2023年1月20日(金)~22日(日)の3日間にわたって、東京ビッグサイトで開催されたリアルイベント“グラブルフェス2022-2023”。DAY1の21日(土)の閉場後には、『グランブルーファンタジー』(以下、『グラブル』)に出演する声優陣によるキャラクターソングや、ゲーム内楽曲の生演奏が楽しめる“ナイトパーティー”が開催された。今回はその模様をリポートする。

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 グラブルフェスの風物詩ともいえるナイトパーティーだが、有観客での開催は“グラブルフェス2019”以来、じつに3年ぶりとなる。会場に詰め掛けた来場者は、さっそく特製のトレピリ(今回は振るとマラカスのように音が鳴る仕組みを備えたコンサートライトで、さまざまな色に点灯可能)を灯していく。メインステージのスクリーンにカウントダウンの数字が表示されると、会場からは大きな手拍子が!

 記念すべき最初の楽曲は、東山奈央さん(ルリア役)と加藤英美里さん(シェロカルテ役)による『マホウのノート』。空の冒険へのワクワクをこれでもかと詰め込んだポップなナンバーで、キャラクターソングライブには欠かせない珠玉の一曲だ。「右足でジャンプ!」という歌詞に合わせて思いっきりジャンプをしてみたり、とにかく元気に、そして笑顔を絶やさずに歌うふたりの姿が印象的だった。

【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!
【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!

 2曲目は米澤円さん(フェリ役)による『ソラのミチシルベ』(※GBVSアレンジ)。芯が強くも透明感のある米澤さんの歌声と、生バンドの演奏との融和も美しく、会場全体が星の輝く深い空へと誘われていく。楽曲の途中に入る「fire!」や「water!」といったコール&レスポンスはライブでより盛り上がるセクションだが、今回のナイトパーティーでは感染症対策の観点から声が出せないため、来場者はトレピリを振って(またトレピリの色をつぎつぎとチェンジすることで)想いを返していく。

【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!

 透明感のある夜空から一転、ステージ上の巨大モニターに咲いたのは真っ赤な花をつけた曼珠沙華(彼岸花)。──そう、3曲目は立花理香さん(ユイシス役)による『彩花の契り』だ。喪服のようなドレスをまとった立花さんのパフォーマンスは信念に溢れるような力強さに満ちており、覚悟のにじんだ歌声を切々と会場に響かせていく。歌い上げたときの立花さんの艶やかな表情も美しく、また、ラスサビ前の間奏でステージのスクリーンに雪中に佇むユイシスのイラストが映し出されるという演出もエモーショナルだった。

 4曲目は下屋則子さん(ニーア役)が歌うダークでゴシックな『死ニ至ル恋』。アーカルムシリーズの星晶獣“デス”を彷彿とさせる花飾りを髪につけ、ダークブルーのドレスをまとった下屋さんが手に持っていたのは、髑髏と薔薇があしらわれたスタンドマイクだ。たなびくリボンには血しぶきが滲んでいたりと、ニーアのバックボーンがビジュアルにもこれでもかとばかりに詰め込まれている。悲痛な叫びを内包するかのような下屋さんのパフォーマンスも印象的で、「なんで…わかってくれないの?」、「みんな消えればいい」といった曲の端々に入る破滅的なセリフについつい鳥肌が立ってしまったという騎空士も多かったのではないだろうか。

 冒頭からパワフルなナンバーが続くナイトパーティーだが、MCを挟んだあともその勢いはさらに加速していく。

 今井麻美さん(ヴィーラ役)が歌ったのは『泡沫夢幻・胡蝶刃』。もともとはナルメア(声:M・A・O)のキャラクターソングで、ストリングスの音色が心地よいハイテンポのロックナンバーだ。今井さんは後にMCで歌っていてハイになってしまったと振り返っていたが、激しい内面を覗かせる楽曲のテイストは、今井さんが演じるヴィーラとの相性もバツグン。白いドレスに真紅のハイヒールで舞い踊る姿は、フラメンコを彷彿とさせるような優雅さと高貴な空気をまとっていた。

