2021年4月24日に3周年を迎えた、アイドル育成&ライブ対戦ゲーム『アイドルマスター シャイニーカラーズ』(以下、『シャニマス』)。本作の3周年を記念して、樋口円香を演じる土屋李央さんにインタビューを実施。土屋さんが自身とは真逆と語る円香との思い出を聞いた。

※本記事は週刊ファミ通2021年5月7日号に掲載したインタビューに加筆、修正を行ったものです。
※本インタビューは3月上旬に実施しました。

土屋 李央(つちや りお)

8月19日生まれ、神奈川県出身。2019年にリリースされた、スマートフォン用アプリ『CUE!』に遠見鳴役として出演。その後、『SSSS.DYNAZENON』(らんか役)のほか、ラジオやWeb番組のパーソナリティとしても活躍している。(文中は、土屋)

『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」
『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」

――土屋さんが樋口円香として、『シャニマス』に参加されてから約1年が経過しましたが、円香に決まる前から『アイマス』シリーズのことはご存じでしたか?

土屋もちろんです。アニメも見ていましたし、ゲームも遊んでいました。私はもともとオタクなので、自宅のリビングで妹といっしょにガシャを引いたり、友だちとも『アイマス』を遊んだりしていました。

――とくに思い入れのある作品はありますか?

土屋いちばん遊んでいたのは『シンデレラガールズ』ですね。

――ちなみに担当アイドルは?

土屋前川みくちゃんです。本当にみんな大好きですが、ひとりだけと言われたら、みくにゃんを選びます。

――前川みくのどこに惹かれたのですか?

土屋うーん、そう言われると難しいですね(笑)。見た目ももちろんですが、スタイルや性格とか、そういうところが好きです。

――『シャニマス』はオーディションが決まる前からプレイされていたのですか?

土屋『シャニマス』をプレイしたのは、オーディションのお話をいただいた後からですが、ちょこ先輩(園田智代子)担当の友だちがいたので、その子からずっと話を聞いていて「始めようかな?」と思っていたところでした。

――そうだったのですね。それでは、『シャニマス』のオーディションのお話が来たときはビックリされたのではないですか?

土屋めちゃくちゃうれしかったですね。「私が受けていいんですか」みたいな(笑)。

――そうなりますよね。そんなオーディションのことは覚えていらっしゃいますか?

土屋私は円香と(福丸)小糸ちゃんを受けさせていただいたのですが、セリフを言って、歌を歌った後に面談がありました。そのときに「みんなで高みを目指していくうちに、ぶつかることもあると思いますが、それをどのように解決しますか?」と聞かれて、私は「トラブルや揉めごとがすごく嫌いで、カッとなってしまって、言いたくないようなこととか、思っていないことを言って、相手を傷つけることは本意ではないので、一旦寝ます」と答えました(笑)。私の中で、ノクチルは声を担当している子とアイドルがリンクしているイメージが強いので、おそらく、私以外の3人はそういう質問で、内面的な部分で似ているところがあって決まったのかなと思っています。でも、私だけが円香と本当に真逆で、「どうして、私が円香になったんだろう?」とオーディションのことを思い出すたびに感じます。

――何か感じるものがあったのだと思いますよ。ちなみに円香と小糸を受けられたとのことでしたが、自分的にはどちらがあっているというのはあったのでしょうか?

土屋真逆とは言いましたが、円香がいちばん演じやすくて、「この子で決まったらうれしいな」と思っていました。

――では、円香に似ていると感じる部分はありますか?

土屋性格的な部分では本当に真逆だなと思いますが、シナリオを読んでいて、円香が思っていることに対して、共感できる部分も多いので、そういうところは似ているのかもしれないです。

――円香の第一印象はいかがでしたか?

土屋本当に見た目が好きで「顔がいいな」というのが第一印象でした(笑)。

――そんな円香に決まったということを聞いたときはどういう気持ちでしたか?

土屋まさか決まると思っていなかったので驚きましたが、ノクチル4人の中でいちばん担当できたらいいなと思っていた子だったので、素直にうれしかったです。

――初めて収録される際にこういう風に演じてほしいというようなディレクションなどはありましたか?

土屋ノクチルの4人は本当に長い付き合いの幼なじみで、めちゃくちゃ仲がいいのですが、その仲のよさの表現を「もう心を開いているから、もっと雑でいいよ」とディレクションをしていただきました。仲がいいからこそ変に気を遣う必要がないというか、小糸ちゃんに対しても「もっとクールでいいよ」と言われました。

――仲がいいからこそ、遠慮なく言い合える関係みたいな感じですね。そのほかに意識されていることはありますか?

