2023年にNEOWIZが発売を予定している、ソウルライクアクションRPG『Lies of P』。世界的な童話『ピノッキオの冒険』を原作に、ハードコアな戦闘が楽しめるゲームとして、注目されています。

ピノキオ残酷ソウルライク『Lies of P』がゴシックホラーに行きついた理由。華やかな時代背景から、奇妙だが美しい“ベル・エポック・パンク”へ

 そんな本作が、2022年11月16日~20日に開催された、韓国最大のゲーム展示会“G-STAR 2022”にてアジア初のプレイアブルデモを出展。前回の記事では50台を超える試遊機を設置した大型ブースや関連アイテム展示の様子などをお伝えしました。

 それに続き、イベント会場でメディア向けに実施された、『Lies of P』でアートディレクターを務めるノ・チャンギュ氏によるカンファレンスの模様をお届けします。

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『Lies of P』アートディレクター:ノ・チャンギュ氏。

『Lies of P』のはじまりと『ピノッキオ』との出会い

 ノ氏は、アクションRPG『ブレス アンリーシュド』の制作にも携わるコンセプトアーティスト。19年ほどの業界歴を持つベテランであり、お若そうな外見とのギャップに驚かされます。

 2019年の夏、そんなノ氏を含めてチームが結成。開発会社Round8 Studioの新作ゲームとして、後に『Lies of P』となる新作ゲームの構想がスタートしました。

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最初期のコンセプトアート。

 初期構想の段階では、ホラー的な要素を組み込んだソウルライクジャンルのゲームであることや19世紀のヨーロッパを背景にすることなどが漠然と決定。ノ氏は鉄仮面や錬金術師などをモチーフにシナリオを書きながら、コンセプトやテーマを模索していったそうですが、「夢は大きいが、形にするのは簡単ではなかった」と当時を振り返ります。

 そんなある日、本作プロデューサーのチェ・ジウォン氏が童話『ピノッキオの冒険』を題材としたプロジェクトを提案

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 この出来事を「運命だと思った」とステージで熱く言葉にするノ氏。

 というのも、ちょうど同じ時期に、ノ氏は『ブレードランナー 2049』や『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、『ウエストワールド』といった映像作品からインスピレーションを受け、人間の本質をテーマとして扱いたいと考えていたそう。そのテーマを描くために、彼が選んでいた作品もまた、偶然にも『ピノッキオの冒険』だったのです。

 奇跡的な巡り合わせに、「何が何でもやりたいと考えた」と、ノ氏。

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 プロデューサーのチェ氏は熱量とビジョンを併せ持つ優秀な企画者で、ストーリー作家としての能力も高い人物とのこと。そんな彼と作品を作るならば、自身はイメージや画像をうまく表現すればいいと考え、ついに『Lies of P』の制作が本格始動となりました。

キーワードは「奇妙だが美しい」

 そうした作品作りの中で、『ピノッキオの冒険』のアレンジが、プロジェクトに関わるデザイナーやアーティストたちにとって最大の課題になったとノ氏は語ります。

 ノ氏は、カルロ・コロディが書いた原作『ピノッキオの冒険』のことを「教訓的な内容であり、多くの人を魅了します。皮肉や風刺もあり、おもしろさの中にも人間のモラルに対して疑問を投げかける、偉大な物語です」と表現。それを脚色するのは、とても勇気が必要だったと明かします。

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 とくに重要なのは、童話的なメッセージ性を、現代で作る『Lies of P』にどう落とし込むか、ということ。原作に登場するゴリラの裁判官や棺を運ぶウサギ、サーカスの団長、警察、猫やキツネといった個性的なキャラクターたちを、どのように活かしていくのでしょうか。

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 この課題に望む開発チームの心を動かしたのは、「奇妙だが、美しい」という言葉でした。そして、これを表現するために、19世紀の“ベル・エポック時代”を背景とすることに辿くのです。

 民衆たちが繫栄を謳歌し、フランス・パリが非常に華やかだったベル・エポック時代。しかし、その裏には、機械に職を奪られることに対する漠然とした恐怖もありました(ラッダイト運動)。ゲームのホラー要素として、そうした19世紀の暗い部分まで導入することで、『Lies of P』にピッタリの世界観を作れると開発チームは考えたわけです。

