EGOIST、1年ぶりの新曲をリリース! 映画“Project Itoh”とのタイアップ
2015年11月11日に発売予定の、アーティスト・EGOISTの6枚目となるシングル「リローデッド」。収録楽曲は、アニメ映画“Project Itoh”3作の主題歌となっている。
“Project Itoh”は、2009年に34歳という若さで亡くなった小説家・伊藤計劃氏が手掛けた『屍者の帝国』、『虐殺器官』、『ハーモニー』を映画化するプロジェクト。伊藤氏は『虐殺器官』でデビューし、『METAL GEAR SOLID GUNS OF THE PATRIOTS』(ゲーム『メタルギア ソリッド 4』のノベライズ作品)、『ハーモニー』を刊行。その後、つぎの作品を執筆中に亡くなり、伊藤氏が遺した序文の30ページを、盟友である小説家・円城塔氏が書き継いで、『屍者の帝国』として完成させた。
映画『屍者の帝国』は2015年10月に公開され、続いて『ハーモニー』が2015年11月13日より公開予定となっている。『虐殺器官』は、制作体制の見直しのため、残念ながら公開が延期されてしまったが、Project Itohの最後を飾る作品として公開準備が進められている。
本記事では、『屍者の帝国』の主題歌「Door」、『ハーモニー』の主題歌「Ghost of a smile」、『虐殺器官』の主題歌「リローデッド」を歌っているEGOISTのボーカル・chellyさんのインタビューをお届け。映画に関わることや、楽曲のこと、そして、chellyさん自身のことについてうかがった。
■EGOIST 6thシングル「リローデッド」
2015年11月11日発売予定
初回生産限定盤(CD+DVD) 2000円[税抜]
通常盤(CDのみ) 1300円[税抜]
【収録曲】
1.リローデッド
2.Ghost of a smile
3.Door
4.リローデッド-Instrumental-
5.Ghost of a smile-Instrumental-
6.Door-Instrumental-
■Profile
chelly
ryoさん(supercell)がプロデュースを手掛けるEGOISTのボーカル。EGOISTはアニメ『ギルティクラウン』から誕生した架空のアーティストで、ボーカルは“楪いのり”が務める。chellyさんは、楪いのりの歌声を担当していると言える。『ギルティクラウン』の放映終了後には、作品を飛び出し、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズのエンディング曲を担当。また、ライブ活動も積極的に行っている。日本のみならず、香港、シンガポール、上海でのワンマンライブを成功させている、いまをときめく歌姫。
映画と楽曲のマッチングに、chellyさんも涙を流して感動
――始めに、Project Itoh3作に関わることが決まったときのお気持ちをお聞かせください。
chelly 最初は、1作か2作に関わらせていただけると聞いていたんです。後から“3作すべてで主題歌を担当”と聞いて、ありがたさを感じつつ、「がんばらないと!」と思いました。
――レコーディングにあたって、伊藤計劃さんの作品は読まれましたか?
chelly レコーディングをしてから、映画を見る予習として読ませていただきました。レコーディング前は、あえて読まなかったという部分もあります。ryoさんから、「こう歌ってほしい」という強いリクエストもなかったので、いつも通り、自分の感じたままに歌わせてもらいました。EGOISTに関しては、あまり細かく指示されることはなくて、私に任せてくださるんです。
――では、11月11日に発売を迎えるシングル「リローデッド」に収録されている楽曲についてお聞かせください。
chelly 3曲とも、映画とのマッチングがすごく自然で。作品の一部として楽曲が組み込まれているような感じがして、作品の邪魔していないところが、秀逸かつ、うれしかったですね。
――それぞれの曲について、詳しくうかがいたいと思います。「リローデッド」は、どのような曲でしょうか?
chelly 「リローデッド」はおごそかに始まる、緊張感のある曲です。音に重厚感があるので、ふわっとした気持ちで歌わないように気をつけて、一文一文の重みを“のし、のし”と歌いました。序盤とサビで、テンションに差をつけて、雰囲気を大事にしています。
――「Ghost of a smile」を歌うときは、どのようなところに意識を配りましたか?
chelly 「Ghost of a smile」は、ryoさんらしい曲というか、情景が思い浮かぶような歌詞とメロディーで、いろいろと想像しやすかったです。ですが、繊細でシンプルで、難しさもありました。悲しい内容に見える歌詞なんですが、曲を全編通して見ると、悲しんでないんですよね。ですので、あまり悲壮感が無いように歌ったんですが、最後の「君に会いたい 心から思う」という部分は、本音が漏れていて、一際輝いている詞なので、表現も変えて歌っています。
――最後に「Door」ですが、こちらも「Ghost of a smile」同様バラードではありますが、少し色が違いますよね。
chelly 自分の中では、EGOISTというのはこの曲のイメージです。個人的にも得意な曲調なので、余裕ができて、そのぶん、歌に注ぐ力が増しているのかなと思います。
――すべての曲の収録を終えたいま、いちばん難しかったと感じるのはどの曲ですか?
chelly ダントツで『リローデッド』ですね。「一瞬も気を抜けない!」と、気持ちを強くもって歌いました。
――『屍者の帝国』の主題歌である「Door」は、先行配信も行われていますが、ファンの方々からはどんな反応がありましたか?
