日本におけるPC用MMORPGの金字塔のひとつ『ラグナロクオンライン』(以下、『RO』)。2022年12月1日にはついに日本での正式サービスインから20周年を迎え、その直前にはユーザー待望の“4次職”も実装。新たな段階へとより進化を遂げた。年を越して2023年を迎えたいまもなお、20周年アニバーサリーイベントが開催中だ。
4次職という新たなキャラクターのステージ、そして20周年という大きな区切り。これらの実装を終えたいま、『RO』開発ならびに運営陣も、ほっと胸をなでおろしていることだろう。その落ち着いた心境を、インタビューでしっとり語っていただこう。
などと思っていた時期が、私たちにもありました。
先に言ってしまうと、『RO』はまだまだ止まらない模様。以前から20年選手タイトルとは思えないほどに活発ではあるが、その勢いは今後さらに増していくようだ。
大きな節目となった2022年を振り返りつつも、今後2023年に『RO』がどのような展望を用意しているのか、『RO』日本運営にオンラインインタビューを実施した。
山本兼寛
『ラグナロクオンライン』運営チーム。文中では山本。
中村聡伸
『ラグナロクオンライン』運営チーム。文中では中村。
2022年の振り返り。アニバーサリーが大盛況すぎて……?
――まずは2022年の振り返りからお願いします。最初にどのようなことが思い返されますか。
中村予告通り、先日(インタビューは2022年12月上旬に実施)に4次職を実装できたのが記憶に新しいですね。本当はもうちょっと早めに実装するつもりで進めていたのですが。
――20周年アニバーサリーと4次職が、ちょうど被るようになりましたね。
中村まさに盆と正月状態で、ユーザーの皆さんからも「盛りだくさんすぎるわ!」とツッコミが入るくらいではあったんですが、おかげさまでいろいろなところを楽しんでいただけている状況です。
――4次職向けのコンテンツの実装予定についても、教えていただけますか。
中村4次職はまだ実装したばかりですので、これから充実させていきます。2022年12月20日に実装された“祈りの方向”を皮切りに。年間予定でもお話ししていた4次職向けの新エピソードですね。
――4次職以外の動きについてはいかがでしょう。
中村正式サービス20周年ということで、内外問わず施策を動かしております。外向けですとちょっと変わった景品が当たるTwitter企画や、久しぶりのコラボ企画としてサンリオさんの“シナモロール”とのコラボを実施しました(※2022年12月27日に終了済み)。
――意外な組み合わせですが、どういったきっかけでの実現となったのでしょうか。
中村シナモロールも誕生から20周年ということで、お互いにお祝いも兼ねてコラボしましょうということでこぎつけました。シナモンをドット絵にしたかったというのもありますけどね。ゲーム内でもらえる配布アイテムや記念撮影用のシナモンとポリンが出てくるフレームなども、おかげさまで好評でした。
――ほかに、アニバーサリーイベントなどで多くのユーザーが盛り上がっていたのも印象的でしたね。
中村ゲーム内のアニバーサリー会場でカウントダウンも行いました。Breidablikワールドの会場などは人でぎっちりで、お祝い用の花火をみんなで一斉に連打した結果(ゲームから)落ちてしまった人などもいました。
――いまどきのPCが『RO』の処理で耐えられないとか、相当なものですよ。SSとか撮ってなかったんですか。
中村撮りたかったんですけど、その落ちたのが私だったんですよね(笑)。
――運営を落とすとは、すごい話だ。
中村アニバーサリーや4次職の影響もあって久々にログインしてくださっていたユーザーさんも多かったので、そこも含めて相当な人数になっていたんだと思います。
――そこもすごいところですね。ふつう、一度離れたオンラインRPGにはなかなか戻ってこないものだというのに。
中村ちょうど20周年ということで記念本を出す予定があって、そこにアンケートを設けたんですよ。本気で答えると15分~20分はかかる内容だったにも関わらず、初日だけで800人くらいにご回答をいただきました。好きな職業に関しても、遊んでいて気に入っている職業と見た目が好きな職業を別々に答えてくださっていたりしましたね。
――こだわりと熱意がすごい。
中村その設問の中に「休止時間を含めてどれくらいプレイしていましたか?」といったものがありまして、3年プレイして2年お休みして、また1年遊んで、みたいなプレイスタイルの方もけっこう多いようです。年単位で休んでいても戻ってきて遊べるというのが『RO』ならではの魅力なのかなと、アンケートを眺めていて感じました。
――20周年含め、SNSなどでは話題に事欠かないタイトルですしね。
中村20年以上のオンラインゲームタイトルとなると、ほかには『リネージュ』や、『ファイナルファンタジーXI』、『ガディウス』などでしょうか。
――日本でも運営されているゲームとなると、かなり少なくなりますね。
中村この辺をひと通り触ったことがある身としては何ともいえない感慨があります。20年も経ったんだなあ、と。
4次職に続き、拡張職にも上位職が登場!
