12月には6種のマップが無償提供予定
2016年9月2日~4日(現地時間)アメリカ・ロサンゼルスにて、米大手パブリッシャー・アクティビジョンのミリタリーFPS『コール オブ デューティ』シリーズの独自イベント“Call of Duty XP”が開催。同イベントにて、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア リマスタード』が出展されていた。
本作は、2010年を舞台に米英軍とテロリストとの戦いを描いた一人称視点のシューティングゲーム。プレイヤーは、ストーリーに応じて米軍か英軍の一兵士となり、過酷な戦いに挑むことになる。リマスター版は、高解像度対応になり、現行のシリーズの物理ベースレンダリングやHDRライティング、高精細なテクスチャーなどでグラフィックがアップデートされる。
ということで、百聞は一見にしかず! COD XP会場で遊べるということを聞き、早速プレイしてきた。プレイスキルに関しては初心者に毛の生えた程度でまったくキルできてないが(相手がべらぼうに強かったです)、ぜひチェックしてください。
なお、オリジナル版『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア』マルチプレイヤーマップ全16種類をすべてリマスター化することが発表!
『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア リマスタード』は10種類のマルチプレイマップが発売と同時にプレイ可能。残り6種類のマップは、12月のアップデートにて無償で配信されるという。
ディレクターDave Pellas氏にインタビュー
ファミ通.comでは、『コール オブ デューティ モダン・ウォーフェア リマスタード』(以下、『MWR』)の開発を手がける、RavenSoftwareのスタジオディレクターDave Pellas氏のインタビューを敢行。リマスター化に至った経緯などを伺った。
ーー『MWR』が、『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』“Legacy Edition”以上の限定版に付属する特典としてリリースされることになった経緯を教えてください。
Dave Pellas氏(文中はDave氏) リマスターは何年も前からファンが希望していたことで、ファンの要望に応える方法として考えていました。ほかのパブリッシャーがさまざまなやりかたでリマスターを出していて、とても良いゲーム、良いリマスター作品も数多く存在します。だが、弊社では単にテクスチャーをアップライズしたり、アニメーションを追加したりするだけでは飽き足らないと感じました。本編を骨組みとして構築し、そこからより良い経験を彫っていくような感じにしたいと思ったからです。この考えかたは、Infinity Wardの新しい商品が今年リリースされるというタイミングに合致しました。従って、最初からリマスター版は新商品に同梱されることになったという訳です。Infinity Wardが9年前に作った『MWR』が、現在のビジュアル・スタンダードに沿ったものになって新しいゲームである『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』のコンパニオンとして登場する。なぜリマスター版をこのような形で出すようになったのかということに対する答えは、まずファンの要望があったこと。そして『コール オブ デューティ インフィニット・ウォーフェア』と同時に出せるというタイミングだと言えます。
ーー本作の開発はInfinity WardではなくRaven Softwareが担当している理由を教えてください。
Dave氏 Infinity Wardとは『MW3』からパートナーとしていっしょに仕事をしてきましたが、『CoD:Ghost』を経て現在は新しいゲームの開発に参加しています。Infinity WardだけでなくTreyarchともSledgehammerともいっしょに仕事をしてきました。Raven Softwareは毎年ほぼすべての『CoD』ゲームに関わってきたと言えます。Infinity Wardとはもっとも長いおつきあいをしており、真のパートナーです。我々がゲームを作るか、彼らが関わるかという話ではなく、当然いっしょにやるという関係ですね。彼らには最初から蓄積してきた知識、我々にはない知識があり、我々はテキスチャー、サウンド・ファイル、オリジナル・レベルなどのソース・マテリアルすべてにアクセスできました。また開発を進めながら『MW』らしいゲームになっているかどうか聞くことも可能でした。こうした行き来をしながら、こちらが作りたいゲームになっているかをチェックすることができたのです。このパートナーシップはプロセス全体を通してとても素晴らしいものだったと思っています。
ーーリマスター版では追加される新要素はないですね。あえてオリジナルに忠実にしているということでしょうか?
Dave氏 それは違います。新しい要素はたくさんあります。我々のアプローチは、ゲームプレイの完全性は保持することです。オリジナルで銃を上げてスコープを見るまでに二分の一秒かかったとしたら、そこは変わりません。だが、オリジナルでは、アニメーションであるところまで腕があがって、急にスコープが覗けるという感じでした。プレイした人はよく覚えていて、懐かしさはあるかもしれませんが、今日のスタンダードには合致しません。最近の『CoD』ではここを改善しているので、実際に銃を上げているように、自然な動きに感じられます。このシーケンスをビジュアルに捉えて新しくすることは重要だと思ったので、このためには新しいアニメーションが必要であり、武器とスコープも調整しなければならなかった。このような作業を数多くやる必要があったのです。プレイしている時に9年前のゲームがアップデートされたと感じるより、このゲームのこの感覚を覚えていると感じて欲しいという思いがありました。過去9年間にクオリティ・スタンダードが大きく変わったため、ビジュアルを変えずに実現するのは不可能です。だがタイミングは変えられない。ゲームプレイが変わってしまう。ファンを怒らせたかったら、ゲームプレイを変えればそれで終わりだ。なぜビジュアルを変えたのかというファンもいて、フェアな質問だと思う。だがゲームプレイは変えていない。プレゼンテーションを変えて現在のゲームと感じられるようにしていると説明します。
ーーそれがなければただの古いゲーム?