土屋ノクチルのシナリオはすごく生々しいというか、見ているこっちが「うわー、辛い……」と言いたくなるくらい、リアルな女子高生たちが描かれています。円香はクールなところがあるので、ノクチルの中だと大人びて見えますが、大人の目線で見ると、等身大の高校生でまだまだ子どもなんですよね。だからこそ、台本をいただいたとき、変に大人の目線で解釈しないようにしています。円香はまだ思春期で、感情の答えがわからない高校生特有のモヤモヤみたいなものを抱えているはずです。私の目線で物事を捉えて理解してしまうと、それは円香ではなくなってしまうので。

――円香らしさを大切にしているのですね。では、歌の収録はいかがでしたか?

土屋「円香だったら、どう歌うのかな?」ということを意識しています。たとえば、かわいい曲のときは、「こういう風にかわいく歌えばいいんでしょ」と円香が言っているようなイメージで歌っています。

『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」
『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」

――ここからはゲームについても伺えれば。『シャニマス』はどのようにプレイしていますか?

土屋私にはけっこう難しくて、のんびり遊んでいます。W.I.N.G.で優勝させることはできても、TRUE ENDにはなかなか到達できなくて。円香をプロデュースしては、失敗して「ゴメンね」と謝りながら、何回も何回もプレイしています。

――円香以外で、好きなアイドルはいますか?

土屋いっぱいいます(笑)。でも、幽谷霧子ちゃんの見た目がすごく好きで、霧子ちゃんで『シャニマス』を始めたので想い入れがあります。あと、MUSIC DAWNで、ステージに立っている関根瞳ちゃんが本当に真乃ちゃんに見えて感動して。それからというもの関根瞳ちゃんのステージを見ると、涙が出そうになるというか、感情が溢れてきそうになってしまうくらい、好きというか尊いですね。

――『アイマス』のライブは、本当にアイドルたちがステージに立っていると感じるときがありますよね。

土屋みんなアイドルとリンクしていますよね。その子が降りてきているなという子もいますし、その子といっしょに歌っているという子もいますし、ライブならではの感動がありますね。

――好きな楽曲やユニットについてはいかがですか?

土屋アンティーカも好きですが、ストレイライトの曲は毎朝目覚ましに設定して聞いています。ただ、あんなに激しい曲でも起きられないんですけどね(笑)。

――(笑)。すごくかっこいいですよね。ストレイライトのような楽曲を歌ってみたいという想いはあったりするのですか?

土屋やっぱり歌ってみたいですね。ノクチルの楽曲もバンドサウンドでかっこいいですが、また違った魅力がありますよね。

――すごく聞いてみたいです。続いて、円香のコミュで印象に残っているものはありますか?

土屋カードのシナリオも好きですが、やっぱり私はW.I.N.G.が「円香だな」と感じて印象的です。円香はクールで毒舌なので、第一印象で怖いと思う方もいっぱいいると思いますが、W.I.N.G.を見ていただければ、弱い部分やどういうことを思って生きているのかが描かれていて、ついつい読み返してしまいます。円香を演じさせていただているときのベースにもなっていますし、「円香はこういう子」というのがいちばん出ていると思いますね。

――円香のことをまだあまり知らない人は、ぜひW.I.N.G.をということですね。

土屋絶対に遊んでほしいです。円香の印象がガラッと変わると思うので。

『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」
『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」

――『シャニマス』3年目の大きな出来事として、ついにソロ曲が登場しましたが、円香のソロ曲『夢見鳥』を初めて聞いたときの印象を教えてください。

土屋「本当に樋口円香だな」と思いました。円香から見た円香ではなくて、プロデューサー目線というか、外から見たときの樋口円香だなと。最初に歌詞を見たときには、あまりにもプロデューサー目線で見たときの円香だったので、「円香はこの歌詞をどういう気持ちで歌うんだろう?」と考えました。円香は、自分がこうだとは思っていないはずなので。そうしたとき、スタッフさんに「歌詞に共感して、こういう風に歌おうと考えているかもしれないけれど、自分のことだと思って、歌わないでください」と言われて、ものすごく納得しました。

――なるほど。ユニット曲とソロ曲で歌うときに違ったことなどはありましたか?

