2022年1月12日、高槻市観光協会の“たかつき観光大使”に、『アイドルマスター』（『アイマス』）の高槻やよいが就任した。2005年から16年以上続く同シリーズでは、これまでにも多くの企業や団体とコラボを実施してきたが、観光大使のような取り組みは非常に珍しい。また『アイマス』に限らず、アニメ、ゲーム作品と市町村とのコラボというと、作品内にその街が登場していたり、キャラクターの出身地や趣味などにちなんでいることが多いが、今回のコラボはそのどちらでもない。
そこで、ファミ通.comでは、今回の観光大使就任について、担当者にインタビューを実施。高槻やよいが観光大使に就任した経緯や、今後実施予定のイベントなどについて聞いた。
平田 真一（ひらた しんいち）
高槻市観光協会。（文中は平田）
森 茂生（もり しげお）
高槻市観光協会。（文中は森）
念願叶って実現した、高槻やよいの観光大使就任
――高槻やよいについてお聞きする前に、まずは高槻市観光協会が取り組んでいる事業についてご説明をお願いできますか？
平田私どもの活動としては、大きくわけてPR活動とイベント開催の2種類があります。PR活動は、ホームページやSNSなどで（大阪府）高槻市の魅力を発信したり、観光大使の方に活動していただいていたり、高槻市の集客を図ることを目的としています。
イベント開催も同じく、高槻市の集客を図ることを目的に、市内のさまざまな観光名所でイベントを実施しております。直近で開催したイベントとしましては、高槻市は“将棋のまち”ということで、将棋タイトル戦のひとつ“王将戦”とその関連イベントを実施しました。ほかには、市内の観光名所として“摂津峡”と呼ばれる渓谷があり、春には綺麗な桜が咲くということで、“摂津峡さくら祭り”を開催したりしています。
それらの活動のほか、観光案内であったり、高槻市の自然や歴史、文化、食などの魅力を発信するために、年間を通じてさまざまな観光プログラムを実施する“オープンたかつき”という取り組みも行っています。こちらの取り組みを紹介する冊子の表紙を、高槻やよいちゃんに飾ってもらっています。
――さっそく、高槻やよいが活躍しているのですね。改めて、“たかつき観光大使”に高槻やよいが就任した経緯を教えてください。
平田そもそも、たかつき観光大使の制度が立ち上がったのは2017年（平成29年）からとなりますが、制度が立ち上がったときから、高槻やよいちゃんというアイドルの存在は我々も認知していました。そして、そのときからバンダイナムコエンターテインメントさんに「高槻やよいちゃんにぜひ“たかつき観光大使”に就任してほしい」とアプローチさせていただいておりました。
そうしてやり取りを続けていくうちに、バンダイナムコエンターテインメントさんとしても近年“地方創生”の取り組みに力を入れていらっしゃるということで、我々のオファーを快諾いただけたのが、今回の経緯となります。
――念願叶っての就任だったのですね。
平田はい。とても人気のあるアイドルですので、お願いするには少しハードルが高いのかなとも思っていましたが、就任いただけてありがたい限りです。
――観光大使就任以前より、誕生日に“やよい軒”にファンが訪れたりして話題になっていましたが、そういった反応については、どのように受け止められていましたか？
平田私も、やよいちゃんの誕生日にはファンの方といっしょに“やよい軒”に並びましたし、周囲のパーキングなどにやよいちゃんがラッピングされたクルマが駐車されている状況を拝見しましたが、ファンの方々のエネルギーに圧倒されたというのが率直に抱いた感想でした。同時に、ゲームやアニメといったジャンルでも、地方の集客につなげられるんだと、実感しました。
――なるほど。そこでのファンの方の反応が、今回の観光大使就任のきっかけのひとつになっていたりはするのでしょうか？
平田そうですね。やよいちゃんが観光大使を務めてくれたら、ファンの方々を中心に、高槻市の集客を図れると思ったことも理由のひとつとしてあります。そのほかにも、当時の高槻市の施策の中で、安満遺跡公園を整備していく大きなプロジェクトがあったのですが、こちらの遺跡が、高槻市の弥生時代の遺跡ということもありましたし、“弥生が丘町”や“弥生橋”など、高槻市には“やよい”という名前が多く使われている地域でもありました。
これらのことから、高槻やよいちゃんなら、高槻市の観光大使にもピッタリかと思いましたし、きっと集客に繋げられると考え、バンダイナムコエンターテインメントさんにご相談させていただきました。
