未来の日本ゲーム大賞はこの賞から

 2018年9月20日から9月23日まで、千葉・幕張メッセにて開催された東京ゲームショウ2018(20日・21日はビジネスデイ)。9月23日のメインステージで開催された日本ゲーム大賞・フューチャー部門賞の発表授賞式をリポートする。

 日本ゲーム大賞・フューチャー部門賞は、試遊、映像出展など、TGS2018に出展された未発売作品を対象に、9月20日~22日までのTGS2018来場者に対してアンケートを実施。その投票結果をもとに、ゲームクリエイターや業界雑誌編集長などで構成される“日本ゲーム大賞選考委員”によって選出されるもの。いわば“発売をもっとも楽しみにしているタイトル”にあたり、今年は11タイトルが選出された。ちなみに、今年の日本ゲーム大賞を受賞したのは、昨年このフューチャー部門賞を受賞した『モンスターハンター:ワールド』。
 今回の発表授賞式の司会は、『ゲームセンターCX』の有野課長(TGS2018オフィシャルサポーター)と前田美咲さんが担当。“2019年の日本ゲーム大賞”の有力候補とも目される話題のタイトルを発表した。オフィシャルサポーターとしてさまざまなブースやステージイベントに大活躍だった有野課長は「今年は会場をウロウロさせてもらいました。会場をずっとウロウロさせてもらった。やはり最新のゲームはおもしろい。何本かは酔ってしまって、途中でやめてしまいましたが(笑)。あとは、アプリが多かったですね」とTGS2018の印象を語ってくれた。

2019年のゲーム大賞候補がズラリ!? 日本ゲーム大賞・フューチャー部門賞の受賞発表式リポート【TGS2018】_01

 発表授賞式では、各タイトルから関係者が登壇。ゲーム専門誌編集長からトロフィーが授与されるとともに、喜びや作品のアピールポイントをコメントしてくれた。ここからは、発表順にその11本を紹介していこう。

『JUDGE EYES:死神の遺言』(セガゲームス)

 1本目は先日発表されたばかりの『JUDGE EYES:死神の遺言』。セガゲームスから名越稔洋総合監督が登壇した。
「久しぶりの新作ですので、ぶっちゃけるとすごくほしかった賞でした(笑)。受賞が決まってから、(主人公役の)木村(拓哉)君にLINEしたら、すごく喜んでいました。
 今回は、初めて主人公役を木村拓哉さんという実在の役者さんにお願いして、いままでいろいろなチャレンジをしてきましたが、この先もいろいろと考えていますし、エンターテインメントには終わりがなく、可能性がたくさんあります。続けていくことに意味があるのではないかと思っていますし、今回の新しい提案を認めてもらえたのかなと、今回の受賞で感じています」

2019年のゲーム大賞候補がズラリ!? 日本ゲーム大賞・フューチャー部門賞の受賞発表式リポート【TGS2018】_02

『ロックマン11 運命の歯車!!』(カプコン)

 登壇したのは、カプコンから同作のプロデューサー・土屋和弘氏(とロックマン)。
「本作は、『ロックマン』シリーズ誕生30周年タイトルとして作っているのですが、一方で8年ぶりの完全新作でもあります、シリーズファンの方からの“ロックマンはまだか”という熱い声援を、長い間、たくさんいただいてきました。今回、ゲームファンの投票でこの場に立たせていただいている事実を本当にうれしく思います。
 シリーズファンには“『ロックマン』が帰ってきた”と思ってもらえる手触り感の再現、一方で“ダブルギアシステム”など、いままでなかったシステムを搭載し、若いゲーマーの方にも画面を見ただけで楽しそうと思ってもらえる純アクションゲームとして作ってきました」

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『エースコンバット7 スカイズ・アンノウン』(バンダイナムコエンターテインメント)

 登壇したのは、バンダイナムコエンターテインメントから、『エースコンバット』シリーズブランドディレクター・河野一聡氏、下元聡氏、小山氏。
「ナンバリングとしては12年ぶりになりますが、『エースコンバット6』もこのフィーチャー部門賞を取っています。本作でも必ず取ると決めていたので、実現してうれしく思っています物語では、引き続き片渕須直監督に(『この世界の片隅に』監督)に脚本を書いていただいています」(河野氏)
「“空の革新”をテーマに、ボリュームある雲と太陽光が織りなすさまざまな空の模様など、飛んでいるだけで楽しめるように作っています。気流の要素を入れたことで、空に立体的なステージを作り、いままで以上に魅力的な空戦を楽しむことができます。PS4版には、『エースコンバット』シリーズのひとつの可能性として、VRコンテンツも入れています」(下元氏)

