コーエーテクモゲームスやセガゲームスの代表取締役社長を歴任した松原健二氏がSNKの代表取締役社長CEOに就任して、早1年が経過。松原氏は就任1年目をどのように歩んだのか? そして、今後はどのような成長戦略を見据えているのか? 松原社長にお話をうかがった(聞き手:ファミ通グループ代表 林)。
松原 健二(まつばら けんじ)
SNK代表取締役社長CEO
コミュニケーションを重視した東京オフィス
――東京支社の新オフィスを拝見させていただき、ありがとうございます。すごくオシャレで開放感があり、とてもスタイリッシュなオフィスですね。
松原ありがとうございます。私がSNKに入るときに「開発力を強化するのであれば、やはり東京にもスタジオを持ったほうがいい」という話をして、2021年8月に入社してすぐにこの場所に決めました。
――就任直後のタイミングで決定したんですね。
松原はい。みんな分け隔てなくコミュニケーションできるような環境を作りたいと考え、開放感があるように。そしてスタッフが集まって交流したり、外に向けた情報発信も行えるようにオープンなスペースを用意してあります。
――シンプルでゆったりと仕事ができそうですし、エントランスやオフィス内に打ち合わせスペースもありますね。
松原そうですね。簡単な打ち合わせであれば、会議室に行かなくてもさっと集まって話せるようなスペースをたくさん用意してあります。
サウジアラビア資本と熱狂的SNKファンの皇太子殿下
――SNKさんは、2021年4月にサウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子殿下によって設立された“MiSK財団”が所有する企業“Electronic Gaming Development Company”(EGDC)によって買収され、同年8月に松原さんがCEOに就任されました。まずはこのMiSK財団についてお聞かせいただけないでしょうか?
松原私たちの親会社となったMiSK財団は、サウジアラビアの若者を健全に育成することを支援するNPOなんです。
これまでのサウジアラビアは石油や化学が産業の中心にあったのですが、これからはさまざまな産業を育成していくという方針があり、「若者が興味を持ってやることを支援する」という流れでエンタメがものすごく重要になっています。
そういった中で、サウジアラビアから見た日本は、アニメ、マンガ、ゲームなどのエンタメ大国であり、すでにマンガやアニメには積極的に投資を行っています。そしてつぎはゲームだろうと。そういった流れでSNKを買収することになったようです。もちろん、ご存じかと思いますが、サウジアラビアの皇太子殿下がものすごくゲームが好きで、とくにSNKの大ファンなんです(笑)。
――皇太子殿下がSNKファンというのはすごい話ですよね。おそらくは、皇太子殿下が青春時代に遊んでおられたものがまさに『サムライスピリッツ』だったり『KOF』だったということですよね。
松原聞くところによれば、10代のころにアーケードゲームを日本から取り寄せて遊んでおられたそうです。日本のゲームが大好きな10代の若者が熱中するのと、そこはまったく変わらないか、もしくはそれ以上に熱中しておられただろうという雰囲気を感じますね。
――現在はサウジアラビアの首相になられて政治を行い、一方で財団としてはサウジアラビアのエンタメ事業発展のためにゲーム分野に力を入れておられるわけですが、皇太子殿下は事業に対してどこまでご自分の意思をおっしゃっているのか気になりますよね。
松原そこはしっかりと分離されておられます。皇太子殿下は株主として、会社の所有者として、「SNKはこうあってほしい」という経営的な視点を持ち合わせておられ、それを会社として受けて、取締役会が意思決定をし、計画、実行していく。これはもうサウジアラビアでもどこでも同じことだと思います。
その一方で、やはりファンなので、『KOF』はこういうところが魅力的だとアツく語っていらっしゃる。そこはとても熱狂的なファンのひとりという感じですね。
SNKのCEOになることを決断
――松原さんがCEOとして入社したときにいちばん魅力を感じた点はどこになるのでしょうか?
