2020年に放送されて大きな話題となった星野源さん、綾野剛さんW主演のTBSドラマ『MIU404』が、2022年1月2日(日)午前1時25分~8時00分と翌1月3日(月)午前0時50分~5時50分に一挙テレビ放送されます(一部地域を除く)。
『#MIU404全話一挙放送SP』放送決定⚡
放送日程はコチラ⏬
2022年 1月 2日(日)
午前1:25~5:50
午前6:00~8:00
2022年 1月 3日(月)
午前0:50~5:50
※一部放送さ… https://t.co/70F1S5q6li
— 金曜ドラマ『MIU404』12/25(金)DVD&Blu-ray発売決定‼︎ (@miu404_tbs)
2021-12-01 11:07:35
本稿ではこのドラマの魅力をご紹介。一挙放送の視聴を迷っている方の背中を押せればうれしいです。
なお、『MIU404』は動画配信サービスParaviにて全話見放題で配信中(2021年1月現在)。さらにこちらでは、放送版ではカットされたシーンも追加された“ディレクターズカット版”の視聴も可能です。
またParaviは、後述する本作と作品世界を共有している『アンナチュラル』も全話見放題になっています。両作の一挙放送を見逃した方は、こちらで視聴するのがおすすめです。
『MIU404』作品概要・タイトルの由来
警視庁にある刑事部直轄の実働部隊である機動捜査隊、略して“機捜隊”。覆面パトカーによる24時間体制のパトロールを行い、110番通報があれば、誰より先に現場に向かい、初動捜査を行うのが彼らの役割です。
本作では、現実には第1機捜~第3機捜の3部隊制となっている機捜隊に、働き方改革によって4つ目の臨時部隊が生まれたという設定のもと、この第4機捜に配属された人々のドラマと、彼らが遭遇する数々の事件が描かれます。
星野源さん演じる志摩一未(しま かづみ)は、観察眼に優れ、周囲から信頼されているものの、とある出来事を切っ掛けに自分も他人も信頼できなくなった敏腕刑事。この出来事によって出世街道からも外れて所轄にいたところを、第4機捜設立を切っ掛けに呼び戻されています。
そんな志摩の相棒として第4機捜に配属されたのが、綾野剛さん演じる伊吹藍(いぶき あい)。頭より先に体が動いてしまう気質からさまざまなトラブルを起こし、多くの部署を転々としてきたいわくつきの刑事です。
志摩と伊吹はある事件以降、メロンパン販売車である“メロンパン号”を覆面パトカーとして、東京の街を巡回することになります。
志摩と伊吹のバディを指すコールサインが“404”、彼らが乗る覆面パトカーは“404号車”と呼ばれます。機動捜査隊(Mobile Investigative Unit、略してMIU)の404のふたり、ということで、作品タイトルは『MIU404』。
まったく異なる気質から捜査中に何度も衝突する志摩と伊吹。しかし、いくつもの事件に関わっていく中で、やがてこのふたりでしかあり得ないような最高のバディへと変わっていきます。
社会問題に鋭く切り込んだクライム・サスペンス
公式サイトいわく“ノンストップ機捜エンターテインメント”の『MIU404』。毎週、犯罪者は誰なのか? 捕まえられるのか? 被害者を守ることはできるのか? といったハラハラドキドキの展開が目白押しです。
しかしそれだけでは終わらず、現実に深刻な問題が生じている社会問題をストーリーに盛り込み、目を逸らしがちな物事へ新しい“視点”を与えてくれるという点も、本作が支持されている理由なのだと思います。
未成年者に広まる違法薬物。女性として生きていくことの困難。海外からの技能実習生が強いられる過酷な環境。SNSで深く考えずに発せられた言葉が、誰かを深く傷つけたり、悪意によって利用されることが少なくないということ。
本作で起こる事件の多くは、そんな社会の歪みに耐えられなくなった人々の苦しみや怒りが招いたもの。
『MIU404』の主要スタッフは脚本を手掛ける野木亜紀子氏ほか、その多くが2018年の人気ドラマ『アンナチュラル』と共通する座組となっています。
