2021年4月20日に、都内にて“ほんだのげーむ タイトル発表会”が開催。かねてより開発中であることが伝えられていた本田翼さんが開発するモバイル向けタイトルの詳細が明らかにされた。

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『にょろっこ』公式サイト
『にょろっこ』公式Twitter

 フォワードワークスと日本マイクロソフトが開発をサポートする形で取り組まれているタイトルの名前は『にょろっこ』“ビジター(天使)”ふたりと、“キーパーズ(人間)“6人がチームに分かれて8人で戦うという、非対称型対戦サバイバルアクションだ。本作では本田翼さんは、製作総指揮を担当することになる。

 ちなみに、『にょろっこ』は“にょろにょろ対戦ごっこ”の略とのこと。遊びかたや役割を決めずに自由に楽しんでほしい、いろいろなごっこ遊びを見つけてほしいという思いを込めて“~対戦ごっこ”を“にょろにょろ”と読ませてネーミングしたものらしい。

 「子ども心に楽しんだ鬼ごっこをオンラインで楽しめる」という『にょろっこ』では、人間チームは天使の攻撃をうまくかわしながら10分という制限時間内にステージ上にある7つの鐘を鳴らせば勝利、一方の天使チームはすべての人間を倒して魂を吸収するか、制限時間内に7つの鐘が鳴らされるのを阻止すれば勝利となる。

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ビジター攻撃シーン_03

 本タイトルがユニークなのは、配信開始後6ヵ月の期間限定サービスとなる点。これは「ゲームを含めたエンターテインメントは、ゴールがあるから夢中になる。熱くなる」という考えに基づいてのもの。配信後は6ヵ月間を盛り上げるべく、期間中は大型アップデートを始め、新キャラクターの実装、“天使VS人間”の対決キャンペーンなど、さまざまな楽しみが詰まった“本田翼と6ヶ月間騒ぎな祭!「にょろっこ祭」開催Death!”が実施されるという(けっこうなイベントがてんこ盛りです)。

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 2021年初夏のサービスインを目指して開発が進められている『にょろっこ』だが、発表会での本田翼さんのコメントの端々から伝わってくるのが、その本気ぶり。“ゲーム好きな女優さんが、好きが高じてゲームの開発に取り組んでみた”というのには留まらない、気合いの入りぶりというか、覚悟が感じられるのだ。

 発表会後、お忙しいなか本田翼さんにインタビューをするお時間をいただけたので、その本気ぶりを確認すべく、お話をうかがった。その前に、発表会での気になるコメントをピックアップしていこう。

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 「最初は企画を提案していただいて、そこに自分の考えをすり合わせてゲームの中身を作っていくという考えかたでやろうと思ったのですが、どうにもしっくりこなくて、けっきょくゼロから自分が発案してやらせていただくことになったので、そのぶん時間もかかってしまいました」(プロジェクトの始動からここまで2年)

(「プロデューサーとしてたいへんだったことは?」との質問に答えて「たいへんだったことを挙げるとキリがないのですが、まずは予算の工面はとてもたいへんで。ひとくちに“ゲームを作る”と言っても、ゲームを作ったプロジェクトチームの皆さんにも還元しないといけないので、それを考えた上でのゲーム作りであったりとか、その上で自分の好きなことをやっていくにはどうしたらいいのかとか、そういったことも考えました」

「自分ひとりでキャラクターから考えていたので、考える時間を捻出するのもたいへんでした」

(「そもそもゲームを開発する気になったきっかけは?」と問われて)「もともとゲーム開発がしたかったというよりは、漠然と“ゲームを作ってみたいなあ”という好奇心から始まったことではあるのですが、そこでお声をかけていただいて“挑戦してみよう”という決心にいたったのは、昔趣味は何ですかと聞かれて、“ゲームやマンガ”と答えたかったのですのが、それが皆さんにはあまり認知されていない趣味だったんですね。ちょうど7、8年前でした。それで“ゲームやマンガ”と言い出せなくて、いまも少しはそういうところがあるかもしれません。そんな状況を変えたいなと思ったんです。一部の人だけではなくて、もっとたくさんの人に遊んでもらいたい。まずはゲームというものを知ってもらうためのきっかけになったらいいなという気持ちで作りました」

