数多あるスポーツの中でも最大級の競技人口を誇り、世界各国でプロ選手によるリーグ戦が行われているサッカー。そんなサッカーという競技において、もっとも強い“国”を決める世界大会、”FIFAワールドカップ”の第22回大会”FIFA ワールドカップ カタール 2022”が2022年11月20日より開催される。
本記事では90年以上続いてきたワールドカップの中でも異例づくしなカタール大会の特徴や、(日本から観戦するなら)じつは試合が見やすい好環境であること、そして大会に臨む”サムライブルー”ことサッカー日本代表の情報や注目選手について紹介していきたい。
史上初の11、12月開催。波乱は起こるか!?
まず今年のワールドカップは、そもそもいまの時期に実施されること自体が異例中の異例。11月(20日)から12月(18日)にかけて本大会が開かれるれるのは、1930年から原則4年に1度(※1942年、1946年を除く)のペースで開催されてきたワールドカップの歴史の中でも初めてのこと。これは大会の開催地が、気温の高い中東・カタールということで、従来までの開催期間だった6月~7月の間にサッカーを行なうことが事実上不可能だったから……という点が大きく影響している。
そのため今回のワールドカップに参加する多くの選手は、いつもの日程とは異なり、カタール入りの直前まで所属クラブでリーグ・カップ戦を戦っていた。また、年間を通して気温の高いカタールという開催場所、リーグ戦と地続きで代表戦を戦う選手のコンディション、この辺りが試合のクオリティや勝敗にどのような影響を及ぼすのかも、今回のワールドカップの見どころになるだろう。
今大会に参加する国は以下の32チーム。大会が始まると4チームひと組のグループリーグで総当たり戦を行ない、各グループ上位2チーム、計16チームが決勝ラウンドへ進出。以降は1発勝負のノックアウトトーナメントを戦っていく。
FIFA ワールドカップ カタール 2022出場国
【グループA】
- カタール
- エクアドル
- セネガル
- オランダ
【グループB】
- イングランド
- イラン
- アメリカ
- ウェールズ
【グループC】
- アルゼンチン
- サウジアラビア
- メキシコ
- ポーランド
【グループD】
- フランス
- オーストラリア
- デンマーク
- チュニジア
【グループE】
- スペイン
- コスタリカ
- ドイツ
- 日本
【グループF】
- ベルギー
- カナダ
- モロッコ
- クロアチア
【グループG】
- ブラジル
- セルビア
- スイス
- カメルーン
【グループH】
- ポルトガル
- ガーナ
- ウルグアイ
- 韓国
PC、スマホ視聴勢にとっては最高の視聴環境!
ワールドカップに挑む選手やスタッフにとっては未知数な要素が多く難しい戦いになる可能性がある今大会だが、日本から試合を観戦する身の我々にとっては、プラスに思える点も多い。第一にメリットとして挙げられるのが、ヨーロッパや南米での開催よりも時差が小さく試合が見やすいという点。
グループリーグの半分以上は日本時間の19時、22時、24時、25時といった時間帯にスタートする(決勝ラウンドからは24時と28時キックオフがメインになる)。そのため熱心なサッカーファンであっても、徹夜でテレビにかじりついて観戦し、寝不足で学校や職場に行かざるをえない状況に陥ることは少なくなりそうだ。
また、インターネット環境がある人にとっては、FIFA ワールドカップ カタール 2022はフォーマット的にも見やすい仕様になっているのも特筆すべきポイント。今大会は従来通りの地上波でのテレビ中継に加えて、ABEMAでも全試合が無料中継(配信)されることが決定している。見逃し配信にも無料で対応しているようなので、今大会は気になる試合を見逃してしまう心配をする必要がほぼない。見るデバイスや場所、時間を問わず試合を観戦できるのは、今大会の大きな魅力だ。
なお、日本代表の試合日程は以下の通り。
日本代表 グループリーグ試合日程・放送局(日本時間)
- ドイツ戦:11月23日22時00分キックオフ
- 放送情報:NHK総合・ABEMA
- コスタリカ戦:11月27日19時00分キックオフ
- 放送情報:テレビ朝日・ABEMA
- スペイン戦:12月1日28時00分キックオフ
- 放送情報:フジテレビ・ABEMA
決勝ラウンド・試合日程・放送局(日本時間)
日本がグループリーグを1位で勝ち進んだ場合
- トーナメント1回戦(グループF 2位):12月5日24時00分キックオフ
- 放送情報:フジテレビ・ABEMA
- 準々決勝(Gグループ1位orHグループ2位):12月9日24時00分キックオフ
- 放送情報:NHK総合・ABEMA
日本がグループリーグを2位で勝ち進んだ場合
- トーナメント1回戦(グループF 1位):12月6日24時00分キックオフ
- 放送情報:フジテレビ・ABEMA
- 準々決勝(Hグループ1位orGグループ2位):12月10日24時00分キックオフ
- 放送情報:NHK総合・ABEMA
準決勝・決勝
- 準決勝1:12月13日28時00分キックオフ
- 放送情報:ABEMA(放送局は未定)
- 準決勝2:12月14日28時00分キックオフ
- 放送情報:ABEMA(放送局は未定)
- 3位決定戦:12月17日24時00分キックオフ
- 放送情報:フジテレビ・ABEMA
- 決勝:12月18日24時00分キックオフ
- 放送情報:NHK総合・ABEMA
超濃密なグループリーグを戦うサッカー日本代表の展望とサッカーゲーム好きの視点から見るカタール大会の注目ポイント
