遥かに広がる大宇宙。星々の海の先には、きっと我々が想像すらしていないような別の種族が生きているかもしれない……。そんな想像をしたことがある人はいませんか?

 じつは高度な文明を持った知的生命体はすでに存在していて、見えないところで銀河の在り様について語り、ときには争っている。スペースオペラなどでよくあるような、異種族間の対話や戦争というテーマに心奪われている人は、私だけではないはずです。

 そんな人にオススメしたいのが、今回紹介する宇宙を舞台にした名作シミュレーションゲーム『Stellaris(ステラリス)』。本作は探検、拡張、開発、せん滅といった要素を内包する“4X”と呼ばれるタイプのストラテジーゲームで、その日本語版がプレイステーション4用ソフトとして2020年8月27日にDMM GAMESから発売となります。

 PC版は2016年に発売されており、日本のPCゲーマーのあいだでも評判になったので、名前は聞いたことがあるという人もいるかもしれません。かくいう私も、“プレイしたことはないけど知っている”勢の1人です。

 このたびPS4日本語版が発売されるということで、この機会に『Stellaris』を初プレイ! 本作の特徴と魅力をレポートしていきます。

 本作を手がけているParadox Interactiveはストラテジーゲームの開発会社としては1、2を争う有名スタジオ。非常に細かい操作が可能な設定項目と、それが可能にする幅広いプレイスタイルは多くのファンを獲得し、同社の作品は“パラドゲー”という愛称で親しまれています。そんな“パラドゲー”に新たに仲間入りした『Stellaris』。期待が高まらないはずはありません……!!

 なお、本記事に掲載しているスクリーンショットでは、画面中の文字がややつぶれて見づらくなっていますが、これは開発版がゆえ。製品版では読みやすくなるとのことですので、ご安心ください。

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人間、異星人なんでもござれ。自分だけの文明を作って銀河を制覇!

 多くのストラテジーゲームでは、最初に自分がプレイする文明や勢力を選ぶことになります。それは『Stellaris』でも同じなのですが、ユニークなのはオリジナルの文明を作れること。

 この手のゲームは、文明ごとに固有のボーナスが設定されており、得意な戦略(プレイスタイル)に大きく影響するのがスタンダードです。例えば食料生産のボーナスを持ち人口を増加させやすい能力や、戦闘ユニットの生産コストが安く、戦争を有利に進められる能力などですね。

 本作ではこういった能力的な部分に限らず、文明の詳細をもっと突き詰めて作成できることが特徴です。以下で、オリジナル勢力の作成で設定可能な項目を簡単に見てみましょう。

PS4日本語版『ステラリス』プレイレビュー。キノコでも銀河を統べることができる名作ストラテジー_01

【種族】

  • 外見……種族の外見。人間に似たものや機械生命体、昆虫型、植物や鉱石などよりどりみどり(一部種族はDLCが必要)。同じ種族でも複数のポートレートが用意されています。
  • 種族名……種族の名称。複数形や形容する際の単語も決められます。ロールプレイ志向の人にはうれしい、フレーバー文を打ち込むスペースもアリ。ランダムで決めることもできます。
  • 名称一覧……ゲーム中に登場する人物や艦船の名前、艦隊の呼びかたの指針。いくつかのパターンのなかから選択することができます。
  • 特性……いわゆる種族ボーナス。ポイント消費式で、あえて欠点を増やすことでポイントを増やすこともできます。最大5つまで設定可能。
  • 統治者……最初の統治者の見た目をカスタマイズできます。ゲーム的な能力については変更できません。なお、統治者は寿命による死を迎え、代替わりします。

【母星】

  • 名前と種類……母星と恒星の名前を設定できます。また、開始地点と惑星の環境も、いくつかの種類のなかから選択可能です。
  • 都市外観……表示される都市のデザインを変更できます。フレーバー要素で、ゲームには影響ありません。

