2021年11月18日(木)にPC(Steam)でアーリーアクセスを開始した剣戟アクション戦争ゲーム『Myth of Empires』。古代の東方をイメージさせる世界で、自由度の高い大規模なバトルを体験できるオープンワールドゲームだと聞いた。
ロード画面のビジュアルでは巨大な投石器で城砦を攻撃している様子が見て取れる。そういった雰囲気の戦争を楽しめるウォーゲームなのか。なるほど。
筆者は記事の依頼を受けて、さてどんな部隊編成や戦略を披露してやろうかと意気込んだ。ある意味、戦いの世界への異世界転生である。
ゲームを起動して、キャラクターメイキングを経て、さっそくスタートしたところ、
素っ裸で野原に放り出された。配下の武将は? 拠点の砦は?
呆然としつつも、いろいろなゲームを遊んできた筆者のカンがビンビンに反応した。これはきっと裸一貫のサバイバル生活からスタートして上り詰めていくゲームということなのだろう。
担当編集者に「思ってたのと違う」と電話したら、返答は「生き延びてください」だった。そんな過酷なオーダーを受けたのは初めてだ。話によると『Myth of Empires』は
- 広い世界で自由に行動するオープンワールドゲーム
- 己の力で大自然を生き抜くサバイバルゲーム
- 素材を集めて装備や食料、住居を作るクラフトゲーム
こういう顔を持っているという。住居を作る延長に巨大な要塞建設やほかのプレイヤーとの交流、敵対勢力との大規模な戦争が待っていて、その土地を支配すれば税収で生活もできる。
ほうほう。スケールが大きくておもしろそうだ。担当編集者は続ける。
「人間タイプの敵を磔(はりつけ)にできます」
ちょっと待ってくれ。展開が急すぎないか。いったん情報を整理する時間をください。
どうも、一部の敵は殴って気絶させた後に柱にくくりつけると仲間できるらしい。そうやって言うことを聞かせて配下にするのだとか。
そこまでして仲間を作るのが大切ということは、大規模な戦闘がメインコンテンツに違いない。サバイバル生活はPvPにいたるまでの準備期間、ある種の過程だろう。と、正直言って侮っていた。
だが、違った。このわくわくは何だ。進めるうちにやれることが増え、道具を作り、FPS/TPSの要領で獲物を狩って肉を食べ、家の構造に頭を悩ませる。木を伐採しながら「つぎは2階を作ろう」などとアイデアを練る。素材収集の帰り道の何と楽しいことか。
ははぁーん。気付いてしまったぞ。
大規模な戦争を楽しむという目的はたしかに遠い。だが、その道のりが何だか楽しいのだ。だって、磔にして軍門に下るように迫るゲームってすごくないか。
もちろん最終的には大規模PvPを目指したいと思ってはいる。今回の記事では本作の最序盤で生き残りと成り上がりを賭けた、筆者のサバイバル日記をお届けしたい。
基礎を手探り。採取と道具作成が基本っぽい
改めて、本作のゲームスタート直後の様子から順を追って体験記をお伝えしていこう。まずは操作するキャラクターを作成し、ゲームを遊ぶサーバーを選ぶ。
サーバーは“公式サーバー”の中の地域別にいくつも用意されているが、まずは他プレイヤーに攻撃されないPvEのサーバーを選んでみた。NPCを介すると別サーバーに移動できるようなので、PvEサーバーで資源などを溜めてからPvPサーバーに殴り込もうと思ったのだ。
そうしてサーバーを選んだら、続いて地域内でのスタート地点を選択する。すると記事冒頭のとおり、裸一貫で大地に降り立つことになる。
操作はWASDキーで移動、マウスで視点移動、左クリックと右クリックで攻撃アクションなど、筆者が大好きなMMORPGやFPSゲームとほぼ同じ。
近くにあった草にEキーでアクセスできたので採取を続けてみたら、いろいろなアイテムを入手できた。
MMORPGで持ちもの確認といえば、そうIキー押下だ。インベントリを開いて中身をチェックする。
なるほど、草を刈ったら縄が作れるわけだ。そしてリストの隣りにある石の斧などは、縄、枝、石でできるっぽい。
その辺に落ちていた枝や石を拾い集め、石の斧と石の槌を作成。木や岩をこれらで殴ることで、より多くの枝や石といった素材が手に入った。なるほどなるほど。
ついでにインベントリ画面の上部にタブ選択のボタンがずらっと並んでいたので、ぽちぽちとクリックしてみる。すると“製作レシピ”というページが出てきた。
レベルが上がるとレシピ解放用のポイントが溜まったり、解放できるレシピが増える仕様のようだ。
焚き火を設置したらEキーでアクセス。焚き火の場合、右上のところに燃やすための木系のアイテムを入れれば着火できるようだ。
そして右下の焚き火用インベントリに材料を放り込むことで、画面上にあるリストから調理できた。なるほど、焚き火以外の施設もこうして使っていく感じなのだろう。
そんなこんなで採取を続けたら、荷物が重くて走れなくなった。捨てるのはもったいないので、アイテムを別の場所に移したい。
