとやはり“クイックレース”での親子対戦がちょうどいいかもしれないですね。
片山 “クイックレース”だと、たぶん息子に負けますよ(笑)。
――では、最後に読者へメッセージをお願いします。
片山 世の中にはグラフィックがキレイなゲームがたくさんありますが、基本的にはゲームじゃないですか。でも『F1 2015』は“プロシーズンモード”というふつうのゲームとは違う楽しみかたがあるので、あまり深みにはまらないように気をつけてください(笑)。まずは“クイックレース”で気軽に楽しむのが良いと思います。それだけ幅があってよくできている作品なので、F1好きな人やF1に興味がある人はぜひ手に取って遊んでみてください。
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片山右京氏のサイン入りポスターを1名にプレゼント
ファミ通.comでは、片山右京氏のサイン入り『F1 2015』ポスターを抽選で1名様にプレゼント! 応募締切は2015年8月14日23時59分まで。欲しい人は応募フォームに必要事項を記入のうえ、応募してください。
<注意事項>
◎応募期間は2015年8月14日23時59分までとなります。
◎ひとりにつき、応募は1回まで。複数応募された場合でも、当選はひとり1口までとなります。
◎賞品、郵便番号、住所、氏名、電話番号、メールアドレス(パソコンのメールアドレスのみ)は必須項目です。 入力漏れや誤入力がある場合は、応募を受け付けられません。
◎当選者の発表は、2015年9月上旬中に賞品の発送をもって代えさせていただきます。
◎賞品は譲渡しないことを応募・当選の条件とします。譲渡には、売ること、オークションに出品することなどが含まれます。譲渡が明らかになった場合、当選は取り消され権利をお返しいただく場合があります。
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F1 2015
メーカー | ユービーアイソフト |
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対応機種 | PS4プレイステーション4 / XOneXbox One |
発売日 | 2015年7月30日発売 |
価格 | 各7980円[税抜](各8618円[税込]) |
ジャンル | レースゲーム / F1 |
備考 | プレイステーション4版のダウンロード版は7100円[税抜](7668円[税込]) |