2019年6月9日(現地時間)、マイクロソフトの発表会“Xbox E3 2019ブリーフィング”でついに発表された、フロム・ソフトウェアの完全新作『ELDEN RING(エルデンリング)』。
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『デモンズソウル』や『ダークソウル』シリーズを手掛けたフロム・ソフトウェアの宮崎英高氏と、全世界に熱狂的なファンを持つ『ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)』の原作者であるジョージ・R・R・マーティン(George Raymond Richard Martin)氏という、ハイファンタジーの“神様”によるコラボレーションは、どのような世界を生み出すのか?
発表に合わせてXbox Wireで公開された宮崎英高氏のインタビューの日本語翻訳版を、特別に全文公開。『ELDEN RING(エルデンリング)』の世界、その“入り口”が垣間見えるテキストをお届けしよう。
Q:まずは、いつごろ、どのような経緯で『ELDEN RING(エルデンリング)』の開発が始まったのかをお聞かせください。
A:
本作の開発が始まったのは、『ダークソウルIII』のダウンロードコンテンツ開発が、すべて終わった後です。
本作以外にも、いくつか新しいタイトルの開発が始まっていた、あるいは検討されていた中で、どっしりとした、王道を行くものとして企画されました。
『ダークソウル』シリーズではできなかったいくつかのチャレンジにより、新しいダークファンタジー、あるいはアクションRPGを作りたいと考えたのです。
Q:『ELDEN RING』の開発は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』の開発期間と重なっていたようですが、どのようにして開発は進められているのでしょうか?
A:
本作の開発体制は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』と変わりません。
何人かのCO-ディレクターを立て、彼らと密に協働しながら、私自身がゲームデザイン、アート、音楽といった全般をディレクションしています。
各プロジェクトで開発のピークを分散させ、なんとか時間をやりくりしていますが、CO-ディレクターをはじめとした開発ラインのメンバーとビジョンを共有でき、信頼関係を築けているからこそ、成立しているやり方だと思います。彼らには、とても感謝しています。
もっとも、本作はこれからまた開発の山場を迎えるでしょうけれど(笑)。
Q:『ELDEN RING』のゲームジャンルはどのようなものになるのでしょうか?
A:
三人称視点のアクションRPGです。
アクションに比重を置いていた『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』とは異なり、本作ではRPG部分を重視していますね。
もちろん、アクションベースの剣戟のおもしろさ、手応えといったものは、しっかりと用意しています。
Q:本作もフロム・ソフトウェアらしい、歯応えのあるゲームになるのでしょうか。
A:
はい。困難を乗り越えた達成感、というテーマは、本作でも変わっていません。とても歯応えのあるゲームになると思います。
先ほど、本作ではRPG部分を重視している、というお話をしましたが、いろいろな武器、魔法、戦い方が用意されているので、それぞれのユーザーさんに合った多彩な攻略が可能になっています。
『ダークソウル』シリーズと比べても、困難に対するアプローチの幅、戦術的工夫の余地は増していると思いますね。
Q:『ダークソウル』シリーズのようなキャラクターカスタマイズ要素は、本作にもありますか? それとも『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』のように決められたキャラクターで遊ぶことになりますか?
A:
はい、キャラクターカスタマイズ要素は存在します。
『ダークソウル』シリーズと同じように、本作では自分だけのキャラクターを作り、操作することになります。先にもお伝えした通り、本作ではRPG要素を重視しておりますので、そのほうが適していると判断しました。
Q:ジョージ・R・R・マーティン氏とのコラボレーションに関して、どういった経緯でコラボレーションが始まり、どのようなコラボレーションが行われた(どのように関わった)のでしょうか?
