2003年にアーケードで稼動した、『式神の城II』(式神の城2)。本作はアルファ・システムが手掛ける『式神の城』シリーズの2作目で、作り込まれたゲーム性やキャラクター性で人気を博し、いまなお根強い人気を誇る縦スクロール型の弾幕シューティングだ。

 そしてそんな『式神の城II』が、今回Nintendo Switchと、PC(Steam)にて配信されることが判明した。発売日と価格は未定。本記事では、移植に関わるスタッフ陣に、座談会形式で当時の開発エピソードや、今回の開発秘話などを語っていただいた。以下、4名のスタッフたちによる『式神の城』トークをお届けしよう。

『式神の城II』Steam版ストアページ
『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け

須田直樹氏(すだ なおき)

アルファ・システム所属。『式神の城II』オリジナル版のディレクターを務め、今回の移植版にも関わる。

照山茂行氏(てるやま しげゆき)

コスモマキアー顧問。移植版『式神の城II』企画・プロデュース。

永木映彦氏(えいき あきひこ)

コスモマキアー所属。移植版『式神の城II』ディレクター。

ジェームス・ラグ氏

フリーランス。『式神の城』パブリッシングディレクターを担当。『式神の城II』の移植には、直接的に関わっていない。

ファンの要望に応えた『式神の城II』

――まずは『式神の城II』が、Nintendo SwitchとPCに移植されることになった経緯をお聞かせください。

ジェームスこれはまず、初代『式神の城』がPC(Steam)移植された際のお話をしたほうがいいでしょう。現在私はフリーランスですが、以前はSteamの日本国内における展開で知られる、デジカという会社に在籍していました。デジカでは、某社の弾幕シューティングの販売を手掛けたのですが、その際にたまたま照山さんとつながり、『式神の城』をSteamで出す、という話にもつながりました。

照山ええ、弾幕シューティングであまりにも有名な某社さんに、ジェームスさんを紹介していただき、お話の実現につながりました。そこから須田さんのもとに、コスモマキアーで開発する前提で交渉しに行ったわけですが、須田さんとは個人的にも古くから知り合いですし、すぐ承諾をいただけました。

須田はい、『式神の城』はそういった感じでしたね。で、今回『式神の城II』を移植することに決定したのは、まあ1作目は移植されたのだから、じゃあ2作目もやろうかという感じで。あと、以前から『式神の城II』の移植が欲しいという声もちらほらと聞いていました。とくに2020年に発売した『シスターズロワイヤル 5姉妹に嫌がらせを受けて困っています』というシューティングがあるのですが、それは『式神の城』のシステムを受け継いだと銘打ったタイトルなだけに、「これもいいけど、『式神の城II』も遊びたいな」みたいな声も届いていて。

ジェームスさらに今回の『式神の城II』はPCだけでなく、Nintendo Switchでも出るのがいいですね。やはり家庭用ゲーム機で遊びたい、という人も大勢いらっしゃるでしょうから。

――PC版とSwitch版の同時開発、というのはやはり大変なのでしょうか?

永木本作はリメイクやリマスターという形ではなく、当時のソースコードをそのまま移植する形で実装しているため、そういう意味ではやりやすいです。もちろんやりにくいところもあるのですが。追加の要素や改善点なども、そのままNintendo Switch版に落とし込めたので楽でした。

 ただ、そのまま持ってきたからといって、忠実に再現できているのかというと、また別です。実行環境や何かしらの問題で、違うところが出てきたりするものですから。そこを絶賛チェック中、という感じです。

ジェームスああ、ありますね。というか、ありましたね『式神の城』のPC版移植のとき。とある部分だけのスコア倍率が違っていることをデバッグ段階で気づかずに発売してしまい、知り合いのゲーム基板を持っている国内ユーザーから「スコア倍率が違う」と指摘が入りまして、修正をかけたことがあります。やはり、やり込んだユーザーのほうが詳しかったりするわけです。

須田あるでしょうね。開発の僕たちよりも、何年もやり込んでいる方々のほうが多いでしょうから。とてもありがたい限りです。

照山あと、『式神の城』1作目はアーケード版と、家庭用のプレイステーション2版、Xbox版があり、それもそれぞれコードが違ったりするんですよ。Xbox版を参考にしてたら、じつはアーケード版で違う……なんてところもありましたね。

須田すごいですよね。憶測ですが、シューティングゲームってパターン化されるものです。いつものと同じパターンでスコアを稼いでたら、なんだかスコアがいつもより伸びないとか、そういった感じで気づかれるのではないかなと。

ジェームス移植といえば、海外版の『式神の城』はヤバかったんですよ(笑)。

須田あぁ、『Mobile Light Force 2』ね。なんとも言えないけども(笑)。

ジェームスじつはSteam版を出す際に、それもオプションとして入れようと少し考えてたんですよ。最終的にファンが怒るだろうなと思ってやめたんですが(笑)。

『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け
『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け

