『黒い砂漠』などで知られるPearl Abyss(パールアビス)が手掛ける新作『DokeV』(ドケビ)。本作は、“ドケビ”と呼ばれるクリーチャーを収集していく“収集オープンワールドアクションアドベンチャー”で、PCと家庭用ゲーム機での発売を予定している。発売日は未定。
2021年8月26日の“gamescom Opening Night Live 2021”で公開された最新映像は、フォトリアルな背景とポップなキャラクターが融合したグラフィック表現と、くり返し見たくなる情報量の多さから、公開から約1週間で700万弱の再生数を誇るほど、世界中から大きな注目を集めている。
ドケビ(DokeV) - ワールドプレミアトレーラー | gamescom 2021
その映像を観る限り、本作はオープンワールド内の要素がふんだんに用意されている様子。多彩な移動手段から、釣りなどのアクティブティ、リアルタイムのバトルなどなど、初めて映像を観た人はその要素の多さに圧倒されるだろう。
今回、この映像公開を受けてPearl Abyssへインタビューを打診。本作の特徴や魅力はもちろん、映像だけではわからないさまざまな要素を、『DokeV』開発チームにメールインタビューの形式で回答してもらった。
なお、ファミ通.comではPearl Abyssの日本法人、Pearl Abyss JP(パールアビスジャパン)へのインタビューも掲載しているので、こちらもチェックしてほしい。
インタビューで『DokeV』の内容に迫る!
――2019年の発表時点では、ジャンルは“収集型オープンワールドMMO”でしたが、最新の発表では“収集アクションアドベンチャー”となっていました。ジャンルを変えた理由を教えてください。
Pearl Abyss ドケビ開発チームじつはもともと、現状のままのジャンルでよいのかと開発しながら悩んでいたんです。今回の発表のタイミングでジャンルをMMOからオープンワールドアクションアドベンチャーに変更いたしました。
――オンライン要素やマルチプレイの要素はありますか? それともソロプレイに特化しているのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームゲームの核心となるストーリーにつながるシングルプレイもございます。コンテンツによってはほかのプレイヤーと協力しながらプレイするマルチプレイの要素もあります。プレイヤーどうし、いっしょにボスモンスターを攻略することもできるほか、ほかのプレイヤーと競い合うコンテンツなどもあります。プレイ人数については現在、検討中です。決まり次第お伝えいたします。
――PCと家庭用ゲーム機の両対応を発表されていますが、想定しているプラットフォームと、家庭用ゲーム機の場合は想定の世代をお教えください。また、当初はモバイル展開も検討されていましたが、モバイルへの対応はいかがでしょう?
Pearl Abyss ドケビ開発チーム具体的な内容についてはまだ決まっていませんが、現在はPCとコンソール(家庭用ゲーム機)に集中しています。
――モバイルとPCで同じアカウントやデータを共有できるタイトルも増えていますが、『ドケビ』ではデータ共有などは予定されていますか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームクロスプラットフォームやクロスセーブなどの機能についても考慮しています。
――日本語対応は検討されていますか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームさまざまな言語でローカライズを計画しており、もちろん日本語も対応しています。
――gamescomで公開された動画ではいくつかロケーションがあるように見えました。すべてシームレスでつながっているのでしょうか? それとも小さなオープンワールドがいくつもあるイメージでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チーム今回のトレーラー映像で登場したフィールドは、シームレスにつながった巨大なオープンワールドで構成されています。大きな島で、映像ではそのうちふたつの村が登場しましたが、島全体の10分の1程度に過ぎません。
――スケボーやジェットスキーのような戦闘以外の多数の要素が見られましたが、あれらの乗り物などは好きなときに乗れるのでしょうか? それともレースのようなサイドアクティビティとして用意されているのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームさまざまな乗り物が登場し、好きなときに乗れるようになっています。ご質問いただいた通りレースやサイドアクティビティもミニゲームとして実装予定です!