A:
まず、私自身がマーティン氏の作品の大ファンであったことが始まりでしょうか。
『氷と炎の歌(A Song of Ice and Fire)』はもちろん、『タフの方舟(Tuf Voyaging)』シリーズも好きでしたが、あえてひとつ挙げるとすれば『フィーヴァードリーム(Fevre Dream)』ですね。
個人的には吸血鬼モノの傑作のひとつだと思っており、以前に「新入社員にぜひ触れてほしいコンテンツ」として、推薦していたくらいです。
私がそのようにマーティン氏の大ファンであることを、弊社(フロム・ソフトウェア)のビジネス担当役員である中島英一が知ってくれていて、ダメもとでアプローチしてくれたんですね。
そうしたら、望外に直接お話しできる機会をいただけまして、そこでお話ししたら、すごく楽しくて、刺激になって、ぜひとも協働させてほしい、とお願いしたという流れです。
快く引き受けてくれたマーティン氏には、言葉では言い表せないくらい感謝しています。
実際の協働においては、マーティン氏は私の持っていたテーマとイメージ、あるいはさまざまなゲーム的都合を丁寧に確認してくれました。
そのうえで私たちは自由で創造的な話し合いを持つことができ、そうした確認と話し合いを踏まえて、彼が本作の神話を書き下ろしてくれたのです。
それは魅力的なキャラクターたちとドラマ、神秘と謎に彩られていました。私や開発ラインのメンバーにとって、新しい刺激に満ちたすばらしいものでした。
『ELDEN RING』の世界は、そうした神話と刺激をベースに構築されており、私自身ワクワクとした感情を抑えられないでいます。ぜひ、私たちの作った世界を楽しみにしてもらえればと思います。
Q:本作と過去作(とくに『ダークソウル』シリーズ)との違いはどういったところにありますか?
A:
マーティン氏との協働による新しい刺激に満ちた世界、という点を別にすれば、いちばん大きな違いはオープンなフィールドが存在することですね。
そのことにより、世界と物語のスケール感、探索の深さと自由度が大きく増しており、ボリューム的にも過去最大といって間違いないかと思います。
言葉の定義はさまざまなので、本作を“オープンワールド”と呼ぶべきかはわかりませんが、オープンなフィールドのある世界でどう遊ぶのか? ということについては、あくまで我々らしいやり方でアプローチしています。
それは危険や脅威、そして探索すべき諸々に満ちた世界ですね。
そして、その世界には、立体的に作りこまれた城等の場所もまた存在しています。
Q:タイトルの意味は?
A:
“ELDEN RING(エルデンリング)”は本作の世界を定義する、神秘に与えられた名前ですね。
カンファレンスのトレーラーで示唆された通り、それは“砕かれた”わけですが、それがどういう意味を持つのかは本作の大きなテーマになろうと思います。
いま言えるのは、それくらいですね(笑)。
Q:本作には私たちがよく知る、そして私たちが好きなフロム・ソフトウェアらしい、激しいボス戦を特徴としたものになりますか?
A:
はい、もちろんです。
ボス戦は、制作側としても作りがいのある楽しいところで、本作のクライマックスのひとつです。それぞれに個性的で恐ろしいボスが揃っていると思いますので、ぜひご期待ください。
Q:コンセプトアートとして発表されたキャラクターについて教えてください。
A:
本作の世界あるいは物語が持つ、一種の異様な側面、ほの暗さを象徴するキャラクターとして選びました。
『ELDEN RING』は王道のダークファンタジーではありますが、決してそれだけではないということです。
そしてあのキャラクターは、その一種の異様さのほかに、もうひとつのテーマの象徴でもあります。
それは人の意志、あるいは野心です。
対応プラットフォームはプレイステーション4、Xbox One、PCであり、発売日は未定となる『ELDEN RING(エルデンリング)』だが、まだまだ謎は多い。
『Déraciné(デラシネ)』 や『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』と、刺激的な挑戦を続けるフロム・ソフトウェア、そして宮崎英高氏が放つ新たなタイトルだけに、ユーザーの期待にしっかりと応えてくれるはずだ。いまはその始まりを喜びつつ、続報を待とう。