ファミ通.comの編集者＆ライターが年末年始のおすすめゲームを紹介する連載企画。今回は美しい世界を旅しながら、心温まる体験ができるアドベンチャーゲーム『Spiritfarer』です。
【こういう人におすすめ】
- たまにはのんびりしたゲームを遊びたい
- 美しい世界で旅をしたい
- お世話好きな人
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- タイトル：『Spiritfarer』
- プラットフォーム：PS4、Nintendo Switch、Xbox One、PC
- 発売日：2020年9月29日、
- 発売元：Thunder Lotus Games
- 価格：2980円［税込］
2020年9月に日本語版がリリースされて瞬く間に注目を集めた『Spiritfarer』は、“ゲームアワード 2020年”にてBest Indie、Games for Impactの2つを受賞。まさに今アツいインディータイトルのひとつです。とは言え、作品を初めて知った方が大半だと思いますので、まずは作品の概要から紹介します。
『Spiritfarer』は、死にゆくものをテーマにした心温かいアドベンチャーゲーム。プレイヤーは魂の旅人（スピリットフェアラー）である“ステラ”となって、迷える魂たちを船に乗せてお世話し、彼らが思い残した願いを叶えてあげて、最後は心残りなく新しい世界へと送り出していきます。
そんな本作を手掛けるのはカナダのゲームスタジオ“Thunder Lotus Games”。これまでにリリースしている『Jotun』、『Sundered』を含め、手描きアニメーションを得意としているゲームスタジオです。『Spiritfarer』でもそれが健在で、ステラをはじめとしたキャラクターのしぐさや表情、木々が揺れるといった細かい情景までもが緻密に描かれていてます。これはゲームトレーラー等を見て、ぜひ確かめてほしいいところ。
美しい景色に酔いしれながら広大な海を旅する
地図を広げて目的地を決め、広大な海を旅していく本作。その旅路で訪れる島々は、色鮮やかな大自然に包まれてるのどかな場所であったり、人々が暮らしている活気ある街などさまざま。時には絶景を拝めたりもします。
そんな美しい風景を“ぜひ見てください”と言わんばかりに、いろいろな場所にイスが設置されているのですが、これには作り手の自信とこだわりを感じずにはいられません。そんな景色に見惚れて足を止めつつも、まだ見ぬ先には何があるのかと胸を躍らせる船旅は最高に楽しいです。
旅をしながら材料や設計図を集めることで船のカスタマイズが可能。キッチンや菜園といった設備を増設したり、より大きいサイズへとグレードアップできます。設備は決められたスペースの中で上や横に重ねて配置していくのですが、これも『テトリス』みたいなパズルで面白い。乗客からも“部屋がほしい”といったお願いをされることがあるので、そのときは快く用意してあげましょう。
船の移動はまったりとしていて、目的地が遠いところだと、かなりの時間を船の上で過ごすことに……。しかし、設備を整えていけば、料理、野菜の栽培、素材の加工など、できることが増え、船上生活を有意義に過ごせるのです。その作業もリズムに合わせてボタンを押す、一筆書きのように線をなぞるといったミニゲーム仕立てのものがあり、同じ作業の繰り返しでも苦にならないのがいいところ。
迷える魂たちと濃密な時間を過ごそう！
魂として出会うのは、気高く頼りになるシカ、いつも陽気なカエル、繊細で心優しいヘビなど、動物の姿をしているユニークなキャラクターたち。そんな彼らをスピリットフェアラーとして導いていきます。
死者の魂を船に迎え入れたら、食べ物を用意したり、お願いを聞いてあげたりとお世話をしながら、ともに生活していくことに。かわいい動物の見た目をしていても、中身（魂）は人間。それにより魂たちは食べ物の好き嫌いがありますし、同じ食べ物を出したら嫌がって絶対に口にしません。さらには、キャラクターどうしでのトラブルによって気分が下がるといったことが起きたりと、それには手を焼きます。
しかしながら、朝起きて「おはよう」を交わし、同じ時間を過ごしていくことで、どこか愛着が沸いてくるんですよ。しかも嫌なところを見ているからこそ、それを差し引いて、より強い関係性を感じられるというか。ステラが寄り添うように、“プレイヤー自身としても仲を深め合っている”、そんな感覚を味わえます。ついついどんな生活をしているのか覗いちゃったりも……。
といった感じで仲を深め合っていくのですが、本作では“ハグ”をしてスキンシップを取ることができるのも特徴。実際にハグしてあげると、驚きつつも幸せそうな表情を浮かべるのですが、それを見ているプレイヤーまで思わず幸せな気持ちに。キャラクターごとにそれぞれ表情がかわいいので、そこもぜひ見てほしいポイントです。
悩みや後悔などを徐々に打ち解けてくれるようになり、それに向き合い始めることで死者たちはさらに苦悩します。ですが、自分にできるのはいつも通りのお世話と話を聞いてあげることだけ。もっと何かしてあげたいと歯がゆさを感じながらも、彼らの心にある角質がなくなるまでずっと寄り添い続けていきます。
そしてお別れのとき。最後に船の上で想いを聞き、ハグを交わして送り出します。まぁこのお別れが悲しくて悲しくて……。無事送り届けることができたことでの幸福感がありつつも、濃密な関係を築いたからこそ、もう会えなくなることの辛さと寂しさがグッとこみ上げてくるんです。人生において出会いと別れはたくさんありますが、ゲームを通じて、あらためてその瞬間の大切さをかみ締めることができる……その体験を心温まるストーリーを読み進めながら味わってほしいです。
とにかく自分のペースでプレイしてほしい！
最後になりますが、ひとつひとつの会話や島々の風景を楽しみながら、自分のペースでじっくりプレイするのがおすすめです。というのも、会話を飛ばして駆け足プレイをすると感動が薄れてしまうから。これだけは絶対に気をつけてほしいところです。また、本作はローカルでの2人プレイにも対応。本作の基本的なアクションは移動とジャンプだけと非常にシンプルですし、おもむろに知人を誘って一緒に冒険してみてはいかがでしょうか。
なお、PC（Steam）版で遊びたい方は、2021年1月6日までセール中で25％OFFで購入できます。ぜひお早めに。