――では皆さん、『式神の城』シリーズの魅力をどう捉えているのか教えてください。

須田ど、どうですかね……? (原作を)作った僕としては答えにくくて(笑)。

照山キャラクターものシューティングとして、キャラクター自体の魅力が高いですよね。たとえばプレイヤーキャラクターのひとりに金大正がいますが、たまたま仕事で韓国に行ったときに、かなり認知度が高いキャラクターなんだなと知りました。あとは、芝村さん(※)が手掛けた、シナリオや世界観が秀逸で。

※元アルファ・システムの芝村裕吏氏。無名世界観という、アルファ・システムのタイトル群の世界観を構築した。『式神の城』や『高機動幻想ガンパレード・マーチ』などと、世界観を共有している。

ジェームスゲーム的な部分ですと、敵や敵弾に近ければ近いほどにスコア倍率や弾の威力が変わる、“テンション・ボーナス・システム”がすごくいいですよね。スコアラーのような遊び慣れている人は、スリルを味わいながらスコアを稼げるようになっていて、初心者もここぞというときには弾の強化を狙えたりして、遊ぶ人によってシステムの在り方が変わったりして。

 これはいまだから言えるのですが、シューティングゲームなのでセリフ数などは正直少ないので、ローカライズもカンタンだろうと思って、自分で引き受けたんですよ。ですが、無名世界観における設定や裏の意味、そして専門用語をどう翻訳すれば良いのか、調べるのに膨大な時間が掛かってしまいました(笑)。そこで、物語やキャラクター性、世界観の奥深さを知りました。『式神の城II』では、ふたり同時プレイでセリフが変わったりするのも、すごいですよ。

須田『式神の城』はキャラクター数ぶん用意すればよかったですが、『式神の城II』になって「あ、ふたり同時プレイだからセリフが掛け算で増えていくな……。まあいいか、やろう!」ってそのままスタートしましたからね(笑)。

ジェームスいやもう、リスペクトしかありません。

須田ちなみに、“テンション・ボーナス・システム”は、UPLさんの『オメガファイター』を参考にして、そこから発展させたシステムなんですよ。初代『式神の城』の稼動時のタイミングって、サクセスさんの『サイヴァリア』が流行っていて、敵弾に掠ることでパワーアップ効果を得られる“BUZZ”というシステムとよく比べられていましたが、『オメガファイター』の系譜なんです。

 もともとリスクを負いながら戦うっていうシステムが好きで、しかもパターン化することでより稼げるのがすごく好きでした。なので、コインをメチャクチャ出るようにしたりして、稼いでる感をより演出しています。もちろん、初心者は稼がずにジワジワ戦うだけでも、クリアーできるような。

照山それを以前ジェームスさんといっしょに聞いて、もう須田さんはシューティングゲーム愛に溢れているなと、本当に関心しました。

ジェームスだって『式神の城』だけでも自機が6人、『式神の城II』ではさらに8人に増えて、それぞれ性能が全部違くて。メチャクチャ工数掛かるじゃないですか。

須田まぁ、正直面倒です(苦笑)。通常攻撃ひとつとっても、全員が同じ攻撃方法を持っていないですから。あえてそうしたのは、とにかくキャラクターの個性を立てたかったからです。キャラクターのセリフやシーンだけでなく、触った感触から何まで含めて、愛してほしかったのです。まあそのぶんスタッフたちには迷惑を掛けたわけですが……。『式神の城』はまだマシで、『式神の城II』は8人×2種類の式神なんで、メチャクチャ苦労を掛けました(苦笑)。

 ただ、おかげで誰でもひとりは使えるキャラクターが作れたのかなと思います。たとえば初心者の人は、光太郎のオート攻撃(式神攻撃“食人鬼ザサエさん”)で敵を倒してもらえばいいし、マニアックな人はふみこを使って、高火力だけどピンポイントで狙う必要があるレーザー(式神攻撃“サテライトレーザー”)を使わないと稼げないみたいな。そういった感じで、いろいろな人に刺さるようにしたんです。

照山性能を知らない人は、まず小夜ちゃんをカワイイから使ったりしますしね(笑)。

須田巫女さんですからね(笑)。ちなみに小夜を巫女にしたのは、巫女を出したかったからです。『式神の城』はタイトーさんの基板で作られたゲームだったので、せっかくなら小夜という名前の巫女を出したいなぁと……理由はお察しください(笑)。

――『式神の城』シリーズは音楽も評価が高いですが、みなさんいかがですか?

ジェームスいいですね。ホントにいい曲揃いです。

照山『式神の城』Steam版を出すとき、デジタルサウンドトラックを発売しようという話もあったくらいです。

須田当時作曲したスタッフには、「こういう雰囲気の曲を」みたいなことをある程度僕のほうからオーダーしていましたね。シリーズ共通として言えるのは、やはり1ステージ目がとにかく掴みだから、テンポや曲調に気を付けていましたね。『式神の城』はノリの良さを重視して、『式神の城II』はメロディを全面に押し出すような感じにしてもらいました。

『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け
『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け

骨太な難度を誇る新モード

――今回の移植版では、新たなモードが追加されています。とくに注目のポイントはありますか?

