2015年に発売された『Until Dawn -惨劇の山荘-』などの作品で知られるゲーム開発スタジオ・Supermassive Gamesが放つ最新作『THE DARK PICTURES MAN OF MEDAN』(以下、『MAN OF MEDAN』)。

 本作は数年かけて複数本のタイトルをリリース予定というホラーアンソロジーシリーズ『THE DARK PICTURES』の1作目にして、5人の若者が海で巻き込まれる恐怖を描くアドベンチャーゲームだ。

 本記事では、7月上旬にドイツ・ハンブルクにて開催されたプレビューイベントで明らかになった本作のマルチプレイの内容について、実際に体験したレビューとともに紹介する。

会場は本物の船! ホラーな雰囲気たっぷりなプレビューイベント

 プレビューイベントの会場となったのは、ゲームで惨劇の舞台となるマン・オブ・メダン号の雰囲気を再現した、本物の船。船内には世界中のメディアが押し掛け、マルチプレイの試遊や、開発キーマンへのインタビューを行っていた。

 なお、開発陣へのインタビューは後日掲載予定だ。

人の選択を見るというおもしろさ。サスペンスADV『THE DARK PICTURES MAN OF MEDAN』のマルチプレイモード先行レビュー_02
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ゲームの世界観に合うようにデコレーションされた船内。まるでマン・オブ・メダン号に迷い込んでしまったような気分だ。
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プロデューサーを務めるギャレス・ベッツ氏が、トレーラーに登場する謎の女性に襲われる様子を激写。

 試遊体験の前には、Supermassive GamesのCEOであるピート・サミュエル氏がイベント参加者に向けて“Don't Play Alone”(ひとりで遊ばないで)というキャッチコピーとともに、マルチプレイの内容を映像で発表。

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Supermassive GamesのCEO、ピート・サミュエル氏。

 その発表の中で、本作には“シェアストーリー”というふたり用のオンラインモードと、“ムービーナイト”という最大5人までプレイできるオフラインCo-opモードの、2種のマルチプレイが用意されていることが明らかになった。

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シェアストーリーモードでは、ふたりのプレイヤーが異なるキャラクターを操作しながら、それぞれが選択を重ね、共通の物語に影響を及ぼしていく。
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いっしょにプレイしているプレイヤーと離れた場所でプレイすることになる場面もしばしば。そのあいだも、それぞれの視点で物語が進行している。
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ムービーナイトは、ほかのプレイヤーが操作するキャラクターの生死を自分が握るという緊張感が魅力だ。

 以下では、そのふたつのモードを体験した編集者によるプレイリポートをお届けする。

マルチプレイによって『MAN OF MEDAN』はコミュニケーションツールになる

 まず、マルチプレイの内容に触れる前に、本作の基本のシステムについて紹介しておこう。本作は『Until Dawn -惨劇の山荘-』のようなホラー・アドベンチャーの形式をベースに、ストーリーの分岐などの要素をより発展させた形で盛り込んだタイトルだ。

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古きよきホラーゲームの固定された視点を彷彿とさせる、独特なカメラワークは健在。

 ゲーム中、プレイヤーは“モラル・コンパス”と呼ばれる文字盤の表示される選択肢から最善の行動を選び取りながら、幽霊船マン・オブ・メダン号からの脱出を目指すことになる。

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上の画像で、選択肢が表示された文字盤がモラル・コンパスだ。

 プレイヤーが下す選択によって、登場する5人の主人公たちの関係性は変化し、ときには生死にかかわるイベントが発生することも。さらに、特定の人物の組み合わせが生存している場合にのみ起きるイベントなどもあるという。

 また、選択は主人公たちの性格にも影響。5人の主人公にはそれぞれに“軽妙”、“勇敢”、“意欲的”といった性格が割り当てられているが、自分の心の声に従ってプレイしていけばキャラクターたちの性格も変わり、自分の分身ともいえる存在になっていく。

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 この辺りは『Until Dawn -惨劇の山荘-』をプレイしたことのある人にはなじみの深い要素だろう。

 そんな本作にマルチプレイモードが盛り込まれた理由だが、シリーズのディレクターであるトム・ヒートン氏いわく、『Until Dawn -惨劇の山荘-』をプレイしたユーザーから「家族や友人といっしょに遊んだ」という声が多く届いたため、マルチプレイという遊びかたにフォーカスして企画されたのが本作なのだという(※『Until Dawn -惨劇の山荘-』はマルチプレイ非対応)。

 同スタジオは2017年にも、『Hidden Agenda ―死刑執行まで48時間―』というアドベンチャーゲームでマルチプレイ要素を盛り込んでいるが、オンラインに対応するのは今回が初となる。

 そのうえ、本作のシェアストーリーモードではふたりのプレイヤーがそれぞれ別の場面を同時に体験しながら、共通のストーリーを進めていくという、新たなスタイルのマルチプレイに挑戦しているのだ。

 実際に試遊した筆者にとっては、Supermassive Gamesのその挑戦は功を奏していると感じた。いっしょにプレイしている相手の選択を見るのが非常に興味深かったからだ。

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 多彩な分岐がある本作では、選択を迫られることが多く、マルチプレイで相手の選択を見る機会も少なくはない。

 たとえば、緊迫した場面でどういう選択をするのか。思い悩んでいるキャラクターにどんな声をかけるのか。そうした選択を通じて、いっしょに遊んでいる相手がどういう人なのかをより深く知ることができるのでないかと思う。

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操作キャラクターを割り当てて遊ぶムービーナイトモードでは、プレイヤーが選ぶ選択肢を直接見られるので、こうしたコミュニケーションはより盛り上がることだろう。

 もちろん人によって感性は違うので、ストーリー中の選択も当然人それぞれだ。そのため、いっしょに遊ぶ相手によって違った展開が生まれていく。イベント当日はできなかったが、フレンドとボイスチャットで「あの人と遊んだときはこうだったよ」と会話しながら遊ぶのも楽しそうだ。

 また、それぞれのプレイヤーは、基本的に別の場所で別のキャラクターを操作することになるものの、ストーリーはじつに自然な流れで進行していく。90分ほどプレイできた試遊体験では同じ場所で会話するシーン以外、相手の行動で待たされることはいっさいなかった。

 国内での発売日はまだ発表されていないが、試遊したバージョンでの完成度はすでにかなりのもの。Supermassive Gamesのファン、とくに『Until Dawn -惨劇の山荘-』が好きだった人にはオススメできる内容だった。筆者は物語の続きが気になって、イベントから帰ってからの日々を落ち着きなく過ごしているくらいだ。さらなる続報の発表を楽しみに待とう。