松原皇太子殿下やMiSK財団に「日本の会社を所有してどうなさるおつもりなんですか?」と聞いたことがあるんですよ。「結局サウジアラビアに持ち帰るのが目的なのか?」と。
すると、SNKが日本の企業として大きく成長して、それをサウジアラビアがサポートしたことで世界トップレベルに成長するということを実現したいとおっしゃったんです。
じつは、皇太子殿下が以前来日した際に、“日・サウジ・ビジョン2030(※)”という成長戦略を両国間で作成したのですが、その中でこれから日本とサウジアラビア政府がいっしょに育てていくものとして、エンタメがしっかりと書かれてあるんですよ。
その中でゲームもマンガもアニメも産業としてやっていく。これはもう国と国の約束として決まっていて、その具体的な事業としてMiSK財団がSNKを所有したと。それだけサポートもしていただけるならいっしょにやりましょうという話をさせていただきました。
※日本とサウジアラビアの間で2017年に策定された二国間協力の基本的方向性と具体的なプロジェクトリスト。「新しい日サ協力の羅針盤として、脱石油依存と雇用創出のためサウジが追求する“サウジビジョン2030”と、GDP600兆円の達成に向けて日本が追求する“日本の成長戦略”のシナジーを目指す」とされている。
就任1年でさまざまな改革を実施
――2021年8月に入社されてからやり甲斐を感じた部分はどういったところなのでしょうか?
松原SNKは、日本に150人、北京に200人の従業員を抱える規模でしっかり利益を出しているんですよ。すでに成熟した形がありますから、どこから手をつけていいのかなという感じでしたね。
とはいえ、株主からのオーダーは、“SNKを世界トップレベルに持っていってほしい”ですから、ある程度成熟しているこれまでのプロセスや考えかたを抜本的に変えないといけません。
そこでまずは、「世界トップ10に入りましょう。みなさんにはそれだけのチャンスがあります」ということを話し、そのためには、「ルールは当然ながら、みなさんの気持ちや仕事のやりかたも変えなきゃいけない」と伝えることから始めました。
――まずは意識改革からということですか。そこからは?
松原この1年間さまざまなことに着手しました。プロジェクトや事業がどのように進んでいるのかを正確に把握する管理会計の仕組み。タイトルの開発やプロジェクトの進捗を管理するプロジェクト審査の流れなどは、これまでの私の経験を活かして、世界トップクラスになるためにもっとも効率的なやりかたを導入しました。
――これまでは、プロジェクトの審査や開発途中での審査会みたいな仕組みはなかったのですか?
松原グローバルに展開する大企業は大きな予算を使うので、まずはプロトタイプを作成したあとに、本当に事業として取り組むのかといういちばん大事な事業性審査があり、そしてαテスト、βテストを経て、リリース審査を行う。こういった流れが標準的だと思うんですけど、これまでのSNKにはそこまで体系的な流れはありませんでした。
何しろ日本には大阪の1スタジオしかなかったので、ある程度阿吽の呼吸で意思疎通ができていましたからね。しかし、これからは東京スタジオもありますし、タイトルやスタッフが増えていくので、グローバルで標準的な流れを導入することが必要だなと、就任してまもなく取り組みました。
IPを生まれ変わらせる“リヴァンプ”
――まず、これからのSNKさんの具体的な目標をお聞きする前に、IPをリヴァンプさせるというのは具体的にどういうことなのでしょうか?
松原SNKには40年という歴史があり、素晴らしいIPをたくさん持っているのですが、それが世界中のみなさんに十分届いているかというと、そうではないと思っています。
いままでは格闘ゲームというジャンルの中で届けようとしていましたが、そのIPの持てるポテンシャルを考えて、アクションゲームだったり、キャラクターストーリーを活かしたものだったり、格闘ゲーム以外のジャンルへも届けて、IPとしての広がりを持たせてより多くのお客様に楽しんでほしいと思っています。
それがゲームを超えて、ゆくゆくは映像コンテンツといったように、広い意味でのエンタメとして展開できるような流れを作りたい。そういう形でIPを甦らせ、生まれ変わらせる取り組みをリヴァンプと考えています。
――IPの復活という意味では、すでに『餓狼伝説』が発表されていますけれども、そういったかつての格闘ゲームタイトルを格闘ゲームとして新作を作るだけではなく、アクションアドベンチャーだったり、オープンワールドだったり、そういったことにチャレンジしていくということですか?