【帝国】

  • 政治と志向……志向、統治形態、国是を選択します。文明の在りかたを定義するもので、それぞれの割り振りや選択によって得られるボーナス、指導者の選出方法などが変化します。
  • 帝国名称及び帝国旗……帝国の名前と形容詞を設定します。ランダムを選ぶと、種族名や政治と志向などを参照して、自動でそれっぽい名称を付けてくれます。また、ゲーム中の文明のアイコンとなる国旗をカスタマイズできます。
  • 艦船の外観……宇宙船のデザインを変更できます。ゲームには直接的な影響はありません。
  • ボイス……指導者のボイスを選択できます。

【概要】

  • 設定した項目のまとめを表示する画面です。

 ここまで細かく文明を作れるというだけで、ワクワクしませんか? 何より、人間ベースの種族だけではないところがSF感マシマシで非常に好みです。これだけ広い宇宙、人型以外の知的生命体だってきっといるはずですからね!

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お気に入りの外見はキノコ星人。昆虫とか爬虫類、ほ乳類のような種族はよく見ますが、キノコはなかなか……(笑)。

 作成した文明は自分で使うこともできますし、CPU勢力としてゲームに登場させることもできます。また、オールランダムで文明を選択することもできます。必ずしも強い文明が完成するとは限らないため、ゲームに慣れた人向けの遊びかたになると思いますが、一種のチャレンジ要素としてもおもしろいですよね。

 文明の作成はゲーム内容に大きく影響する項目も多いため、ボーナスの意味するところを理解できるようになってからが本番。そのため、初回はいくつかあるプリセット文明を使って遊んでみて、ゲームの仕組みを理解するのがオススメです。

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プリセット文明も個性派ぞろい。DLCを導入すると種族がさらに増えるようです。

 なお、文明だけではなく、ゲームのルールもカスタマイズできます。フィールドとなる銀河のサイズや形状、存在する帝国の数やAIの強さ、ゲーム終了までのターン数など、さまざまな項目の変更が可能です。

 自分の遊びたい環境を整えてスタートできるのは、私のようなシミュレーションゲームのセオリーすらおぼつかないプレイヤーにとって、非常に助かる要素です。

調査、入植、拡大。広がる文明圏を眺めて生まれる親心

 どんなゲームでも、育成している対象が成長していく姿を眺めるのは楽しいもの。本作でもそれは同じです。自分の文明が銀河にじわじわと広がっていくのを見ていると、「こんなに大きくなったんだなぁ……」と親心めいた感慨が浮かんできます。

 アクションゲームのような派手さこそありませんが、この“拡大を見守る楽しさ”も、ストラテジーゲームの魅力のひとつではないでしょうか。

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画面を引くと、各文明の領土を一望できます。なお、これでいちばん小さいマップサイズです。

 本作は、基本的には自文明の母星を含んだ星系をひとつ所有している状態から始まります。

 ここから銀河に文明を広げていくわけですが、まず必要なのが周辺星系の調査。これには“調査船”という種類の宇宙船を使います。調査船を星系に派遣して、その星系に採取可能な資源や移住可能な惑星があるかを調査するわけです。現実の人類だって、まずは探査機を宇宙の方々に飛ばしていますからね。

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調査には時間が必要です。惑星が多い星系ほど長く時間がかかりますが、調査速度を速めるスキルを持つリーダーやテクノロジーなども存在します。
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各星系には、異星人の船や攻撃的な宇宙生物がいることも。運が悪いと、序盤ではどうあっても勝てない相手に遭遇してしまうこともあります。

 星系内の惑星を一通り調査し終えたら、その星系への進出が可能になります。続いて活躍するのが“建設船”。その名の通り、さまざまな施設を建造してくれる宇宙船です。

 建設船を派遣して、星系の中心となっている恒星付近に宇宙ステーションを建造することで、その星系を文明圏に収められます。こうして、自文明の領土を広げていくことになります。