――では引き続き、2023年のお話を伺っていきます。まずはどの部分から注力していく予定でしょうか。
中村ユーザーの皆さんからお問い合わせもいただいている部分がひとつあります。4次職以外の職業、具体的にはドラムのサモナーや、ほかにもリベリオン、星帝、ソウルリーパーなどの職業に関して、レベル上限が200で止まっている状態となっているんです。
――4次職の上限は220レベルですから、差がついてしまっていますね。
中村そういった心配の声が挙がっていますので、何よりも新たな職業の実装については最優先でしていきたいと考えています。最優先とはいえ該当する職業が7つ(サモナー、リベリオン、星帝、ソウルリーパー、影狼、朧、スーパーノービス)となりますので、スキルの仕様など固めつつ、2023年夏を目処に進めたいと思っております。
――それらの職業について、レベルキャップを220まで解放するということでしょうか。
中村7つの職業のレベルキャップはそのままで、そこから転職できる完全な新職業をご用意します。今回も引き続き日本版のイラストをシガタケさんに描いていただきました。
スピリットハンドラー(サモナーから転職)
ソウルアセティック(ソウルリーパーから転職)
ナイトウォッチ(リベリオンから転職)
ハイパーノービス(スーパーノービスから転職)
天帝(星帝から転職)
不知火(朧から転職)、蜃気楼(影狼から転職)
――性能や特性については、まだ紹介できない感じでしょうか。
中村まだ詳しいところまでは申し上げられないんですが、たとえば蜃気楼、不知火については、いままでは忍法で3つの属性(火、水、風)の魔法スキルが使えていたところに、地属性と闇属性の忍法が使えるようになります。このようにスキル選択やプレイの幅が広がるような方針の新職業となっていくかと思います。
――ほかの職業についても、触れられる限りで教えていただけませんか。
中村サモナーの上位となるスピリットハンドラーは、新しい動物の霊を使役できるようになります。前は“エビ三昧”などでしたが、今回は硬派に虎、鹿、亀らしいです。
――なるほど、それはシンプルに強そうな印象ですね。
中村また3系統でそれぞれ多くのことができるようになる感じですね。スキルの内容や調整はこれからですので、これ以上の深いところまでは現段階ですとお話はできませんが……。
――これらの拡張職の新職業は、すべてレベル上限は220で実装ということになるのでしょうか。
中村レベル上限は、そのときの4次職の上限に合わせます。4次職は現在レベル220、ジョブレベル40が上限となっていますが、状況を見て最大となるレベル250、ジョブレベル50まで、少しずつ上限を解放していく予定です。
――実装の時点から、4次職と拡張職はすべて横一線の上限になるわけですね。
中村これらは転生を経ずに転職できる職業です。今回ご紹介した職業群については、ドラムのスピリットハンドラー以外は、“上位特殊2次職”というカテゴリーに統一・分類しています。
――4次職の実装でさまざまなユーザーの反応もあったかと思いますが、とくに触れておきたいものなどはありましたか。
中村ユーザーの皆さんの間で多く話題に挙がっていたのは、Yggdrasillワールドの現状についてですね。こちらのワールドではまだ4次職が解放されておらず、3次職の最大レベルで登録してログインできるようになっています。
――Yggdrasillでの4次職の解放はすでに予定されているのでしょうか。
山本Yggdrasillの4次職解放は、さっそくですが2023年1月24日に予定しております。4次職が入ることでこのワールドで何が起こるかわからない部分がありましたので、少し様子を見て、大丈夫という結論に至りました。
――1月24日からは、対人戦でも4次職が使えるわけですね。
Yggdrasillワールドの対人戦をより遊びやすく
山本2022年10月から、Yggdrasillの対人戦に最大36人同士で対戦する“小規模戦”を試験導入しました。こちらはユーザーの皆さんからご要望・ご提案を多くいただいておりましたものを、実現可能な形に落としこんだものとなります。
――具体的には、どういった形のコンテンツになるのでしょうか。
山本従来の56人同士が対戦する“マッチング戦”では、人数が多いとはいえ開始直後に戦況がほぼ決まってしまうこともあり、残り55分くらいをほぼ決まった勝負に費やし続けるような状況も起こってしまいました。そこで入れたのが時短の仕組み。ある一定の条件を満たせばそこで決着がつくようになっています。