松原格闘ゲームはSNKのランドマークとして作り続け、さらにおっしゃっていたジャンルへの展開もしっかり見据えていますので、どうぞ楽しみにお待ちいただきたいと思います。格闘ゲームにはたくさんのキャラクターがいて、それぞれに背景ストーリーがある。そういう点で言えば、アクションアドベンチャーやRPGのようなストーリー性のあるものに展開していくというのは、IPを広げていく大切な要素になっていくと思っています。
開発体制の整備と拡充
――そういったタイトルを実際に開発するとなると、開発体制の整備や拡充が必要になると思います。
松原現在は大阪スタジオが150名程度、東京スタジオが30名程度、北京スタジオは200名くらいと、合計400名弱の規模です。大まかには、大阪はリヴァンプ、東京は新作、北京はリヴァンプと新作両方を担う形で考えていますけど、まだまだ十分な体制とは言えません。
――では、どのくらいまで増やしていくのでしょうか?
松原10年後に世界トップ10に入る規模と考えると、数千人規模。日本や中国スタジオのオーガニックな成長に加えて、国内外含めてM&Aも視野に。
――10年という期間は長いようで短い気もします。
松原そうですね。実際に国内のパブリッシャーでそれだけのグローバルな成長を遂げたという前例はないと思います。国内はオーガニックな成長を進めますが、いっしょになってくれるゲーム開発者やパブリッシャーをこれから探したり、もしくはパートナーシップを通じていっしょにやっていく仲間を増やしていくということが重要だと思います。
――すごい目標ですよね。
松原最初に皇太子殿下と話したとき、「SNKは90年代にものすごく輝いていた。だからあの時代、もしくはそれ以上を目指してほしい」とおっしゃっていました。それを受けて私のほうから「10年で世界トップ10に入る」、「そして売上は10億ドル以上」を目標とする提案をいたしました。その話をベースにMiSK財団と合意し、10年の方針、周期計画を検討し、その計画が取締役会で承認されたというところですね。
――10億ドルというと、カプコンさんがちょうど1000億程度を売り上げているので、そのあたりを目指すということですよね。
松原私は以前務めていた会社で1400億円規模の経験があるので、10億ドルがどういった規模なのかは経験しています。ですから、10億ドルを目指すことはチャレンジングではありますが、できないことはないと思っています。それに10億ドルを達成することも大切ですが、それ以上に一歩ずつ目標に近づいているということのほうが大切なんです。そういう状況を作り出すことが、私の責任だと考えています。
――たしかに松原さんはその経験がおありで、恐らく松原さんの視界としては開発はこれぐらいの体制が必要だとか、そういったものが見えていますよね。
松原規模としてはそうですね。開発チームを成長させていく、増やしていくことが鍵となり、それをどうやってお客様に届けるのか? そしてそれをグローバルで展開することも非常に必要な力だと思っています。
――オーガニックな成長だけではなく、意志と意図を持ってワールドワイドのAAAタイトルを作っていくんだっていうことですよね。
松原リヴァンプのIPとしてもAAAを目指しますし、新作IPでもAAAを目指そうと。1990年代のSNKは、チャレンジのくり返しの歴史だったと思うんですよね。いろんな失敗があって、どちらかというと失敗のほうが多いですよねきっと。その中で諦めずにチャレンジし続けたから、いくつかが成功する結果になったという。
そこはSNKの持っているDNAみたいなものだと思うので、しっかりと継承して、そういう姿勢を取ることで世界トップ10までたどり着くという道筋が見えてくると思っています。
次世代AAAタイトルの創出を担う東京スタジオ
――東京スタジオはどのような役割を担っていくのでしょうか?
