超豪華声優陣が『シン・エヴァ』トーク!(ネタバレあり)

 2021年3月8日より公開中の『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(『シン・エヴァ』)。3月22日の発表では、興行収入が累計49億3000万円を突破し、観客動員数は322万人と大ヒットを飛ばしている。

 そして本日2021年3月28日、東京・新宿バルト9にて、総勢14名もの声優陣が集結した“来場御礼舞台挨拶”が行われた。登壇者は以下の通り。

登壇者(敬称略)

  • 緒方恵美(碇シンジ役)
  • 林原めぐみ(アヤナミレイ(仮称)役)
  • 宮村優子(式波・アスカ・ラングレー役)
  • 三石琴乃(葛城ミサト役)
  • 山口由里子(赤木リツコ役)
  • 石田彰(渚カヲル役)
  • 立木文彦(碇ゲンドウ役)
  • 岩永哲哉(相田ケンスケ役)
  • 岩男潤子(鈴原ヒカリ役)
  • 長沢美樹(伊吹マヤ役)
  • 優希比呂(日向マコト役)
  • 伊瀬茉莉也(北上ミドリ役)
  • 勝杏里(多摩ヒデキ役)
  • 山寺宏一(加持リョウジ役)

 旧劇場版上映の際に行われ、舞台挨拶としては24年ぶりとなるという本イベントでは、『シン・エヴァ』、そして『新世紀エヴァンゲリオン』シリーズに出演する豪華声優陣が、収録の思い出や本作を鑑賞しての感想などをたっぷりと語り合った。

 なお、舞台挨拶は上映直後の開催ということもあり、トークにはネタバレとなる内容も含まれる。本編未鑑賞の方はご注意いただきたい

出演者たちが『シン・エヴァ』への想いを語る

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 舞台挨拶がスタートすると、まずは本編を見た感想についてのトークを展開。緒方さんは、本作のアフレコがバラバラでの収録だったことを振り返り、ほかの出演者の演技がわからない中、アフレコを進めていったという。そして完成版を見て「こうなったのか」と思いつつ、制作スタッフ陣に感謝の言葉を述べていた。

 林原さんは約2時間半の長い本編、そして長いエンドクレジットを見て、これだけの人たちが関わってきたのだと、感慨深く語る。そしてテレビアニメ版からのファンはひとつの終わりを迎えたが、若い人にとってはこれがスタートになるとも振り返った。

 宮村さんはテレビシリーズで社会現象になったとき、考察本などを読み作品への理解を深めていったという。今回は宮村さんは、自分で見て自分なりに考えたり、インターネットのファンの考察も見たことが楽しかったようで、「これが『エヴァ』の楽しみかたなんだなと」と、改めて楽しみかたをひとつ見つけたようだった。

 三石さんは設定や地球がどうなるのかなど、本編の細かい部分はわからないと語る。ただ、本編中で葛城ミサトとしては重要なシーンを演じられたことをうれしく語っていた。

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 山口さんは、じつは会場である新宿・バルト9で一般客に交じって見たのだという。そして、動けなくなるほどの感動をしたそうだ。エンドロール後の拍手喝采をファンといっしょに体験して、感無量の様子だった。

 石田さんは、異様ともいえる映像を見せられて、どう解釈すれば良いのだろうと悩んだのだとか。お話自体はシンジとゲンドウの会話を追えばいいと、視聴者に向けてアドバイス。また、石田さんはゲンドウの「大人なったな」というセリフに「お前が言うな!!」と、どうしても叫びたかった様子(笑)。これには会場からも大きな笑い声が上がっていた。

 立木さんは収録のとき、これまでのゲンドウの印象とは違うように見えたのだという。また、スタッフ陣が愛を込めて作っているからこそ、すべてのキャラクターが好きになれるほどに、思い入れが強くなったとのこと。そして、ひとつの区切りを付けられたことに「まさに『Beautiful World』です」と語った。

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 岩永さんは、純粋に映画としての素晴らしさを本編から感じたそうだ。そしてケンスケとしては12年ぶりの登場とのことで、しっかりとした役割を演じられたことに、うれしさをアピールしていた。

 岩男さんは試写が怖くてみれなかったそうだが、どうしても見たくなって映画館で見たとのこと。そのとき、席に座ったとたん泣いてしまい、ずっと泣きながら見ていたのだとか。そして2回目のときは冷静に見れたようで、監督である庵野秀明氏からのメッセージを作品から受け取り「やさしい気持ちになれました」と、感謝の気持ちを伝えていた。

 長沢さんは先日放送された、庵野監督をフィーチャーした『プロフェッショナル 仕事の流儀』を振り返る。

 番組内で庵野監督は「何か欠けているものに魅力を感じる」という発言をしていた。そこで長沢さんはマヤの存在について考えたそうで、マヤは基本的にはいたって普通の女の子で、ほかに個性的な人たちがいる中で、整った存在だ。ただ、マヤとしては嘔吐してしまうシーンが描かれるなど、作中でどんどん壊れていくところが、庵野監督の魅力に映っているのではと改めて感じたそうだ。これまでは「不潔」というセリフを日常的に使っていたが、今後は「これだから若い男は」というセリフを使っていくと意気込んでいた。