――対人戦については、ほかにはユーザーからはどのような声が挙がっていましたか。
山本新マップがほしいという声は多くいただいていましたが、すぐの実装は難しいところです。そこで、いまあるマップをルールなどを変更して新しく見せつつ、56人集めるのが難しいけど36人ならという形にしたのが、こちらの小規模線になります。
――小規模戦は現在はトライアルということですが、正式な実装はいつ頃になるのでしょうか。
山本正式実装は2023年4月頃を予定していますが、1点問題がありまして。現在は開催時間が、日曜の夜23時なんですよ。
――翌日が平日じゃないですか。いい子は寝る時間ですよ。
山本とはいえ、メインストリームであるマッチング戦がその前の21時~22時の開催なので、時間がもうそこしかないんです。夕方にする案もありましたが、20周年のコンテンツということで参戦者の皆さんも大人になっている場合が多く、夕方の時間が取れるのかと心配もありまして。
――そうですね。家族との団らんや家事、外出などもあるでしょうし。
山本開催時間はまだ悩みどころではありますが、4月頃となりますので、楽しみにしていただければ。
――対人戦コンテンツは、ほかに新たな動きはあるのでしょうか。
山本昨年開催した5対5の“バトルコロッセオ”は、昨年には正式実装にこぎつけられなかったので、今年こそはと考えております。テストはずっと継続して続けていたんですけど。
――改めて、バトルコロッセオの特徴や正式実装時の仕様変更などについて教えていただけますか。
山本全装備をレンタルしてプレイするコンテンツで、この形式は維持します。装備の持ち込みも考えていましたが一切なしとして、一定の装備での対戦となります。
――そうなると、かなり均一化された実力第一の対戦になりそうです。
山本レンタル装備やアイテムに“コスト”を設けて、限られたコスト内で装備などを選ぶ形式を取る予定です。対人戦としては遊びやすく、取っ掛かりになるようなコンテンツにしたいと思っています。
――対人戦をやってみたいと思っても、対人装備ひとつ手に入れるだけでもものすごい価格になったりしますしね。
山本そうですね、『ラグナロクオンライン』もサービスが20年と長くなったぶん、そういった面もありますので、“バトルコロッセオ”で緩和できればと考えています。
中村初心者のユーザーさんでも参加しやすいように、キャラクターの装備やスキル振りがコードで出力でき、このコードを入力して同じキャラを対人戦で使用できるという仕様を導入しています。こちらも正式版で継続していく予定です。
山本以上のマッチング戦、小規模戦、乱戦、模擬線、バトルコロッセオという5つのコンテンツでYggdrasillの対人戦コンテンツは大枠としては完成としつつ、今年はこれらの整備や本実装を進めていくのが今年の流れになるかと思います。
Yggdrasillは皆の遊び場としてさらに進化!
――対人戦についてはわかりました。しかし4次職が使えるなら、せっかくならモンスターとも戦いたいところですが。
中村そういった声も多くいただいておりましたので、2023年以降はPvEコンテンツも充実させていきます。
山本PvEに関しては、毎年やると言っておきながらできていなかった部分もありました。対人戦がYggdrasillでしかできないということで、そちらに注力していたわけです。
――今年はPvPに加えて、PvEにも注力するということでしょうか。
山本現状で実装されている“ティアマト攻城戦YE”と“蜃気楼の塔YE”に加えて、実装を予告していた“モンスターハウスYE”を導入し、中身も整理してリニューアルしていく予定です。
――どのようなリニューアルを予定されているのでしょうか。
中村まずは難易度分けをそれぞれのコンテンツで共通化していきます。誰でも参加できる通常の難度、4次職で参加できる難度、レベル制限をかなり下のほうに設けて参加条件をかなり絞った難度、といった形ですね。
山本3次職までが参加できる基本的なコンテンツを“Normal”として、4次職と上位特殊2次職を対象とした“Inferno”、レベルの上限を設けて転生2次職までが参加できる“Extra”の3つです。蜃気楼の塔YEなどと同様ですね。
――新たな難度の実装は検討されていますか?