Dave氏 そうです。時代遅れなゲームと感じればプレイする気持ちにならないかもしれませんね。いま、このゲームをこのような形で大規模に出す代わりに、Steamでオリジナルをダウンロードしてもらえばよいということになります。ゲーマーにこのゲームを欲しいと思ってもらえる理由を提供しなくてはいけません。そこでもっとも良い方法は、ビジュアル、新しいアニメーションだと思いました。マルチプレイだけでなくキャンペーンにも多くの素晴らしい新しいシネマが入っており、キャラクターはすべて作り直されています。キャンペーン・モードでは、Shock and Aweの最後で核爆発が起きるところで、自分の手を顔の前に出し指のあいだから光がもれる。このような細かいタッチが生きています。ほかにも、イースターエッグがたくさんあるので多くのファンがよろこんでくれるはずです。だがこれらすべて、ゲームのために正しいことかどうかを検討する必要はありましたね。
ーーグラフィックのアップデートは、どこを見たら分かりやすいでしょうか?
Dave氏 いたるところにありますが、もっとも認識しやすいのは環境、レベル(マップ)だと思ういます。キャンペーンでは、業界トップのキャラクター・モデルを雇用しています。例えばプライスをきちんと表現出来るようにしますが、彼はあまりにもアイコニックなので変えることはできません。元から持っているものを強調するしかないのです。そのため、頬髭の一本までモデリングしています。悪役のZakhaevの耳の毛もそうです。ここまで詳細にこだわって作りあげました。悪役でもこうしたキャラクターを愛していて、自分たちの一部だと感じている人がいますからね。キャンペーンでは、プライスがヘリコプターの中で葉巻を吸っているのが見れますが、彼の唇はきちんと葉巻を包んでおり、タバコの煙がきちんと流れていく。そして葉巻が燃えると周囲が明るくなる。それらの要素が最新の『CoD』ゲームだと感じられると思います。とにかく2〜3分プレイすればどれだけたくさんアップデートされているかが分かるはずです。
ーーリマスター化するにあたって、もっとも注意した点を教えてください。
Dave氏 すべてです。第一にゲームプレイは、変えることはできないがモダンにする必要がありました。また環境をいまの基準に合致させるためにカラー、トーン、彩度、コントラストなどを変えて、シーンを生き生きとさせる必要がありましたが、同時にライティングも変わってしまうという問題がありました。これはプレイヤーリードを変えてしまうことになり、ゲームプレイを変えてはいけないという原則に反することです。カラー、トーンなどを変えていったらシーンは素晴らしく良くなり、すぐそこへ行けるくらい真実味がでたが、太陽の自然光なので暗くなるため、照明を付け加える必要がありました。Crashのビルにオリジナルでは照明がなかったが、蛍光灯を入れプレイヤーを導入してプレイヤーリードを維持することも可能にしました。すぐに気づかないかもしれませんが、自然に感じられるはずです。プレイヤーがすぐには気づかないということを望んでいます。
ーーマルチプレイについてお聞きします。リマスター版ではバランス調整をしないと伺ったのですが、何故でしょか?
Dave氏 リマスター版では、最後のパッチの完全性を維持しています。もちろん微調整はしていますよ。もしバランス調整をしたら、最後のパッチではこうだったと記憶しているファンは不満に思うでしょう。新しいゲームを提供したいわけではなく、『MW』を維持したいのです。ゲームプレイは神聖なものであり、真剣に受け止めています。弊社では、「ゲームプレイはキング」と言っており、これが基本に置いてすべての決断を下しているのです。素晴らしいビジュアルを作ることができてもフレームレートが下がっては意味がない。フレームレートが維持されてこそ『CoD』を楽しんでプレイできると思っています。この商品は発売後もしっかりサポートしていきます。残りの6つのマップは無償で提供しますが、これはその第一歩です。我々がやることはコミュニティ主導であり、彼らが何を欲しい、見たいと思っているかにかかっています。自分もチームも会社としても注意を払っているのです。ゲームが出てバグを見つけたり、バランスに問題があればぜひ教えてください。出荷したら終わりではなく、今後も商品を見守り、コミュニティとの繋がりを大切にしていきたいと思います。
ーー『MW』は名作で日本にはたくさんのファンがいます。私もそのひとりです。こういった名作をアーカイブとして別売りするのはいかがでしょうか……?
Dave氏 よく聞かれることだし、フェアだと思う。『CoD』の熱心なファンが20ドル余計に払ってくれる代償に何ができるか考えたら、彼らがこれまでで一番大きなボーナスだと思えるものにしたいです。昨年の『BO3』では、Treyarchは大量のコンテンツを提供したので、さらに向上しなくてはと思いました。ほかのスタジオがオファーしていないようなことをオファーしたかったのです。そしてリマスター版を出すことになり、これは本当にきちんとやらなくてはいけないと思いました。売りかたについては最初からパートナーを組んでやることが決まっており、ファンがこのゲームを望んだゆえに出すことになったと思います。ファンの声はフォーラムでもツイッターでもFaceBookでもきちんと聞いています。このゲームが出るということはファンの声を聞いているということだと思っています。ですが、現時点では別売りのプランはありません。
ーー『MW2』のリマスター化を要望する署名活動が以前行われていました。こちらのリマスター化の予定はありますか?
Dave氏 いまはこのゲームがまだ発売されていないので、こちらにフォーカスしています。オンラインでの署名活動については聞いているし、エキサイティングだと思います。『MW2』は素晴らしいゲームであり、これまでで一番時間を費やした……いや、『World of Warcraft』かな(笑)? とにかく、このゲームに膨大な時間が費やされているわけでその情熱は素晴らしいと思います。ファンがもっと欲しいという声を聞きたいし、自分たちがやっていることは正しいと思える。将来の可能性を感じられることです。ですがいまのところ『MW2』リマスター版の話は何も認識していません。だがそれはファンの声を聞いていないということではないし、どこかの会議室では話し合いが行われているのかもしれません。