デザインセンス、どうなってんの?
このキャラを初めて見たとき、心の中でとあるコールが巻き起こった。
そう、淫靡コールである。
蜘蛛の美少女擬人化キャラだが、脚がすべてヒールをはいた女性のもの。妙に艶めかしく、同時にグロテスクでもある。
これはDMM GAMESで配信中のPC用ブラウザRPG『マジカミ』に登場する敵キャラ“アラクネ”。
アラクネ自体はゲームにもよく登場するモチーフだ。上半身が女性で下半身は蜘蛛のデザインが定番で、『マジカミ』では蜘蛛の脚を女性のものにしてセクシーさを強調している。
というのも、『マジカミ』はもともとR18の美少女ゲーム(※)として開発されているからだ。
※R18の美少女ゲーム:R18版だけでなく、大人向け要素を除いた全年齢版も配信中。ファミ通.comでは全年齢版を取り上げている。
プロデューサーによると本作のテーマは“人生を変える魔法少女体験”らしいが、僕はアラクネを見て気づいてしまった。“人生を変える”とはこういうことではないか。
仕方ない。
とはいえ、脚部デザインがセクシーになった理由がわからないと、おちおち性癖を歪めさせてもいられない。
そこで、キャラデザインを手がけたGSKさんに「デザインセンス、どうなってんの?」と話をうかがった。
※ファミ通.comではこういったゲーム(R18タイトルなど)を“アダルトゲーム”と表記することが多いですが、GSKさんの信念を表現するために“エロゲ”という言葉を残しています。
没個性的なデザインは作る意味がない

R18の美少女ゲームは大人を対象にしたものという前提があるから、人体の表現が特殊なんじゃないかなって。脚を増やす発想は、ちょっと禁忌の領域というか。セクシーさとゴア(残虐)表現って紙一重な部分もありますし。手足をどう使うかが大事だと思うんですよ。女性らしさと艶めかしさの表現にとって。ボディラインに頼ると露骨にセクシーに寄り過ぎてしまうじゃないですか。ただ脱がせばいいみたいな感じになると、ちょっと安っぽくなっちゃう気がして、その辺どうなんでしょうか?

早口になってますね。
(前回の記事でも書いたとおり、おたくは自分の好きなものについて話すと早口になってしまう。なお、『マジカミ』のプロデューサーにも取材現場に同席してもらっています)

初対面でこういうこと聞くのは気が引けるんですけど、もしかして性癖歪んでます?

直球ですね。一発で「ああ、蜘蛛だな」とわかるような、蜘蛛まんまのフォルムにしたいと最初に思ったんです。アラクネはとっかかりで、後の方でドラゴンモチーフなんかも出てきます。

ふつうの女の子型とでかい異形型の敵がいますよね。異形型の最初のイメージが蜘蛛だったんですか?

グロテスクさとかわいさを両立できるかなと思って。あと、虫ってモチーフとしてはベーシックなんですよ。みんなが知ってるから。

虫がかわいいというのはわかるなあ。蜘蛛って顔をアップで見るとコミカルな感じしますもん。

蜘蛛の中でも、この子はハエトリグモ。眼が大きくてよく跳ねる。『マジカミ』はもともとR18のゲームなので、ポイントは女の子をどこに組み込むかだったんです。ここに(デザイン決定までの)フローがあるんですけど。

プロダクト全体の方向性が定まっていない頃は、ポップというより神聖・厳かな感じ。いま見ると、女の子を取ってつけた感が強いですね。

この辺はいったん脚の表現を模索した時代ですね。蜘蛛のいちばんの特徴なので。右下のタイプってよくあると思いません?

はいはいはいはい。上半身が女の子で脚が蜘蛛のパターン。何となくですけど、見たことある気がします。

これだと新しく作る意味がないなって。

敵キャラとして十分成立していると思うし、それこそ世間一般の売れ線を狙うんだったら、神聖なやつのほうがウケそうな気がしますけど。謎めいた神聖な敵、みんな大好きじゃないですか。

人気が出ても、印象に残るかどうかとは別の話ですから。没個性的だなと思って、最初から練り直しました。
たとえば“サハギン”を描くとしますよね。半魚人みたいなやつ。「このデザインだとあのゲームに出ても違和感ないよね」みたいなのは嫌なんですよ、僕。