山本人数を極端に制限し、少数でクリアーする難易度“Ultimate”の追加を考えています。これを含めた4つの難度を、3つのコンテンツに共通して設ける形です。
――3つのコンテンツについて、ここで改めて特徴を伺えますか。
山本ティアマト攻城戦YEは、何度戦闘不能になっても少しずつ戦線を押し上げていけるコンテンツですね。蜃気楼の塔YEは、内部で戦闘不能になってしまうとそこで終了となる一発勝負。モンスターハウスYEはこれらふたつのハイブリット。何回かチャレンジはできるけどそのたびにペナルティーが生じる、といった形になります。
――戦闘不能になっても終わらないけど、なるべく戦闘不能にならないほうがいいよ、という感じなんですね。
山本ティアマト攻城戦YEについては2023年2月ぐらい、あとは2ヵ月おきに、同年4月に蜃気楼の塔YE、モンスターハウスYEは新たに作る部分もありますので同年7月くらいを目処に、リニューアル実装を進めていく予定です。ここまでが前半戦ですね。
――前半戦。となると、後半戦の計画もすでにある感じですか。
山本いままでのコンテンツは、他サーバーで既存のものをYggdrasill用にカスタマイズしたものがほとんどでした。Yggdrasillで初実装となる新しいコンテンツがそろそろほしいと思いまして。コンテンツの仮名としては“不夜城”というものを作ろうかと思っています。
――不夜城ということは、夜が舞台ということですか。
山本ゾンビなどの夜も眠らない不死種族たちが登場します。参加人数は56人。1ギルドで参加していただく感じです。
――人数さえそろえば、だれでも参加できるコンテンツになるのでしょうか。
山本そこがコンセプトワードに関わってくるところで、本コンテンツのコンセプトワードは“力、金、運”となっています。
――何やらすごい圧の言葉が出てきた。
山本まず“力”は、単純に対人戦で勝利したギルドが参加権を得る、といった形ですね。“金”もシンプルです。ゲーム内通貨(Zeny)によるオークションで落札した人が参加可能。“運”はさらに簡単で、NPCをクリックして話しかけていただいて、当選すればそのまま参加できる抽選方式です。そうして参加権を得た人がギルドマスター的な立場となって残りの参加者を集めていただきます。
――3つのコンセプトワードは、参加権以外にも関わっているのでしょうか。
山本PvEということでいろいろなギミックがありまして、運がよければそれらをスキップできたり、すごく強いモンスターと出くわしてしまったりなどの要素を用意しつつ、決められた時間内に攻略していただくコンテンツになる予定です。
――ランダム頼みというよりは、それらの要素をどうこなしていくかの攻略要素が強めになりそうですね。
山本ギミックはより考えていきたいですね。Yggdrasillは従来のワールドと異なり、こちらで提案したコンテンツを開発側で採用していただくという形のワールドになっています。言っちゃなんですが好き勝手に作れるところがあるんです。
――なるほど、ルーツそのものが違うと。
山本そうした事情から、通常ワールドではできないギミックがここではできるという側面もありますので、そういった要素もしっかり用意していければと考えています。
――参加条件も含めて、いままでのコンテンツとはかなり異なる部分が際立ちそうです。
山本対人戦で勝利したギルドさんはそのままの流れで参加することになるでしょうけど、金や運で参加となると、とくに運についてはたまたまクリックしたら当たっちゃった、なんてこともあり得るわけです。そういうときにはBreidablikワールドで呼びかけて人を集めてもらって、気軽に参加していただければと思います。
――Breidablikでしっかり人が集まるあたりも、『RO』の魅力ですね。あとはもうちょっと“不夜城(仮)”の内容について、現段階で可能なところまで情報を教えていただけますか。
山本通常ワールドではこういうことはなかったからと、最初から頭の中から可能性を除外してしまうとハマってしまうギミックなども考えています。既存の概念にとらわれることなく、いろいろと試してみてほしいです。
中村Yggdrasill自体が、すべてのワールドからユーザーが集合して遊ぶワールドという位置付けですので、呼びかけと集合のうまいサイクルが回ってくれています。このワールドにこういったコンテンツを導入していくことで、よりユーザーの皆さんに『RO』をお楽しみいただきたいと思っております。
物語の舞台は北の大陸へ。新たなサイドストーリー要素も登場
