2019年3月31日、セガゲームスが展開するスマホゲームアプリ『龍が如く ONLINE』で新ストーリー“桐生一馬伝”が配信開始される。これは『龍が如く ONLINE』のストーリーとして、新たに初代『龍が如く』のストーリーが追加されるというもの。3月31日時点では、1~3章をまとめて配信すると同時に“SSR 桐生 一馬”が登場。以降は毎月、新章の更新を行い、ストーリー展開に併せて登場キャラクターのカードが登場するという。

 そんな新たな展開が始まるタイミングということで、初代『龍が如く』のストーリーについて、ファミ通の『龍が如く』担当編集、ライターが名場面を振り返り。ランキング形式で上位3つを紹介していく!

アナタの心の1位はランクインしてる? 『龍が如く ONLINE』“桐生一馬伝”配信記念 初代『龍が如く』名場面ランキング_01
2019年3月31日より『龍が如く ONLINE』で配信された“桐生一馬伝”の一場面。初代『龍が如く』の物語が蘇る!
アナタの心の1位はランクインしてる? 『龍が如く ONLINE』“桐生一馬伝”配信記念 初代『龍が如く』名場面ランキング_11
合わせて、あの桐生一馬も『龍が如く ONLINE』に参戦。“SSR 桐生 一馬”をゲットして夢のパーティ編成を実現しよう!

※以下、ランキングで紹介している画面はプレイステーション4ソフト『龍が如く 極』のものです。

主人公・桐生をより輝かせる個性的なキャラクターたち(担当ライター:齊藤モゲ)

 『龍が如く ONLINE』の“桐生一馬伝”で、どのように初代『龍が如く』のシナリオを描いていくかはいまだ知る由もない(本稿を書いているのは配信前なので)が、桐生一馬以外のキャラクターも、ぜひとも魅力的な形で登場していただきたいというのが個人的な想いだ。

 もちろん『龍が如く』は桐生一馬の物語であるから、彼は魅力的に映る。でも、『龍が如く』のよさは、それ以外のキャラクターの個性が際立っているところにもあるわけで。

 桐生が輝くシーンはほかの担当者も選ぶだろうという予測を立て、あえて筆者は助演的な立場のキャラクターが光るシーンをベスト3に挙げることにした。

3位 シンジ死す(“第十章 愛の形”のエピソード)

 風俗好きの極道という、かつてのゲームでは考えられないキャラクター性を持っているのが、桐生の舎弟だった田中シンジという男。裏社会にいながらも“いいやつ感”あふれる人間だったが、桐生が出所したタイミングでは一人前の極道として成長を遂げていた。

 リアルな世界観ではあるが、現実世界には存在しないような強烈な個性が数多く登場する『龍が如く』において、シンジはある意味強烈な生っぽさが個性だった男。そんな彼が桐生を助けるために裏切った錦山組の手によって殺害されてしまうシーンは、彼の生っぽさが伝わっていただけに、かなり衝撃的だった。

 死の直前に桐生に託した、彼女である風俗嬢アケミに贈るはずだった指輪も、ある種ベタな展開ゆえにリアリティーがあり、彼の死を強烈に痛感させられた。そのインパクトが『龍が如く』の名シーンとして3位に挙げた理由だ。なお、物語を進めることで、シンジの遺骨をアケミに渡すというシーンも見られるのだが、それを見たとき「なにもここまでリアルに描かなくても……」と思ったことを付記しておきたい。

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2位 桐生と錦山の決別(“第七章 龍と鯉”のエピソード)

 個人的には『龍が如く』シリーズの中でも、トップクラスに好きなキャラクターである錦山彰。『龍が如く ONLINE』でもアバター設定にしているのはSSR錦山彰だったりする。キャラクターだけで考えれば錦山を1位に据えたいところだが、今回は名シーンというくくりでのTOP3。そうなると、バランスの取れた真島のシーンに勝てなかったのだ。惜しい!