 なお、調査船や建造船には戦闘能力はないため、前線に送り出す際は注意が必要。敵と遭遇すると逃げようとはしてくれますが、逃げられないことも……。

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資源が眠っている惑星の軌道上には、別途で採掘ステーションや研究ステーションを建造可能。これで継続的に資源を産出していきます。

 そして、領土化した星系に入植可能な惑星を見つけたら“コロニー船”の出番! 入植者を引き連れた巨大宇宙船を派遣して、都市を築くことができます。都市は機能し始めると、惑星からよりもはるかに効率的に資源を産出するため、巨大都市を増やしていくことが文明の地力向上につながっていきます。

 入植可能といっても、“快適に住める”惑星もあれば、“がんばれば住める”惑星もあります。後者の場合は、都市の機能にペナルティが入るため、入植することが本当に利益になるのかを考えねばなりません。

 この“快適か否か”は、種族の特性によって変わります。例えば、乾燥した星を出身地にもつ種族であれば、人間にとっては厳しい環境でも問題なく住めるかもしれません。

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都市には専用の管理画面があって、管理者や建造する建物などを個別に設定できます。これにより、都市ごとの特色を強く出すことも可能!(私はまだ使いこなせてはいませんが……)

 このような感じで、じわじわと文明圏を広げていくのが序盤の流れ。もちろん、探索が進めば、いずれは別の文明と出会うことになります。多くのシミュレーションゲームでもそうですが、他文明との境界をどこに引くかはかなり重要です。

 本作では星系間の移動ルートはあらかじめ決まっているため、敵の侵攻を想定して防御しやすい場所に防衛基地を作ったり、敵国の文化圏の拡大を止められるポイントを素早く抑えたりと、文明圏の広げ方ひとつとってもいろいろ策を講じられます。

技術開発と未知への対応。リソースの割り振りに悩む日々

 文明を拡大していくには、技術の研究も重要です。研究には“物理学”と“社会学”、“工学”という3つのセクションがあり、それぞれ研究できる内容が異なります。また、研究にはリーダーとなる科学者を据えなければなりません。

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科学者はエネルギー(通貨的な扱い)で雇うことができます。研究で使うだけでなく、調査船の船長としても必要になるため、比較的多く雇うことになります。

 人材は科学者だけでなく、戦闘艦隊を率いる提督や、コロニーを治める総督などいろいろ存在。彼らは行動によって経験値を稼ぎ、多彩なスキルを習得していきますが、いずれは寿命で死んでしまいます。なので、ほどよく引継ぎの人材を育てることも重要となります。

 とくに科学者は、銀河を調査するなかで発生するさまざまな謎を調査することも仕事のひとつ。いわゆるランダムイベント的なやつです。

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古代文明の残した遺跡やワームホールを調査したり、未知の宇宙生物(非知性的なもの)の生態を調べたり、種類はいろいろ。

 これらの調査に要する時間は、担当する科学者の能力に応じて変化します。優秀な人材を割り当てるほど早く成果がでるのですが、当然ながらそれまでその科学者が担当していた仕事はストップしてしまいます。

 こういった未知との遭遇は多く、時間制限があるものもあるため、何を優先すべきか非常に悩むのです。しかもこのイベント、研究が終わったからといっていいことばかりが起こるわけではありません。

 印象に残っているエピソードとしては、先ほどもちょっと触れた、ワームホールの調査があります。まず科学者から、「どこかにつながっているかもしれない」という報告が来るわけですよ。プレイヤーは、いくつかの選択肢から返答を選べるのですが、放置しておくと危険かもしれないので、私は調査を命じました。

 すると……可能性は考えていましたが、ワームホールに入った科学者は、まぁ帰ってきませんよね。見事に未知の空間へと消えていきました。

 その後、2回目の調査が行われました。私は「ゲーム的に考えて、2度目の調査ができるならば、きっと次は成果が出るな」と考え、2人目の科学者を派遣すると……また帰ってきません。続く第3次調査団も、同じ運命をたどりました。

 これ、同じイベントの繰り返しではなくて、ちゃんと連続性のあるイベントなんですよ。だったら調査が進むと思うじゃないですか!

