「eスポーツの楽しみかたを多くの人に知ってもらいたい」(門澤氏)

 ゲームを競技としてプレイするeスポーツ。海外のeスポーツ大会では賞金総額が1億円を超えるものもあり、その規模は年々拡大している。そんな気運が高まるeスポーツを題材にした番組『いいすぽ!』が、2016年4月23日よりCS放送フジテレビONEにてスタートする。今回は、番組プロデューサーの門澤清太氏と番組MCのバカリズムに、番組の狙いから意気込みまでを伺った。

フジテレビが手掛ける新たなeスポーツ番組『いいすぽ!』の狙いとは?【報道特集】_04
▲写真左から、番組MC バカリズム、フジテレビ番組プロデューサー 門澤清太氏(文中は、門澤)。
フジテレビが手掛ける新たなeスポーツ番組『いいすぽ!』の狙いとは?【報道特集】_01

■『いいすぽ!』とは?
 『いいすぽ!』は、CS放送フジテレビONEにて土曜日18時より月1回生放送される2時間番組。番組のMCを人気芸人のバカリズムが、試合の実況をフジテレビのアナウンサー、鈴木芳彦氏が担当する。

<番組概要>
・チャンネル:フジテレビONE(CS放送)・ONEスマート/Twitch同時配信
・第1回放送日時:2016年4月23日18時~20時
・出演:バカリズム(MC)、鈴木芳彦(実況)など

※Twitch視聴はこちら
※4月23日(土)の生中継はフジテレビオフィスタワー1Fが開放され無料一般観覧(混雑による入場制限有り)

eスポーツの裾野を広げるための番組構成とは?

――まずは『いいすぽ!』立ち上げの経緯を教えていただけますか?

門澤 フジテレビONEは、『ゲームセンターCX』という人気ゲーム番組を続けていたおかげで、ゲーム好きの方々がたくさん視聴してくれています。そんな中で新しいゲームコンテンツを作りたいという想いがあったのですが、同じような内容ではウケませんから、別のアプローチを模索していました。そういったときに、週刊ファミ通さんの誌面で、Web生放送サイト“Twitch”の特集を拝見させていただきまして、2016年はゲーム実況、引いてはeスポーツがポピュラーになると確信を持ったのがきっかけとなります。

――eスポーツをテレビ番組として放送するメリットはどこにあるのでしょうか?

門澤 テレビ番組として放送することで、eスポーツの楽しさをより多くの人に広められると思っています。これまでのeスポーツや個人の方の実況配信は、ゲームファン以外への訴求が弱かったと感じています。ですが、我々はテレビ番組ならではの豪華なセットや画面構成、人気タレントの起用などで、「何かおもしろいことをやっているんじゃないか?」と、一般の方にアピールできると思います。

――eスポーツを一般の方にも広めたいという気持ちが大きい?

門澤 もちろんです。それが番組のいちばんのコンセプトです。初回放送がTwitchと同時配信になっているのも、できるだけ多くの方の目に留まってほしいからです。

――バカリズムさんを起用したのも一般の方へのアピールがおもな理由でしょうか?

門澤 もちろん、それも理由のひとつですし、バカリズムさんが大のゲーム好きというのも大きいです。ある番組でごいっしょさせていただいたとき、収録の合間に話すのはいつもゲームのことばかりだったんです。そのくらいゲームが好きな方ですので、企画を立てた瞬間にバカリズムさんの顔が浮かびました。

――そんなにゲームが好きなんですね。

バカリズム まさにファミコン世代なんですよ。僕らが小さいころは、ソフトを年に1本買ってもらえるかどうかだったので、1本のソフトをガッツリ遊んでいました。『ドラゴンクエスト』などのRPGが中心でしたが、ゲームが作れるということで、親を説得してファミリーベーシックを買ってもらったこともあるくらいです。でも、まだ小学生くらいだったので、プログラミングが難しくてぜんぜん作れませんでしたけど(笑)。最近は、プレイステーション4の『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』や『龍が如く 極』、『ドラゴンクエストビルダーズ アレフガルドを復活せよ』をプレイしました。ニンテンドー3DSの『ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー3』は現在進行形で遊んでいますよ。

――そんなゲーム好きのバカリズムさんですが、番組MCのお話をいただいたときのお気持ちはいかがでしたか?

バカリズム eスポーツ自体はあまり知りませんでしたが、ゲーム対決ということでマンガの『ゲームセンターあらし』が思い浮かびました。小さいころにワクワクしながら読んでいたマンガのような対決が観られそうですし、すごく楽しそうで、うれしかったです。

――では具体的に、番組はどのような構成になっているのでしょうか?

門澤 手探りで進めている状態ですが、初回はプロアマ合わせての8人トーナメントを柱にして、格闘技番組のように選手のウォーミングアップを見せたり、MCと来場者のエキシビションマッチを行ったりしながら、eスポーツの情報もお届けします。これらを2時間の生放送で完結させ、月1回、全12回放送する予定です。もちろん、eスポーツですから、賞金も出させていただきます。

――格闘技番組のような本格的なものになりそうですね。ちなみに、取り扱うタイトルで決定しているものはありますか?

