「クルーを殺害して回っているインポスターは誰だ!」「アイツだ」「お前だ」「いや俺は違うよ信じて! 本当に違うから!」……。VRの『Among Us』は緊張感が段違いでした。2022年11月に発売された『Among Us VR』のレビューをお届けします。
2020年からブームとなったアモアスこと『Among Us』は、宇宙船を舞台にした人狼系ゲームです。船内の作業を完了させるとクルー(人狼でいう村人)の勝利で、クルーに紛れたインポスター(人狼でいう狼)がクルーを皆殺しにするとインポスター側の勝利となります。
作業を進めつつ、死体を発見したらインポスターと疑わしきクルーを宇宙船から追放する会議を開いて議論を展開します。人狼ゲームの一種ではありますが役職がクルーとインポスターしかないため、初心者でもロールプレイがしやすいといった特徴もあります。
Meta Quest 2の購入はこちら (Amazon.co.jp)
『Among Us VR』のここがスゴイ
オリジナルの『Among Us』はマップを上から見るタイプのゲームゆえに自分の周囲を把握しやすいものでしたが、VR版は一人称視点で視界が限られているため、宇宙服を着てヘルメット越しに船内を見ているという雰囲気が高まります。
タスクリストを見るのにマップを開かないといけないというウィークポイントがありますが、タスクをこなしているときに左右に目を配って自分に近づいてくるプレイヤーの姿を恐る恐る確認。いつインポスターに襲われるかわからない恐怖のなか作業を進めます。
操作については、タスクでは実際にボタンを指で押したりレバーを引いたりと、作業の仕方はリアル。会議を開く“緊急ボタン”も手を押し込んで開催します。
この会議でも、声だけでなく身振り手振りで訴えることができ、位置によっては聞こえ方が違うのでよりリアルなコミュニケーションとなります。
インポスターはクルーに近づいてコントローラーのトリガーを引くと攻撃でき、無惨な姿のクルーが地面に転がります。クルーの仕事を邪魔するサボタージュはマップを開いてから選択できます。
ボイスチャットが前提なので、ペアやチームを組んでタスクをこなしているときに雑談できるのも『Among Us VR』の利点ですね。あいつは怪しい。いや他のプレイヤーが怪しい。と雑談混じりの相談をしながらゲームがプレイできるから、『Among Us』の世界により深く入ることができます。
まあそうやって胸襟を開いてくれたクルーをキルするのがインポスターの醍醐味でもあるのですが!1プレイあたりの所要時間は5~15分程度、サクサクっと進めることができます。
ひととおりプレイして、VRの没入感の高さとゲーム性がマッチしていると感じました。ただ、日本サーバーにはまだプレイヤーが少ない様子。USサーバーだとマッチングしやすいのですが、英語が喋れないと上手にプレイするのが難しいところがあります。
Meta Quest 2を持つ友達といっしょに時間を合わせてプレイするのが一番いいのですが、いつでもメンバーを揃えられるとは限りません。Discordなどで、一緒に『Among Us VR』をプレイしてくれるメンバーを探してみるのもいいでしょう。個人的には、“VR Game Japan”(@VRGameJapan)がおすすめ。1000人を超える日本人VRゲームプレイヤーが集っているコミュニティなので、ここなら一緒に『Among Us VR』をプレイしてくれる新たな友達を見つけやすいですよ。
性格がにじみ出てくるプレイの数々
以降は実際にプレイした模様を少しご紹介します。次の8人のメンバーで遊んでみました。
猿頭トリートメント
初代Meta Questアンバサダー、VR VTuber、“VR Game Japan”を運営
『Among Us VR』が初めて、いや『Among Us』自体が初めてというメンバーもいましたが、数分でだいたいの操作方法で学べるチュートリアルがあるので大丈夫。
1回のプレイ時間は5~15分程度なので、遊びながら慣れようということでプレイ開始。早速クルーは殺されないように各々のタスク=仕事をこなして怪しい行動をしているメンバーを吊し上げ、インポスターはクルーの殺害とサボタージュを繰り返してお互いに勝利を目指しました。
1戦目のプレイはコグレさんとゆーてるさんがインポスター。開始1分でサボタージュが起きて、時間内に障害を復旧させることができずにインポスターの勝利。2分で終わった速すぎる。
ぴちきょなんかコグレさんが後ろからついてきたのよ。まさかインポスター?と思ったけど、コグレさんは人狼でも役職無視して狂人プレイする(笑)から関係ないかなと思って。そうしたら!