無難は敵。

仮にサハギンを描くんだったら、「その手があったか!」と驚いてもらいたいなーって。
話が脱線しましたけど、アラクネのつぎの案がこれです。

あ、完成型の子と雰囲気が似てきた。

女の子を収める場所はいったん置いといて、与えたい印象だけ突き詰めたらこうなりました。ここでポップさの表現方法が決まったので、あとは構造的にどう組み込むのがスマートか。悩みましたよー。

女の子を収める場所なんて猟奇的な言葉をさらりと言うのやめて。

この辺はちょっと脚に虫っぽさがありますね。

ここで「口の中に入れちゃえー」と。いい感じだなと思ったんですけど、取ってつけた感がどうしてもなくならないんですよね。

蜘蛛型のマシンに乗ってるみたい。こうなるとセクシーさがちょっと弱いのかな。もとは大人向けの美少女ゲームですし、エグさみたいな感覚もほしいですよね。

そうなんです。女の子がいなくても(蜘蛛型の本体だけで)動きそうな感じもする。生物としてのフォルムが弱いんです。で、つぎがターニングポイント。

蜘蛛って歩行用の脚のほかに餌をつかむための脚があるんです。それは少し小型なので、女の子の脚そのもので表現したらバシッとはまりました。

おぉ~! そういうことか!

この辺りが異形型を作るうえでのルールになりました。ただはめ込むだけじゃなくて、女の子の身体がフォルムの一部を形成するのがベストだな、と。そうすると“取ってつけた感”が出ないんですね。
もしかしたら女の子が異形に変化していく様子を描く必要も出てくるかもしれないんですよ。このパターンに沿って描けば、すごくショッキングなシーンにできそうな気がして。

うおお、エグそう。脚以外は蜘蛛の目玉が印象的ですよね。

引いて見たときに、アメリカのキッズアニメみたいな印象を出したかったんですよ。広く好まれるために、ポップさやおしゃれさもほしいと思って。

そんな緻密に考えているとは。単なる性癖じゃなかったんですね。

いや、まあ、いちばんグッとくる女の子の恰好を追及してたら、結果的にそうなっただけなんですけど。
この娘たち裸なんで

敵はモンスターではなく“悪魔”なんですよね。みんなボディスーツなのがいいなと思ってたんですけど、何か理由はあるんですか?

『仮面ライダーBLACK』の敵幹部にビシュムっていう女性がいるんですね。白いフードをかぶってるんですけど、大怪人ビシュムに変身するとボディラインがぴっちぴちのボディスーツに。それを小学校低学年くらいのときに見て、興奮しちゃいましてね……。

『ジョジョ』の吉良吉影みたい。

そこから頭にこびりついてるんですよ。意識はしてないんですけど、女性らしさと魔性をひとつにしたらこうなりました。
あと、『エイリアン』とか『遊星からの物体X』みたいなSFホラーテイストにも影響を受けてると思います。
そうだ! これだけは絶対に言っておきたいんですけど。

好きなプリキュアはキュアトゥインクルとキュアソレイユです。

好きなものを言えばいいってものじゃないですからね。
そういうところから影響を受けた悪魔デザインの注目点はどこでしょう?

3Dモデル化するにあたって形的な制約はあるので、体表面で表現したほうがいいと思って、とりあえずフォントを作ったんですよ。

フォント?

悪魔の体の模様がありますよね。よく見るとカタカナなんです。“マジカロジック”っていう自作フォントをチームメンバーに配りました。
特徴的な模様を、いかに肌になじませるか。シンプルな裸体なのに、何だか引き込まれる感じにしたかったんです。

あの模様、カタカナだったのか。どうしてフォントにしたんですか?

縞模様でも鱗でもよかったんですけど、すでに世の中にあるデザインだと、見た人の記憶に引っかからないよなーって。
“アーバンポップ”という(『マジカミ』全体の)テーマを端的に表すのに、カタカナは記号的でかっこいいと思うんですよ。

なるほどなー。ただ肌にぴったりさせたデザインじゃなくて、何か意味を読み取れるかもって想像させるのはおもしろい。

単なるデザインとして使ってることが多いですけど、ほんとに意味のある言葉を書いても、それはそれでキャラ付けとしては悪くないですね。
あと、錯視を使ってます。文字の境い目をうまくつなげると図と地が反転して読みにくくなる現象を。カタカナをそのまま置くとパッと見で読めちゃって、今度は文字に意識が向き過ぎちゃうので。

それとダズル迷彩(※)の要素も少し。前後や立体感がよくわからなくなるので、これで全裸を誤魔化してます。この娘たち裸なんで。
※ダズル迷彩:複雑な幾何学模様で構成された迷彩のこと。距離感などをわかりにくくさせる効果がある。
生物の身体構造をヒントに作ったデザインルール

アラクネは蜘蛛ですけど、虫以外だと何モチーフが多いんですか?

