『セブンスドラゴン』シリーズの集大成がいよいよ登場!

 2015年10月15日、セガのニンテンドー3DS用ソフト『セブンスドラゴンIII code:VFD』の発売に合わせて、東京・秋葉原のクラブセガにて、発売記念店頭イベントが開催された。開発者も登場したイベントの模様をお届けする。
 会場となるクラブセガの店頭では、豪華賞品が当たる抽選会が行われたほか、新旧のサムライ、刀子とヤイバのコスプレイヤーも登場して、発売を盛り上げていた。発売記念の賞品は、本作のキャラクターデザインを手掛けた三輪士郎氏による直筆サイン入り高画質イラストパネルのほか、マックスファクトリー社製フィギュア“サムライ(刀子)アナザーカラーVer.”、マックスファクトリー社製フィギュア“ハッカー(チェルシー)”、オリジナルTシャツなど、さまざまな種類が用意されていた。

『セブンスドラゴンIII code:VFD』開発者やサムライのふたりも登場した発売記念店頭イベントの模様をリポート_01
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▲会場でイベントを盛り上げていた新旧サムライ、ヤイバと刀子のふたり

発売直後の感想と今後の展開について、開発者へインタビューを実施

 会場には、発売を迎えたばかりのプロデューサーの亙重郎氏とディレクターの川端真之氏が登場。発売直後のインタビュー直前には、本作のキャラクターデザインを担当された三輪士郎氏も会場に駆けつけ、本作の見どころや今後の展開について語ってもらった。

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▲写真左:川端真之氏 写真右:亙重郎氏

――まずは発売日を迎えての感想をお聞かせください。

川端真之氏(以下、川端) ついにこの日が来たなということで、感無量ですね。本当によかったなと思っています。じつは、どことなく信じられない気持ちもあったので、朝に店頭に並んでいるのを見に行ったのですが、発売されているのを確認でき、安心できました。ユーザーの皆さんの反応も楽しみですね。

亙重郎氏(以下、亙) 今年の5月ごろには「もう発売できないのでは」という気持ちに心が負けそうになっていました(笑)。そんな状態だったので、こうして店頭に並んでいるのを見ることができて、本当によかったです。でもこれは奇跡とか運がよかったということではなく、スタッフのみんながコツコツと毎日の作業を真面目にがんばってくれた結果です。そんな優秀なスタッフが作り上げた作品がユーザーに届いて、それを楽しんでもらえたなら、本当に言うことはないですね。

三輪士郎氏(以下、三輪) これまで僕自身が『セブンスドラゴン』のユーザーだったこともあったので、その視点で出させてもらった意見を取り入れてもらえたことがうれしかったですね。それと、製作時に何度かやばそうな局面があったんですが、みんなのがんばりが結実してよかったなと思います。

川端 やばそうな局面というと、今年に入ってからもキャラクターモデルを全部作り替えたりとか、バトルシステムもやっとそこで完成したりと、いろいろとありましたね。

 実際、3回作り直しているようなものですからね(笑)。外から見ると、「なんて無駄なことをしているんだろう」と思われるかもしれませんが、そのくらいの産みの苦しみがありました。

三輪 でも、苦労した分、バトルがおもしろくなりましたよね。今回は9人バトルができるようになっていますし、コンビネーションがすごくおもしろいと思います。

川端 『セブンスドラゴン』シリーズはキャラクターメイクも楽しみのひとつなんですが、今回はキャラクターの外見が32種類あり、それにカラーバリエーションと40名の声優さんのボイス、8種類の職業と、いろいろな組み合わせができます。それから、今作ではバトルシステムが大きく変わっていて、基本は前作と同じ3人パーティーなんですが、そこに後衛が加わることで9人パーティーとなるため、これまで以上にキャラクターメイクが楽しめるはずです。もともと3人の掛け合いがおもしろい作品ですので、まずは3人パーティーを編成する楽しさを味わってもらいつつ、後衛と組み合わせることでどんな相乗効果を生み出すのかという新しい要素を楽しんでもらえたらと思います。