松原東京スタジオはやはり新作IPを作って、新たなAAAタイトルを創出するということですね。さらにそれだけではなく、新しいIPにおいても幅広いゲームジャンルに取り組むなど、新しいチャレンジをしていくのが東京スタジオになります。
一方、大阪スタジオは、経験を活かして格闘ゲームを私たちのランドマークとして続けて行く。そしてさきほどのリヴァンプの中心は大阪になるでしょう。
中国はモバイルゲームの開発としては最先端を進んでいますから、北京のスタジオはモバイルゲームとして新作IPとリヴァンプIPをバランスよくやっていきます。『原神』が出てきたときのインパクトに負けないくらいの中国発のグローバルタイトルを目指したいですね。場合によっては北京だけではなく、新たなスタジオを作ったり、もしくはいっしょになってくれる仲間を増やす考えかたもあります。
――新しいIPを東京でというのは、本当に何もないところからのスタートですか?
松原その通りです。SNKは歴史があるのでリヴァンプも大事ですが、ゲーム会社として新しいIPを作り出す。そこにチャレンジすることも絶対に必要です。ということを皇太子殿下やMiSK財団にお伝えしています。
それこそ、さきほども言った通り、1990年代のSNKはそういうことをやってきて、新しいIPを作り続けてきました。新しいIPを作り出すのはたいへんなのはわかっていますけど、ゲーム会社として将来成長させていきたいのであれば、絶対に必要な要素だと伝えて、そういったことを理解していただきました。
リヴァンプと新規IPの創出の両方に取り組み、この10年でSNKが力として蓄えていく方向に進めていきたいですね。
――東京に新たにジョインしたメンバーの知見を軸に、大阪スタジオと連携しながらSNKとしてやっていくという感じですかね。
松原そうですね。第1スタジオを大阪、第2スタジオを東京と番号を振ったのですが、それもできるだけ地域の壁を設けたくないというところからです。東京は発足してからまだ1年ですし、メンバーも30名足らずですから交流はこれからですけど、将来的には新卒も採用して、ドンドンいっしょになって物を作っていくということが浸透していくようになるんじゃないかなと思っています。
――さきほどのお話ですと、北京がモバイルゲームということですが、第1スタジオ、第2スタジオがコンシューマー、PC系だけをやるってわけでもないんですよね?
松原もちろんです。チャンスがあればモバイルゲームもやります。逆に、中国はコンソール系の開発ができないので、PC&モバイルに集中した形になると思います。
海外でのパブリッシングを強化
――これからSNKの事業を海外に向けて広げていくとなると、どうやってパブリッシングを強化していくのかという課題があると思います。こちらは海外に拠点を設けたり、M&Aを行っていくなど、いくつか方法があると思うのですが、その点はいかがでしょうか?
松原いままさに中期計画および10年の戦略を作っているところですね。ゲーム会社として備えるべき機能すべてにわたって、M&Aだったり、パートナーシップという機会を考えています。アジアは中国、韓国、台湾に拠点がありますので、それをベースに広げ、米国と欧州は本当にこれからということで、M&Aをターゲットにしたチームを組成して動いています。
――ワールドワイドというといまは欧米や東アジアが中心かと思いますが、今後は東南アジアや南米、中東など、そういった地域でもやり甲斐がありそうですね。
松原先日、格闘ゲーム世界大会“EVO”が開催されたときに、チリのインフルエンサーの方にサポートしていただいたんです。格闘ゲームの特徴なのか、そういうインフルエンサーが世界各地にいらっしゃるんですよね。
世界中にファンがいてくれるのは長い歴史があったからだと思うんですけど、そういう点ではやはり重要なのは北米と欧州。そこから欧州は中東を含めた広がりを、北米は南米までの広がりを、というようなパブリッシングやマーケティングをやっていく拠点を作っていきたいですね。
――今年のEVOだと『餓狼伝説』シリーズの新作が発表されたので、つぎの情報公開はいつまで待てばいいのでしょうか?
