本作は『ブレイブリーデフォルト』や『オクトパストラベラー』などを手掛けたスクウェア・エニックスの浅野智也氏率いる“浅野チーム”とアートディンクのタッグによる、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)向けの新作。発表当初は“プロジェクト トライアングルストラテジー”という名で公開され、現在も先行体験版が配信中の作品だ。

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 2021年9月30日から開催される“東京ゲームショウ2021”に先駆け、そのスクウェア・エニックスがメディア向けに“TGS 2021 Online体験会”を実施。会期中は『トライアングルストラテジー』の試遊ができ、今回は事前にゲームショウでも体験できる新たなバージョンを先行してプレイする機会に恵まれた(なお“東京ゲームショウ2021”は招待制で、一般参加は不可)。

 その内容は、ゲーム開始から第1話が終了するまでの物語冒頭と、体験版で遊べる6、7話の続きとなる8話(7話の最後に選んだ選択肢の分岐ルート2種類)をからひとつを選び、1時間の試遊を行うというもの。筆者は今回、第1話が終了するまでのゲーム冒頭をメインに、残った時間で8話のバトルのみを遊んだ。それらのプレイリポートをお届けしよう。

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ここから三国の戦争が始まる?

 まずはゲーム冒頭で体験できた、始まりのストーリーをご紹介。

 物語の舞台となるのは、三つの大国が争いを続けてきた戦乱の大地“ノゼリア”。かつて塩と鉄の利権をめぐる戦い“塩鉄大戦”が巻き起こったこの地では、戦いの果て、塩の利権を持つ“聖ハイサンド大教国”、鉄の利権を持つ“エスフロスト公国”、その狭間にある“グリンブルク王国”の三国が均衡を保っていた。

 ところがあるとき、グリンブルク王国内で新たに鉄の採掘場が発見された。ここでグリンブルクはこの鉄を独占するのではなく、採掘場をほかの二国にも開き、三国の共同採掘場として使おうと持ちかけたのだ。このような状況の中、グリンブルク王国の名家“ウォルホート家”の次期当主である主人公・セレノアは、エスフロスト公国の公女・フレデリカの輿入れの日を迎える。

 それは塩を独占する聖ハイサンド大教国への牽制を目的として、グリンブルク王国とエスフロスト公国の二国間で取り決められた政略結婚だった。この状況を受け、聖ハイサンド大教国も共同採掘への参加を決定。結果として三国共同となったこの事業は平和の象徴となったのだ。こうして共同採掘の決定を記念し、グルンブルク王国内で三国の名だたる者たちが集まる式典が開催となり、式典と武闘大会が開かれる……というのが冒頭のあらすじだ。

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 物語の本筋は、グリンブルク王国にフレデリカが侍女・ジーラとともに船で到着するところから始まる。到着したふたりは護衛兵とともに迎えを待つが、そこに現れたのは謎の盗賊たちだった。

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 フレデリカが盗賊に襲われそうになったところにヒロイックに現れたのが、主人公セレノアと、ウォルホート家の参謀を務めるベネディクト。ちなみにセレノアは、助けている人物が許嫁のフレデリカだとは知らない模様。さらには城を黙って抜け出してきた、セレノアの親友にしてグリンブルク王国の第二王子・ロランも駆けつける。そこからバトルに突入。勝利して盗賊を追い払う。

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 無事にウォルホート家に嫁ぐことになったフレデリカは、家の者たちと相互に紹介を終え、現当主のシモンと面会する。しかしシモンは、病により身体が弱っていることから引退を宣言。セレノアが新たな当主となったところで第1話は終了となった。

 ここまでは盗賊騒ぎ程度でそれほど物騒な話もなく、政治的な小競り合いはあるものの、三国の均衡も保たれた状態。物語は比較的平和に進んでいった。体験版などからわかるように、この後は三国の戦争へと発展していくことになるが、何が契機となり、どんなストーリーやドラマが描かれるのかが、より楽しみになる1話だった。

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選択肢がどう影響する?

