『甲鉄城のカバネリ』の熱さ、キュートな楪いのりなど、意外な一面が満載のEGOIST最新シングル!

 ryo氏(supercell)がプロデュースを手掛けるアーティスト・EGOIST。その7thシングル「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」が、2016年5月25日に発売を迎えた。同楽曲は、テレビアニメ『甲鉄城のカバネリ』のオープニング・テーマとなっている。

 フジテレビ“ノイタミナ”で現在放送中の『甲鉄城のカバネリ』は、蒸気機関が発達した島国“日ノ本(ひのもと)”を舞台に、蒸気機関車・甲鉄城に乗る人々を襲う不死の生物“カバネ”と、カバネの能力を得た人間“カバネリ”、そしてカバネを倒す武器を独自に開発した主人公・生駒(いこま)の戦いを描いたオリジナルアニメ。

 同作の監督を務めるのはテレビアニメ『進撃の巨人』、『ギルティクラウン』などの監督も務めた荒木哲郎氏。そう、『ギルティクラウン』から誕生したEGOISTは、作品を飛び出し活躍すること約5年の時を経て、荒木監督の作品の主題歌をふたたび担当することとなったのだ。

 本記事では、EGOISTのボーカル・chellyさんのインタビューをお届け。『甲鉄城のカバネリ』や、7thシングルの楽曲についてうかがった。

■EGOIST 7thシングル「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」
2016年5月25日発売

初回生産限定盤(CD+DVD 『甲鉄城のカバネリ』描き下ろしイラストワイドキャップステッカー付き) 1574円[税抜]
通常盤(CDのみ) 1204円[税抜]

【収録曲】
1. KABANERI OF THE IRON FORTRESS
2. It's all about you
3. KABANERI OF THE IRON FORTRESS (TV Edit)
4. KABANERI OF THE IRON FORTRESS -Instrumental-

EGOIST 7thシングルは『甲鉄城のカバネリ』オープニングテーマ! 楽曲に込められた熱意をボーカル・chellyさんが語る_01

■プロフィール
chelly

ryo氏(supercell)がプロデュースを手掛けるEGOISTのボーカル。EGOISTはアニメ『ギルティクラウン』から誕生した架空のアーティストで、ボーカルは“楪いのり”が務める。chellyさんは、楪いのりの歌声を担当していると言える。『ギルティクラウン』の放映終了後には、作品を飛び出し、アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズのエンディング曲や、アニメ映画“Project Itoh”のテーマ曲を担当。

監督の思いに、chellyさんが歌で応える“恩返し”

――まずは、『甲鉄城のカバネリ』の主題歌を担当することが決まったときのお気持ちをお聞かせください。
chelly 最初に、荒木監督の最新作で、担当するのがオープニング楽曲であること、そして『甲鉄城のカバネリ』というタイトルで、ノイタミナ枠である……とうかがいました。「荒木監督と久しぶりにお仕事ができる! またノイタミナの楽曲が歌える! しかもオープニング・テーマを担当させていただけるなんて!」と、いろいろな点で、とってもうれしかったです。

――そのときはまだ、『甲鉄城のカバネリ』の作品概要などはご存じではなかった?
chelly デモテープをいただいた後、プリプロダクションの段階で、初めて『甲鉄城のカバネリ』の資料やあらすじなどを見させていただきました。そのとき初めて、荒木監督含め全スタッフさんの、この作品にかけている強い思いを知ったんです。そこで、「思った以上に、これはすごいことになっている」と感じました。

――EGOISTがオープニング・テーマを担当するのは『ギルティクラウン』後期以来となりますが、プレッシャーはありましたか?
chelly EGOISTはオープニング・テーマを担当してきたことがほとんどないので、こんなに熱意のある作品のオープニングテーマを担当……!? と、責任の重みを感じつつ、EGOIST・楪いのりの生みの親でもある荒木監督に、恩返しができればいいなと思い歌わせていただきました。

――荒木監督から、楽曲に対しての要望はありましたか?
chelly 荒木監督からryoさんを通してお聞きしたのですが、「ダサすぎてカッコいいくらいの熱さが欲しい」という要望でした。基本的には、荒木監督からryoさんに、ryoさんから私に受け継がれていったという感じですね。私は、レコーディングの際は作品の資料を見ずに、作品の前情報なしで、ryoさんの言葉を聞いて歌うことが多いんです。でも、今回はいつもと違って資料を見せていただいたので、これは異常事態! と思いました。おそらく、ryoさんが「監督の思いを言葉にするより、とにかくこれを読めばすべてが分かる」と考えたのかなと思います。

――なるほど。作品の資料を読んだことで、歌に対する思いなども変わったのでしょうか?
chelly 資料にはこの作品の中で語りたいこと、主人公・生駒を通して伝えたいことも書かれていたんです。そこから感じ取れるすごい量の熱意を、そのまま直接に伝えられたらいいなと歌いました。……テレビアニメを見るときのネタバレになるので、結末までは読んでいないんですが(笑)。

――(笑)。では、5月25日に発売を迎えるシングル「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」に収録されている楽曲についてお聞かせください。
chelly 「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」は、いつものEGOISTと比べると、とてもキャッチーな曲だと思います。そしてカップリング楽曲の「It's all about you」は、明るくロックな曲調で、シングル内での振り幅がすごく大きいのが魅力です。