門澤 初回はカプコンさんの『ストリートファイターV』。第2回はポケモンさんの『ポッ拳』を予定しています。どちらも対戦格闘ゲームですが、FPSやスポーツゲーム、パズル
ゲームなど、幅広いジャンルのゲームを取り扱っていければと考えています。

――バカリズムさんが見てみたいタイトルやジャンルの対戦はありますか?

バカリズム 『実況パワフルプロ野球』はよく遊んでいたのでうまい人の対決を観てみたいですね。それに、同居しているバナナマンの日村さんは、僕がプレイしているところをよくビールを飲みながら観戦していましたから、ゲームファン以外の人にもわかりやすいと思うんですよ。あとは、『無双』シリーズのタイムアタックや『マインクラフト』でお題のものを作ってもらうのもおもしろそう。

門澤 それはeスポーツと違うという人もいるかもしれませんが、僕らとしては一般の方にゲームを観て楽しむおもしろさを知ってもらうことが目的ですので、従来のeスポーツの定義にとらわれないほうがいいかなと考えています。プロ野球中継を観ていてその流れで『いいすぽ!』も観ていただく、といった入り口も想定しているので、あまりにも専門的になり過ぎてしまうと視聴者が興味を示さなくなりますから。スポーツ実況を多く担当するプロのアナウンサーを起用したのも、そういったことを踏まえてのものです。

――確かに、プロのアナウンサーの実況は一般の方にはなじみ深いですね。

門澤 実況はわかりやすくないとダメなんですよ。プロ野球の実況も「打ったー! これは大きい! ホームラン!!」と、観てわかることしか言っていませんから。でも、それを実況することで、より盛り上がれるんです。そこはゲームも同じだと思います。目にしているモノにエンターテイメントを加えるというテクニックは、プロのアナウンサーがいちばんです。専門的な部分については、ゲームの開発スタッフの方に解説いただこうと。それも格闘技やスポーツ番組のように、映像をスーパースローで観ながら。テレビ番組の機能をフル活用して試合を盛り上げます。

――バカリズムさんが実際にeスポーツの大会に出てみるというのはいかがですか?

門澤 そうですね。一般の方からすると参加のハードルが高いだけではなく、楽しみかたもわからないという状態ですので、バカリズムさんが実際に遊んでみたり、番組でチームを作って参加することで楽しみかたをわかってもらうのもいいかもしれませんね。

フジテレビが手掛ける新たなeスポーツ番組『いいすぽ!』の狙いとは?【報道特集】_03

門澤氏が思い描く『いいすぽ!』の将来像とは?

――番組の将来像はどのようなものをイメージしていますか?

門澤 eスポーツを広く浸透させることが目的ですので、実際に自分がプロになるのは難しいけど、楽しむことは誰にでもできるということを番組を通じて知ってもらいたいですね。そしてまずは、夏にお台場で開催されるであろうフジテレビ恒例のイベントの中で、番組発のeスポーツ大会を開きたいです。バカリズム まさにマンガのようなド派手な大会にしたいですね。

門澤 そこから発展して、お台場全土にブースを組むようなデカいeスポーツ大会を開くのが夢です。ゲームファンだけでは閉じられた世界になってしまいますので、本当にたくさんの人が集まるイベントにしたいですね。バカリズム やっぱりたくさんの人が集まるきっかけというのは、“人”だと思うんですよ。人が人を呼ぶので、番組から人気のプレイヤーだとかカリスマが生まれてほしいですね。昔の高橋名人のような(笑)。

門澤 ですから、トーナメントには、個性的な選手に参戦していただく予定です。初回の『ストリートファイターV』には、プロだけではなく、女性や海外のプレイヤー、中学生など、とにかく個性的な選手を集めていますので、おもしろいマッチメイクができると思います。そうした選手のバックストーリーやふだんの姿などを、バカリズムさんにおもしろくアウトプットしていただこうと。

――では最後に、初回放送に向けての意気込みをいただけますか?

門澤 僕自身が週刊ファミ通を定期購読するくらいのゲーム好きなので、テレビ屋が作るゲーム番組ではなく、ゲーム好きの仲間ががんばってeスポーツを盛り上げようとしていると、温かい目で見守っていただければ。あと、番組をご覧いただいて興味を持ったゲームメーカー様はお気軽にご連絡ください(笑)。バカリズム 番組を通じて、スターが生まれて、ゲームがうまい人の社会的なイメージを向上できればと思います。

■こちらもチェック!
・タイトル:バカリズムライブ(仮)
・日時:2016年6月23日(木)~26日(日) 全6公演
2016年6月23日(木) 19:00開演
2016年6月24日(金) 19:00開演
2016年6月25日(土) 15:00開演/19:00開演
2016年6月26日(日) 13:00開演/17:00開演
・会場:草月ホール(赤坂)
・料金:前売 5000円、当日5500円(共に税込・全席指定)
※未就学児童のご入場はお断りしております。
・発売日:チケットぴあにて
2016年5月8日(日) 10:00 より一般発売開始