2021年10月21日に、THQ NordicからNintendo Switch版が発売となった、アクションアドベンチャーゲーム『Darksiders III(ダークサイダーズ3)』。本作は2018年にプレイステーション4/Xbox One/PC向けに発売しており、Switch版は3年越しの移植です。

 今回、「この機会に改めて『ダークサイダーズ3』の魅力を広めたい」という編集部からの相談を受け、レビューを書かせていただきました。

 なお、レビューにあたってプレイしたのはPC(Steam)版。Nintendo Switch版と比較すると、グラフィックの品質やフレームレートには違いがあるかと思いますが、ゲーム本編の内容は同一です。本作が気になっている人に、参考にしていただけたら嬉しいです。

 ちなみにSwitch版には他機種版では別売りだったふたつの追加コンテンツが、最初から収録されているとのこと。購入を検討している方は、こちらもご確認ください。

※本記事はTHQ Nordic ジャパンの提供でお届けしています。

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新作のたびにゲームジャンルが(ちょっぴり)変化する『ダークサイダーズ』シリーズ

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?

 『ダークサイダーズ』シリーズは、ナンバリングを重ねるたびにゲームジャンルの組み合わせや、各ジャンルの比重が変化しているシリーズです。

 1作目は戦闘と謎解きをくり返して先へと進んでいく、オーソドックスなアクションアドベンチャー。2作目ではここにオープンワールドやハック&スラッシュの要素が組み合わされ、広大なフィールドの探索や、より強力な武器・装備を探し求める楽しさが加えられました。

 そして今回レビューする『ダークサイダーズ3』では、敵に倒されると貯まった“ソウル”をその場に落とし、再びそこまで戻って取り返さなければならないという、いわゆる“ソウルライク”なシステムに。敵もなかなか手強く、攻撃の挙動を見極めて回避行動を取らなければなりません。一度に複数人を相手取ると、途端に窮地に立たされてしまう局面が多々ありました。

 通常難易度の“バランス”でもなかなか難しめ。ちなみにもう少し気軽に楽しみたい人のために、より簡単な“ストーリー”という難易度も用意されています。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
青いゆらゆら浮かんでいる物体が、以前倒れた場所に漂っている“ソウル”。
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
敵が複数いると、途端にピンチに! ちなみに“ソウルライク”と言っても、スタミナの概念はない。

 代わりに『ダークサイダーズ2』と違い、フィールドはオープンワールド的な構造ではなくなり、ハック&スラッシュ要素も控え目に。要素の数は絞られ、1作目に近いシンプルな構成要素が楽しめる調整が成されています。

 ちなみに2020年に発売されたシリーズ4作目『ダークサイダーズ ジェネシス』では、ふたり協力プレイが可能な見下ろし視点のアクションアドベンチャーへと変化。もしかしたらつぎなる作品では、またまったく違うジャンルを取り入れて、我々に新鮮なおもしろさを提供してくれるかもしれません。

やりがいがありつつ、キツ過ぎない、絶妙な塩梅の“ソウルライク”な戦闘

 『ダークサイダーズ3』の主人公は、ウォー、デスに続く“黙示録の四騎士”の3人目にして唯一の女性であるフューリー。

 物語は天国と地獄による終末戦争に巻き込まれようとしている地球に調和を取り戻すため、フューリーが“評議会”による召喚を受けるところからはじまります。評議会によれば終末戦争は、ウォーの裏切りによって封印が破られたことが引き金になって、始まろうとしているとのこと。ウォーにはなにか言い分があるようですが……?

 四騎士のほかの3人が自由に動けぬ状況の中、フューリーは地上を混沌に陥れるべく解き放たれた“七つの大罪(セブン・シン)”をひとり残らず倒すべく、地球へと降り立ちます。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
手前が今回の主人公であるフューリー。後ろで捕えられているのは1作目の主人公、ウォー。
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
フューリーの監視役・ウォッチャーとのやり取り。直情的な行動を取ろうとするフューリーをいさめ、気遣う言動も多い、イイ人(人ではないけれど)。

 フューリーは無数の刃の付いた鞭の使い手。豊富なコンボが用意されており、リーチが長く、複数の敵を巻き込んで攻撃することも可能です。加えて、ゲームを進めるたびに解放される4つのフォームを駆使することで、双剣、槍、ハンマーといった、使い勝手の異なる武器を併用することができます。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
フォームチェンジで多彩な攻撃をくり出そう。
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
特定の場所では鞭を巻き付けて、振り子の要領で遠くまで飛ぶこともできる。

 敵も黙ってやられてはくれません。ほとんどの敵に複数の攻撃パターンが用意されており、こちらの連続攻撃に割り込んで攻撃を仕掛けてくることも。フューリーは防御ができないので、敵の攻撃モーションをよく見て、タイミングよく回避行動で避けることが求められます。

 この回避がジャストタイミングで決まれば、カウンター攻撃を叩き込むチャンス。鞭ならば通常よりも強力な攻撃を放ち、敵によってはダウンさせることができます。各フォーム専用の武器ならば、炎上や感電といった状態異常を敵に付与。やみくもに攻撃していても、割り込みなどで反撃を受けるリスクが大きいため、このカウンター攻撃を積極的に狙っていくのが、戦闘のセオリーになっています。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
ジャストタイミングでの回避が成功すると、時間の流れが一瞬スローモーションになる。これが気持ちいい。

 厄介なのが、ほとんどの敵が持っている複数の攻撃パターンは、多くの場合、モーションから発動までのタイミングが微妙に異なっている点。ジャスト回避が成功するタイミング自体はそこまでシビアではないのですが、どの攻撃が来るか、モーションを見てから回避のタイミングを見定めなければなりません。これが本作の戦闘の難しさの大きな部分を占めており、また熱くさせられる部分でもあるのです。