永木やはり新要素の、いわゆるアレンジモードに相当する“ニューエントリーモード”ですね。このニューエントリーモードは、すべて須田さんご自身でアレンジしていただいているものです。全ステージの敵配置がオリジナル版とは異なります。遊ばせていただいているのですが、それが単純にすごく楽しくて。ただ、難易度は高いですね。

須田ええ、高くしています。基本的にはオリジナル版『式神の城II』を遊んでいた方々が、つぎに新しく挑戦するステージとして設計していますから。序盤はそうでもないですが、3面あたりから難度をハネ上げているので、初見の人には難しいと思います。始めて遊ぶ人は、まずアーケードモードをクリアーしていただければと。
 最近はゲーム実況なども多いですから、プレイヤーの方々がどう苦しむのかが楽しみです(笑)。オリジナル版のころはゲーム実況などはありませんでしたが、攻略DVDみたいなのは作られる時代で。それ見ると、自分の想定とは思いもよらない攻略方法で遊んでいたりして、予想外で楽しかったです。ニューエントリーモードもきっと、プレイヤーの皆さんは僕の予想を裏切ってくるのではないかなと。

――基本は同じ仕様だとは思いますが、Nintendo Switch版とSteam版の違いはありますか?

永木もちろん開発中なのですべてが完全同一とは断言できませんが、基本要素は同じものを予定しています。

照山ただ、やはりNintendo Switch版は携帯モードでサクっとタテ画面で、いつでもどこでも遊べるというのは魅力かもしれませんね。まあ、最近はデュアルモニターでタテ画面モニターを持っている人や、モニターアームで一時的にタテ画面にするようなPCゲーマーも多いですから、PCでもタテ画面で遊びやすい時代ですが。昔はブラウン管のテレビを横に倒してタテ画面にしたものです(笑)。

須田ああ、そうですねえ。オリジナル版開発当時もブラウン管でやらなきゃいけなくて、倒すにしてもメチャ重いし、大変でした。ですので、可能な限り小さいテレビで開発していたんですよ。だから、グラフィックとかの感じが分からなくて(笑)。知り合いのゲームセンターに頼んで、コッソリ開発基板持ち込んでアーケード筐体で確認したこともありましたね。

『式神の城2』がSwitch版、Steamで発売決定。オリジナル版や移植版スタッフ陣の『式神の城』座談会をお届け

――今回の移植開発において、とくに苦労されたエピソードはありますか?

永木じつは僕はそこまでシューティングゲームが上手いというわけではなくて。僕の腕前が低くて、確認作業やらデバッグやら何やらが進めにくいことには苦労していますね……(苦笑)。最初にニューエントリーモードをいただいたときには、泣きそうになりました。

須田すみません(笑)。あの~……これ、誰にも報告してないんですが、1回とあるステージのデータをすべて吹っ飛ばしてしまいまして(笑)。ステージ編集ツールみたいなのがあるんですが、それがほぼほぼ完成の状態のデータを、どうやら保存し忘れたようで、ほぼほぼ全部なくなってしまって(苦笑)。幸いにも、ツールのデータではなく、ゲームに入る実データとして出力はされていたんです。そのデータを読み解きながら、新たに配置していく……というメチャクチャに大変な作業をしてしまいました。

永木ええ! 初耳ですよ本当に(笑)。

須田復旧作業だけでも数日かかりましたね……。

――ご苦労様でした……。それでは最後に、皆さんよりメッセージをお願いいたします。

永木今回の移植に関われて光栄です。『式神の城』シリーズファンの皆さんのご期待に添えるようがんばります。新モード、楽しいですよ! これまで遊んだことのない人にもオススメです。ぜひSteamのウィッシュリストに登録をお願いいたします。

照山ようやく実現できました。私もイチファンとして楽しみたいですし、大勢のプレイヤーの方々に触ってみてほしいです。個人的には、これでまたシューティング界隈が盛り上がってくれるといいですね。

ジェームスファンとしてはもちろんうれしいです。Steam版『式神の城』に関わったスタッフ陣が関わっているので、ファンにとっては出来のよいものが遊べることが前提としてわかるでしょう。まだ遊んだことのない人にとっては、ものすごいやり応えのあるシューティングゲームが遊べるので、楽しみにしていてください。これを読んだアナタ、必ず買うように。

須田現行機で『式神の城II』遊びたいな、という意見を寄せていただいた方々、本当にお待たせいたしました。大きな目玉になるニューエントリーモードは僕が担当しましたが、オリジナル版をオマージュしたようなアレンジが効いているところから、まったく違うステージになっているところもあります。いろいろと楽しめるようになっていますので、全ステージクリアーやハイスコアを目指してみてください。