土屋ユニット曲のときは、4人で歌うということをすごく意識していて。ノクチルは4人で完成みたいなところがあるので、ユニット曲はみんなが隣にいるのをイメージしながら歌っています。『いつだって僕らは』の掛け合い部分も、お互いの顔を見ながら歌っているぐらいの気持ちだったのですが、『夢見鳥』はひとりの曲なので、いつもとは違う方向性で大事に歌わせていただきました。

――ここからはライブなどのイベントについても聞かせてください。昨年行われた、MUSIC DAWNは、ノクチルとして初のステージでしたが、いかがでしたか?

土屋会場が大き過ぎて、すごく緊張しました。ノクチルが283プロに加わって、約半年くらい経過していて、会場は無観客で配信という形ではありましたが、初めてプロデューサーさんに見てもらえる機会だったので、「ちゃんと見てもらえるかな?」という不安や楽しみな気持ちなど、感情の整理が追い付きませんでした。ステージに立った瞬間は、足はガクガクで、手もブルブルで、声も震えてしまっていたのですが、いざ歌を歌い始めたら、4人でステージに立てていることがうれしくて、余計なことを一旦忘れて、全力で楽しむことができました。

――発売記念イベントなども経験せず、いきなりの大舞台ということで緊張しますよね。

土屋そうですね。先輩たちが作り上げてきたものを崩してはいけないというドキドキがありました。だからこそ、ステージが終わったあと、先輩方に「ノクチル、よかったよ!」と言ってもらえて、「私たちもここに居てもいいんだな」と安心しました。

――土屋さんは1日目のみの参加でしたが、2日目のステージはご覧になられましたか?

土屋もちろん見ました。

――2日目のノクチルが歌唱する前のセリフやダンスのフォーメーションにとても驚きました。

土屋すごくエモかったですよね。

――あのようなステージにしたいとお話を聞いたときは、どう感じましたか?

土屋「うわーーーー」と思って拍手でした(笑)。もちろんセリフは事前に収録したのですが、そのときに泣きそうになってしまって。しかも、歌については円香のパートを誰も歌っていないですし、ダンスのフォーメーションも4人のときのままで。じつは、2日目のダンスは最初3人のもので練習していたのですが、高山さんが「ノクチルは、4人揃って完成してほしいから、未完成のままがいい」と言ってくださって、あの形になりました。

――そうだったのですね。では、今後『シャニマス』でやってみたいことなどはありますか?

土屋みんなが歌っている曲のジャンルをシャッフルして歌ってみたいのと、朗読イベントをやってみたいです。

――『シャニマス』のイベントでは、朗読劇がおなじみになっていますが、ノクチルの皆さんはまだ参加されたことがないですからね。

土屋そうなんですよね。だから早くやってみたいです。あと、メンバーについての愛をひたすら語れる場所がほしいなと思っています(笑)。

――(笑)。本当に皆さん仲がいいのですね。

土屋たぶん、ほかのユニットもそうだと思いますが、私は本当にメンバーのことが好きなんです。この子のここがいいみたいな、プロデューサーの皆さんには見えていない部分もたくさんあって、私は本当に3人に支えられています。みんなの好きなところをただひたすらプロデューサーの皆さんにお伝えしたいですね。

――では、せっかくの機会なのでエピソードをひとつ聞かせてください。

土屋いいんですか! じつは、MUSIC DAWNの1日目に私が付けていた円香のヘアピンを、2日目に3人が付けてくれていて。私は事前に何も聞いていなかったので、本人たちに確認したら、「円香を感じたかった」と言ってくれました。

――その話を聞くと、2日目のパフォーマンスがさらにエモく感じますね。いいお話を聞かせていただいたところで、最後にプロデューサーの皆さんにメッセージをお願いします。

土屋ノクチルが加わってから約1年が経過しました。ゲーム内のストーリーなどを読んでいただいて、ノクチルがどういう子たちなのか、だんだんわかってもらえていると思いますが、ノクチルの子たちはまだまだ未熟なので、これからもっともっとアイドルとして成長していくと思います。私もすごく楽しみにしていますし、プロデューサーの皆さんも楽しみにしながら、見守ってくれるとうれしいです。よろしくお願いします。

『シャニマス』土屋李央さん(樋口円香役)インタビュー。「円香を演じるときは、変に大人の目線で解釈しないようにしています」

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