カタール大会を戦う、日本代表についても触れておきたい。上述の通り今大会の日本代表はワールドカップ優勝国にして、世界トップレベルのリーグで活躍する選手を多数擁するスペイン、ドイツが同居するグループEに組み分けられた。グループEは日本、スペイン、ドイツにコスタリカを加えた4国で、決勝リーグ進出を目指して総当たり戦で激突する。11月1日に発表された日本代表のメンバーは以下の通り。
日本代表メンバー&スタメン予想
※()内は所属チーム/年齢
GK
- 川島永嗣(ストラスブール/フランス・39)
- 権田修一(清水エスパルス・33)
- シュミット ダニエル(シントトロイデン/ベルギー・30)
DF
- 長友佑都(FC東京・36)
- 吉田麻也(シャルケ04/ドイツ・34)
- 酒井宏樹(浦和レッズ・32)
- 谷口彰悟(川崎フロンターレ・31)
- 山根視来(川崎フロンターレ・28)
- 板倉 滉(ボルシア・メンヒェングラートバッハ/ドイツ・25)
- 町野修斗(湘南ベルマーレ・23)※
- 冨安健洋(アーセナル/イングランド・23)
- 伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ・23)
MF・FW
- 柴崎 岳(CDレガネス/スペイン・30)
- 遠藤 航(シュツットガルト/ドイツ・29)
- 伊東純也(スタッド・ランス/フランス・29)
- 浅野拓磨(VfLボーフム/ドイツ・27)
- 南野拓実(ASモナコ/フランス・27)
- 守田英正(スポルティング/ポルトガル・27)
- 鎌田大地(フランクフルト/ドイツ・26)
- 相馬勇紀(名古屋グランパス・25)
- 三笘 薫(ブライトン/イングランド・25)
- 前田大然(セルティック/スコットランド・25)
- 堂安 律(SCフライブルク/ドイツ・24)
- 上田綺世(セルクルブリュージュ/ベルギー・24)
- 田中 碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ/ドイツ・24)
- 久保建英(レアル・ソシエダ/スペイン・21)
※中山雄太(ハダースフィールド・タウンFC/イングランド・25)が負傷により出場を辞退し、代替選手として町野修斗が追加召集
こちらは筆者の予想スターティングメンバー。大会前に召集メンバーのけがや体調不良が重なったため、どういった布陣になるのかは正直読めないところではある。
守備陣は、最終ラインを支える冨安の負傷や中山の離脱、直前のリーグ戦で脳震盪を起こした遠藤のコンディションなどで守備ブロックに不安は抱えるが、長年代表を支えている吉田、長友らベテラン組の奮起に期待したいところ。一方、三笘(体調不良があったものの無事に合流)や鎌田、伊東が先発出場し、欧州リーグで活躍する久保、南野、堂安らが控えに回る可能性が高い2列目の充実ぶりは、万全のコンディションではない選手を抱えていたとしても目を見張るものがある。プレミアリーグ好きとしては、卓越したドリブルとチャンスメイクで所属チーム“ブライトン”での地位を確立しつつある三苫は注目してほしい選手だ。
また、世界の強豪との対戦を想定し、基本フォーメーションを4-3-3から4-2-3-1に変更してチームの重心を下げた判断も吉と出るか……。
日本代表のチームとしての実績、選手個々の経験等をスペイン、ドイツ代表と比較するとどうしても見劣りし、グループリーグは苦しい戦いになることが予想される(対コスタリカに関しては4勝1分と相性はかなりいい)。ちなみにグループリーグを通過した場合、決勝ラウンド1回戦ではグループFの1位か2位と対戦することに。グループFが前評判通りの順当な結果に収まると、勝ち上がってくるのは前回のワールドカップで準優勝を果たしたクロアチアか、日本代表を倒してベスト4入りしたベルギーと対戦することになる。
ワールドカップを戦う日本代表史上、もっとも険しい道が待っていそうな大会だが、試合を観戦する側としては、世界トップレベルのスター選手と日本代表とのマッチアップが何度も見られるお得な機会ともいえる。日本代表の健闘に期待したい。
メッシやクリロナはW杯初優勝なるか……、サッカーゲーム好きの楽しみ方
日本代表の話題からは外れるが、サッカーゲームきっかけでリアルサッカーに興味を持った、筆者のようなゲームプレイヤーから見た本大会の注目ポイントも挙げておきたい。それは”スーパースターたちが代表で有終の美を飾れるか否か”。
なかでも注目なのが、サッカーゲームの進化、そして売り上げも爆発的に伸びていった2000年代から現在に至るまで第一線で活躍してきたリオネル・メッシ(35歳)、クリスティアーノ・ロナウド(37歳)。その年の最優秀選手に贈られるバロンドール受賞はもちろん、クラブでも輝かしい成績を残してきたが、唯一ワールドカップのトロフィーはまだ掲げることができていない。年齢的に最後のワールドカップになるだろうし、今大会に賭ける気持ちはひと一倍強いはずだ。
そのほかにもサッカーゲーマーならその能力の高さにお世話になったであろうレバンドフスキやベンゼマ(決定力が高いうえにポストプレイでボールも持たせられる)、ベイル、アザール(めちゃくちゃドリブルが速い)、モドリッチ(天才的なボールさばき)、ディ・マリア、ミュラー(適正ポジションが多く使い勝手がいい)、チアゴ・シウバ(すべての能力が高い万能DF)、ノイアー(守備範囲の広さ、キック技術の高さでGKの概念を変えた)あたりも、ナショナルチームの代表選手としては、今大会が”ラストダンス”になる可能性は高い。
かつてサッカーゲームに熱くなっていた人は、リアルサッカーはもちろんゲームの世界でも輝いた名選手に思いを馳せつつ今回のワールドカップを観戦する……なんて楽しみ方もオススメしたい。