 そういった流れもありして、オスマン様式、ロマネスク様式、バロック様式といった、当時の美しい建築デザインを採用。柱やアーチを積極的に活用しながら、古典的な雰囲気を表現し、冷たいホラーと金属的な無機質を同期させていきます。

ピノキオ残酷ソウルライク『Lies of P』がゴシックホラーに行きついた理由。華やかな時代背景から、奇妙だが美しい“ベル・エポック・パンク”へ
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 さらに、ホラーのジャンルも“ゴシックホラー”へと、さらに具体化。『フランケンシュタイン』、『スリーピー・ホロウ』、『Pan's Labyrinth』、『クリムゾン・ピーク』といった、ホラーとロマンスが融合したゴシックホラー作品は19世紀が舞台のことも多く、ノ氏はこれらを参考にしたそうです。

 ゲームからは『バイオショック』や『ディスオナード』、『ロストチルドレン』といったゲームも参考に、スチームパンク的なSF要素もベル・エポック時代に似合うエッセンスとして取り入れ、ゴシックホラーとサイエンスが融合した独自の世界観を構築。これを“ベル・エポック・パンク”と名づけ、2019年にキーアートが誕生しました。

 「奇妙だが、美しい」は、『Lies of P』の核心を担うキーワードとなったのです。

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キーアートに描かれる手は人間、涙が感情、心臓を人形と、それぞれが表現している。

完成していく世界観

 以降は、コンセプトアートの公開と解説が行われていきます。まずは、コンセプトチームで最初に作業したという、本作の舞台“Krat City”。雨が降っている駅とその内部。右下には、オペラ座も描かれています。

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 機械人形の反乱により、“Krat City”のフェスティバルなどは中止になってしまっています。真ん中にいるのは、ボスモンスター“フェスティバルの案内者”。

 史実のベル・エポック時代には万国博覧会が開かれていますが、ゲーム中は、こちらも中止になっています。

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 続いて公開されたPietaという場所は、ゲームの重要な場所なのだそう。天井のガラスが割れて、そこから雨が降り込んでいます。今回のNEOWIZブースで再現したかったそうですが、実現は叶わなかったようです。

 実際のNEOWIZブースでは、Pietaに描かれている女神像のようなものが確認できました。ブースの上空からP(本作の主人公)のような人形が釣り下げられていますが、コンセプトアートでは抱きかかえられているようにも見えます。何らかの伏線なのかも?

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 ベル・エポック時代を代表とする建物であるオペラ座。ここでは、“人形の王”が登場するそうです。

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 こちらは、世界観で重要な意味を持つアイテム“Stargazer”。ゲーム中ではセーブポイントとしての役割があり、キャラクターの強化なども行えます。

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“Stargazer”の初期案。
“Stargazer”の実装版
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ゲーム中では、壊れているスターゲイザーを復旧させると使用可能に。

 金庫ゲートのコンセプトアート。金庫のロック装置を扉に取り付けると、反乱した機械人形の進入を防ぐゲートとして運用できるそうです。実際にPが取り外して使うもののため、気を付けてデザインしたとのこと。

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主要なキャラクターとクリーチャー

 続いては、本作に登場するキャラクターたちのメイキング資料。主人公であるPは、奇妙な世の中を生きる、美しい少年というのがコンセプトです。最初は20代半ばくらいのデザインだったそうですが、まだ成長しきっていない少年であるべきだとリデザイン。現在の姿になりました。

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 原作ではPの親的存在であるゼペット爺さん。そのモデルは何とノ氏の奥さんのお父様。直接会った際に、身なりや印象、髪色や雰囲気から、ゼペット爺さんを連想したのだとか。なお、青色のマフラーがゼペット爺さんを象徴すると考え、その動きにこだわっているそうです。

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右写真の右上の人物がノ氏の義父。言われなければモデルかと思うくらい整った顔立ち。

 3Dのキャラクターを制作する際には、最初に大きく形を作り、細かな調整をしていくそうです。「3Dチームはとても優秀で、リアルな表現にしてくれた」とノ氏は誇らしげに話していました。

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 キャラクターの中でいちばんのお金持ち・Venigni。本作の制作にあたり、デザインチームは19世紀の服飾を研究。靴の形や、ファスナー(ジッパー)などの時代にそぐわないアイテムを排除するなど、細かな部分にまで気を配っているとのこと。