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左から、小山氏、河野氏、下元氏。

『キングダム ハーツIII』(スクウェア・エニックス)

 登壇したのは、『キングダム ハーツ』ブランドマネージャーの橋本真司氏。
「この名誉ある賞をいただき、スタッフ一同感謝しています。『キングダム ハーツ』シリーズは、2002年に1作目が発売され、2005年、2019年とシリーズとしては16年の時が流れています。世界累計2500万本と、日本だけではなく、世界中で愛されるシリーズに育ちました。
 今回もディズニー様のいろいろなIPをお借りして、最新のキャラクターが続々と登場します。いままさに新しい映像を作っているスタジオの方たちと並行して打合せをするのですが、なかなかその打合せのタイミングをどうするのかがたいへんでした。発売日を発表したので、スタッフが全力でがんばっています。ご期待してください」

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『GOD EATER 3(ゴッドイーター3)』(バンダイナムコエンターテインメント)

 登壇したのは、同作のプロデューサー・富山勇也氏(バンダイナムコエンターテインメント)、ディレクターの渥美航氏(バンダイナムコスタジオ)。
「このようなすばらしい賞をいただけたのも、シリーズファンの皆様の応援と、開発チームがすばらしいゲームを作ったおかげだと思っています。
 人類の敵“アラガミ”を倒すために生み出された“GOD EATER”たちの物語です。本作では、主人公が手錠を付けていたり、緊張感のあるバトルを楽しむことができるようになっています。これまでの“積み上げる”ような開発から、今回は据え置き機向けに特化するようにいちから作り上げて、手触りやスピード感を上げていますので、これまでと違う部分も感じていただけると思います」(富山氏)

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左から、渥美氏、富山氏。

『コール オブ ディーティ ブラックオプス4』(ソニー・インタラクティブエンターテインメント)

 登壇したのは、ソニー・インタラクティブエンターテインメントから宣伝担当のジョー氏。
「アクティビジョン様でタイトルではありますが、名誉ある賞をいただき、うれしく思っています。8月のマルチプレイ先行ベータテスト、そして先週のブラックアウトベータテストを実施しました。それでフューチャー部門賞を受賞しましたので、期待され、評価されていると感じています。もうすぐ発売となりますので、楽しみにお待ちいただければ幸いです。アクティビジョンのスタッフも、ファンの皆様、コミュニティーの皆様、そして投票してくれた方々に深く感謝している、とのことでした」

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『JUMP FORCE』(バンダイナムコエンターテインメント)

 登壇したのは、本作のプロデューサー・中島光司氏(バンダイナムコエンターテインメント)。
「このTGSが日本での初お披露目ということでドキドキしていましたが、このような栄えある賞をいただいてうれしく思っています。
 本作は、皆さんご存知のスーパーヒーローが一堂に会して戦う対戦アクションゲームです。“マンガリアル”というコンセプトを掲げ、ニューヨークやマッターホルンなど、実際の土地でヒーローが戦うので新しい体験ができるのではないかと思います。オンラインロビーに世界中のファンが集って、コミュニケーションを取るようなこともやりたいと思っています。マンガのキャラクターをリアルに持ってきて、どういった表現がいいのか、受け入れられるのかをしっかり作っていきたいと思います」

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『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE』(フロム・ソフトウェア)

 登壇したのは、フロム・ソフトウェアの宮崎英高氏。
「選んでいただいてありがとうございます。けっこう難しいゲームだと思いますが、ご期待いただいて感謝しています。開発は最終段階ですが、全力で開発していきますので、ご期待いただければと思います。
 本作は、新しい忍者アクションゲームです。立体的な機動や義手人形を使った戦略性、そして激しい剣戟。あらゆる困難に挑んで、圧倒的な達成感を得てほしいと思います。和風アクションゲームを作ることになったのは、フロム・ソフトウェアは和風のタイトルが好きですが、最近作っていなかったことと、当時忍者のモチーフと僕が作りたいと思っていたゲームが、いくつかの点で合致したことなどが理由です」

