THQ Nordicより、発売中のプレイステーション5、Xbox Series X|S、PC向けソフト『Way of the Hunter ウェイ オブ ザ ハンター』(プレイステーション5、Xbox Series X|S ダウンロード版は8月16日発売。Steam版は8月17日発売。プレイステーション5パッケージ版は9月8日発売予定)。
本作は、広大な自然を探索しながらイノシシやシカ、鳥などさまざまな動物の狩猟が楽しめるハンティングゲームだ。獲物を探し、適切な銃器を選び、ただ一匹を狩ることに集中する、リアル重視のゲームシステムが特徴となっている。
実際にプレイしてみると、一般的なオープンワールドとはまったく毛色が異なり、独特の遊びかたができるシステムが印象的だった。ゲーム内のナビゲーションは最小限で、手探りで学び、成長していく仕組みになっており、プレイ中はゆったりとした時間が流れる。
短時間でカタルシスを得る目的よりも、休日にのんびり長時間静かに遊び、充足感を得ながらゲームを終える…そんな贅沢な時間が過ごせる個性的なゲームだ。本稿では、本作を実際に遊んでみて得られた特異な体験や、ゲームシステムを詳しくお伝えしていこう。
動物への敬意、狩猟者としての倫理観が求められるハンティング
本作の舞台は、自然豊かで野生生物が多数生息する、ネズパール渓谷。主人公であるリバーはそこで牧場を経営する祖父に代わり、さまざまな動物をハンティングしていくことになる。
広大なオープンワールドでのハンティングがメインコンテンツだが、意外にもストーリー面もしっかりと作り込まれていた。物語を通じてハンターとしての生きざま、自然を相手にする心構えなどを学んでいき、より深くゲームプレイに没入できるようになるのだ。
ストーリーの流れとしては、メールを通じて主人公に飛んでくる依頼を達成しながら、狩猟ロッジを運営していくというものになる。
とはいえ、基本的には特定の動物を狩っていくことでストーリーは進み、とくに金銭面でのやりくりが発生することはない。あくまでハンティングがメインで、そこに集中できるので安心してほしい。
前述したように、ハンターとして生きていくリバーの物語も見どころで、ゲームシステムとも強く結びついているのが印象的だった。
ストーリー中はかつての友人が残酷な方法で動物を狩るのを咎めたり、渓谷で疫病が広がっているという噂を調査していくことになる。ときにはコミック形式で主人公の過去の物語が描かれるのだが、ここで少しずつハンターの心構えを学んでいけるのだ。
狩る動物に対しての敬意、倫理的な狩りの仕方、ハンターとして生活することのきびしさ。そういったものを主人公を通じて学べるので、プレイヤー自身がハンティングをする際に、動物に対しての向き合いかたが変わってくるはずだ。
メインコンテンツである詳しい狩猟のシステムをお伝えする前に、まずは実際のプレイ中の流れを紹介していきたい。
プレイヤーがハンティングをするネズパール渓谷やそれ以外のマップはすべて、自由に移動できるオープンワールドになっている。目の前に広がる広大な自然を自由に探索でき、徒歩だけでなくクルマを使っての移動も可能だ。
ストーリーを進めず自由に探索して狩猟をしてもいいのだが、どのみち狩りをするのに変わりはないのでストーリーは並行して進めることになる。
狩猟ロッジのPCを開くと、取引先からのメール(ミッション)が届いているので、これを受注して指定の獲物を狩っていく。単純にシカやキジを数匹狩るものから、特定の臓器に傷をつけずに納品してほしいなど、ミッション内容は多岐にわたる。
ミッションを受けたら目当ての獲物を探し、ハンティングがスタート。無事に狩猟できたら、売却してミッションコンプリートだ。なお、狩った動物はいずれも売却してお金を得るか、売らずに剥製にするかを選択できる。
このように、目的の大枠は非常にシンプルだ。ミッションを受注し、獲物を探し、狩って売る。ただそれだけの行為なのだが、これが実際にやるととにかく難しい!
