Subset Gamesが、新作『Into the Breach』を配信開始。プラットフォームはPCで、対応言語は英語のみ。参考までにSteamでの価格は1520円となっており、GOG.comやHumble Storeで購入するとスタジオの前作『FTL』がついてくるというキャンペーンも行われている。

 本作は傑作ストラテジーゲーム『FTL』を開発した同スタジオの新作。昆虫型の巨大生物“Vek”から地球を救うため、タイムトラベラーたちがメカに乗り込んで立ち向かう。

 『FTL』は一時停止アリのリアルタイムで船員に指示を出して宇宙戦闘を戦うという内容だったが、今回は完全なターンベースのタクティカルストラテジーゲーム。各ミッションのマップは8×8マスのコンパクトな構成となっており、3機構成のチームで次々と登場するVekの撃退を目指す。

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マップによっては4機目のゲストユニットがいることも。ただし基本は3機での出撃。

 キモとなっているのは、マップ内の施設もある程度守らなくてはならないのと、Vekユニットの次の攻撃マスが明示されることと、そして環境を使った戦闘要素が大きいこと。

 まず施設については、複数のミッションが収録された“島”ごとに“パワーグリッド”のメーターがあり、ミッション中に施設が破壊されて島のメーターがゼロになると敗北となり、そのタイムライン(世界線)の放棄が確定。残したいパイロットを選んでタイムスリップし、ふたたびやり直しとなる。

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今時のローグライクRPG的な要素。タイムライン(世界線)放棄が決まると、過去に送り込むパイロットを選んで、ちょっとだけ有利な状態からやり直し。次の世界線ではもうちょっと修行を積んで頑張ろうな……(なお痛恨のミスの果てに殉職した)。

 パワーグリッドの値はミッション間で持ち越しになるので、あるミッションで油断して減らしてしまったのが後々命取りになり、ユニットはピンピンしてるのに敗北……ということもありえる。というわけで自チームのユニットだけでなく、施設防衛も考えながら戦わなければならないのだ。

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パワーグリッドのポイント(画面上部中央)は島ごとに決まっていて、島内の各ミッション間で持ち越される。

 ターンの流れとしては、“自軍ターン(『XCOM』シリーズのように各ユニットとも移動と攻撃の2フェーズで行動)→Vekがあらかじめ指定したマスに攻撃実施→Vekの移動ターン&次の攻撃マス指定→ふたたび自軍ターン”という形になる。

 敵味方ともに耐久度はそれほどなく、初期ならHP2とか3での攻防。しかも命中率の概念はなく必中するので(※施設のみ回避率がある)、いかに攻撃をずらしてダメージ回避するか、あるいは環境を利用して追加ダメージを狙うかが重要になってくる。

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1ダメージでも多く与え、そして1ダメージでも少なく被害を抑えるというキリキリとした勝負。武器特性を活かしてまとめて削れた時なんかは最高に気分がいい。

 当然ながら施設は動けないので、マップ内のさまざまな場所から湧いてくるVekから守り通すのは簡単ではない。ここで今度は、Vekユニットの次の攻撃マスがわかっていて、こちらの行動に関わらず必ずその方向を攻撃するという性質が効いてくる。

 例えば味方ユニットは攻撃手段に吹き飛ばし効果を持っていることがあり、それを使って何もない場所に攻撃マスをずらすことができれば、次ターンの攻撃をスカらせることができる。また味方ユニットが狙われている場合、特に単純に隣りマスを攻撃するタイプの敵なら、そのマスから移動してしまえばかわせる。

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赤の斜線が引かれているのがVekの攻撃予定マス。Vekの射線上に別のVekを弾き飛ばして、盾代わりに使うなんてこともできる。

 また吹き飛ばしは防御面だけでなく攻撃面でも有効で、隣マスにあるユニットや山などの障害物にぶつければ追加ダメージ。地上ユニットの場合は海などに落とすことで撃破することもできる。

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敵を弾き飛ばして海に叩き込んだり、別にユニットや障害物にブチ当ててダメージを与えるといったテクも。

 成長要素はパイロットとメカの双方にあり、パイロットは戦闘経験を積むことでレベルが上がる一方、メカは時折入手できるリアクターコアを配分していくことでステータスアップなどを施せる。

 ミッション中にユニットが撃破された場合は、パイロットは死亡。ただしクリアーできればユニットそのものは次回ミッションで無人動作という形で投入できる。ミッション中にたまにやってくるタイムポッドから新たなパイロットを得ている場合などは、乗せ替えも可能だ。

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ミッション中に落ちてきたタイムポッドから新人発見。

 そしてプレイを繰り返し、一定のアチーブメント(実績)を達成して得たコインを使えば、新たなユニットセットを手に入れることも可能。このように短期的・長期的な成長要素を重ねて、じりじりと地球防衛への可能性を広げていくというのが大まかなプレイの流れになる。

 というわけで、前作『FTL』同様に、ちょっとした判断力と発想力の差が大きな結果の違いを生み出すキリキリとした内容。だからこそ、ああでもないこうでもないとユニットの動きを考えるのが面白い。

 しかも1ミッションが短いのでちょっとした空き時間に遊べてしまい、もちろんそれだけで終わるわけがなく、気がつくとあっという間に時間が飛んでいるという、危険な仕様。現状では日本語に対応していないのでちょっとばかりの英語力は必要だが、この手のゲームが好きな人にはぜひオススメしたい。