松原そうですね。『THE KING OF FIGHTERS XV』(以下、『KOF XV』)を発売して、『餓狼伝説』の新作はまだ着手したばかりなので、いまは粛々と順調に進んでいます。順調に進まなくなるのはこのさきのフェーズですね(笑)。
いまはもう企画を固めて、プロトタイプを作成して事業性審査を行っているところですので、この後にいろいろ改善しないといけない部分がたくさん出てくると思いますし、そういうところには私も定期的に入って話を聞き、「こういう風にしたほうがいいかな」と、意見を言うようにしています。まだSNKの経験が長くないので、そういうところはがっちり入って「一緒にやっていくぞ」という姿勢を見せているつもりです。
映像コンテンツとしての展開も
――AAAタイトルはおそらく2、3年かけて作って行くと思うのですが、そうではなく1年程度で作ってアウトプットしていくようなタイトルもあるのでしょうか?
松原 もちろんです。ポートフォリオはホームラン1発狙いのチームではなく、AAAタイトルもありますけど、そこにいたるまでの間に、スタジオとして結果を出していく必要がありますので、1年程度で発売できる中規模クラスのタイトルも考えています。おそらく、AAAタイトルよりもそういったタイトルから発表していくことになると思います。
――ということは、昨年から今年は準備、仕込みに時間を割いてると思うんですけど、来年以降は大きな発表が待っていると?
松原その通りです。また、ゲーム以外のコンテンツでは映像だったり、eスポーツ大会だったり、ファイターIP(格闘ゲームタイトル)をどのようにお客様に届け、そのIP自身をどう広げていくのか。これもグローバルでやっていかなければいけませんので、いままさに戦略を作っているところです。
eスポーツでいえば、『KOF XV』の世界大会“SNK REGIONAL BOUTS”を(2022年)11月からスタートしました。そういうものを来年以降も継続してやっていきますし、もちろんeスポーツ大会だけではない形でどうやってお客様にファイターIPやミリタリーIP(メタルスラッグなど)に接してもらう機会を作って行くか、も考えています。
現在考えているストーリーとしては、ゲームではなく映像だったり、イベントだったり、そういったものを戦略的に展開して人気を広げていく中で、お客様がゲームをプレイしたくなったときに、「ポンッ」と新作が出てくるといった流れのマーケティングプロセスを整えていきたいですね。
――なるほど。たとえば『餓狼伝説』や『KOF』を知らない方がアニメなどの展開を通じて興味を持ち、そのさきに新作が登場するといったストーリーを作るということですね。
松原はい。IPへの接しかたはさまざまな形があると思うので、やはりアニメやマンガといった映像的なものはとくに重要な要素だと考えています。
――そういった事業部隊はSNKさんの社内にあるのですか? それとも社外と連携しながらですか?
松原やはりSNKはゲーム会社なので、映像を作るときは外部と連携を取っていきます。国内だけではなく海外も含めて、いろいろなところとやっていこうと考えていろいろ仕込んでいます。
世界を熱狂させる文化を創造する
――昨年からの1年でSNKの変化を感じて、SNK入社を目指している方も多いかと思います。そこでSNKのミッション・ビジョンを改めてお聞かせいただけますか?