動物は近づくとすぐに逃げるし、銃で一発撃っても確実に仕留められるわけでもない。そもそも狙いも定めにくいと、思った以上にうまく狩りが進まないのだ。ハンティングする動物たちや銃の扱い、システムまでリアル寄りの設計となっており、シカ1匹を狩るのにも慣れるまでは1時間かかってしまった。
シカを探して三千里? リアル寄りのシステムがプレイヤーを惹き込む
簡単なように見えて奥深く、一度魅了されたらどっぷりハマってしまうハンティングシステムについて、詳しく語っていきたい。
オープンワールドでは、ミッションを受注したらターゲットの居場所や目的地へのルートを示してくれるほうが一般的だ。しかし、本作ではその手のナビゲーションがほぼない。シカを狩れと言われたら、広大な大自然からシカを自力で探さないといけないのだ。
もちろん、オープンワールドにランダムに湧く動物を探して狩るわけではない。動物が生息している場所の近くには、その痕跡が残っている。食事場、フン、休息場、水飲み場。そういった動物の痕跡を調査することで、その辺りに生息している動物の情報をマップ上に映せるようになっていく。目当ての動物がいるときは、まずこの痕跡探しから始めるのが主流だ。
地道な作業なのだが、こうして自分が狩る動物のことを知っていくのもハンターには欠かせない行動のひとつ。痕跡から相手を追い詰めていくプロハンターらしい行動は、好みは分かれるだろうが筆者はワクワクしながら進めていた。
痕跡探しは自力で歩いて探すことになるのだが、一応アシスト機能も用意されている。それが、狩りにおいて役立つハンターセンスだ。プレイヤーは動かずに立ち止まっている状態だと、周囲にある痕跡をハイライトしたり、音を聞き分けて近くにいる動物の情報を識別できる。この機能を使いつつ、より多くの痕跡を見つけることで動物の行動パターンを明らかにしてから、計画を練って狩りに挑むのがセオリー。
痕跡をいくつか見つけると、マップ上に発見した動物が表示されるようになる。併せて、水を摂取する場所、食事場などの位置も発見していればマップ上に映してくれるように。ここまできたら、ようやく銃の出番となる。
調査をした動物はゲーム内の百科事典に掲載されるようになり、そこで1日の行動パターンをチェックすることが可能。これを見て、どの時間に、どの場所で動物を探すのか計画を立てられるようになる。
たとえばミュールジカの場合、5時に食事、9時ごろには水を飲みに川に現れる行動パターンだ。この場合、5時は周囲が暗くシカを発見しにくいので、9時に現れる水飲み場の近くで待ち伏せする……といった具合に、自分で狩猟計画を立てていくとおもしろくなっていく。
ここからはプレイヤーによって手法は変わってくるが、筆者の場合事前に動物が現れるポイントで待ち伏せするのがお気に入りだ。
というのも、野生動物は物音に非常に敏感で、迂闊に近づくとすぐに逃げてしまう。加えて、風向きが悪いと匂いで察知されることもあるため、射程範囲内に近づくだけでも至難の業だ。その点、事前に狙撃に適したポイントに隠れられるとそういった手間がかからない。……もちろん、シカが現れるまでリアルタイムで10~20分待つこともざらにあるのだが。
待ち伏せ、あるいはこっそり近づいて動物の近くまで来たら、いよいよ銃で命を奪うことになる。しかし、この銃の扱いがまた細かく、最初は狙った通りの場所に撃つのが難しかった。
銃はズームのほか、照準を50m、100m、150mと自由に調整でき、この照準の調整が非常に重要になってくる。たとえば、150mの距離にいるシカを狙う際、照準が200mになっていると、弾丸は照準よりやや上の方向に飛んで行ってしまう。
ただエイムを合わせて撃つだけでなく、対象との距離を適切に判断し、照準を調整するというひと手間が発生するのだ。ただでさえ時間をかければ逃げられる可能性もある中、そういった微調整が必要になるため狩猟の難度はかなり高い。
シカの場合は狩猟ティアが5なので、銃も同じく5の物を選択するのがベスト。狩猟ティア4の銃では仕留めるのが難しく、6の銃ではオーバーキルとなり売却価格は激減する。銃は二丁まで持ち歩けるので、事前に狩る動物を決めてからロッジを出よう。
さまざまな事前準備を経て、ようやく狩猟できるのだが、いざ銃を撃てば勝負は一瞬で決まる。外せば逃げられるし、仮に当たっても被弾場所によってはそのまま逃走されてしまう。できるだけ苦しませず、一撃で絶命させてあげるのが一流ハンターの仕事だ。