虫と、動物と、あと海の生きものなんかも。
この“セイレーン”は甲殻類のイメージ。アラクネを作ったとき、女性の本体はそのままで、そこから生えた角や尻尾を連鎖させて発達させていくメソッドが見えたので、方向性はすんなり決まった気がします。

やっぱり最初は荘厳な雰囲気からスタートしてますね。

セイレーンの頭は彼女の後頭部から生えた角が巨大化した作りになっています。
腰から下の連続構造は、尾骨から生えた尻尾が腰骨を作って、そこから生えた尻尾がさらにそのつぎを作るという連鎖ですね。

海の生きものはフォルムの自由度が高いんですよ。水中は無重力みたいなものだから。
僕、とにかく生き物が好きなんです。卵細胞が胚になって、そこから胎児になっていくわけですが、発達の経緯とか脊索動物(ナメクジやホヤなど)からだんだん進化して魚になるような変化に興味があって。

だから生物的・有機的な感じが強いのか。

シームレスな変化を考えやすいんです。デザインのルールをゼロから考えるのは難しいので何かに乗っかりたい。
工業製品でもいいんですけど、『マジカミ』では生物で徹底しました。敵は悪魔。悪魔といちばん親和性が高いものが生物なんじゃないかなって。
魔法少女から“魔女”を連想して、魔女と言えば使い魔の動物。それと、悪魔は半身半獣で描かれることも多いですしね。

ふつうにゲームやってると、いちばん多く目に入るのは敵の変化。もともとはR18のエロゲとして作っているので、そこに魅力的な女性キャラを置きたい。
どうやって(デザインを)拡張させていくか念入りに考えました。結果、人体そのものを変形させたりせずに、プラスアルファの装備風に見せる感じで。

そう言えば、直接的な欠損表現はないんですね。それをやれば簡単に“変わってる感・尖ってる感”を出せるんでしょうけど。

ないですね。腕や脚(みたいなもの)を追加する方向です。なおかつ、どこから外殻で、どこから体なのか、境界を曖昧に。

服を着てるようなデザインもあれば、体から角とか羽が生えているように見えるものもありますね。
あ、これすごくサンバカーニバルっぽい。

でもまあ、サンバモチーフじゃないよなあ。生物へのこだわりが強いわけだし、モチーフは鳥ですか?

いえ、サンバですね。GSKはサンバやってたので。

おもしろ情報が剛速球で投げ込まれてきた。
取ってつけたような触手はNG

あの~、そろそろ触手の話をしても大丈夫ですか?

そんな相談を受けたの初めてです。

触手は大事なんですよ。R18ゲームですからね。いかにストーリー的な親和性を持たせて登場させるか、勝手に課題にしていまして。
取ってつけたような触手じゃなくて、ちゃんとした触手にしたかったんです。

“ちゃんとした触手”という言いかたに、並々ならぬ決意を感じる。

触手がそこにある意味、そこから生える理由がないのはおかしいと思ってますから。触手とは真剣に向き合いたいんです。
“悪魔の巣”をイメージしたステージとか造形物があるので見てほしいんですけど。

遠くからパッと見るとポップな雰囲気ですね。色がビビッドだからかな。

悪魔と何らかの関係がある生きものが繁茂している感じですね。設定上は“黴体(ばいたい)生物”って呼んでます。
ゲーム内で重要な役割を担うんですよ。宝箱に相当したり、使うと魔法少女の体に変化が現れるアイテムそのものだったり。単なるにぎやかしではなくて。
たとえば、“ミツアワビ”は強化アイテムの“法珠”を生成するという設定です。真珠貝みたいなものですね。
肉々しい見た目ですけど、色をポップにしてアメリカのお菓子っぽく見えるようにしました。