 優希さんは、作品を何度も見ないといけないと思いつつ、とくに複雑な人間関係が魅力だと語る。緒方さんが仰ったように、本作のアフレコは本当にバラバラでの収録だったが、それでもしっかりと演技できていて驚いたそうだ。「よくこれでできるなと客観的に思いました」と、第三者の視点から本作の出演者たちを褒めていた。

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 伊瀬さんは『エヴァ』シリーズの最後まで関われたことが光栄だと語る。また、『シン・エヴァ』を見て、キャラクターやシーンから庵野監督の愛が感じられると感慨深い様子だった。

 勝さんは作品に感動しつつ、関われたことにも感動したと話す。10代のころに見た作品にまさか関われるとは思っていなかったこともあり、見終わったときには金縛りのような状態になったという。

 山寺さんは加持リョウジというキャラクターの立場的なこともあり、「出演できてて良かったです」と感慨深く話す。唯一無二の存在である『エヴァ』シリーズ、そして長く、加持リョウジという男に関われたことに感謝を述べていた。「僕の代表作は『エヴァ』の加持リョウジと、『それいけ! アンパンマン』のチーズです(笑)」とコメントし、会場の笑いを誘うシーンも。

本編の内容についてトークを展開

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 トウジたちが登場した第3村について、宮村さんはまさか『エヴァ』でほのぼのとしたシーンが続いたことに驚いたそうだ。さらに宮村さんは「それこそ旧劇場版にほのぼのなんてないんだから!」と、ぶっちゃけトーク(笑)。

 すごく丁寧に描かれていたのが良かったと語る岩永さん。26年目にしてまさか“ケンケン”というあだ名が付けられたことに驚いたという。岩男さんもヒカリたちを振り返り、中学生だった子たちが“大人になった”なとしみじみ話す。

 アヤナミレイ(仮称)という、新たなアヤナミを演じた林原さん。『エヴァ』という作品群の中で、温かい人情やお腹いっぱいに吸える空気など、そういったことを感じるようなシーンがなかったので、第3村を受け止めるのがたいへんそうだと感じていたそうだ。しかし、村の中でアヤナミを受け入れてくれるおばさんたちが、全員林原さんの先輩で、おばさんたちのムードをすでに作っていたのだとか。そのおかげで、アフレコブースに1歩入ったら、もう第3村の雰囲気になっていたのだとか。

 巨大戦艦・AAAヴンダーの乗組員たちは、ネルフからの長い付き合いである。三石さんはみんなが仲間と感じつつも、年月が経ち「いっしょになれたね」とは直には言えない感覚を語る。ただ、山口さんは日向マコトとの絡みがなかったことを残念がっていて「マコト、と名前を読んでみたかった」という気持ちを明かしていた。たしかに絡みがないことを語りつつ、優希さんは本作を振り返り「本編では複雑な人間関係や親子関係が描かれていますが、ヴンダーの中だけは綺麗な人間関係でしたね」とコメント。

 そんな中、長沢さん自身は初レギュラーとなるテレビシリーズのことを思い出したそうで、長沢さんもベテラン声優ゆえに、現場に先輩がいっぱいいるというのがもうほとんどないのだという。テレビシリーズのとき先輩たちに囲まれてやっていたことが今回もできたことに、うれしさを語っていた。

 山寺さんは加持リョウジが登場したことへのコメントを求められ、葛城ミサト役の三石さん向かって「葛城、よくがんばったな」と、クールかつ意味の深いセリフを披露。と思いきや、「そして、よく俺のピロピロをピロピロしてくれたな!」と、山寺さんならではの声帯芸を披露し、会場も笑いに包まれていた。

 これまで『破』と『Q』には、カバー曲を挿入歌として採用していた。石田さんはそこを振り返り、映像と歌詞がリンクしてて良かったシーンだと語る。そして、もし今回のカヲルに、石田さんがカバー曲を付けるとしたら、中島みゆきさんの『時代』がいいなという思いを語っていた。すると林原さんが『時代』のワンフレーズを生披露するというサプライズも。
 

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 シンジとゲンドウのやり取りについて、思い入れがあるのか聞かれ、緒方さんはとくに思い入れはないと語る。立木さんが「寂しい!」と言いつつも、今回のシンジは狂言回しのような役柄で、みんなに相槌を打つのが仕事なので、そこに特別な思い入れをいれるべきではないと考えていたそうだ。

 そして緒方さんから、庵野監督へメッセージ。今回のシンジは、みんなを送り出すことが仕事だった。その中で、庵野監督をも送り出すことが役目だったと緒方さんは語る。テレビシリーズの終わりかのように、「庵野さん、おめでとう」とコメントしていた。

 舞台挨拶は終わりも近づき、最後に緒方さんからファンの方々へメッセージ。

「当時から見ているファンの声も、新しいファンの方の声も聞いています。いま昔の作品を見たら違う気持ちが湧くように『シン・エヴァ』を数十年後に見てもまた違う思いがあるでしょう。見たときによっての気持ちを大事にしながら、ぜひ何度も観返してください」

 と語り、舞台挨拶は終了となった。

映画『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』舞台挨拶リポート。碇シンジ役・緒方恵美を始めとした総勢14名の声優陣が揃い踏み!

バルト9には等身大フィギュア展示中

 この日舞台挨拶の会場となった新宿バルト9には、綾波レイの等身大フィギュアと、エヴァンゲリオン初号機の巨大フィギュアもなど展示。訪れたファンたちは熱心に撮影を行っていたぞ。

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