Appleが、同社製品向けのソフトウェア配信プラットフォームである“App Store”の小規模開発者に対する優遇策“App Store Small Business Program”を発表した。2021年1月1日より開始予定のこのプログラムでは、年間収益が100万ドル以下の開発者を対象に、販売したアプリやApp内課金の手数料率が従来の半分の15%に低減されるという。

 なおプログラムの詳細は12月初旬に発表予定とのことだが、対象となる基準は今回の発表で明記されており、以下の通り。

  • App Storeを通じて配布中の全アプリケーションについて2020年の収益が合計100万ドル以内の既存デベロッパ、またはApp Storeを通じてこれから自身のアプリケーションを配布を計画している新規デベロッパは、本プログラムの対象となり手数料率が引き下げられます。
  • 本プログラムの対象となるデベロッパの収益が100万ドルを超えた場合には、当年の残りの期間については、標準の手数料率が適用されます。
  • デベロッパの事業が不調で当年の収益が100万ドル未満に落ち込んだ場合には、翌年の手数料率は再び15パーセントに下がります。(以上、発表文より)

 なお手数料控除後の売り上げ金額が100万ドルを超える場合は、App Storeの標準であり、かつ業界の一種のスタンダードである30%がApple側の取り分となる。

 時に“プラットフォーム税”とも表現されるデジタルプラットフォームの手数料率については、iOS版『フォートナイト』の課金収入をめぐって、エピックゲームズがAppleとの法廷闘争に持ち込んだ事が記憶に新しい。

 この争いは、いわば「プラットフォーム側が3割を持っていくのは正しいのか」と広く公に問うような形で、他社を含めたアプリ業界を巻き込むように行われていたが、Appleは今回のプログラムによって(エピックゲームズなどの大手ではなく)インディーゲーム開発者などの小規模開発者に限定した形でひとつの前向きな回答を出した形になる。