制作レシピを眺めていたら木箱を発見。設置したらアイテムを片付けることができた。これで重量問題も解決だ。
焚き火を作った段階で気付いたのだが、寒気などの概念はなさそうだ。画面左上のゲージは体力、スタミナ(走ったりすると減る)、そして空腹度の3本しかない。
のどの渇き概念もないようなので、とりあえず空腹を食糧で満たしていけば、雨に降られたりしても生きていけるようだ。まずはひと安心。
こうしてひとつずつ問題を解決していくのが、サバイバル系ゲームのおもしろさ。一見、説明不足のようにも思えるが、この手のゲームに慣れた人ならやるべきことが何となく見えてくる。それはつまり、インターフェースの作りがうまいのだろう(チュートリアル的なクエストも用意されている。不慣れな人はそれに従って進めれば問題なし)。
行動のひとつひとつに意味があり、それぞれがつながっている。手探りを続けるうちにできることが増え、いつしか視界が大きく開けていることに気付いた。
インベントリからメニューの各タブを確認していたところ、“天賦とスキル”というページを見つけた。武器の扱いや採取のうまさといったスキルのレベルを表すもので、関連する行動を取るうちに自然とレベルが上がっていく。
ただ、レベルアップで手に入る“スキル特化ポイント”を割り振ることで、成長率が上がるようだ。このポイントは週単位で割り振ったポイントの回収もできるので、そのときやりたいことに合わせて設定可能だ。
焚き火を設置して食べものを作れた時点で、基本はだいたい理解できた。いろいろやってレベルを上げ、レシピを解放していくことで、できることが増えていくわけだ。
気になるレシピを解放し、必要な素材を集めていくだけで、たぶん自然とPvPに耐えうる装備や配下が揃っていくのだろう。いやぁ、もうパターン入ってしまったな。
……などと、あの頃の筆者は甘いことを考えていた。
狩猟で急にMMORPGみたいなことになった
原始的な防具や武器に加え、草刈り鎌などの便利な道具も作っていった筆者。ついには銅の鉱石が採れる岩も見つけ、金属製品まで扱うようになった。
しかし、ここまできても主食がイナゴなのはあまりに忍びない。そろそろ狩猟でもしてみたいので、弓と矢を作ってみる。
弓は左クリックでチャージして、ボタンから指を離すと矢を放つ。何だか急にFPSっぽくなった。
ウサギや鹿、馬といった草食動物は、攻撃しても逃げるだけなのでひたすら追って撃つだけで倒せる。
倒したらその亡骸を斧や狩猟用の刀などで攻撃することで、肉や皮といった素材が取れるわけだ。こういうちまちました作業が何だか楽しい。
RPGで敵を倒してレベルアップする作業が好きな人っているだろう。そういう人は『Myth of Empires』をプレイしたほうがいい。間違いなくハマる。
そして銅鉱石はまだ貴重ということで、そろそろ石器のひとつうえの道具となる骨の道具を作りたくなってきた。『マイ●ラ』とかだと上位の道具でないと採取できないアイテムなどもあったし、とはいえ銅鉱石はまだ貴重なので銅製品は作れない。
その材料となる骨は、クエストの説明文を見るとキツネなどから多く取れるらしい。なるほど。
キツネくらい、いままでの流れからすると余裕だろう。というわけで、近場にいたキツネの群れを一網打尽にしてやろうと、弓矢を叩き込んでみたみたわけだが。
すると、キツネはいままでの獲物と違って反撃してきた。慌てて近接武器に持ち替えて迎撃しようとしたのだが……。
なるほど、MMORPGでいうところのリンクモンスター(同族が近くで攻撃されると全員で殴りかかってくるタイプのモンスター)なのか! 急にMMOっぽさが出てきたぞ。
ギリギリのところで撃退はできたが、骨は思ったほど手に入らなかった。ならまぁ、その辺にいるイノシシあたりで……。
新たなタイプの大自然の驚異に飲み込まれ、ついに死亡してしまった。本作では、死んでも拠点(寝袋やベッドなどを設置していればそこも拠点になる)から復活できると、ここで初めて知る。
アイテムは死亡地点にすべて落としてしまうが、30分以内に回収すれば全部取り戻せるらしい。家の近くで死んだので、回収はすぐに成功した。あれ? 意外と命軽いなこの世界。
ちなみに落ち着いて確認してみると、骨は馬などの安全な動物からも手に入るし、石器では採取できない素材などもとくにないようだ。
道具は使い続けると壊れてしまうため、修理するか新たに作る必要がある。骨や銅の道具を作り直すのはたいへんなので、コスパがいい石器でずっと生活していくのもアリな気がしてきた。
いよいよ立志のとき! と思ったら……
立派な装備も揃い始め、屋根なしマイハウス(チュートリアル通りに作ったところ、屋根を作れと要求されなかったので)も立派になってきた。
雨が降ろうが寒気や風邪などがない世界なので問題ないだろうと思って屋根を作らなかったのだが、担当編集者に話したら「屋根くらい作ろうよ」と悲しそうに諭されたので作った。将来的に君主になろうとする者であれば、下々の意見は聞くべきである。