 画面左上の橙色のゲージが最大になれば、フォームごとの特殊攻撃が放てるように。うずまきのようなゲージが貯れば“ハヴォックフォーム”を発動。強力な攻撃を連発しつつ、敵にダメージを与えた分だけ自分は回復できるように。強敵との戦いで戦局をひっくり返す可能性を秘めた、フューリーの切り札です。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
ハヴォックフォームはフューリーの切り札。

 ときおり現れるヴァルグリムというキャラクターは、敵を倒すたびに手に入る“ソウル”と引き換えにフューリーに恩恵を与えてくれる存在。彼に“ソウル”を渡すことで、フューリーをレベルアップさせてくれたり、回復や一時的な能力強化の効果を持つアイテムと交換してくれます。

 レベルが上がると“特性ポイント”が手に入り、これを消費することでフューリーのライフ(HP)、物理攻撃力、魔法攻撃力のいずれかを上昇させることが可能です。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
“蛇の穴”によってヴァルグリムがいる場所から、ほかのヴァルグリムの出現ポイントへとワープすることもできる。
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
特性ポイントでフューリーを強くしよう。

 フューリーが倒れると、一度倒した敵も復活するので、これをくり返した場合、“ソウル”は実質的に無限に手に入ることに。アクションが苦手なプレイヤーは、その分多めにレベルを上げることになるため、プレイを続けていくうちにある程度腕前に則したゲームバランスになっていくはず。

 中盤以降は、武器に強化アイテムを取り付けて、自分のプレイスタイルに合った性能を付加するといった要素も存在。わりと難しめなゲームであることは間違いありませんが、戦闘面で遊び手を極端に選ぶ訳でもありません。

 敵を倒すと回復アイテムを落とすことも。持てる回復アイテムの数は限られているので、こまめに回復してなるべく回復アイテムの所持数にひとつ“空き”を作っておいたほうが、効率的かつ余裕を持って戦闘に臨めるのも、本作の特徴。

 試行錯誤をくり返し、難所を切り抜けたときの嬉しさはかなりのものです。

ソウルライク×謎解きのイイ感じな組み合わせ。一方でちょっとした問題点も

 フューリーは新たなフォームを解放するたび、新たなアクションや属性が付与され、これによってフィールドにあるギミックへと干渉するアプローチが増え、新たな道を切り開けるようになります。

 たとえば炎の能力を手に入れたフューリーは、道を遮る蜘蛛の巣を燃やしたり、空中で高く飛び上がって、それまでは届かなかった足場まで、手が届くように。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?

 ただし、新たな能力を手に入れれば、これに対応したギミックはすべてラクラク通れるように――というわけではなく、少し頭を使う必要がある場合も。シリーズ恒例の、道中での謎解き要素も健在です。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?
この虫が登場したら、近くに虫を利用した謎解きがある合図。周りを見渡してみよう。

 少し本作の難点を挙げるとすれば、広いフィールドに“もう行ける場所”と“まだ行けない場所”が混在しているエリアが多く、「つぎにどこへ向かえばいいのか」少々わかりづらい点が挙げられます。

 謎解きの解法を見逃しているのか、それともまだ先に進めない場所なのかがわかりづらいため、昨今のユーザーフレンドリーなゲームに慣れているとつまづくかもしれません。

『ダークサイダーズ3』レビュー。ジャンルごった煮シリーズの3作目は“ソウルライク”のファンならプレイする価値アリ!?

 気になる部分にも言及しましたが、総合的にはさまざまな要素が高いレベルで組み合わされている『ダークサイダーズ3』。謎解きの比重が大きいアクションRPGで、ソウルライク。そのすべての要素が好きな人にとっては、かなりの傑作と感じられるのではないかと思います。

 ここまでのレビューを読んで魅力を感じた人は、プレイしてきっと損ナシ。そして作品世界に魅了されたのなら、ほかのシリーズ作品にもぜひ手を出してみてください。

Switch版にはふたつのDLC“The Crucible”、“Keepers of the Void”を最初から収録!

 最後に、Nintendo Switch版に収録されるふたつのDLCを詳しくご紹介します。

DLC1“The Crucible”

 “The Crucible”は、伝説のアリーナを舞台に数多の強敵たちと戦いをくり広げる、戦闘に特化したDLC。100を超えるウェーブが、フューリーを待ち受けます。激闘を制すれば、新たな装備品や、武器・魔法を強化できる新たなアイテムなどが入手可能。

 回復アイテム“ネフィリムズレスパイト”をいつ使用するかを見極めるのが、より多くのウェーブを生き残るコツ。シビアな戦闘が次々とくり返される、謎解きよりも戦闘が好きというプレイヤーならばたまらないチャレンジとなっています。

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DLC2“Keepers of the Void”

 “Keepers of the Void”は、ヴァルグリムから依頼を受け、古代の脅威を排除するべく新たなるクエストに挑むこととなるDLC。本編には登場しなかった新たな敵や、頭を悩ます謎解きが登場します。

 対するフューリーも、斧やグレイブなど、新たな武器を手に入れることに。新鮮な発見に満ちた冒険が待っています。

 こちらは『ダークサイダーズ3』本編の戦闘×謎解きというゲーム内容を、もっとおかわりしたい人に挑戦してほしいチャレンジ。本編とはひと味違う敵、謎解き、そして新たな武器を堪能してください。

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 どちらのDLCも、ヴァルグリムに話し掛け、“蛇の穴”から“忘却の彼方”にワープすることでチャレンジできます。『ダークサイダーズ3』を楽しみ尽くしたい方は、ぜひプレイしてみてください!

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“The Crucible”は“試練”、“Keepers of the Void”は“虚空”にワープすることで挑戦できるように!