CRESTより、Nintendo Switch、PC向けに発売されている新作RPG『ARIA CHRONICLE -アリアクロニクル-』(以下、『アリアクロニクル』)。韓国のインディースタジオ“STUDIO N9”が開発を務める本作は、戦略性のあるターン性バトル、ランダムに変化するダンジョンマップ、多彩なジョブキャラクターなどが特徴の作品だ。
本記事では、ダンジョン系RPG初心者のライター視点でレビューをお届けしていく。なお、今回プレイしたのは2021年7月8日に発売されたNintendo Switch版となる。
※本記事はCRESTの提供でお届けします。
姫の旅路が一変、謎の教団との戦いに巻き込まれていく……
まず、本作のあらすじを簡単に説明すると、タマゲリア王国のお姫様であるアリアが王位継承の儀式を行うため、護衛の聖騎士・ティラと書記官・ジェロムを連れ、巡礼の旅をしていくというもの。
旅の大きな目的は、儀式が行われる“廃城に向かうこと”で、アリア自身は王位を受け継ぐことに不安があるものの、旅路は順調のようだ。しかし、道中の森の中で怪しげなトーテムを発見したことから状況が一変していく。
異様な気配を感じ、その場から逃げるように辺境の村“ラテブラ”へと向かうアリア一行。しかし、そこでは領主が原因不明の失踪を遂げ、先ほど見たトーテムと同じ模様のメモが残されていた。王位を継ぐ者として、この事件を見て見ぬふりはできない。
あのトーテムと関係があるのではと思い、周辺を調査していくアリアたちだったが、やがて謎の教団との戦いや大きな陰謀に巻き込まれていく……といった物語が展開される。
自分だけのパーティを作り、ランダム生成のダンジョンを冒険
事件を解決するため剣を取るアリアとティラ。しかし、ふたりだけで戦い抜くことは厳しく、村の酒場で何人か護衛兵を雇うことに。本作には、攻撃と防御のふたつの役割を備えた“ウォーリア”をはじめ、さまざまな属性魔法で戦う“メイジ”や、近距離で戦いつつ味方の回復なども行う“コック”など、バラエティーに富んだジョブキャラクターたちが10種類以上も登場する。
主人公のアリアは最初にどのジョブにするか選べるので、自分のプレイスタイルに合わせて決めてみよう。筆者はいろいろと悩んだ結果、バランスの取れたアタッカーが欲しかったので、攻守ともに優れたスキルを持つウォーリアを選んでみた。
村を出るとクエストに挑戦でき、ストーリーに関わる“メインクエスト”、モンスター討伐や鉱石採掘をする“サブクエスト”、何回でも挑戦できる“反復クエスト”の3種類から選んで攻略していく。
ちなみに、戦闘やダンジョンなど大まかな概要はメニュー画面のヘルプから確認できる。より詳しい情報を知りたいときは、村の酒場をチェックしておくのがオススメ。住民の会話から冒険のヒントを聞けたり、新たにサブクエストが発生する場合もあるので聞き逃さないようにしよう。
冒険は、入るたびにマップ構成がランダムで変わるダンジョン攻略が基本。ダンジョン内では、休息ポイントや商人、アイテムが入手できる採掘、採集ポイントなどが存在しており、敵のいるマスに止まると戦闘が開始されるといったシステム。各キャラクターのスピード値によって行動順が決まるターン制バトルとなっているので、戦況を見極めて戦おう。
“〇〇にたどり着く”、“〇〇を倒す”など、クエストごとの目標を達成するとクリアーなのだが、それまでの道のりは完全にランダムで設定される。ときには、敵にあまり遭遇しなかったり、採集ポイントにワナが仕掛けられていたりなど、何が起きるかは入ってからのお楽しみというわけだ。
ダンジョンRPGに対して難しそうなイメージを持っていた筆者は、とりあえず一般的なRPGを遊ぶときによくやっている「とにかく物理中心でぶん殴る」戦法で進めていたのだが、序盤の教団連中にコテンパンにされてしまった。