 これは裏話になりますが、バトルシステム自体を組み上げ始めたのは、今年の春なんですよね。それまで、腕利きのバトル担当が見つからなくて、「もうダメかも」という気持ちにもなりかけていたのですが、幸いにも優秀な人材が見つかって、そこから急ピッチで製作が進みました。それまではなかなか出口が見えない状況で、かなりヤバい状況でしたね。

三輪 僕もスキルの構成をぜんぜん知らないままキャラクターデザインをしていたので、「こいつ全身甲冑だけど、防御力本当に高いのかな?」と心配しながら作っていましたね(笑)。

川端 バトルは本当に難産でしたよね。

――今作から新しく『セブンスドラゴン』の世界に入られるユーザーに、オススメポイントなどありましたら教えてください。

川端 ストーリーは前作と繋がっているところもありますが、前作までを知らなくても楽しめるようになっているので、安心してください。キャラクターメイクや、コマンドバトルといった部分も、オーソドックスなRPGを遊んだことのある方なら、説明がなくても楽しめる仕組みになっていますので、3作目ということを怖がらずに遊んでもらえたらと思います。それで本作を楽しんでいただけたら、前作、前々作を遊んでいただければ、より深くストーリーを楽しんでもらえると思います。

 本音を言うと、『セブンスドラゴンIII code:VFD』がいちばんおもしろいので、今作だけ遊んでもらえればいいです(笑)。と、これは半分冗談ですが、いちばん新しいものがいちばん楽しいというのは当たり前の話なので、3作目だからといった心配はまったく無用です。むしろ、今回はシリーズの集大成というところもあり、前作、前々作の世界観をカバーしているので、気にしないで飛び込んできてくれても大丈夫です。

三輪 クエストを進めていると、いままでのおさらい的なものも要所に含まれているので、前作で何が起こったのか、ある程度は理解できるようになっています。ただ、必要以上に説明しすぎることもないので、今作を遊んだあとに、前作を遊んで何が起こったのかを確かめてもらうのもおもしろいんじゃないでしょうか。

 僕が心配しているのは、これから初めてみようかという人よりも、初代からずっと遊んでいる方が、「あの伏線が回収されていないんじゃないか」と思われることですね。我々は今作を開発するにあたって、必要なものは全部盛り込んでいます。もし、今回拾い切れていなかった部分があったとしても、それは後々に活かされるかもしれませんので、暗い気持ちにはならないでください(笑)。

川端 そのあたりは、いつか明かされる可能性があるということで、楽しみにしておいてほしいですね。

――ちなみに、今作は“シリーズ完結編”ということで、「これで終わり」と思われる方もいるかもしれません。今後はどのように考えられているのでしょうか。

川端 そのあたりは正直な話、今作の結果次第というところもありますが(笑)。『セブンスドラゴン』は、これからまた新しいお話を続けていくことも可能ですし、今回あまり詳しく触れなかった部分にフォーカスを当てて、そこの部分を膨らませていく余地もあります。また、開発のノウハウも社内に蓄積されてきているので、可能であれば続編も考えていきたいと思っています。とりあえず、今年のところは今作をじっくりと遊んでもらいつつ、今後の展開を楽しみに待っていてください。

 今回の完結編は、“セブンス”と呼ばれる7つの神竜を巡る戦いのひとつの流れがこういうものだったんです、という意味として、風呂敷を綺麗にたたませてもらいました。ですので、そのように受け止めてもらえればと思います。

川端 こういうひとつの話を今回お伝えしているだけなので、今後はその中にフォーカスしていくということもあるかと思います。

三輪 『セブンスドラゴン』が発売されてから、もう6年ですからね。そろそろ7匹目の話をしなくちゃってときですからね(笑)。

――これまでは4体しか出ていなかったですよね。

川端 そうですね。名前だけというのも含めて4体だったので、ふつうに考えたら次回はアトランティス編をしっかりやる流れになるところなんですが、今回は全部やったほうがいいかなというところに落ち着きました。