 彼が登場するシーンのなかで大好きなのは、このシーンと最終決戦後。迷いに迷って……ここではセレナで桐生と決別するシーンを選ぶことにした。そもそも桐生とは幼なじみで、兄弟分だった錦山。だが、なかば偶発的に起きた堂島組長殺害事件、そしてその罪をかぶって桐生が収監されているあいだに起きたさまざまな出来事が錦山を修羅に変えてしまった。結果的に出所した桐生と全面対決することになるのだが、このシーンでは桐生と錦山の会話によって“変わらない桐生”と“変わった錦山”の対比が描かれる。

 ちょっとしたボタンの掛け違いさえなければ、いまだに彼らは兄弟分だったかもしれないという感傷的な気持ちにもさせられるが、これこそが群像劇である『龍が如く』の真骨頂と言ってもいいのではないだろうか。最終決戦後のシンプルに格好いいシーンも捨てがたいのだが、お互いの信念がすれ違い、結果的にふたりが戦わざるを得ない状況を決定付けたこの場面のほうがより深みがあると感じがして、錦山のシーンの中ではトップに据えた。

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1位 バッティングセンターでの真島との戦い(“第五章 賽の河原”のエピソード)

 “嶋野の狂犬”の二つ名に相応しく、常人には計り知れない行動原理を持つ真島吾朗は、『龍が如く』においても後の『龍が如く』シリーズにおいても欠かせない存在だ。『龍が如く』での登場シーンや桃源郷というソープランドにトラックで突っ込むシーンもインパクト大だったが、個人的にはバッティングセンターで桐生と対決する前後のエピソードを至上のシーンとして1位に推したい。

 100億の価値があるとされる遥を誘拐し、真島も争奪戦に絡んでくるのかと思いきや……じつは桐生とケンカをするための理由にしただけで、遥の重要性はガン無視。これだけをとっても充分に真島のイカレっぷりがわかるだろう。また、バトル後に真島の仇を討つためにドスを持って桐生に襲いかかった子分をみずからの身体で止め、重傷を負うというところもポイント。まるでケンカをスポーツのように捉えている真島の、清々しいまでの純粋な狂気を感じられるところが個人的には秀逸だと感じた。

 さらに言えば、桐生との対戦前にはピッチングマシーンの球が真島の顔面にヒットするというギャグ的な要素も盛り込まれており、このシーンをシリアス一辺倒にしないところもいい。ある意味、ここが『龍が如く』の構造的な縮図のように思えるのは、筆者だけではないと思うのだが……いかがだろう?

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悩みに悩んだオススメ名場面、敢えて選出した第1位は桐生のあのシーン(担当ライター:堤教授)

『龍が如く』シリーズは、名シーンの宝庫。今回のお話がきたときも、たくさんの光景が脳裏に浮かび、3つに絞り込むというのは至難の業でした。1位には、「まぁ、そうだよね」と誰もが納得のシーンをもってきましたが、正直順位付けをするものでもないのかな、と思ったりも。

 『龍が如く』シリーズでは、主役クラスの脇を固めるキャラクターたちも個性的で、彼らのほうが逆に目立ったりする場面もあります。『龍が如く ONLINE』ではレアリティが低く、あまり出番がないゲイリー・バスター・ホームズや林弘も、『龍が如く』や『龍が如く2』などでの活躍を知っていれば、「SSR版もほしい!」と思わずにはいられません。

 そんな願望も込めつつ、2位と3位には彼らが活躍した場面をピックアップしました。ほかにも、伊達と娘さんのエピソードや『龍が如く ONLINE』にはまだ出ていない賽の花屋とその息子のエピソードなんかも外せないかなぁ……。つぎがあるなら、ベスト10くらいに増やすべきじゃないでしょうか!

3位 桐生対ゲイリー・バスター・ホームズ(“第五章 賽の河原”のエピソード)

 「即死と腹上死……お好みは?」という、ゲイリーの不可解な日本語に桐生がツッコミを入れる迷シーン。“腹上死”の意味がわからないアナタは、いますぐ辞書を引いてみよう!