それもそのはず、『アリアクロニクル』は敵がくり出す状態異常の付加や味方へのバフ、デバフ管理が何よりも重要になってくるゲームなのだ。効果も重複してしまうので、筆者のように回復や補助を怠っていると「げーっ! 攻撃が当たらない!」、「こっちは睡眠状態!」、「経過ダメージが半端ない!!」といったように、あっという間にボコボコにされてしまうことも……。とはいえ、自分たちも同じように戦闘の流れを把握しつつ味方にバフをかけ、敵を徐々にとっちめていくヒリヒリした駆け引きが楽しめるのだ。力だけで突破するにしても、まずは状況を整えるのが大事! ムチャは禁物。
また、各キャラクターには“メンタル”が存在する。その名の通り、キャラクターの精神状態を表したもので、“HPがゼロになる”、“クエストを諦める”、“ダンジョンでスタミナが切れたとき”など、特定のタイミングで悪化してしまい、メンタルの状態に応じて、ステータスの低下や自分勝手な行動をするなどデメリットが発生。なので、ときには別のキャラクターと入れ替えて休養させなければいけない。新しくクエストを終えると徐々にメンタルが回復していくので、元通りになったらまた迎え入れよう。
このように、メンタル管理をしつつ予備メンバーの加入も視野に入れるなど、常に同じメンバーではなく臨機応変に戦術を練っていく楽しさが味わえる。戦闘中は敵味方の状態に注意し続けなければいけないゲーム性なこともあり、個人的には、回復役を担うジョブが複数いることや、アタッカー系のジョブにもちょっとした補助スキルが揃っているのもいい要素だと感じた。
それぞれの役割が唯一無二すぎると編成が固定化されてしまう可能性もあるので、本作のように選択肢が多く、パーティの状態に合わせてほかのメンバーでも役割を担うことができるのはとてもありがたい。自由なパーティが組みやすいのも魅力的だ。
ちなみに、ゲーム序盤の筆者のジョブ編成は以下の通り。
【前衛】
- ウォーリア:攻撃と防御ともにバランスが取れたアタッカー
- パラディン:戦闘では盾役(敵からの攻撃を引き受けて、他キャラクターへのダメージを減らす)として活躍。回復能力も持っている
- ローグ:双手武器を操り近距離攻撃に特化したタイプ
【後衛】
- ドルイド:回復、バフ、デバフ担当
- チャ―マー:前衛の補助がメイン
上記の編成でクエストを進めていくうちに、一部のキャラクターのメンタルがかなり悪化していたので、いったんパーティを編成し直してみることに。バランスなどはとくに考えず、“コック”をはじめ、まだ使ったことのないジョブを試してみたのだが、「このキャラってこんなスキル持ってたのか……あのダンジョンで活躍しそうだな」、「いまの編成なら前衛を少なくしてもいいかな」など、プレイすればするほど新たな発見があっておもしろい!
引き受けたクエストに適した編成にするため、ついついレベル上げにこもってしまうこともあるが、ダンジョンはランダム生成のため、何度挑んでも飽きないのがポイントだ。どういう編成が最適なのか試行錯誤していくのも、本作の大きな魅力のひとつであり、やはり楽しい。
個性豊かなキャラクターたちや、コツコツと進めていく戦略的なバトルが魅力の『アリアクロニクル』。普段ダンジョンRPGをあまり遊ばない筆者でも触りやすく、今度からも似たようなジャンルを遊んでみようと興味を持つきっかけとなった作品だった。
初心者から上級者まで楽しめるよう、難易度変更にも対応しており、バトルもターン性なため、落ち着いて戦略を練られるのもいい。ダンジョンRPGが好きな人はもちろん、自分のように「ランダム生成されるダンジョンや戦闘の状態管理とか、こういうゲームって気になるけど難しそう……」と思っている人にも、ぜひ手に取ってほしい一作だ。
商品概要
- タイトル:ARIA CHRONICLE -アリアクロニクル-
- プラットフォーム:Nintendo Switch、Steam
- 発売日:Nintendo Switch 2021年7月8日、Steam 2020年7月12日
- 価格:Nintendo Switch 4356円[税込]、Steam 1840円[税込]
- ジャンル:ターン制バトルロールプレイングゲーム
- プレイ人数:1人
- キャスト:久保ユリカ、泊明日菜、藤原夏海、平山笑美、小野早稀、菊池勇成 など(順不同・敬称略)
- CERO:B(12才以上対象)
- 販売:CREST
- 開発:STUDIO N9