装備品に【エロい】というタグがある。老若男女から犬猫までお尻を触りまくれる。モンスターの挙動にフェチズムを感じる……。ちょっとHな表現が3拍子そろったアクションRPGが、Nintendo Switchで出ているのをご存じでしょうか? もちろん、R18作品ではありません。れっきとしたNintendo Switchのゲームですし、あくまでもHな表現はクスリとくるフレーバー。その中身は(いろいろな意味で)自由過ぎるアクションRPGだったのです! その名は『箱庭えくすぷろーらもあ』。今回は、ちょっぴりHでとっても楽しい本作の魅力をお届けします。
『箱庭えくすぷろーらもあ』はsuxamethonium(すき)氏が開発、PLAYISMから2020年6月18日に配信されたNintendo Switch用のアクションRPGです。移植元となった『箱庭えくすぷろーら』は、無料で自作ソフト・ゲームを作れるプログラミング言語“HSP”で開発されたフリーゲームとして配信され、同言語を使ったコンテスト“HSPプログラムコンテスト2015”にてアクティブゲーミングメディアPLAYISM賞および、ニコニコ自作ゲームフェス賞を受賞した作品となっています。
本作はフリーゲーム版の『箱庭えくすぷろーら』をベースに改良が施され、製品版として2018年にPC(PLAYISM、Steam)で配信された『箱庭えくすぷろーらもあ』の移植版です。一部の危険すぎるテキストや主人公のデフォルトネームなどのコンソールに合わせた微妙な変更点はありますが、それ以外にPC版との大きな違いはありません。もともとあった魅力が損なわれることなく、Nintendo Switchに移植されています。
“エロい”は正義! 脱力感あふれるテキストに思わず笑っちゃう
ゲームを初めて最初に目にするのはテキスト。このゲームはメインとなる冒険がおもしろいのは当然なのですが、その楽しさを底上げしているのがノリのよいテキストなのです。町の住人から新たなダンジョンの解説まで生き生きしすぎ!
新しいテキストやイベントを見たくて先に進みたくなりますし、悪いことをしても反応があるのでついついお尻を触っちゃうことも。触りたくなくても後ろからぶつかると触ったことになるので「わ、悪気はなかったんです……!」と、なぜか犬にセクハラを謝りながら逃げ回るときもあります。犬も猫も馬も、目に映る生き物のお尻を触らずにはいられないのが主人公。なぜだ。
もちろん(もちろん?)各エリアにいるナビゲートキャラ、すく水さんのお尻を触ることもできます。お尻を触ると“ぽよよーん!”と専用のグラフィックも入る職人芸が光りますね。いまのところお尻を触る話しかしてないような気もしますが、そういうゲームではありません!
調子に乗ってすく水さんだと思って近づいたら、悪いすく水に世間の世知辛さを叩き込まれることもあります。どうもエロい……というよりは、突き抜けていてバカバカしさがあるんですよ。テキストに妙な力が入っているので、いろいろと見たくなっちゃう。R18的なエロさではなく、ラブコメのハプニング的なHさですね。しっぺ返しもあるし、陰湿じゃなくて笑えるレベルです。
でも、調子に乗っていたずらばかりしていると怨恨度が上がって悲惨なことになってしまいますが……。本作には“怨恨度”と呼ばれる“町の人たちからどれだけ嫌われているか”という特殊なパラメータがあります。怨恨度が増えると町の品揃えが悪くなってゴミしか売ってくれなくなり、逆に嫌がらせされることも……。
怨恨度を下げる手段も用意されてはいるのですが、序盤だとなかなかたどり着けないダンジョンに行く必要があるので怨恨度にはご用心……。もっとも悪いことをしないと見られないイベントもあり、完全クリアーのためにはワルになることも必須です。怨恨度を下げられるようになったら、いろいろ試してみることをオススメします。
装備やアイテムの選別が楽しいアクションRPG
エッチな話ばかりしてしまいましたが、本作はあくまでもアクションRPG。当たり前なのですが、探索とアイテムの選別を楽しむゲームとしてよくできています。なんか先にエッチな話をしちゃったので説得力を欠いてる気がしますが、真面目な方向に良作なんですってば!
町の人から新たなエリアの情報を聞き、探索してつぎのマップを見つける喜び。種類が豊富なアイテムを入手して、どれを残して持っていくのかを考えるトレジャーハンティングの興奮。“新しいものを見つける”ことに特化したサイクルがうまくできていて、冒険が苦になりません。
アイテムの所持上限が少なく、それに対してつぎつぎに手に入る装備やアイテムをどうやりくりするのかも楽しみのひとつ。回復アイテムは種類が豊富でテキストも楽しく、どれを捨てるのか悩んじゃいます。そこを割り切って使い捨てていくのが、このゲームのよくできたところでもあるのですが……悩ましい!
アクションとしてはギリギリを攻める高難易度ではなく、どちらかといえばカンタン。すぐに壊れる武器を大量に持ち込んでボス戦でごり押ししたり、あえてエロい装備で挑んでみたり、自分の好きなように遊べます。
モンスターたちのドット絵も、作者の愛情と劣情と熱情を感じるこだわりっぷり。小さなモンスター娘たちがエリア内をコロコロと動き回り、いろいろなところが大きいボスモンスター娘がヌルヌルと動いて主人公を襲う。ドット絵とアニメーションを見ているだけでも、力の入りかたに興奮……じゃない、感動します。
そして、やたらと出てくるレベルドレイン。このゲームには、プレイヤーのレベルを吸って下げてしまう“レベルドレイン”の要素もあります。レベルドレインはプレイヤーにとって嫌な要素になりがちですが、本作では吸った相手を倒せばレベルを取り返せるし、間違ってエリアを切り替えてしまってもレベル自体はサクサクと上がります。そこまで痛くありません。むしろ、レベルドレインがわざわざ用意されていることが重要なのです。世界観として。エッチなフレーバーとして。
なんか、またエッチなほうの話をしちゃいましたが、アクションもドット絵もテキストも、真面目なものからエッチなものまで作者の作り込みを感じられるからこそ、ついつい話したくなっちゃうんですよね。お色気ハプニング的でライトなエッチさなのですが、そこがよし! ふざけつつも、ゲームとしてしっかりおもしろいので満足感は非常に高いです。
ただ、ボリューム自体はそこまで長くない小粒なゲームではあります。実績を解除していくことで見つかる要素もありますが、それらを全部見ても1回の冒険は20時間かからないかも。その代わり1回のプレイが濃密ですし、自由気ままにプレイしている感覚が好きになる作品でした。非常によくできたタイトルなので、ぜひ遊んでみてください!!