松原我々のミッションは「世界を熱狂させる文化を創造する」ということ。熱狂という言葉をどうしても入れたいと思っていました。格闘ゲームに代表される歴史がSNKにはあって、我々のゲームにはファンを熱狂させる要素があり、これは自分たちのアイデンティティとなっているんです。これからも熱狂を創り続ける。これまでのものを伝承するだけではなく、創り続ける。そういった意味で「創造する」という言葉も入れました。
――SNKさんらしい言葉ですね。
松原また、ミッション・ビジョンとして“Be a gaming power house”を設定しました。Power Houseは発信力のある存在という意味を込めているんですけど、ゲームを中心としたエンタメをしっかり発信する力を持っているという意味でこの言葉を使いました。“熱狂させる文化を創造する”。これを具現化させていくためには、ゲームの力を広くエンタメにドンドン発信するgaming power houseになりましょうと。
人の採用という点では、こういった我々のビジョンに共感していただける人、これから成長する会社、成長するというのはたいへんなフェーズになりますが、それをいっしょに走ってくれる方。これは正直100メートル走ではなく、マラソンだと思うので、いっしょに乗り越えて10年後に「こういう成果を出せたね」ということをいっしょに味わえる。そこを目指していただける人に参加してほしいですね。
――すごく楽しそうですね。
松原もちろん、描いた絵の通りにいくとは思っていません。ゲームですからやはり発売したものが売れる場合もあるし売れない場合もある。それでもしっかりバランスを取りながら成長していくだろうという形を戦略的に計画しています。
ですから、あとはゲームの開発を担う開発メンバー、そしてゲームを届けるパブリッシングやマーケティングのメンバーに優秀な人が入っていただければなと思っています。そうなれば「いけるかな?」という自信はあります。
目標をかみ砕いて実行可能レベルに落とすということをこの1年間やってきました。目標が高い分リスクがあるのも踏まえているので、フェーズごとにしっかり見直して、私たちの中ではそれをローリングと呼んでいるんですけど、ローリングしながら一歩ずつブレずに目標に向かって進んでいこうと。それをぜひいっしょにやろうという人が増えて入ってきていただければなと思ってます。
――すでに東京も大阪も採用は進んでいるのでしょうか?
松原じつは新卒の採用は今年からすごい力を入れていて、かなり成果を上げることができました。大阪も東京も非常に応募が増えたのはたいへんありがたかったですね。
――やっぱりゲーム業界はどこもかしこも人が足りていないし、募集しているけれど人が入らないということもよく耳にします。そういった中で成果が出ているのはすごいですね。
松原ゲーム業界は業界自身が成長しているし、日本社会への貢献もしていると思うんですよ。ですから、ほかの業界からゲーム業界を目指す人も増えてほしいですね。
業界全体として魅力をつけていくには、新卒だけではなく、プログラマーだったりアイデアを持って企画をやれるような人だったり、いろんな人が入って来れるような業界になっていくことが大切だと思うんです。だから経験がないからということではなくて、さっき言ったような長い目で成長していこうっていう気持ちを持った人にはぜひ考えていただきたいですね。弊社は通年採用も強化していますので。
――ちなみに、来年入られる新卒の方は松原さんが最終面接をされたんですか? どういった方が多いのでしょうか?
松原全員私と面接をしています。説明会に参加された方がほとんどですね。アンケートを見てみると、SNKが変わった、こういう会社になろうとしているということを感じたという方が非常に多いです。
SNKがいままで培ってきた文化も大事にしながら変わろうという姿に共感してくれたり、もちろん格ゲー大好きという人もいるし、新しいことを始めるのであればぜひ東京でやりたいという人もいるし、これからの成長を支えてくれそうな新卒が入ってくると思います。
――いいですね。ベテランだけではなく、しっかり若い世代の方が、新卒だったりとか外からも含めて入ってきて層が厚くなっていくと。
松原事業部長には、新卒採用を強化していくから、しっかりと部内で新卒を受け入れて、教育、仕事をする場を作ってほしいと伝えています。じつは、思った以上に内定を出したときに断られる数が少なかったんですよ。それで結局は予算より多い人数が入ってくることになりました(笑)。
――うれしい悲鳴ですね(笑)。
松原やはりそれだけ興味を持ってもらえたということなので、来年に向けて私たちの励みにもなります。
SNKではリクルート向けのイメージ映像を公開中
SNKは、今後のブレイクが期待される注目のアーティスト“鋭児”による書下ろし楽曲を使用したイメージ映像を公開中。新しいSNKを予感させるイメージ映像なので、気になる人はチェックしてみよう。