 ちなみに、このセリフは『龍が如く ONLINE』ではゲイリーのリーダースキルにもなっています。さらに付け加えると、『龍が如く2』で再登場したときには別の死因を提案してきます。こちらのバージョンも『龍が如く ONLINE』に出てきてほしいですね!

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2位 林がぶっちゃけ言うシーン(“第四章 出会い”のエピソード)

 当時は五代目近江連合の舎弟頭補佐として桐生と対峙した、林弘(はやし ひろし)。だみ声の関西弁が印象的な林ですが、男を見る目は確かなようで、短い登場シーンの中でも、独特なセリフ回しで強烈な印象を残してくれました。

 林も『龍が如く ONLINE』では“ぶっちゃけ言う男”としてすでに登場済み。林のぶっちゃけトークが気に入っていたのは私だけじゃないことがわかって、うれしかったです。

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1位 桐生一馬、東城会の四代目を襲名(“第十三章 戦いの果て”のエピソード)

 数々の苦境を切り抜けてきた桐生が、ひとつの答えにたどり着く『龍が如く』のクライマックスシーン。周囲に流されることなく、己を貫いて生きる桐生の姿に”惚れた”瞬間です。『龍が如く』が、ハードボイルドな作風、題材を掲げつつも、メジャーなタイトルにまでのし上がれた理由はたくさんあります。桐生一馬という人間の魅力も、間違いなくそのひとつに挙げられるでしょう。

 『龍が如く』終盤、風間新太郎との別れから東城会四代目襲名までの流れは、シリーズを通してもっとも重要で、インパクトのあるシーンだと思います。

 また、ここでの桐生の決断が、今後の『龍が如く』シリーズにも大きく影響を及ぼし、数々の“桐生一馬伝説”が生まれるきっかけとなります。そういった意味で、『龍が如く』シリーズを語るうえでは外すことのできない場面ではないでしょうか。

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2005年にゲームの常識をぶっ壊した初代シナリオ。やっぱり桐生一馬ってカッコいい!(担当編集:メタボIKEDA)

 上のふたりと同じく、数ある名場面の中から3つをセレクトするのは本当に悩ましいところ。「マジか、ここまで風間のおやっさんや伊達さんシーンがひとつも出てない!」とか「“第三章 喧嘩葬儀”の錦山のニヤリ顔が好きなんだけどな」等々考えつつも、初代作がリリースされた2005年12月のプレイ時に衝撃を受けたシーンをセレクトしてみました。

 こういうのってあんまり考えるより、ファーストインプレッション重視のほうがいいですよね。思い付くままに3つ挙げてみた結果は、まあ、ベタというか有名なシーンばかり。いずれも初代『龍が如く』を遊んだ方であれば、印象深いものばかりでしょう。初代PS2、『HDエディション』、『極』とくり返し遊んできた初代シナリオですが、もちろん『龍が如く ONLINE』でも遊ぶ予定。プレイするたびに新たな発見があるので楽しみです。

3位 遥と桐生の出会い(“第四章 出会い”のエピソード)

 初代『龍が如く』で“もうひとりの主役”といえるほどの存在感を放つのが、遥という少女。彼女は本作の骨子のひとつである“東城会の消えた100億”の行方に関わりを持つとされ、“100億の少女”としてトラブルに巻き込まれていきます。

 3位に挙げたのは、そんな遥と桐生の出会いの場面。堂島宗兵殺しの刑期を終え、出所した桐生は、何年にもわたって姿を消しているという澤村由美の行方を追うことに。そして、とある情報をもとに“バッカス”というBarにたどりつきます。店のドアを開けた桐生の目に飛び込んでくるのは、多数の客と従業員が殺さている光景。その衝撃的な光景の中に銃を抱えてしゃがみこむ遥が……まさにこれがふたりの最初の出会いとなります。

