E3最新情報を開発陣とともに紐解く
大阪にあるプラチナゲームズの若手スタッフを中心に開発が進む『NieR:Automata(ニーア オートマタ)』。ディレクターを務めるヨコオタロウ氏は、ゲームデザイナー田浦貴久氏をはじめとした、プラチナゲームズの若手開発スタッフの優秀っぷりを強調(仕事ができてイケメンの田浦氏には歯ぎしり)し、「一度、ぜひ開発現場へ」とお誘いを受けたので、行ってきました、プラチナゲームズに。
ここでは、『NieR:Automata』の若手開発スタッフにそれぞれの担当パートの開発秘話をうかがいながら、ふだんなかなか公開されない(しかも発売前に)開発画面も含め、本作の最新情報をお届けしていこう。
なお、本記事は、週刊ファミ通2016年6月30日号(6月16日発売)に掲載したものをファミ通.com用に再編集したものです。
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プラチナゲームズらしいアクション、ゲームデザイン
まず最初にザコ敵とのバトルシーンに加え、バトルを担当するゲームデザイナー・田浦貴久氏、もうひとりのゲームデザイナー・根岸功氏、プログラマー・大西亮氏による解説をお届け。
「ボタンを押すと何かしら反応がある アクションを目指しています」(ゲームデザイナー・田浦氏)
ゲームデザイナーの仕事は多岐にわたっていますが、メインはアクションの部分です。プラチナゲームズのアクションゲームは、手応え・歯応えがあるので、難しいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、本作では難易度を選択できるようにしていますし、そもそも標準難度でも、ひたすら反射神経が求められて、ガムシャラに難しいというデザインにはしていません。たとえば、敵の攻撃自体は速度が遅く、誰が見ても反応できたり、こうすれば回避できると理解して動ける、そういったテンポ・位置取りが重要なバトルになっています。本作ではスライドするような回避アクションも特徴なのですが、回避アクションは空中でも好きな方向に回避できますし、攻撃をキャンセルして好きなときにストレスなく回避することが可能です。
基本的な操作に関しては、アクションゲームで思い浮かぶもの、前作『NieR』のものは用意してています。攻撃については2種類の武器を□ボタンと△ボタンに割り当てていて、特定のコンボルートがあるというよりは、ボタンを押すことで、そのボタンに割り当てた武器を使った攻撃が連続して出せる、といったアクションになります。ジャンプ中、回避中、ダッシュ中にも攻撃が出せたり、ボタンを押すと何かしら反応があるアクションを目指しています。
「ヨコオさんのチェックを通ると、凄惨なオチに変わっていたり……」(ゲームデザイナー・根岸氏)
ヨコオさんにいただいたシナリオをもとに、会話や敵・ボスなどを実装することをメインにやっています。また、サブクエストのネタを出してプロットを作り、ヨコオさんにチェックを受けたのち、それをゲームに実装するといったこともやっているのですが、ヨコオさんからメインのシナリオがあがってこないので、サブクエストが考えられないということも(笑)。
サブクエストは、ギャグ系のものを考えることが多いのですが、ヨコオさんのチェックを通ると、凄惨なオチに変わっていたりして、そこがヨコオさんらしいというか、『NieR』らしいなと感じます。
本作は、私としては初めてのオープンワールドのゲームなので、最初は敵の配置など、どういう密度で組めばいいか戸惑いはありましたが、ヨコオさんからは「景色も楽しんでもらうフィールドにしたい」というリクエストがあったので、敵の密度を減らし、これまでのプラチナゲームズ作品とは、雰囲気も遊び心地もまったく違うものになっています。ボス戦では激しい戦いもあったりしますので、そのあたりのメリハリも楽しんでほしいですね。
「これまでやったことのなかった手の込んだことをやっているつもり」(プログラマー:大西亮)
チームのみんなのリクエストや、アーティストチームなどが仕上げたものを、ゲームに実装するというのがプログラマーの仕事です。
これまでプラチナゲームズの作品と本作のいちばんの違いは、RPGという部分。それにともなってUI( ユーザーインターフェース)の作りも違いますし、オープンワールドという、これまで弊社ではやってこなかったタイプのゲームなので、いつもより手が込んだことをやっているつもりです。
『NieR』はいろいろなゲームジャンルが入ってるというのも特徴のひとつですが、それに関しては難しさより、楽しさのほうが大きいですね。いきなり横スクロール画面になったりとか、途中で上からの俯瞰視点になったりとか、突拍子もないですよね(笑)。そのほか「これ、本当に実装するの?」と驚くリクエストも多いです。今回、公開した歌うボスとの戦い(後述)では、声による攻撃をしてくるのですが、そういった、ほかのゲームではあまりやらないことを、ちょこちょこ提案されたりして困惑することもよくあります。