――今回は職業も新しいものが多いですが、オススメの編制やおもしろい組み合わせなどはありますか。

川端 まず、キャラクターのほとんどが新しくなっています。とくにデュエリストなんかは、ひいたカードの手順で強さが変わるという、運頼みのキャラクターになっていますが、このようにそれぞれの職業にしかない遊びも用意しているので、単体でもしっかりと楽しめます。また、編制についてですが、組み合わせによって火力が大きく変わってきます。前作までは3人で出していた最大火力に、後衛の火力も加わるので、一回のターンで与えられるダメージがすごく増えているんです。また、後衛のキャラクターたちにも経験値が入ってくるので、格段にキャラクターが育てやすくなっています。何しろ、3人のキャラクターを育てている感覚で、後衛の6人も育つので、サムライ3人の編制といったように、気分でパーティーを変える楽しみもありますね。このとき、新しい職業を加えることで、火力が全然違ってくるので、そのあたりもしっかりと見ていただきたいです。

 去年の3月くらいに、9人制の企画を聞いたのですが、連携技のようなものが出せないと、ただ人が多くいるだけになってしまうと、ずっと注文をつけ続けていました。それからもバトルシステム自体がなかなかまとまらず、ずっと心配していたのですが、“バディ”や“ユニゾン”といった具体的なシステムを組み込んで完成してみると、これがおもしろいんですよね。クラシックなターン制のバトルシステムならではの気軽さに奥深さが加わり、ちょっといままでにないおもしろさが作れたと思うので、そこを楽しんでいただきたいです。

三輪 僕は、今月の頭くらいからようやく遊ぶことができたので、まだ短い時間しか触れていませんが、それでもかなりいろいろな戦いかたができるゲームになっているなと思いました。ふつうに正統派の戦いかた以外にも、スキルを使って的を封殺していくスタイルだったり、デュエリストの運頼みだったりと、すごいバリエーションが組めるので、プレイヤーの好みにあったチーム編成ができるのではないでしょうか。

川端 同じ職業であっても、パーティーによって強さの印象が全然変わってくるんですよね。開発中も、バトル担当のリーダーが「ゴッドハンドが最弱だ」って言っていたんですけど、ある日チェックチームから「ゴッドハンドが強すぎます」ってクレームが来ました。このように、編制によって全然印象が違ってくるんです。

――三輪さんは今回数多くキャラクターデザインをされたと思いますが、お気に入りを教えていただけますか。

三輪 いちばん最初にデザインができあがったのはサムライの女の子なので、最初はその子が中心にいました。ただ、全員デザインが終わってどれかなと考えると、決めにくいですよね。男性キャラクターだと、バニッシャーの全身甲冑のキャラクターが、いままで描いたことのないタイプだったので、割と気に入ってます。あとはサムライの男性のBタイプで、マスクを被っているものなんですけど、これもずっとやりたかったものだったので、今回描けて満足しています。

川端 今回、三輪さんのアイデアでBタイプを追加させてもらいました。それで、キャラクターのバリエーションが増えています。

三輪 最初は顔のバリエーションがなく、職業がふたつで男女ひとりずつ、計4人分しかいないかったんです。でも、エレンとアトランティスに移動して仲間が増えたときに、それでは少し寂しいかなと思って、「首から下は共通で頭を変えたら、人数は増えるんじゃないですか」と言ってしまったんです。それで僕の仕事が3割くらい増えてしまいました(笑)。結果的には、すごい人数になってよかったかなと思ってます。

――さまざまな要素が盛り込まれた本作で、ユーザーの方にとくに見て欲しい部分はどこでしょうか。

川端 今回は、とにかく最後まで遊んでいただきたいです。3人パーティーを3回作ったり、経験値を入りやすくしたりと、途中で中だるみする要素を極力排除していったので、ぜひエンディングのワンシーンを見てほしいですね。