サバイバル生活が楽しくて忘れていたが、本作はサバイバルで終わるゲームではないのだ。いっぱしの武将になって、PvPサーバーに殴り込みをかけるゲームなのである。
とりあえず、PvPサーバーに移動するためのNPCが中立の拠点にいるらしい。まだ殴り込みはしないにしても、どんな場所にあるのか事前に偵察をしようと筆者は考えた。
遠いが問題ない。クレバーで本作に慣れた筆者はすでに、製作レシピの中に“馬を捕獲・調教できる”アイテムを発見していたのである。馬に乗ればあっという間に行ける距離のはずだ。
というわけで綱とエサの干し草の束ができた。はて、実際の使いかたは……? 網を装備しても、パンチしか出せないのだが。
そして干し草は投げられるっぽいが投げると回収できないらしい。遠くから投げて食べさせろということか。
こうなったら網を持ってパンチするくらいしか方法がなさそうだ。そう考えて、干し草を食べた馬に近寄ると、ステータスが“調教中”になっているうえに、Eキーで“騎乗する”というコマンドが。
乗ってみると、何とじゃじゃ馬を押さえつけるミニゲームが始まった。その辺を走り回りつつ、馬が怒ったら左右クリックを指示通りに行なって怒りを鎮める。
一度は怒らせすぎて失敗したが、しばらく待つと怒りが収まり、調教の続きにチャレンジできた。そうして調教を終えると……。
あとは鞍をつけるだけで、いつでも騎乗できる便利な乗りものの完成だ。どうやら飼育用のエサを馬のインベントリに入れておけば食事も自分でしてくれるようで、じつに手がかからない。
こうして移動手段を獲得した筆者は、さっそく北の拠点に向かってみることにした。
その道中で、焚き火を囲んでいるNPC“流民”を発見。
はて、とくに襲い掛かってこない。ということは、仲間にすることも可能なのだろうか。
そういえば、馬の調教アイテムの製作レシピを解放するときに、人間タイプのNPCを仲間にするためのレシピもあったのを思い出した。
なるほどなるほど、馬と同じくそういうことなのか。なかなかすさまじい世界だなぁと思いつつ話しかけてみると、生肉20個を要求された。
どのタイミングで磔にするのだろう。疑問に思いつつも、手持ちがあったのでプレゼントしてみることに。
生肉をあげたらあっさり配下になってくれた。まずは胃袋からつかむということか。
“磔柱”は要求されたアイテムを渡したくないとき、強引に服従させるために使うらしい。
何はともあれ、馬に続いて配下もゲットだぜ。順風満帆。配下も装備を変えたりできるようで、とりあえずその辺の馬を捕獲して与え(使用権限を“主人のみ”から変更しないと乗れないので注意)、旅のおともとして連れていくことにした。
ちなみにしばき倒してから例の柱に縛り付けることでも、仲間にできるらしい。できるとはいえ、やはり平和的解決が何よりである。
ちなみに一定時間後に同じ場所に行ったら、流民は補充されていた。無限配下だ。とはいえ、どうやらいまはスキルの都合か、ひとりしか配下を連れて歩けない様子だ。
愛馬に乗り、配下ができた。これで覇道の一歩が成ったといっても過言ではないだろう。こうして筆者はPvPサーバーに乗り込む前段階に、見事到達できたのであった。
……と、個人的には大団円を迎えつつ、配下とともに馬で家へと帰っていた途中。
いやまぁ、この世界の動物はこちらが手を出さない限り襲い掛かってこないはず……。
って、おまえら襲い掛かって来る系のアクティブモンスターだったのかい!
ここで筆者は死亡。途中何度か焦るあまり滑落死したりしつつも、全裸で急いで現場に戻ってみると……。
覇道の始まりにいきなりえらい勢いでケチをつけられた感もあるが、まだまだ筆者の成り上がりはこれからだ。というか、実際にやってみると馬の調教や配下の獲得なども、想像以上に簡単でわかりやすい。これなら、こうしてやり直しになっても全然問題なさそうだ。
戦争で英傑として活躍できる日を目指して、今後もこつこつと草を刈ったり鹿を狩ったりして地道に頑張って行こうと、星になった配下に誓うのだった……。
……などと言っているが、馬や配下は専用の施設を建てれば復活させられると後で判明した。配下用の施設は必要素材が多いので、直近の目標にしようかと思う。
トレーラームービーのように軍備を備えて戦争に挑むのはまだ先だが、何となく道筋は見えている。一歩一歩着実に、些細な達成感を得ながら進んでいくのは筆者(と、担当編集者)の性に合っているようだ。さあ、激しい戦火にもまれてみようか。
Myth of Empires - Official Early Access Launch Trailer
ゲーム概要
タイトル:Myth of Empires
アーリーアクセス開始日:2021年11月18日
ジャンル:オープンワールド剣戟アクション戦争ゲーム
価格: 3090円[税込](2021年12月2日まで10%オフで販売)
開発:T’ien-Kungスタジオ(Angela Game)