――釣りや凧揚げなどの要素がありましたが、ほかにはどんなコンテンツが用意されているのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チーム私たちが実際に子どものころに遊んでおもしろかったことを思い出しながら考えて作った部分なのですが、ほかにもさまざまなコンテンツを実装予定です。ほかのプレイヤーといっしょに楽しめるボードゲームなども入れる予定です。期待は裏切らないでしょう!
――クリーチャー収集以外にも多数の要素が詰め込まれているように感じます。そうなった経緯を教えてください。ディレクションの柱や方向性が変わったのでしょうか。それとも、密度の高いオープンワールドを作るために、さまざまコンテンツを作ってひとつにまとめたのでしょうか。
Pearl Abyss ドケビ開発チーム方向性が変わったわけではありません。弊社が現在、運営しております『黒い砂漠』も広大なシームレスオープンワールドで構成されています。『ドケビ』もオープンワールドですので、好きな場所に行くことができ、魅力的なドケビたちといっしょに自由に歩き回ってさまざまな冒険を楽しむことができるでしょう。また、新しいドケビに出会ったり、いろいろな人に出会って話を聞いて問題を解決したりします。そのほか、先ほどの質問にあったように釣りや凧揚げなどワールドのあちこちに多様なミニゲームなどがいっぱいあります。 このような多種多様なコンテンツが有機的につながり、オープンワールドをひとつの世界として感じさせてくれるでしょう。
――フォトリアルな背景と派手なパーティクルとポップな子どもキャラという組み合わせのアートディレクションは、どういう経緯で生まれたのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チーム開発初期には全体的にアニメーション風に制作しようともしましたが、目新しい感覚を与えられないと判断しました。
リアルな世界観で構成すると、全体的なクオリティを細かく表現することができます。 背景がリアルでなければ私たちが考える“ディテール”というものが抽象的になってしまいます。リアルさを追求する際には比較対象が現実となるため、ディテールの方向性をさらに追求できるようになり、現実世界レベルのリアルな世界でキャラクターが走り回ると、プレイヤーはより複合的な感情を感じることができると思います。
そして、フォトリアルな背景/環境で一度直接確認してみようと思い、実際にやってみました。服装や表情などもリアルなイメージで表現しています。最初は違和感があったのですが、続けて研究開発を行い、いまのようなハイクオリティなものに仕上がりました。
エグゼクティブプロデューサーのキム・デイルはディテールとクオリティに対する高い基準を持っており、絶えず新しい技術を探求してそれを適用しようとする人物なので、これからもさらに高グラフィック、良い環境、優れたレンダリング、細部にまでこだわった背景や建築などを追求していきます。
――下のインタビュー動画内で“メタバース”という表現をされています。メタバースは、たとえば『セカンドライフ』のようなユーザーが世界を改変できる空間だったり、たとえば『フォートナイト』のようにコンサートなどのゲーム以外の要素を提供するマルチメディア空間だったりと、人によって定義が異なると思いますが、どのようなイメージを持たれていますか?