――安満遺跡公園では、1月20日からコラボグッズの販売やイベントなども行われていますが、こちらのイベントに参加された方々の反応や反響はいかがでしたか？
森1月20日から安満遺跡公園でやよいちゃんのグッズ販売のほか、飲食店さんと連携し、飲食された方にやよいちゃんがデザインされたランチョンマットやコースターを差し上げる取り組みを行っています。ふだんは遠方から高槻市にお越しになる方は少ないのですが、今回のやよいちゃんのイベントを機に、大勢の方が足を運ばれています。いつもとは違い、大きく賑わっている光景を見ることができてよかったなと思います。
――ファンの方が多く駆けられていたのですね。
森そうですね。とくに初日の1月20日は、早朝から列ができるほど多くの方がグッズを求められていて。その後、安満遺跡のほうにも足を運ばれて、コラボ実施店舗でお昼ごはんを食べるというような光景を数多く目にしました。
――コラボを実施されている飲食店さんの反応はいかがでしたか？
森大きな集客に繋がりましたので、率直にうれしいと感想をお聞きしています。それと、ふだんと違う層のお客さんいらっしゃったということもあり、新たな客層を開拓できたということで、喜んでいらっしゃいました。
平田安満遺跡公園では、おもに土日・祝日にたくさんのお客様が足を運ばれるのですが、今回のコラボでは、土日や祝日関係なく、平日も多くの方がいらっしゃっていたので、お店の方も驚いておられましたね。
――協会内や市民の方から反響はいかがですか？
平田今回のような取り組み自体が協会内でも初めてでしたが、やよいちゃんが非常に愛らしいキャラクターということもあり、年齢層問わず、多くの協会の会員様に「おもしろい取り組みだね」と好意的な反応をいただけました。取り組みをスタートさせるのにも、とてもコンセンサスが取りやすかったです。
市民の方々の反応については、これから目にしていくことになるかと思いますが、ファンの方の反応を受けて、市民の方にも「このキャラクターは、どんな子なん？」とご興味をいただけているようです。愛らしいキャラクターということもありますので、これからもっと広く受け入れられていくのではないかと思っています。
――ちなみに観光大使就任の発表後、新たに「いっしょに活動したい」というような地元の企業さんからのお声などはありましたか？
森はい。すでにいくつかの企業様からお話をいただいております。改めて、反響の大きさに驚いているところですね。
――ここからは、今後実施予定のイベントについてお聞きできればと思います。3月25日の高槻やよいの誕生日に合わせて、イベントが実施予定とのことですが、こちらについて、現時点でお話いただけることはありますか？
森まだ情報公開前ですので、なかなか具体的なことは言えないのですが、安満遺跡公園を中心に、1日を通じて楽しんでいただけるようなことを企画しております。また、今後の活動に繋がるヒントのようなイベントなども考えています。
――なるほど。バースデイイベントということで、新しいグッズなどは販売される予定はありますか？
森そうですね。地元企業様と組んで、ゆかりの商品を企画できたらなとは考えておりますので、お楽しみいただければなと思います。
――楽しみにしています。それでは、今後高槻市に足を運ぼうと思っている方に向けて、おふたりの考える高槻の魅力やアピールポイントを教えていただけますか？
平田高槻市はJRと阪急電車が通っているので、非常にアクセスしやすい街となっております。駅近くには飲食店やショッピングセンターも充実していますので、観光はもちろん、食事やショッピングも楽しめる街になっています。ぜひやよいちゃんをきっかけに、高槻市の観光を楽しんでいただけたらと思います。
森京都や大阪市内からも、JRですと約15分で着きますので、いままで足を運ばれなかった方も、ぜひ立ち寄っていただきたいと考えています。また、『高槻市観光アプリ』と呼ばれるアプリをリリースしているのですが、こちらにやよいちゃんが登場していますので、ぜひやよいちゃんといっしょに市内を観光していただけたらうれしいです。
――ありがとうございます。最後に、高槻やよいの“たかつき観光大使”としての活動に期待されているファンの方々にメッセージをお願いします。
平田やよいちゃんは観光大使に就任して間もないですが、私たちとしましては、本当に多くのファンの方々に愛され、支えられているキャラクターだなと実感しております。これから、やよいちゃんの魅力と高槻の魅力のどちらもアピールできる企画を実施して、今回の取り組みがよりよくなるような展開を目指していきますので、高槻市、そしてやよいちゃんの活動に注目していただければ幸いです。
