『夢王国と眠れる100人の王子様』や『茜さすセカイでキミと詠う』など、女性向けスマホゲームアプリを立て続けにヒットさせているジークレスト。そんな同社は、昨年12月に“STYLEプラス”という独特の福利厚生システムを導入し、話題を集めた。その制度には、“推しメン休暇”や“ガールズイベント参加補助”など、およそ一般企業では見られないようなネーミングのものもある。だが、その内容を知れば、読者の中にも「なんてうらやましい制度だ!」と思う人が多いはず。制度導入からまだ半年しか経っていないが、実際に“推しメン休暇”を利用したスタッフからは、続々と感謝の声が上がっている。
- 推しメン休暇:1年に1度、アニメやマンガ、ゲームのキャラクター、タレントや声優など、自分のイチ推しメンバーの記念日(誕生日やライブ開催日など)に、休暇を取得できる制度。お祝いを支援するための活動費として、上限5000円までを会社が負担する。
- ガールズイベント参加補助:会社が指定した女性向けゲーム開発に役立つ展示会を始め、ファン向けに開催されるイベントやライブなどに参加するための費用について、会社が支給する制度。
- オンライン医療相談:専用サイトで、365日24時間、医師に健康相談ができる。
- 家事代行サービス:掃除や洗濯など、家事代行サービスを特別価格で利用できる。
- ヘルシーサポート:サラダやサプリメントを特別価格で購入できる。
- ヘルシーフィットネス:ヨガなどの美容・健康に関するイベントを実施。
- スコアラカフェ:社内にあるカフェで、ドリンクやフードを格安で購入できる。
- キュン・スポット:“キュン”とする少女マンガやイラスト集などを閲覧できる。
- ビューティーラック:トイレに化粧水やアロマミスト、ハンドクリームなどを常備。
- バースデー休暇:誕生日月に、1日休暇が取得できる。
“推しメン休暇”を利用したスタッフからは感謝の声
●昔から大好きな作品の展示会に行くために“推しメン休暇”を利用しました。最初は休日に行こうと思っていたのですが、大人気でかなり並ぶと聞き……。お休みをいただき参加したのですが、その甲斐あって、10分くらい並んだだけで済みました! 展示会は、音楽を聴きながら当時を思い出すという企画だったので、時間をかけてひとつひとつ堪能できました。このような制度を利用して平日にイベントに行けたのは、とてもありがたかったです。(Aさん/デザイナー)
●急きょ開催が発表されたアイドルグループのラストライブに、“推しメン休暇”を取って行くことができてよかったです。会場で号泣しました。 (Bさん/プランナー)
●好きな作品の限定ショップのオープン初日が平日。どうしても欲しかった推しメンのグッズ(先行販売のくじ)を求めて、休みを取得しました。結果、欲しかったグッズは入手できませんでしたが、くじを引けただけでもよかったです。(Cさん/イラストレーター)
●昔から大好きだった作品が舞台化され、見に行ってきました。友人と作品について語って士気を高め、久々にお布施換わりのグッズを山のように買い、舞台を見て泣き、その後改めて飲みました(笑)。(Dさん/プランナー)
“コンテンツ愛”は、いいゲーム開発に必須
大辻 純平氏
“STYLEプラス”という制度について、ジークレスト 代表取締役社長の大辻純平氏に、導入した意図や目的を聞いた。
「ジークレストは、キャラクターやコンテンツへの愛がとにかく強い会社です。会社の特徴として、キャラクターや世界観をこだわって作り、守っていくことを大切にしています。自分たちでキャラクターを生み出し、育てている感覚を持った人が多く、細かいところまでこだわりが強い。女性向けゲームの市場でトップを目指している弊社の強みは、そうした“コンテンツへの愛”だと考えています。
たとえば“推しメン休暇”ですが、じつはこの制度を導入する前から、同じような理由で休暇を取っていたスタッフが実際に社内にいました。だったら、福利厚生として会社が支援するようにしたほうがいい、と。コンテンツを作る会社として、コンテンツを愛することを大事にしたいという考えから導入しました。そうした“コンテンツ愛”は、今後いいゲームを作っていくうえで大事だと思っているので、会社としてもそれをどんどん奨励していきたいと考えています」
女性向けゲームで業界ナンバーワンを目指している同社では、現在約200人の従業員中、6割を女性が占めている。そのため、この制度の特徴として、美容や健康増進を始めとした、働く女性にやさしい内容が多いことも挙げられる。そういった取り組みもあり、産休・育休後の復帰率は、なんと現在100%とのことだ。
ゲームやマンガ、アニメ、音楽といったいわゆるエンタメコンテンツが好きな人にとって、仕事の都合でライブやイベントなどに行けないのはツライし、モチベーションも大きくダウンする。
<自分>「○月○日は推しメンの誕生日なので、会社を休みます!」
<会社>「承認します!」
こんな“働きかた改革”なら大歓迎! ただ、推しメンをひとりに絞るのに困るけどね……。