――続いてストーリー面のアップデート予定についても詳しく伺いたいのですが。
中村2022年末の新エピソード“祈りの方向”実装に続き、2023年も実装を継続すべく作業しております。イメージイラストといいますか、ログイン画面の画像をご用意しました。
中村エピソード19の仮のタイトルは“イスガルド”。このふたりはイスガルドに登場するキャラクターですね。
中村ラヘルにあったユミルの心臓の欠片が盗まれてしまい、それをもとに“デミフレイヤ”というとてつもない強敵が生まれてしまいます。これを撃退できたものの主犯は逃げてしまい、追いかけるべく情報を集めていると、彼らが向かった先がイスガルドという情報が得られます。ミッドナイト大陸から海を渡ってさらに北にある大陸です。
中村彼らが何を企んでいるのかというと、この大陸は“ヨルムンガンド”が封印されている地なんですよ。ヨルムンガンドはルーンミッドガッツ建国の際に、7人の勇者が封印した怪物です。その際に王家の者が呪いを受けてしまったというお話には、2006年7月にノーグハルトアップデートで実装された“歴史学者”クエストでも触れられていました。
――16年前。まさかのところからの伏線。
中村いまちょうどやっている“ラヘルおさらいイベント”というものがありまして、アルナベルツ教国のお話をおさらいしつつ人気キャラ“教皇”も出てくるということで、かなりのユーザーさんにプレイしてもらっています。そんなアルナベルツ教国から逃げ出した彼らが、イスガルドで企んでいるというわけです。
中村そしてその封印の地はそもそも入場もできないということで、島に入るための手段を得て旅立つことになります。そのときに協力してくれるのが、この面々です。
――“祈りの方向”で出てきた人物がふたりいますね。
中村“マラム”と“ミリアム”ですね。大陸の問題ということもあって、隣国のシュバルツバルド共和国の大統領も心配しているということで、優秀なエージェントをよこしてくれました。それが後ろにいる、サングラスのうさんくさいおっさんです。
――ひとりだけ服装が現代風。
中村こちらは“レイジー”という人物です。少し前のイルシオン関連のストーリーでも登場していた、スカした感じと“I Love YUNO”のTシャツでおなじみの人ですね。
――ああ、あのアロハの! 防寒具でわかりませんでした。
中村帽子に書いてあるブランド名が“プパ”だったりと、どこから見つけてきたのかわからない衣装は相変わらずです。彼らといっしょに北の大陸に向かい、野望を阻止しようというのがお話の大筋となります。
――何ですかこれは。
中村もともとはアーウィンという渡り鳥の種族なんですけど、彼らはヨルムンガンドの封印の際に巻き込まれて、島から出られなくなっているんです。
――ふつうにかわいそう。かわいそうですけど、なんでまたこの流れで。
中村そういう境遇もあったのですが、それなら島を守護する役割を持ちましょうということで、けなげに頑張っている種族です。
――で、左上にあるアレについては突っ込んでいいんですかね。
中村彼はなにかと災難に巻き込まれるタマリンというキャラです。よく砂漠で行き倒れていたりするのが風物詩ですので、お気になさらずに。
――承知しました。では、エピソードの実装時期についての予定を教えていただけますか。
中村エピソード19については、2023年11月くらいに実装になるかと思います。前のエピソードが入ってから約1年という、これまでと同様のスパンです。ストーリーを楽しみにしていらっしゃる方が多いということで、エピソードアップデートも気合を入れて作っていかなくては、と進めています。
――ストーリーコンテンツは、エピソード19以外にも何か実装の予定はあるのでしょうか。
中村エピソード以外にも合間合間に季節イベントなども入れて盛り上げていきますが、ほかに大きな追加点として、韓国の方では2022年から“幻想叢書”というコンテンツの実装を開始しています。いわゆる短編集のようなもので、エピソード中では語られなかった狭間の物語や、登場人物のサイドストーリーが、幻想叢書の中で体験ができます。
――ファンタジーらしくない表現ですが、VRみたいなものでしょうか。
中村登場人物になりきるという形ではなく、お話の中の登場人物たちといっしょに行動して出来事を体験できるコンテンツです。ですので、プレイヤーが操作する冒険者は、冒険者という存在そのままで登場します。
――登場人物たちと会話したり協力したりといった場面も出てくるわけですね。