 シナリオ面ですが、最初にあったものからかなり手を入れました。それこそ、スケジュールがヤバいのにいろいろ変えてしまったりしたんですが、ギリギリのところまでやっておいてよかったといえるものになりました。バトルがあり、それと二人三脚で走るシナリオがあり、そのふたつがしっかりと噛み合ったいいバランスになったと思います。

三輪 今回、古代祐三さんが音楽を手掛けられているのですが、それがハマっているんです。以前に曲単体では聞かせてもらっていたんですが、流れてほしい曲が、バッチリのタイミングで入ってくるのはすごくいいですね。それと、旧作絡みのクエストやイベントも、きちんと説明されているので、この部分も見ていただきたいです。

――今後のDLCの展開について話を聞かせてください。

川端 DLCはいまのところ5つ発表させていただいていますが、そのあとに続くものを現在用意しています。まずは、ブラスターレイブンとのクエスト“親愛なる13班へ”。13班の思い出が語られたり、そこでしか入手できない強力な武器が全職業分獲得できたりします。また、ブラスターレイブンの外見も使えるようになります。もちろんカラーも3色用意しているので、3人で遊んでいただけると、かなりいい感じの絵面になるんじゃないかなと思います(笑)。もうひとつについてですが、これはまだ公表していないことなんですが、本作には裏ダンジョンが用意されており、これ自体はラスボスを倒した程度ではどうにもできないくらいのキツさになっています。この裏ダンジョンだけでも充分に楽しんでいただけると思いますが、さらに行きすぎたクエストを用意させていただきました。それが“アリーのデスマーチ”というクエストになります。こちらは、裏ダンジョンのボスを倒しても、苦戦するほどの高難度になっているので、『セブンスドラゴン』のやり応えを楽しみにしてくれている人の期待には十分に応えられるものになっていると思います。

三輪 最初はブラスターレイブンは、職業で行くかどうか迷っていたんですよね。ゴッドハンドのビジュアルが最初のうちは全然決まらなくて、「ヒーローにするか」って言ったんですけど、そうなると東京の面子がイロモノばかりになってしまうなと(笑)。世界観が違いすぎるから、もうちょっと現代の東京らしくしましょうということで、いろいろ紆余曲折を経て、メイドと執事になったんです。でもそのおかげで、ブラスターレイブンが生まれたというわけです。

川端 三輪さんから「ヒーローどうですか?」って言われたときは、すごく心が揺れました(笑)。ただ、ヒーローで行きたい気持ちと残りのスケジュールを考慮した結果、少しきびしいかなということもあってお断りしたんです。でも、そこで三輪さんから「じゃあ、ブラスターレイブンで」という形でご提案をいただいて、結果的にバシッとシナリオにもハマってくれましたね。

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▲追加DLC“親愛なる13班へ”
▲追加DLC“アリーのデスマーチ”

――それでは、最後にユーザーの方にメッセージをお願いします。

三輪 僕は『セブンスドラゴン2020』から参加させてもらってますが、けっこうな年数お付き合いさせていただきました。今作でいったん一区切りということで、感慨に浸っております。今回、キャラクターのデザインをがんばっているので、いろいろなキャラクターと職業を組み合わせて遊んでいただければ、うれしいと思います。

川端 本当にお待たせしました。開発中はいろいろなことがありましたが、こうして発売にこぎ着けてうれしく思っています。それができたのも、三輪さん、sasakure.UKさん、古代祐三さん、与田想さん、山本章史さんといった、僕よりも長くこのシリーズに関わってくれた、本当に信頼できる方々がしっかりと支えてくださったからです。ですので、安心して楽しんでください。

 今回、完結編ということですが、本当にいろいろな関わりを持ってくださった方たちには、それぞれの分野できちんとしたものを作っていただきました。それが全部まとまることで、いい感じの遊び心があちこちで輝いている作品になったと思います。そのあたりをぜひ、じっくりと味わってください。

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セブンスドラゴンIII code:VFD
メーカー セガゲームス
対応機種 3DSニンテンドー3DS
発売日 2015年10月15日
価格 5990円[税抜]
ジャンル RPG
備考 CERO:B(12歳以上対象)