『デビル メイ クライ 5』(カプコン)

 登壇したのは、岡部眞輝シニアプロデューサー、プロデューサーのマット・ウォーカー氏、そして伊津野英明ディレクター。
「ここに呼んでいただけるのを光栄に思っています。本作は、ナンバリングとしては11年ぶりの新作になります。ハリウッドで映画化されたらこうなるに違いないと、徹底的にフォトリアルにこだわって作っています。もうすぐ出来上がると思いますので、皆さん、待っていただければと思います。
 アクションで勝負してきて、よく世界を回ると“ピュア・アクション”と言われますので、細かい部分まで納得のいくまでこだわって作っています。開発のモチベーションも高く、僕がしかたなく妥協しようとすると「そんなことで世界が獲れるんですか!」とスタッフから突き上げられます(笑)。そういった環境でゲームが作ることができることにも感謝しています」(伊津野氏)

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左から、マット氏、岡部氏、伊津野氏。

『ドラゴンクエストビルダーズ2 破壊神シドーとからっぽの島』(スクウェア・エニックス)

 登壇したのは、スクウェア・エニックスより、同作のプロデューサーの藤本則義氏と白石琢磨氏。
「前作に続き、今回も受賞することができ、光栄に思っています。開発はスクウェア・エニックスとコーエーテクモゲームスさんと行っているのですが、この賞を糧にラストスパートをかけていきたいと思います。
 『ドラゴンクエストビルダーズ』は、自由にモノを作る要素とRPGの要素が融合したゲームです。さらに、本作では仲間をテーマにしています。マルチプレイも4人で楽しむことができますので、ぜひ遊んでいただきたいと思います。モノ作りについては、前作より高さや水の表現などが違いとして伝わると思います」(藤本氏)

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左から、白石氏、岡本氏。

『バイオハザード RE:2』(カプコン)

 登壇したのは、カプコンの平林良章氏と神田剛氏(とゾンビポリス)。
「名誉ある賞をいただきまして、皆様の期待の高さを光栄に思っています。2019年1月25日の発売に向け、ラストスパートの励みになります。
 原作がある、シリーズ最新作として作っています。いままで積み上げてきたシリーズのいい部分が盛り込まれていると思います」(平林氏)

「『バイオハザード』シリーズ最新作という側面と、20年以上前の原作『バイオハザード2』をベースにしたゲーム体験、ストーリーを一新した新しい作品になります。『バイオハザード7』と同じREエンジンを使用し、グラフィック等、シリーズの最新作に負けないものになっています。本作でもホラーをしっかりとコンセプトに置いていて、新しくもあり、懐かしくもあるファン待望のプロジェクトとして、思い出をさらにいい思い出にするために開発チームもプレッシャーがあったのですが、満足できるものにでき上がっています」(神田氏)

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左から、ゾンビ警官、平林氏、神田氏。

総評

2019年のゲーム大賞候補がズラリ!? 日本ゲーム大賞・フューチャー部門賞の受賞発表式リポート【TGS2018】_13

 フューチャー部門賞11タイトルの発表が終わり、最後に“日本ゲーム大賞選考委員”を代表して浜村弘一氏による総評となった。

「ひと言でいうと、今回のタイトルは“収穫期に入った”と感じさせるラインアップだと思います。得票は11000を超えているのですが、これほどの得票数は史上最多です。それだけ、期待のタイトルが並んだのだと思います。期待のタイトルが多く、選考も困りました。当然選ばれるであろうビッグタイトルの中に、漏れているものもあります。発売日が発表されていない、試遊がないなどの理由で、“来年の東京ゲームショウにも出るであろう”タイトルをあえて外し、直近の発売タイトルを中心にやっと11本に絞ることができました。
 (今回の受賞作は)すべてが据え置き機向けのタイトルです。これまでは携帯ゲーム機向けタイトルがすごく多くて、据え置き機向けが独占したのは初めてかもしれません。表現能力が上がりフォトリアルになり、CGアニメさながらのキャラクターを操作できたり、アニメや実在のタレントがキャラクターとして操作できるのは、いまの時代だからこそと言えます。こうしたタイトルが多く発売されるのは、いちゲームファンとしてじつに楽しい。
 最後に、11000を超える投票してくださったファンの皆様、本当にありがとうございました」