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 最後に、さらに本田さんの本気ぶりがうかがえるエピソードを……。当初『にょろっこ』は、本田さん自身がパブリッシャーをする覚悟でいたという。それが日本マイクロソフトの米倉規通氏からフォワードワークスの川口智基氏を紹介してもらい、「自分でプレゼンさせてくださいとお願いしました」(本田さん)との一念で、フォワードワークスにパブリッシングをしてもらうことにこぎ着けた。

 そのとき川口氏は、ゲームをユーザー体験として考えていたことと、実現したいという熱量の高さを感じたという。さらに「長く業界にいると業界よりの人間になってしまうが、本田さんはユーザー目線だった」との米倉氏のコメントも印象的だ。業界のプロたちも、本田さんの本気ぶりに心を打たれたからこそ、『にょろっこ』が実現できたと言えるだろう。

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本田さんをサポートする、フォワードワークス エグゼグティブディレクター川口智基氏(左)、日本マイクロソフト ゲーム&エンターテイメント営業本部 本部長 米倉規通氏(右)。このおふたりもかつてはプラットフォームフォルダーとしてライバル関係だったそうだ。「業界の発展のため」本田さんをサポートすべくタッグを組んだ。

ユーザー目線で作った『にょろっこ』は、初心者にも楽しんでほしい一作

――発表会では予算の苦労をお話になっていたのですが、今回のプロジェクトではプロデューサーの立ち位置を迫られる側面もあったのですね。

本田今回のプロジェクトはゼロから任せてくださったので、開発費の工面の部分や制作会社さんを決めたりなど、すべて自分でやらせていただいています。日本マイクロソフトさんの協力のもと、いろいろな開発会社さんやゲーム業界の方々をご紹介いただき、打ち合わせを重ねてきました。その際には予算の話も必ずしていたので、「自分でここまでするんだ……」と、当初は正直なところ思っていましたが、そういった面にも携わらないと「ゲームを作った」とは言えないだろうという考えで取り組みました。

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開発には尽きせぬ苦労があったよう。写真は発表会で紹介されたかつての映像から。

――『にょろっこ』では天使と人間が戦うわけですが、それと同じでプロデューサーとしての本田さんと、クリエイターとしての本田さんがせめぎ合ったりはしなかったのですか?

本田ありましたね。かなりありました。

――ご自身のやりたいことをできるだけ実現したいからということですか?

本田そうですね。入れたい機能が増えれば開発期間が延びて、そうすると当然ながら予算も増えるので、その捻出についても担当しました。

――いわゆる一般的なゲーム開発の苦労に近い感じですね。

本田そうなんです。私も「ここまでやるのか」と何度も思いました(笑)。でも、そういう部分にも携わっていないと「ゲームを作った」とは言えないと感じていました。

――とくに注目してほしい要素はどこになるのですか?

本田ステージ上にある自動販売機です。人間側は、ステージ上で拾ったコインを自動販売機で便利アイテムと交換することができるのですが、便利アイテムには“車”を使って高速移動したり、“花火”を打ち上げて天使の目をくらませたり、中には 隠れ身の術のように、分身キャラクターを登場させるアイテムもあるんです。こういった便利アイテムを活用することで、人間側の戦術の幅が広がるという部分が、入れたかった要素のひとつです。

自販機メニュー
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――本作は6ヵ月限定配信ですが、ビジネスとしても新しいチャレンジになりますね。

本田そうですね。ただ今回はビジネスという点だけではなく日本マイクロソフトさんやフォワードワークスさんはじめ、今回のプロジェクトでごいっしょした方々と“ともにした時間”は、私にとって何物にも代えがたい価値があると思っています。

――ちなみに本作は基本プレイ無料ですが、課金要素はどのようなものに?