 これが、ランダムなり科学者の能力なりで結果が変化するのかはわかりません。私がひとつ言えることは、ワームホールにはご注意ください、ということだけです……。

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別のイベントですが、このように選択肢が表示されます。安全を優先するのか、リスクを承知で未知の事象に踏み出すのか……指導者としての資質が問われます。

 とにかく、このようなイベントが次から次へと発生するので、唐突に被害が出て予定を狂わされることがあります。もちろん、逆に資源を手に入れられたり、研究が促進されることもあるため、スルーするよりは挑戦してみたほうがよいでしょう。

 何より、こういった予測できない事態がゲームプレイに波を生み、一筋縄ではいかない楽しさを提供してくれるのです。

共存かせん滅か。勝利には欠かせない他種族との駆け引き

 本作の勝利条件は、規定ターンに到達した際に、もっともスコアが高い文明になっていること。スコアは文明の発展によって上昇するので、簡単にいえば勢力を広げて、より多くのコロニーを運営し、技術分野でも先を行くことでスコアを稼げます。

 とはいえ、拡張を進めていくといずれは他文明と鉢合わせて、それ以上拡張できない……といった事態も出てきます。必然的に諸文明との外交が必要になってくるのですが、これがまたできることが多くて、考えがいがあるのです。

 戦争をふっかけて無理矢理相手の領土を削り取る、というのも方法のひとつですが、本作では宇宙船や宇宙基地の所持数に制限があるのが悩みどころ。これらの制限はテクノロジーの研究や施設によって拡大されていきます。

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大艦隊を作るには資源はもちろん、十分な所持艦船枠があることが望ましいでしょう。

 一応、所持制限を超えて艦船などを持つことはできるのですが、制限を超えると維持費用にペナルティが入り、デメリットが大きくなっていきます。内政基盤が不安定なうちは、経済が破綻しないように一層気を使わねばなりません。

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戦闘用の艦船をカスタマイズできるのも、本作のユニークな点。パーツを組み合わせて作った船体に、スロットに応じた装備を取り付けていきます。装備によって得手不得手があるほか、生産コストなども変化するため、なかなかに奥深い要素です。

 そもそも、国境を接しているのが1文明とは限らないわけで、一方を攻めている間に別方向から攻め込まれるのはかなり危険。となれば、やはり外交交渉は必要です。

 オリジナル文明作成の際に少し触れましたが、文明にはそれぞれ重視する政治志向や統治形態があります。なかには相反する志向などもあって、そのような対象とは仲よくするのが難しくなっています。

 そのため、周囲の文明の特徴を把握し、仲よくする相手を選ぶ必要があるのですが……当然ながらCPU同士も外交を行っているため、戦争をふっかけた相手が、じつは自分の背後の文明と防衛協定を結んでおり、結果的に二方向から攻められる、といった可能性も。

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外交画面では交渉内容のほか、相手の文明がどこの文明とどんな関係を築いているのかもチェックできます。

 本作ではCPUも積極的に交渉をしてくるため、考えなしにハイハイ言っていると、いつのまにかいろいろな同盟や協定に参加しており、がんじがらめになってしまうことも……。あちらを立てればこちらが立たず、という状況が往々にしてあるのが悩ましい!

 内政は自分の文明の長所を伸ばすという方針で固めやすいですが、外交はその時々で有効な答えが変わるでしょうし、結果がどう転ぶかはわかりません。まぁその暗中模索する感じが楽しいのですが。

 『Stellaris』はオリジナル種族の作成を含め、とにかくプレイの幅が広いため、何度でも遊びたくなる魅力があります。

 自分の種族に愛着を持てると、より文明が拡張していく喜びを味わえるため、ロールプレイ志向の人なんかは特に楽しめるのではないでしょうか。ぜひ皆さんも、オリジナルの種族を作り、銀河統一を目指してみてください!

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