中村第1弾は韓国ですでに実装されていまして、体験してみようというところで横からアグネス・レベンブルグさんが「いっしょに見たいんだけど」と乱入してきたりしました。さらに、物語に書かれていなかったはずの展開が起きたりもします。
――ただの追体験だけじゃないんですね。
中村ちょっとした楽しみも含む短編集として、幻想叢書は通しナンバー付きで実装されます。叢書シリーズナンバーどおりに進めてもどこから始めてもらっても大丈夫で、クリアーすることで共通の“しおり”のようなアイテムが手に入り、このコンテンツでしか手に入らない報酬と交換できたりもします。報酬は調整中です。
――幻想叢書は、全編通して第1弾のようなソロプレイ形式で遊ぶものになるのでしょうか。
中村短編に関してはメモリアルダンジョンの中で体験してもらうタイプだけではなく、複数のユーザーさんが集まってひとつのマップのなかで事件を解決するレイド形式のものも今後作っていく予定があると開発元から伺っています。韓国では2023年に幻想叢書をたくさん実装していく予定とのことですので、日本でも翻訳を進めて順次実装していきます。
――これから実装されていくということは、日本での実装時期はまだ不明瞭ということでしょうか。
中村実装時期は明言できませんが、じつは20周年の施策と絡んでいる部分があります。20周年企画で“RO20周年アニバーサリー キャラクター人気投票 頂上決戦”が行なわれて、1位を取ったキャラクターが主人公となるストーリークエストが実装されるという公約が出されているんです。
――なるほど、人気1位のキャラのサブストーリーがプレイできるわけですね。
中村そこでこのサブストーリーを幻想叢書のひとつとして実装するというご提案をいただいて、その形で進めています。現在(2022年12月頭)の中間発表では、教皇が1位でした。
――でしょうね。
中村このインタビューが掲載される時期には結果は出ているかと思います。票数差を見ると、このまま教皇で決定しそうですが。
――実装当初から、ミステリアスかつかわいいと人気でしたからね。
『RO』の熱は、21年目もまだまだ冷めやらず
――そういえば、韓国でも人気なんですかね教皇は。
中村いろいろと属性盛り盛りのキャラですし、相当な票数の伸びを見せています。開発のGravity社の方でも、教皇で決まりじゃないかと言われていました。
山本韓国では人気が高いキャラクターが満遍なくいるので、ぶっちぎりという感じではないそうです。とはいえ、教皇の人気はかなり高いかと。
中村キャラストーリーを実装、という話になると、イベントなどで茶番的なミニストーリーを入れるレベルで考えるユーザーさんも多いかと思いますが、幻想叢書のひとつとしてガチで作らせていただきますのでご期待ください。幻想叢書という形ですし、日本以外の国でもプレイできると思います。
――日本以外での反応も見てみたいです。
中村日本から依頼して実装された衣装も、海外での人気はかなり高いですからね。日本での実装コンテンツは海外のコミュニティーで話題になることも多いです。
――以前の記事で、日本運営にはデザインができる人材がいて海外での評価が高いといったところに触れたこともありましたね。日本のゲームのいいところが海外でもうけるのは嬉しい限りですねぇ。
中村今年はやることが2022年以上に多くなりそうではありますけどね。
――20周年、かつ4次職が実装されてひと息ついて落ち着いたのかと思いましたが、そんなこともないようですね。
中村せっかく4次職を実装したなら、それで遊べるコンテンツも実装したいですから。これらがきっかけとなってまたログインしてくれる人が増えるなかで、皆さんに「こういうことをやります」とおもしろそうなコンテンツを提示し、また続けていただければ何よりと考えています。
――実際に20周年の反響は大きかったですし、興味を持たれている人も多いでしょうね。
中村20周年を迎えて21年目ということになりましたけど、久々に帰ってきてくださった皆さんに向けても“ミミミのミッションマスター”と“モンスター大討伐”というイベントが2023年2月28日(火)まで続いていまして、とくに後者では225個目の討伐クエストを達成した時点で、レベル200になれるレベルアップチケットがもらえます。
前者でも簡単なミッションを追って達成していくことで、最終的には4次職になれるくらいの経験値と、回復アイテムやエンチャント済みの装備アイテムがもらえたりもしますので、4次職になりたいという方は期間中に始めていただければ到達できるかと思います。興味を持たれましたら、ぜひプレイしてみてください。