『アンナチュラル』もさまざまな社会問題を積極的に扱った作品でしたが、本作では『アンナチュラル』で扱い切れなかった、いまも苦しんでいる人々の存在に光を当てる作品でもあるのです。
志摩と伊吹が誰よりも先に現場に向かう理由。そこにはドラマのスタッフが彼らに込めた“苦しむ人々が後戻りできなくなるまえに間に合ってほしい”という切実な願いが込められているかのよう。
これによって視聴者は、ドラマを見終えてからも噛み締めていたくなるような、うれしいや切ないといったひと言では済ますことのできない心の揺らぎを喚起させられるのではないでしょうか。
すべてのエピソードが印象的ですが、筆者はとくに、技能実習生を扱ったエピソードでのある人物の「外国人はこの国に来るな!」という叫びが忘れられません。
『アンナチュラル』とのクロスオーバー
そんな『アンナチュラル』と通じる問題意識がうかがえる『MIU404』ですが、『アンナチュラル』のファンならばうれしくなってしまうようなファンサービスもいたるところに仕込まれています。
第3話では『アンナチュラル』にも登場した毛利刑事(演:大倉孝二)と向島刑事(演:吉田ウーロン太)がゲスト出演。
さらに第8話では『アンナチュラル』の舞台である“UDIラボ”が登場。ここで臨床検査技師として働く坂本誠(演:飯尾和樹)と、さらに“もうひとり”の『アンナチュラル』のレギュラーキャラクターも登場して、ストーリーに関わってきます。
ほかのエピソードでも、ある資料に『アンナチュラル』の主人公・三澄ミコト(演:三澄ミコト)の名前が載っているなど、『アンナチュラル』と『MIU404』が地続きの世界であることがたびたび示唆されます。
扱っているテーマとしても“『アンナチュラル』のその先”を描いている本作。『アンナチュラル』ファンでまだ観ていない方には、ぜひ視聴していただきたいです。
志摩と伊吹を取り巻く人々
第4機捜にはもうひと組のバディが存在します。こちらはベテラン機捜隊員の陣場耕平(演:橋本じゅん)と、刑事局長の息子ながら現場経験のない新米の九重世人(演:岡田健史)のバディ。彼らのコールサインは“401”となっています。
この4人と、機捜初の女性隊長の桔梗ゆづる(演:麻生久美子)の5人で構成されているのが第4機捜隊。彼らのやりとりは、時におもしろおかしく、時にその人が歩んできた人生が垣間見えるような発言に胸を打たれます。
もちろん個性的な登場人物は4機捜の面々ばかりではありません。伊吹の恩師である蒲郡(演:小日向文世)や、ある事件の情報提供者であるため、桔梗の家にかくまわれている女性・羽野麦(演:黒川智花)なども、物語に深く関わってきます。
各エピソードで事件を起こす人々、それに巻き込まれる人たちも、それぞれに事情を抱えており、彼らに同情し、感情移入する人も決して少なくないはず。
そして志摩・伊吹たちが数々の事件を追っていく影には、動画投稿サイトにゴシップ動画を投稿し続ける男、特派員REC(演:渡邉圭佑)や、非合法の薬物を売りさばく組織の裏に見え隠れする謎の青年、久住(演:菅田将暉)の姿が……。
1話完結型で多様な事件を扱いつつも、“久住たちの犯罪をいかに暴くか”というもうひとつのストーリーが作品を貫いている『MIU404』。これによって本作は、毎回ひとつの事件が解決するカタルシスがありつつも、「この先どうなってしまうんだろう?」という緊張感が次回に尾を引きます。
いまを生きるすべての人に見届けてほしいドラマ
『MIU404』主題歌の米津玄師『感電』
志摩と伊吹が最後にたどり着く場所。それは、我々が多くの問題を抱えながら生きている、この現実世界そのものでした。それがどういった意味なのか、ぜひ多くの方に本作を最後まで視聴して知ってほしいと思います。
いま悩みや苦しみの中にいる人や、昨年からの情勢の中で鬱屈した気持ちを抱えている人は、その気持ちが『MIU404』によって少し晴れるかもしれません。
どこまでもいまを生きる人たちの歩みに寄り添った本作の物語を、ぜひ見届けてください。