銃を撃つ際はハンターセンスを使って事前に敵との距離を測ったり、撃つ直前に息を止めて一時的に照準のブレを減らすことも重要になる。ここまで苦労して、ふつうに弾を外して逃げられることもあるのが本作のおそろしいところだ。
見事動物を仕留めた後は、自身の射撃の結果を確認することも可能。銃弾がどこに当たり、貫通したのか。何発の銃弾がヒットしたのかを確認して次回狙撃時の参考にしよう。なお、銃の軌跡によっては内臓の位置も細かく表示されるため、各動物の心臓の位置は覚えておくことをオススメしたい。
一撃で動物を仕留めたい場合は、心臓や脊柱を狙うのがベスト。内臓を狙っても絶命することはあるが、それまでに長距離を逃げられてしまい、死体を発見するのが困難になることも。理想は心臓を一発で撃ち抜くことだ。
なお、頭を狙っても一発で仕留められるのだが、これは倫理的な行いではないとゲーム内でも明示されている。ゲームと割り切って楽に頭を撃ち抜くのもプレイヤーの自由だが、よりハンターらしく、狩猟生活に没頭したいならそういった倫理観、動物への敬意も順守するとより本作のおもしろさに浸れるだろう。
ちなみに、必要以上にクルマで動物に近づいたり、轢く行為もリスペクトに欠ける行為とされている。ゲーム内でなにかペナルティを課されるということはないが、その行動は一流ハンターとは程遠い。
もちろんクルマで動物に近づき、そこから逃げる前に無理やり仕留めるといった攻略法も考えられるが……。自分自身が、どのように本作を楽しみたいかでこういった行動を取るべきかは決めていこう。
なお、クルマで動物を仕留めてしまった場合、ロードキル扱いになり売却価格が大幅に下がる。心なしか、動物の目も非難しているように感じるのは気のせいだろうか。
ロードキルを除き、狩猟に成功した動物は売却以外にも、剥製にしてロッジに飾れるのもポイントだ。動物はそれぞれサイズにも個体差があるので、気に入った動物、あるいは狩猟するのに苦労したライバルとも言える相手に出会えたら、剥製にしてロッジに飾ってみよう。
剥製にせず、売却した場合はお金が手に入るので、これで新たな銃やアタッチメントを購入して、より多くの動物を狩れる道具を取り揃えていく。銃やスコープのほか、特定の動物をおびき寄せる笛なども売っているので、狩りたい動物を決めて道具を揃えていくのがオススメ。
基本はプレイヤー自身の学習、熟練度が狩猟の正否に影響するが、そのほかパークのシステムも用意されている。特定の条件を満たすとパークが解放され、動物に気づかれる可能性が下がったり、狩猟が楽になる効果が解放されていく。遊べば遊ぶほど、狩りの知識の増加、パークの開放で狩りはしやすくなっていくだろう。
以上が、本作のメインコンテンツであるハンティングの一連の流れとなる。
人間の都合が通じない自然を相手にしたシステムは、昨今のナビゲーションが充実したオープンワールドとは違った性質を持っているため、ゲームに慣れていない人はやや難しく感じるかもしれない。苦労して発見した動物を仕留めきれず逃げられることも多々あるため、根気強さや、失敗しても楽しめる気概が求められる部分もある。
個人的な印象だが、平日に短時間だけ遊ぶというより、休日にじっくり時間を取って遊びたくなるタイプのタイトルだった。簡単ではない、うまくいかないこともあるリアルな部分を楽しみと捉えられるなら、本作は長期間遊べるよきゲームになってくれるだろう。
広大なオープンワールドのビジュアルも見事で、ときには狩りをやめてクルマで渓谷を見て回るだけでも気分転換になる。休日の気晴らしにはうってつけなので、ハンティングに少しでも興味を持った人にはぜひとも触れてみてほしい。
また、本作は複数人でのマルチプレイにも対応しており、ソロモードとはべつのマップ、ロッジを使ってフレンドといっしょに狩りを楽しめる。マルチモードのロッジにも剥製を飾れる場所がたくさんあるので、仲間と狩りを楽しみ、ロッジに自慢の動物を飾ってみよう。
Way of the Hunter ウェイ オブ ザ ハンター
- 対応機種:プレイステーション5、Xbox Series X|S、PC
- 発売元:THQ Nordic
- 開発元:Nine Rocks Games
- 発売日:
プレイステーション5パッケージ版/2022年9月8日
プレイステーション5、Xbox Series X|S ダウンロード版/8月16日
Steam版/8月17日 - 価格:
プレイステーション5、PC版/5170円[税込]
Xbox Series X|S版/5200円[税込] - ジャンル:アドベンチャー
- CERO:17歳以上対象