――「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」を歌うときに、難しかった部分などはありますか?
chelly 歌うときの技術的な部分な部分でぶつかったところはあまりなく、どちらかというと気持ちの作りかたの部分が難しかったですね。とにかく作品資料や、歌詞やメロディから感じ取ったものを、深く考えずにストレートに出せたらいいなと。いつものEGOISTの楽曲は、抽象的で哲学的な歌詞が多くて、静かに物事を見ている感じなのですが、今回はそういう歌詞が一切ないので、言葉の意味そのものを出していきました。

――“カバネリ”というワードが出てくるなど、タイトルや歌詞もかなり作品に寄った楽曲になっていますよね。
chelly 歌を歌うという意味では、作品に寄れば寄るほど歌の解釈違いが出ないので、わかりやすいんです。でもEGOISTは、楪いのりというキャラクターが主体なので、いつも作品に寄りすぎないスタンスにしていました。今回は、そこのさじ加減が少し大変でした。

――ぜひここを聴いてほしい、というポイントはありますか?
chelly サビですね。サビの中でもセクションがいっぱいあって、ころころ変わるんです。変わるということは、それだけ伝えたいことがあるということだと思います。サビの後半はとくに、きれいじゃない表現と言いますか、並々ならぬ想いが言葉に詰まっているので、それを表現できていればいいなと思って歌っています。そこをぜひ聴いていただきたいですね。

――カップリング曲の「It's all about you」についてもうかがいます。この曲は、いままでのEGOISTの曲とは違うタイプでビックリしました。
chelly もともと私はryoさんが作る、supercellの楽曲がすごく好きだったので、そういうタイプの楽曲が歌えてとてもうれしかったです。ryoさんの楽曲って、いつも難しい部分はあるのですが、それを超えるくらい、うれしさでやる気に満ち溢れていました。

――“イナバウアー”、“ザクトハチガウノダヨ?”など、歌詞も独特の世界観になっていますよね。
chelly そうですね(笑)。こういうかわいい感じの、楪いのりの楽曲はあってもいいんじゃないかなと、私自身もかなり好き勝手にやっています。こうすればかわいく聴こえるのかな? と、どんどん挑戦していきました。

アニメ好きのchellyさんも『甲鉄城のカバネリ』はイチオシ!

――『甲鉄城のカバネリ』はもうご覧になりましたか?
chelly 現在放映中のテレビアニメはもちろん、劇場先行上映版の『甲鉄城のカバネリ 序章』も見させていただきました。

――ご覧になって、いかがでしたか?
chelly 私が偉そうに言えることではないですが、いつもアニメが好きでよく見ています。その中でも、近年稀に見る作品だと感じました。作品に関わる人々のすべての熱意が込められていて、この作品が世に残っていかなかったら、何を信じていけばいいのかわからないくらいです!

――「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」をオープニング映像と合わせて見たときは、どんなお気持ちでしたか?
chelly ある意味ゾッとしたといいますか、作品の映像や世界観に楽曲があまりにもハマりすぎていて、こんなにもシンクロするんだなとビックリしました。

――Aimerさんが歌う『甲鉄城のカバネリ』のエンディングテーマ「ninelie」には、ゲストボーカルとして参加されていますよね。(Aimer with chelly(EGOIST)名義)
chelly EGOISTではなく私自身として、ゲストボーカルとして参加させていただきました。Aimerさんからオファーをいただいて実現したお話で、すごくうれしかったですね。

――楪いのりから離れて、chellyさんとしてレコーディングに臨んだお気持ちはどうでしたか?
chelly ふだんのEGOISTではない、私らしさを出せればいいなと思いながらレコーディングしました。とはいえ、Aimerさんの楽曲ですし、いつものレコーディングスタジオとも違う場所だったので、最初はかなり萎縮していました。でもこれじゃアカン! と思って、奮起してがんばりました。

――5月には、東京、名古屋、大阪で行われたライブツアー“side-A「UNVEIL of KABANERI」”を実施されましたが、6月に東京、大阪で開催される“side-B「UNVEILed of KABANERI」”への意気込みを教えてください。
chelly いままでのライブは楽曲を詰め込んだライブだったのですが、今回は趣向が違っていて、楽曲の披露だけでなくトークやサプライズもあり、盛りだくさんの内容になっています。そして全日程、セットリストも違うので、毎回違う公演になっていますよ。詳しくは言えないのですが、side-A・side-Bで何かが起きます! 来ていただければ、絶対に損はさせません。

――前回のインタビューにて、国内ライブツアー中に「各地のおいしいものを食べたいなって思います」とおっしゃっていましたが、どうでしたか?
chelly 有名なものはほとんど食べに行きました! ほぼ制覇したと言ってもいいのではないでしょうか(笑)。

――最後に、読者の皆さん、EGOISTファン、そして『甲鉄城のカバネリ』ファンの皆さんにメッセージをお願いします。
chelly 「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」は、気軽に聴ける楽曲ではないと思います。だからこそ、気持ちが落ち込んでしまったときなどに聴いていただいたら、ふたたび立ち上がれる力を与えられるのではないかな、と感じています。ぜひ、楽曲といのりに背中を預けてほしいですね。『甲鉄城のカバネリ』を見ている方々も、この歌は生駒の生き様を描いた歌だと思うので、本編と照らし合わせて楽曲を楽しんでいただけたらなと思います。そして、「KABANERI OF THE IRON FORTRESS」を聴くのに体力を使ったら、「It's all about you」を気軽に聴いて、肩の力を抜いてください。