奥深いシステムにのめり込む人が続出

 1997年(平成9年)10月30日は、セガサターン向けに初代『カルドセプト』が発売された日。本日で同シリーズが発売してから25周年を迎えた。

 『カルドセプト』は、セガから発売されたボードゲーム。開発は大宮ソフトが手掛けている。トレーディングカードゲームの要素を内包しており、それが非常に斬新で当時のゲームファンたちを唸らせた。最新タイトルの発売からは6年以上経過しているが、もともと発売スパンが長い作品なので新作を期待して待ち続けているファンも多いんじゃないだろうか。

『カルドセプト』が発売された日。トレーディングカードゲームの要素を取り入れ、高い評価を得た名作ボードゲーム。多彩な効果のカードを使った攻防が熱い【今日は何の日?】

 基本ルールは『モノポリー』や『いただきストリート』といった作品に近く、ダイスを振りながらマップを周回し、止まった土地に手札からクリーチャーを召喚・配置して自分の領地にしていく。その領地にほかのセプター(本作におけるプレイヤーの名称)が止まれば、通行量として魔力を徴収。目標の総魔力量を獲得してスタート地点である城までいちばん早く戻ったセプターが勝利となる。

 おもしろかったのは相手の土地に止まってしまった場合の対処の方法。通常なら有無を言わさず通行量である魔力を支払うはめになるだろうが『カルドセプト』はひと味違った。なんと手札からクリーチャーを召喚して、相手の土地に配置されたクリーチャーにバトルを仕掛けられるのだ。

 そのうえ、バトルに勝利さえすれば魔力の支払いはなし。それどころか相手の領地を奪い、自分のものにできてしまうのだから驚いてしまう。ゆえに、土地を巡っての攻防が熱いのなんの。もちろんバトルに負ければクリーチャーを失い、魔力も支払わなければならないので必死である。

『カルドセプト』が発売された日。トレーディングカードゲームの要素を取り入れ、高い評価を得た名作ボードゲーム。多彩な効果のカードを使った攻防が熱い【今日は何の日?】

 防御側も闇雲にクリーチャーを配置すればいいわけでなく、考えることは多い。土地には火や水、地などの属性があり、同じ属性のクリーチャーを置くことで耐久力が増加する。また、区分けされている同一のエリアに複数の領地を獲得できれば“連鎖”となり、奪える魔力量も跳ね上がるといった寸法だ。配置したクリーチャーは生き物だけに、後から移動させるなんて芸当も可能だったため、同一エリアではない配置でも動向に注意を払わなければならなかった。

 こういった要素を踏まえながら領地を育て上げバトルに勝ち、敵セプターから大量の魔力を奪ったときは気分爽快。相手を“魔力枯渇”(破産)にまで追い込めてしまったとなれば、もはや名状しがたい快感すぎてわけがわからなくなるほど。セプターの誰しもがこの瞬間を味わうために、プレイしていると言っても過言ではないだろう。

 セプターが使うカードは当然クリーチャーだけでなく、ほかにもスペル、アイテムといったカテゴリーのカードが盛りだくさん。これら合計50枚で“ブック”と呼ばれるデッキを構築して戦いを挑んでいく。

 じっくりと考え抜く戦略と、ブックの引きによる運とが絶妙に混ざり合うゲームバランスになっており、最下位からの一発逆転なんてドラマチックな展開も度々目にしたことがあるんじゃないかな。カードを組み合わせて発動すればシナジーを生み出すコンボとなり、より強力な攻撃を仕掛けられたところも気持ちがよかった。

『カルドセプト』が発売された日。トレーディングカードゲームの要素を取り入れ、高い評価を得た名作ボードゲーム。多彩な効果のカードを使った攻防が熱い【今日は何の日?】

 カード収集の楽しみもあり、このあたりはデジタルではあるけどトレーディングカードの魅力と同様。SF・ファンタジーアートで有名な加藤直之氏や末弥純氏など、著名なイラストレーターが多数参加していていたため、集めるモチベーションも高かった。

 セガサターンから始まった『カルドセプト』シリーズだったが、1999年5月1日発売のプレイステーション移植作『カルドセプト エキスパンション』を皮切りに、ドリームキャストやXbox 360など、ハードの枠を超えて多数の作品を発売していった。現状の最新作はニンテンドー3DS版『カルドセプト リボルト』となっている。

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