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 続いて紹介するAntoniaは、ノ氏いわく「世界観をよく活かしてくれるキャラクター」。原作ではゼペットの友人である男性で、言葉を話す木切れ(ピノキオ)の第一発見者。本作では女性として表現するために、アントニオから女性名のアントニアに変わっています。

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 Sopfiaは青い妖精(ブルーフェアリー)。原作ではピノキオの命運を握る重要な存在。どのような役割を持つキャラクターになるのか楽しみです。

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 ここからは敵の設定資料。原作にも登場する犬を連れた警察官のキャラクターや裁判官のゴリラは、本作ではこのような巨大で怖ろしい外見になりました。プレイアブルデモでは、ボスとして登場するのも確認。

 サーカスの団長は、原作では背中の籠にプレゼントを入れていましたが、そこに死体を集めているという恐ろしい設定になりました。

 棺を背負うウサギたちは人間の姿で表現。会場には彼らの姿をした公式コスプレイヤーさんも登場しました。

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テクニカル的な表現により映像で世界観を演出

 実際の映像では重厚感ある世界観の表現を目指し、ブリーチバイパスやENR現象技法といった技術が用いられています。

 屋外の場合は雨の降る風景や光の表現をより美しく。汽車やホテルの中といった室内は、PBR(Physical Based Rendering:フィジカルベースドレンダリング)をベースにする技術により、インテリアの質感がより際立つものとなっています。

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 視覚的に湿度、温度、風が伝わるようにも調整されています。夕暮れや朝焼けなど、時間帯や天気によって背景はさまざまな移り変わりを見せるとのこと。

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 そうした技術が実際に適用された映像(からキャプチャーした画像)がこちら。光源が、ふつうのオブジェクトだけでなく、煙やスチームにまで影響している様子もわかります。

 「これほど丁寧に19世紀のヨーロッパを表現したのは、韓国のゲームでは初のことだと思います」とはノ氏の弁。

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 カンファレンスの最後には、世界中から届いたファンアートも紹介。発売前にも関わらず届く声援の数々に対して、「世界中のみなさんの期待に答えられるような結果を見せられるよう、我々はこのプロジェクトを、開発者・アーティストとして最善をつくし、発売日のギリギリまで完成度のUPに務めます」と締めくりました。

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気になるところを質問!

 カンファレンス終了後、記者による質疑応答の時間も設けられたので、記事の最後に掲載していく。

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――金庫ゲートのようなアートがセットになったゲームシステムに関しては、アートが先にあったのか、ゲームシステムとしての立案が先だったのか、どちらなのでしょうか?

ノ氏 天気やロック装置といったもののほとんどは、企画の段階から考えられていたものです。

――ベースとったベル・エポック時代は長く、アート的にはネオクラシズムやフォービズムなど、いろいろと花開いた時代です。いま見た画像では、とくに代表的なアール・ヌーヴォー的なものは見られなかったのですが、何か意図があるのでしょうか?

ノ氏 公開映像の中にはありませんでしたが、仰られた美術のジャンルは、ゲームがリリースされたら見つけられるはず。美術品にはとても気を使って開発を進めていますので、楽しみにしていてください。

――オペラ座など実際の建築物もゲームのマップとして登場するとのことですが、どれほどの再現率で、どこまでアレンジされているのでしょうか?

ノ氏 具体的にどれくらいアレンジしたかはこの場でお伝えできませんが、ゲームにマッチする建築物をリサーチして採用したので、楽しみにしていてください。

――実際ある建築物は、現実に行ったことがあるプレイヤーから見ると、聖地巡礼のような感覚でも楽しめるのでしょうか?

ノ氏 そうですね。行ったことがある人ならば、わかる再限度だと思います。コロナ感染症の影響で実際にロケはできなかったのですが、現場の雰囲気や建築物を最大限に調整して表現しています。

――原作『ピノッキオの冒険』はイタリアの物語です。あえて、フランスの“ベル・エポック”を選んだ理由はなんだったのでしょうか?

ノ氏 最初はイタリアも選択肢のひとつではありました。しかし、原作に従わなければならないという考えはなく、ゲームの『Lies of P』として、ピッタリな時代背景として、ベル・エポックという変化を加えることになりました。先ほども説明した通り、雰囲気を出すためにゴシック様式を取り入れることとなり、鉄の扉といった建築物も多かったので選択したという理由もあります。全体的に作品のトーンを合わせるためです。