本田ガチャもありますしストアもあります。アバターが売っていたり、スタンプもあります。スタンプは押すことで声が出るんですよ。

 じつは今回、ボイスチャット機能を入れようかとても迷いました。不特定多数の人とボイスチャットすることが苦手だったり、時にはマナーを逸脱した発言をする方もいらっしゃるので、楽しいというメリットだけではないデメリットが多く存在するのも実情です(費用面も含め・笑)。たくさんの方々と相談した結果無理してつける機能ではないという結論に至りました。この点を補う機能として声が出るスタンプにしました。

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――2対6という組み合わせが新鮮なのですが、たとえば友だちとふたりで組んで、対戦するということもできそうですね。

本田はい、いっしょに組んでできるようになっています。

――ふたりだと組みやすいですよね。2対6はいい数字ですね。

本田たしかにひとりでプレイすると不安な部分もありますよね。私もそうで、友だちとできたらいいなとはずっと思っていました。

――初心者でも楽しめそうですね。慣れている人が誘ってみたいな……。

本田はい。そういう楽しみかたもしてほしいです。初心者でも天使に挑戦していただきたいです。

 1対複数人はどうしても初心者の方やゲーム経験の浅い方だと“1”のほうを選択しずらいんですよね。私自身もできなかったらどうしようとかそういう不安から“1”のほうを選択できずにいることが多かったです。そんな方でも選択しやすいようなゲームスタイルを作りたかったということ、だったら対称型ゲームにしたらいいという考えもありましたがひとつのゲームの中で2種類の戦いかたが選択できるのは強みになるではと思いこの形に落ち着きました。

――2対6にしたのは、たくさんゲームを遊ばれてきたうえでの、本田さんにとっての最適なバランスなのですね?

本田そうですね。3対7とかいろいろと考えたのですが、「バランスを中心に試行錯誤して、皆さんにも相談しつつ、2対6に行き着きました。

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――6ヵ月限定にしたことに対して発表会で「ゲームを含めたエンターテインメントは、ゴールがあるから夢中になる」とおっしゃっていましが……。

本田アプリゲームは継続できるものが多くて、それももちろん素敵でいいのですが、私はやはりゲームは終わりがほしいので、どうしてもどこかで区切りをつけたいと考えていました。そのうえで、ゴールに向けて最大限に楽しむことができるよう、イベントやアップデートもしっかりと盛り込んだ “6ヶ月の特別な体験”をみなさんといっしょに共有したいという考えに至りました。

 『にょろっこ』にはストーリーがありまして、“天使と人間とどちらが最終的には勝つのか?”のフィナーレを、配信してから6ヵ月後に決したいと思っています。

――なんと、決着がつくのですか?

本田つきます。

――どちらが勝つか、決めていらっしゃるのですか?

本田それがイベントとつながってくるのですが……。イベントの結果で結末が変わる感じですね。

――なるほど……。どうなるかは、これからの皆さんのプレイぶりにかかっているわけですね。

本田そうなんです。どちらが多く遊ばれたか統計をイベントで取って、結末を決めます。『にょろっこ』参加者の皆さんとエンディングを作り上げていきたいですね!

――ちなみに、クリエイターとしての立場では、天使と人間のどちらにシンパシーを感じていますか?

本田私は天使ですね。

――最後に、本作を楽しみにしている読者の皆さんに向けてメッセージをお願いします。

本田私自身が子どものころからゲームが大好きでたくさんのゲームプレイをしてきましたが、近年出ているゲームはゲーム好きが楽しめるものはよく出ているのですが、ゲームをしたことがない方が挑戦するにはなかなか難易度が高いな、と感じていました。“ゲームをオンラインですることの楽しさ”を広めたい私としては、もっといろいろな方々が手に取りやすいゲームを作りたい、そう思い作ったのがこの『にょろっこ』という作品です。『にょろっこ』が皆さんの“楽しい”ツールになれば幸いです。

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