chelly 「作品のマッチしているところがいい」という意見をたくさんいただいていて、すごくうれしいですね。タイアップの醍醐味と言いますか。『屍者の帝国』を見て、EGOISTに興味を持ってくださった方もいました。
――映画『ハーモニー』のPVで少しだけ聴くことができる「Ghost of a smile」と、先日ラジオで公開された「リローデッド」については、どんな声が届いていますか?
chelly 「リローデッド」は、「かっこいい!」というご意見が多いですね。すごくうれしくて、自慢したくなるほどです(笑)。「Ghost of a smile」はシンプルなメロディーなので、「いい曲そう」と思ってもらえているのかな、と思います。もちろん、いい曲なので、早くフルで聴いていただきたいです。
――ところで、『屍者の帝国』は見に行かれましたか?
chelly はい、見させていただきました。「Door」は、いい意味で作品を途切れさせずに、邪魔せずに続いているような感じで流れてきて……自分の楽曲で泣くことってあまりないんですけど、うるっときました。
――chellyさんの中では、「いかに作品とマッチするか」という点が重要なのでしょうか?
chelly 作品とマッチングしていることによって、聴いてくださる皆さんの気持ちがシンクロすると思うので。映画と絡めつつ曲を聴いていただいてから、時間を置いて、改めてひとつの作品として曲を聴いてくださるといいな、と思います。
楪いのりから、chellyさん自身に変わる意識
――EGOISTとしてCDを出されるのは、じつは約1年ぶりなんですよね。
chelly そうなんですよね。ずっと活動は続けていたので、1年ぶりと知ってびっくりしました(笑)。
――今年5月には、ゲーム『ブレイブリーセカンド』の主題歌「Great Distance」を歌われましたが、それはEGOISTではなく、chellyさん名義でのお仕事でしたね。
chelly そうですね。気軽に歌えたといいますか、(EGOISTの曲を歌うときと)わりと気持ちは変えていました。楪いのり・EGOISTではないということで、自分を全開に出せました。
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――今回の楽曲は、EGOISTの“楪いのり”の声ということを意識していましたか?
chelly 活動初期のころは、(楪いのりの声を)作ろうという気持ちが大きかったんですけど、活動が進むにつれて、「出過ぎない程度に、自分自身もちょっとは出さなきゃな」と、作るのはやめました。『ギルティクラウン』が終わった後に、私の意識が変わったんです。
――それは『PSYCHO-PASS サイコパス』のEDを担当されたことが大きいのでしょうか?
chelly 『サイコパス』とタイアップさせてもらった時に、“新生EGOIST”というキーワードがあって、そのイメージで再始動しています。
――ライブでは、“自分は楪いのりである”という意識して歌っていますか?
chelly ライブでは、楪いのりのイメージを崩さないように意識しているんですけど、ファンの方が私の歌にすごく応えてくださるので、つい自分自身が前に出ちゃいますね。たぶん皆さんも、楪いのりを意識しつつも、その奥に私のことも見てくださってると思うので、それに応えようとしています。
――11月からは、今回の3曲が初お披露目となる国内ライブツアーも控えていますね。
chelly 11月3日(火)の名古屋を皮切りに、東京・大阪・北海道・福岡でツアーを行います。北海道と福岡でEGOISTがライブをするのは初めてなんです。地域によって雰囲気が違っているので、それがツアーの楽しみです。それから、各地のおいしいものを食べたいなって思います(笑)。
――(笑)。ライブに来てくださるファンの方に、楽しみにしてもらいたいポイントはありますか?
chelly 今回発売する3曲以外、新しい曲がないのですが、もちろん来てくださる方々に楽しんでもらえるようなセットリストにしています。去年のツアーに来てくださった方は覚えていらっしゃると思うのですが、今回もサプライズ楽曲が……あるとかないとか(笑)。
――それは楽しみですね! ところで、chellyさんがEGOISTとして活動を始めて4年が経ちますが、これまでの活動を改めて振り返ると、どんなお気持ちになりますか?
chelly 早いですよね。EGOISTでの活動に関して、マイナスな感情を抱いたことがなくて、だから早く感じたのかなと思います。いろいろな経験もさせてもらえましたし、知らないことも教えてもらえた、勉強の4年間でした。
――4年の活動を通して、ryoさんとのチームワークも上がりましたか?
chelly 私は……上がったと思っています!(笑)
――ryoさんが作るサウンドの魅力は、どんなところにあると思いますか?
chelly 濃密さというか、こだわりの多さというか。繊細な部分にすごくこだわっていらっしゃいます。今回の楽曲にももちろん、ryoさんのこだわりが詰まっているので、ぜひ最初から最後まで、インストゥルメンタル版も聴いていただきたいですね。
――では最後に、読者の方々へひと言、メッセージをお願いします。
chelly 「リローデッド」に収録されている曲は、どの曲もタイアップ作品とのマッチングがすばらしいので、ぜひ作品を見つつ、曲を聴いてください。どの曲も、私の魂を込めて歌ったので、聴いていただく人にも、魂で聴いていただけたらなと思います。