黴体生物は悪魔の体から落ちた細胞が、悠久の時を経て、植物とか貝のように進化したイメージ。だから、生物的な質感を持っている。
たまにお話を強引な展開に持っていく必要性も出てくるので、何が起きてもおかしくないように“生態系を丸ごと”作りました。こういう設定があれば、触手デザインにも必然性が出てくるわけです。
で、第2部以降は表現がどんどん過激に。

第1部(リリース時に実装済みの12章まで)は序の口ということか。

最初の12章で何でもありな世界観をお見せして、そこからプレイヤーさんの声を聞いたりして、進路を調整していく設計になっています。

そこまでがチュートリアル。序盤は大人しめですけど、徐々に印象が強い悪魔が出てくる予定です。

『女神転生』も序盤からマーラさまが出てきたらびっくりしますもんね。

こういうデザインは生理的に苦手な人もいると思うんですけど、さじ加減はどうしてますか?

「NGかなー」って思いながら描くこともあるんですけど、プロデューサーは「いいんじゃないすか」って。
個人的にはこの辺(黴体生物)が限界だと思ってます。ゲーム内で動いてるのを見ると可愛げもあるんですけど。
ただ、『ファイナルファンタジー』に“モルボル”っていますよね。女性人気も高いゲームですけど、モルボルは受け入れられている。あれが許されるんだったら意外といけるんじゃないかとも思います。

デフォルメの仕方にもよりますけど、モルボルをかわいいって言う女の子はいますよね。グロ耐性は女子のほうがあるのかもなあ。
女性デザイナーがこのメソッドで作ったら、そうとうエグくなるのでは。『R-TYPE』のボスを作ったデザイナーは女性だったという話(噂?)もありますし。

“ゴマンダー”ですよね。僕も『R-TYPE』大好きです。あれはすごい。男だったら踏みとどまるだろうし、そもそもそういうデザインにしようという発想が出ないかも。

一見グロテスクなものを許容できる女性は多いみたいですよね。
原宿に“Kawaii Monster Cafe”ってあるじゃないですか。単純な見た目だけで言うなら、ほとんどこれ(黴体生物)なんですよ。ぷよぷよした丸いものに耳がついてたりするわけで。

僕らは「ぎりぎりだなー」って見てるけど、そういう見方をするものとすら認識していない女子もいるわけですよね。もちろん苦手な人もいるでしょうけど。

チームメンバーの女性にも、さっきの触手とか見てもらって感想をもらうんですね。僕は心底気持ち悪いものを描こうと努力しているのに、あんまりそういう反応をもらえないんですよ。
「色が金とか銀だったら何かの儀式で使う道具みたいですね」なんて。僕は逆にびっくりしちゃう。僕は触手を描くのが好きだし得意だし、無限に描けると思ってたんですけど、才能の限界を感じました。

何気ない一言がGSKさんを傷つけた。
ミッションは『マジカミ』をヒットさせることじゃない

『マジカミ』は広義では“魔法少女もの”ですよね。悪魔デザインの話をひたすら聞いてきましたけど、主人公側のデザインにはどんな意識を持ってますか?

ヒロインからはいかにアクをなくすか。シンプルでクリーンで取っ付きやすくて、危険性を感じない絵柄は大事だと思いますね。
でも、それだけだと引っ掛かりがなくてスルーされちゃうので、“法器”っていう武器を持たせてます。みんな鈍器なんですけど、それは学生運動時代のゲバ棒をイメージしたから。

“クリーン+危険性”で「ん?」って思ってもらいたかった。わかっている人からすると、「魔法少女ものだから変わったステッキなんでしょ」って、すぐ気付きますよね。

美少女ゲーム好きな人に向けたハイコンテクストなネタも入れつつ、もっと広い層に見てもらいたいから、そういうデザインにしているわけですよね。

もちろんです。エロゲの可能性を広げたいんですよ。ファミ通さんのインタビューで言うことでもないですけど。

そういう理由もあって、ポップで明るい雰囲気を打ち出しているというのはあります。

それとですね、プロデューサーの前で言っていいのかな。僕のミッションは『マジカミ』をヒットさせることじゃないと思ってるんです。

えっ、まじ?