 本作の会話シーンではときおりいくつかの選択肢が提示され、その中からプレイヤーがひとつを選ぶことができる。選んだ選択肢により3つの“信念”と呼ばれる見えない値が蓄積され、ルートや仲間の参加条件などに関わってくるという。

 1話では、戦闘前の盗賊との会話に選択肢が登場。ここで「ところでキミたちは親子なの?」というような、ちょっとフザけたというか、なごやかな雰囲気の選択肢を選んでみた。すると盗賊のお頭・トラヴィスが「愛娘のトリッシュだ」と紹介してくれたりも(トリッシュちゃんは「親父みたいにゴツくない!」とイヤがっていたが)。なんだかこれは……ゲーム的に考えると、のちのち手助けしてくれたり、もしくは仲間になりそうな雰囲気?

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 また、フレデリカはローゼル族という種族のようで、めずらしい髪の色を気にしていたところにも選択肢が。セレノアが褒めてあげると、フレデリカは恥じらっている様子。まだまだ初々しい、ふたりの間柄が垣間見えた。

 なお体験版にはなかった要素として、登場人物たちの詳細なプロフィールやバックログの表示ができるようになっていた。三国に関わる登場人物が第1話だけでも非常に多かったので、これらの機能でより物語を飲み込みやすくなるだろう。

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第1話の時点で骨太バトル!

 本作はターンベースのシミュレーションバトルで、移動先を決定する前にシミュレートしてみては、命中率や与えるダメージ値の予測などを見ながらじっくり考えられる、昔ながらのタクティクスバトルといったところ。体験版になかった要素として、バトルの難易度をイージー、ノーマル、ハードから選べるようになっており、今回はノーマルで試遊している。

 第1話冒頭の盗賊とのバトルは、チュートリアルの意味を持ったステージで、敵を全滅させればクリアーだ。だが最初に体験するバトルとはいえ、トラヴィス、トリッシュはなかなかに手強く、敵を挟撃することであらかじめ隣接していたユニットが攻撃を追加してくれる“追撃”や回復魔法を適宜に使わないと倒せない、なかなか骨太な難度となっていた。

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 とくに、颯爽と馬に乗って現れたロランは、ステージ開始時にはセレノアたちと離れており、孤立した状態だ。優れた武勇を持つロランとはいえ、盗賊数人に囲まれると一気にやられてしまう。馬の移動力を駆使して敵を誘導したりしながらバトル後半にようやく合流、という感じが戦術の重要性を強く感じるところだった。

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8話のバトルも体験!

 残った時間で8話のバトルも体験。すでに1話からかなり話が進んでいることもあり、なぜ参加しているのかわからない仲間も何人か登場しつつ、大人数でのバトルが展開された。

 体験したステージには雨が降っており、地面に水たまりができていた。そこに雷の魔法や氷の魔法を使うと地形による追加効果が生まれるため、よりユニットの立ち位置が重要に。

 また、弓兵は立ち位置によって矢が遮られる場合もあり、距離だけではなく、どこに立たせるのかもポイントだ。とくに味方のひとり、ヒューエットは大鷹に乗った弓兵で、鷹ごと高所に登れるために非常に頼りになった。さらに高い位置から攻撃すると、与えるダメージにさまざまなボーナスが付くこともあり、高低差は重要な要素だと感じた。

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 なお、ユニットは撃破されても、たとえばキャラクターのロストや経験値ダウンなどはとくにないようで、ユニットが倒されることでの緊張感はあまりない模様。その代わり、敵は一般兵だろうと容赦のないダメージをくり出してくるので、単純に全滅しないように戦うのがポイントになるだろう。

 ちなみに、今回遊んだ8話は、体験版7話のラストで選んだ分岐先のうちのひとつであり、さらに8話内でも分岐があった。これだけの手応えある戦いが、複数に分かれた分岐先のひとつの戦闘にすぎないというのは、1周目の味わい深さや、周回プレイの楽しさにもつながりそうだ。

発売が待ち遠しい!

 重厚な物語の一端と、難度の高めなやり応えのあるバトルが楽しめた今回の試遊。発売は約半年後の2022年3月4日とまだまだ先にはなるが、さらなる続報などに注目しつつ発売を心待ちにしよう。まだ先行体験版を遊んでいない人は、いますぐにでもダウンロードしてこの手応えを垣間見てほしい。