 桐生が追っている由美の妹、美月の娘であるという遥。その直後に歓楽街で不良たちにいじめられる子犬を通じて、ふたりの距離は縮まっていくことに。遥を「お前」呼ばわりする桐生に「私は“遥” ……お前じゃない」と切り返す少女。そのセリフと強い眼差しだけで、プレイヤーに少女がどんなキャラクターなのかを説明する、秀逸な場面と言えるのではないでしょうか。

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2位 “最後の戦い”を予感させる街、暴徒たちを威圧する桐生(“第十三章 戦いの果て”のエピソード)

 重要な人物との対峙やストーリー展開が起こっているわけでもないのに、やたらと印象的なのがこの場面。少し状況を説明すると、複雑に絡まった人々の思惑や事柄が解きほぐされ、すべての答えがあるミレニアムタワーに向かう途中の出来事ということになります。ふだんは、絶え間なく行き交う人々の気配に満ちている神室町ですが、ここでは水を打ったような静けさに。そんな中、最終局面へと向かう桐生と遥に、暴徒たちの集団が襲い掛かります。

 いくら桐生が強いと言っても、多勢に無勢。絶望的な状況にも思える場面で桐生が言い放つのが、あの有名な「死にてぇ奴だけ 掛かって来い!!」というセリフです。もし『龍が如く』が歌舞伎の演目になったとしたら間違いなく役者が“見得をきる”名場面になるであろうこのシーン。とくにボス戦でもないのに気持ちが高まり、回想モードで何度も見てしまうのは自分だけではないでしょう。その後のミレニアムタワーでは、息もつかせぬ怒涛の展開が待っているわけですが、そこに向けてプレイヤーの気持ちを高ぶらせるという意味で、ものすごく効果的なシーンですよね。

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1位 “親殺し”の汚名を背負い、血まみれの部屋で佇む桐生(“第一章 親殺しの宿命”のエピソード)

 いろいろ悩んだのですが、初代『龍が如く』でもっとも印象的な場面といえばコレかなと。まさに、初代作から“桐生一馬伝、説最終章”と銘打たれた『龍が如く6 命の詩。』に至るまでの長い長い旅の始まりとも言えるのがこのエピソードです。

 心を寄せる女性・澤村由美を守るために極道組織・東城会の大幹部である堂島宗兵を殺してしまう錦山彰。幼いころから同じ児童養護施設で育ち、ともに極道の道を歩んでいた桐生は、盟友である錦山をかばって“親殺し”の罪(桐生は堂島組に所属し“堂島の龍”と呼ばれていた)を背負うことになります。由美と錦山を逃がし、血まみれの堂島組事務所にたたずむ桐生。表は雷鳴が轟く大雨。その手には、“YUMI”と彫られた指輪が……。

 それは桐生が由美にプレゼントしたもので、つまりは桐生もまた由美へ密かな想いを寄せていたというわけです。このシーンの見どころは、駆け付けた警官たちに桐生が向ける表情。親殺し、風間のおやっさんへの義理、錦山との友情、由美への想い……さまざまなものを飲み込みつつ、逮捕を待つ桐生の表情はなんとも複雑で、初プレイ時は「ゲームでこんなにも奥行きのある心情表現ができるのか……!」と鳥肌が立つほど驚いたことを覚えています。

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初代シナリオを再び『龍が如く ONLINE』で!

 本記事では、ファミ通の『龍が如く』担当編集&ライターが初代シナリオの印象深いシーンについて紹介したが、皆さんの心の中のランキング上位と照らし合わせてみて、いかがだっただろうか? その後のナンバリング作はもちろん、シリーズのスピンオフ的な作品に至るまですべての原点とも言える初代シナリオは、改めて振り返ってもたいへん魅力的な内容であったことが思い出されるはずだ。

 2019年3月31日、『龍が如く ONLINE』に追加された”桐生一馬伝”では、そんな初代シナリオを追体験することが可能。未プレイという方は、ぜひこの機会に触れてみてほしい。

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