ドケビワールドへ:Game Overview
Pearl Abyss ドケビ開発チーム『ドケビ』は独自制作した次世代ゲームエンジンの優れた性能で、仮想空間で現実のようなさまざまな体験ができるゲームです。現在はゲームそのものに対する開発を優先している段階です。メタバースについてはおっしゃった部分のすべてを含めて真剣に協議しております。
――本作ではドケビを集めていっしょに戦闘をするようですが、ドケビは自律的に行動するのでしょうか。それともプレイヤーが指示を出すのでしょうか。
Pearl Abyss ドケビ開発チーム戦闘時にドケビは自主的に行動しますが、プレイヤーが特定の状況下で必殺技を使ったときには、いっしょに必殺技を使ったりもします。戦闘する相手によって、より有用なドケビや必殺技を使い分け、さまざまな組み合わせをしながら戦闘をすることになるでしょう。
――ドケビとの出会いかたを教えてください。エリア内に潜んでいて、エンカウントして(もしくはシームレスに)戦闘に突入するのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームストーリーについて少しお話をすると、『ドケビ』は人工知能の技術が発達した世界を背景としています。“ザ・カンパニー”という場所で人工知能技術を利用したアンドロイドロボットを作っています。この“ザ・カンパニー”は主人公の立場からすると一種の悪者です。というのもアンドロイドロボットの人口知能技術が可能な理由は、ドケビを捕まえてAIチップに埋め込んでいるからなのです。ザ・カンパニーはこれを通じて何かを企んでいますが、ドケビを実験体にして抑圧しているという真実を知った主人公は、ロボットからドケビの仲間を解放し、ザ・カンパニーに立ち向かうことになります。
村やワールドのあちこちにドケビに関するヒントがあり、そのようなヒントをもとに一定の条件を満たすことでドケビに出会うことができるでしょう。比較的簡単に仲間にできるドケビもいれば、特殊な条件が必要なドケビたちもいます。さまざまなドケビと出会う楽しさがあります。
トレーラーで出てきたアンドロイドロボットとの戦闘がどのように発生するかについても少し説明いたします。まず、夢の彫刻という概念をお話ししなければなりませんね。 夢の彫刻は一種の資源のようなものでスケートボードでブーストを使ったり、高い場所へ行くために傘につかまってジャンプをしたりするときなどに夢の彫刻が使われます。
これを使うと、ザ・カンパニーのパトロールドローンが「誰かが夢の欠片を使っている」、「ドケビの力を使っている」ということを感知して飛んできます。パトロールドローンはザ・カンパニーの保安官のような存在ですが、このような状況になると戦闘が発生することになります。
そしてトレーラーの中でアンドロイドロボットとの戦闘で、掃除機を使って戦闘を終える場面がありますが、プレイヤーはアンドロイドロボットをやっつけた後、掃除機のようなものを使ってドケビを救ってあげるのです。この部分についての細かい内容は追ってストーリといっしょに公開する予定ですので楽しみにしていてくださいね。
――眼鏡がキーアイテムのようにも見えます。ドケビは街中で自由に暮らしていて、眼鏡をかけると見えるのでしょうか?
Pearl Abyss ドケビ開発チームドケビと人々はいっしょに暮らしています。しかし、多くの人はドケビの存在を知らなかったり、信じなかったりしています。主人公をはじめとする一部の人だけがドケビの存在を知り、見ることができます。ドケビは意図せずトラブルを起こしたりしますが、人々の夢を応援します。それはドケビが人々が持っている夢から力を得ていっしょに成長するという存在だからです。現実世界ではほとんど力を使うことはできませんが、人々に勇気と力を吹き込むことができます。
メガネをかけて見るという概念は現在は少し変わっています。主人公および何人かの特別な登場人物は、あるきっかけからドケビを見ることができる能力を持つようになります。
――マップのモチーフはありますか? 済州島のようなリゾート地に見えるのですが。
Pearl Abyss ドケビ開発チームトレーラーで出てきたマップは大きな島となっています。この島のモチーフになったのは韓国のウルルンドという島です。実際のウルルンドよりは高低差がありますけどね。そのほかにも私たちが幼いときに住んでいた釜山、ソウル、そして京畿道一帯など実際に経験してきた日常からインスピレーションを得てマップが構成されました。いままで出てきた地域とはまた違った印象を与える地域もあり、ひとつの島でさまざまな印象を感じることができるでしょう。
――動画ではボーカル入りBGMが流れていますが、ほかもボーカルの入った楽曲が基本になるのでしょうか。
Pearl Abyss ドケビ開発チームすべてにボーカルが入るという方向で決まったわけではありません。ボーカル入りの楽曲を含め、ゲームにぴったりなさまざまなBGMを考えています。
――『ドケビ』というタイトルの由来を教えてください。韓国語でおばけを意味する“トッケビ”をベースとした造語でしょうか。
Pearl Abyss ドケビ開発チーム韓国語で鬼・お化けを意味する“トッケビ”が由来ですが、発音しづらいため、英表記Dokevをカタカナ読みして "ドケビ" にしました。