ゆーてるはーい。ぴちきょさんを殺したのは僕でーす(笑)
ぴちきょなんか手伝ってくれる振りをして、ね!
スピーディな展開のなかに、すでに死亡者が出ていたとは! しかもインポスターふたりがひとりを狙うという逃げ道がない展開。これは熱い。
『Among Us VR』のプレイスタイルにはさまざまなタイプがありますが、個人的にはふたり1組でタスクをこなしていく、というのが良いと感じています。ふたりともクルーであれば安心。ひとりがインポスターだったら、もうひとりは殺されやすいけど残ったクルーがインポスターを把握しやすい。まあふたりともインポスターだったら死の宇宙となりやすいのですが、確率的にはこのプレイスタイルがいいと思うんですよね。そういったことも試してみました。
ムーシャのペアであるリーチャ隊長に「仕事場(タスクの場所)はどこですか?」と訪ねたら、
リーチャ隊長えっ。えっ。あ! ドアが開かない!
となにやら動揺しまくり。インポスターだからタスクが見えていないんじゃないだろうか。そう思って緊急会議ボタンをプッシュ! みんなー。リーチャ隊長が怪しいんだけどー。
リーチャ隊長違いますよ違います僕じゃない僕じゃないマジで僕じゃない僕じゃないほんっと信じてくださいマジで信じてください僕違いますからマジで僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない許してください!!!
と会議時間&投票時間まるごと叫びまくって無実を訴えるリーチャ隊長。
猿頭トリートメントじゃあ無実を証明してください。
と言っても
リーチャ隊長マジで僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃない僕じゃないマジで!
と、その場をぐるぐる回り、身振り手振りで無罪を訴えるVRならではのコミュニケーション。制限時間いっぱいです。全員からの票を集めて船外追放ゴー。さあインポスターはのこりひとりか、と思ったらリーチャ隊長はクルーだった! マジで無罪!? この回もインポスター側の勝利になってしまいました。
何戦か続けましたがなかなかクルーは勝てず。時間の関係で最後の一戦です。インポスターはぴちきょさんと、私ムーシャ。ここで、事件が起きました。
猿頭トリートメントさん、つくね伯爵、ぴちきょさん、リーチャ隊長、ムーシャがいる5人部屋で、タスクをこなしているフリをしていたら背後でキルの音。えっ。リーチャ隊長がキルされてる! こんなにたくさんの目撃者がいるとこでキルしたんですかぴちきょさん!
もちろんすぐに死体が発見されての会議です。
つくね伯爵僕見ましたよ。ぴちきょさんが刺すのを見ましたよ。
ぴちきょやってないやってない!
つくね伯爵あんなに人がいるなかで、僕の相棒刺してましたからね(笑)たぶん殺意を抑えられなかったんじゃないかと(笑)
これはいくらなんでもかばい切れない。ぴちきょさん船外追放でのこりインポスターはムーシャひとりに! なんとか猿頭トリートメントさん、めほりさんを連続キルするものの、死体発見後の会議にて。
つくね伯爵疑いをもたれているのをわかったうえで落ち着きすぎてない?
とツッコまれて船外追放。クルー、はじめての勝利です! ちくしょう!
ぴちきょ役立たずでごめーん。本当に我慢できなかったの!(笑) 誰でもいいからキルしたいという思いが募っちゃって(笑) 勝敗よりもキルしたかったの!(笑)
衝動的すぎる!
VRのパーティゲームとしてこれは盛り上がること間違いなし。ゲームへの理解度に差があったとはいえ、いや差があったからこそ、アグレッシブなプレイが続いた『Among Us VR』体験。これは本当に楽しかった! Meta Quest 2のVRを活かした最高のゲームのひとつだと、断言できます。
仲のいい友達とわちゃわちゃと遊んでよし、野良で初めてのメンツで本気プレイをしてもよし。みなさんも隔離された宇宙船のなかでドキドキのチームワークと裏切りを繰り返してみてはいかがでしょうか?