エロゲ界隈にもう一度ムーブメントを起こすことです。

スケールがでかい。ヒットさせたいのは『マジカミ』だけではないと。

“昔は一世を風靡したけど古参ファンのものとして固定化されたジャンル”ってあると思います。まさにエロゲがそれ。
格ゲーとかシューティングにもそういう雰囲気があるような気がしません? 昔は一般的なジャンルでしたけど、いまはカジュアルなゲーマーにとっては少し壁を感じるような。
『マジカミ』はDMM GAMESで遊べるゲーム。外からいかにプレイヤーを呼び込めるかに注力してます。わかりやすい“萌え”から少しズラしているのもそのため。(美少女ゲームの大ファンというわけでもない)新規の方々にも遊んでもらって、プレイヤーの総人口を増やしたい。

色の塗りかたの雰囲気が違うのも、そういうのが理由なんですか?

そうですね。いわゆるギャルゲーっぽい塗りにもできるんですけど、それだと脊髄反射的に“興味のないゲーム”と判断する人もいるので。
DMM GAMESさんはエロゲにとって最後のフロンティアですから、盛り上げたいんですよ。

DMM GAMESさんって全年齢版も配信してるからいいですよね。よくできた美少女ゲームは大人向け要素がなくてもおもしろい。

と、同時に、グロテスクさとか残虐性にも可能な限り踏み込んでいこうと。映画とか小説には残虐な表現ってわりとあるのに、一般的なコンシューマーゲームだと制限が厳しいんですよね。

難しいこと言ってますけど、こういうのが好きってだけですよね。

そうですね。でも、使命感も嘘じゃないですからね! ただ、やっぱり好きじゃないと突き詰められないですよ。
せっかくR18を選んだんだから、行けるところまで行こうという気持ちはあります。それでも、DMM GAMESさん側にNGラインがあるみたいで。

大人向けのコンテンツが有名なところじゃないですか。大丈夫だと思ったんですけどね。

怒られるのは嫌だったので、第1部はだいぶ控えめに。リミッターかけてます。

その先は?

まだわからないです。完成してませんからね。

ははぁ~ん、やる気だな。

第2部以降がそういうふうになるのは、DMM GAMESさん的にはオーケーなんですか?

ぎりぎりのラインです。

ぎりぎりアウトの可能性あるな。

大丈夫ですよ。逆光で視えなかったり謎の光が入ったり、アニメ的なアレでどうにか。
要するに、ライトな見た目で古参のエロゲプレイヤー以外を集めて、だんだんエロゲの本質的なよさに引きずり込みたいんです。

アリジゴクみたいな構造ですね。エサは性癖。
美少女ゲームには人生を変えるだけの魅力がある
デザイン類についてはGSKさんにほぼ一任されていて、マジカミPからのオーダーは、
・『マジカミ』のキャラだとパッと見でわかることと
・女性であること(女性らしさがどこかに残っていること)
これくらいだったそうだ。ゲームを進めると見えてくる設定もあり、そこと整合性を取るためにも女性らしさや艶めかしさは大切だという。
GSKさんが言うように、美少女(アダルト)ゲーム隆盛の時代はたしかにあった。とくに恋愛アドベンチャー系は人気が高く、全年齢版も含めてヒットを記録したタイトルだってある。
人間(男女)関係や生きかたを深堀りしていくうちに、アダルトな要素に到達するのはおかしいことではない。そうならないことに不自然さを感じるからこそ、表現の幅が広いR18を選ぶクリエイターは少なくないと思う。詭弁のようだが、そういう側面は確実にある。
ちなみに、僕は『マジカミ』の全年齢版をプレイ中だ。大人向け要素がなくてもクリエイターの攻めの姿勢はぞくぞくするほど伝わってくるので、18歳未満の読者も安心してほしい。
冒頭で書いたとおり、『マジカミ』のテーマは“人生を変える魔法少女体験”。美少女ゲームには人生を変えるだけの魅力がある。それはあながち間違いではないと思う。僕も美少女ゲームに人生を変えられたひとりだからだ。
『To Heart』のマルチのシナリオで号泣してマルチのコスプレをするようになり、コスプレイヤーであることに興味を持たれて会社(当時はアスキー)に入社し、女装をしていたからペンネームが“ミス・ユースケ”になり、コスプレイベントで出会った人と結婚した。概ねいい方向に進んでいる。
そこまで熱中したのは、やっぱり人間関係の描きかたに強くひかれたからだと思う。美少女ゲームはあなどれない。
ただし、性癖は一生ものなので歪みには気を付けよう。