 6曲目は高森奈津美さん(アリーザ役)と東山奈央さんによるミドルテンポのバラード『ヨゾラのシズク』。燃えるような赤色のドレスに身を包んだ高森さんと、爽やかなスカイブルーのドレスをまとった東山さんとの対比も映える。甘い声質のふたりがそれぞれのソロパートを豊かに歌い上げてリレーをしつつ、サビ前でふたつの歌声が重なるという流れも極めて美しい。街路灯の奥に広がる星空というステージ上の景観も温かく、これが来場者が灯した無数のトレピリの灯りと重なることでより広大な“ヨゾラ”を形作っていくという点もまたドラマティック。原曲でアリーザとジェシカ(声:瀬戸麻沙美)が歌っていたときとは少し違った趣きで、MCでは高森さんがルリアとこの曲を歌うとニコニコしてしまうということを語っていたのもまた印象的だった。

 そして、7曲目は米澤円さんが歌う『PRIDE』。オリジナルはベアトリクス(声:平野 綾)のキャラクターソングで、逆境の中でも静かに燃え上がるようなロックナンバーだ。幾何学的な模様が舞い踊るステージに対して、客席では(フェリとベアトリクスをイメージさせる)ピンクとブルーにトレピリが輝く。随所でキーが高くなったりと歌い上げるのが難しいイメージの同曲だが、伸びやかで力強い歌声が魅力的な米澤さんがカバーしたことで、新たな魅力を生み出していたように感じる。

 8曲目は今井麻美さんの歌うヴィーラのキャラクターソング『アナザースカイ』。爽やかな旋律に合わせて、窓辺で物憂げな表情を浮かべるヴィーラ、そしてサビ前で風が吹き抜ける大草原に佇むヴィーラと美しい映像が映し出され、そんな彼女の心情に合わせるかのように今井さんもステップを踏みながら澄み渡る歌声を響かせる。しかし、楽曲のクライマックスでは一転、すべてのモニターが真紅に染まり、客席に背を向けた今井さんが真っ黒いシルエットになるという、ヴィーラの狂気的な側面をにじませた演出が……。筆者も楽曲が終わったときには、まるで彼女の生き様を垣間見たかのような不思議な充足感に心を満たされていた。

 9曲目は東山奈央さんによる『Lyria』。『GRANDBLUE FANTASY ORIGINAL SOUND TRACKS Lyria』に収録されている幻想的な楽曲で、これまでも何度かライブでは歌われてきた楽曲だが、今回はピアノアレンジの特別バージョンに! ピアノと東山さんが歩調を合わせながら一音ずつメロディーを紡いでいく姿は、これまでの軌跡を一歩ずつ振り返るかのよう。東山さんの歌声とピアノの旋律、そこに無音の“間”が加わることで会場からシャンシャンと響くトレピリの音色が入り混じることで旋律が完成していくという過程もまた見事だった。約5分間の歌唱後に万雷の拍手が響いたのは言うまでもないだろう。

 感動的な空気が会場を満たしたところで、ステージに入ってきたセットが見覚えのあるポートブリーズのレストラン。10曲目を飾るのは、白石稔さん(ローアイン役)と榎木淳弥さん(トモイ役)と石井マークさん(エルセム役)による『カフェdeパーリナイ ダンチョのお悩み俺らがまるっと秒で解決編SP』だ。自撮り風にカメラに抜かれながら歌う白石さんに、サングラス姿で存在感を主張しつつエアピアノを披露する榎木さん、そしてトレピリを手にしながらエネルギッシュにステージを全力疾走する石井さん(後のMCでステージ全部を広く使ってくれとスタッフに言われていた白石さんの代わりに走ったことが判明)と、三者三様にステージを盛り上げる。散々大暴れをして、ステージ上を盛り上げたあとで「以上です……」とスッと締めてそのまま世間話に突入するというのも、なんともこの3人らしい。

【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!

 ライブも中盤戦に差し掛かったところで、ステージ上にはStella Magnaのヴァイオリニスト・伊藤友馬氏率いるストリングスカルテット“フォー・スカイ・カルテット”が登場。『アウライ・グランデ』、『カロの歌』、『どうして空は蒼いのか』といった名曲の数々が弦楽器(第一ヴァイオリン、第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)で紡がれていく。背景にはおなじみの町の光景や、音楽を司る星晶獣“カロ”が楽しげに演奏する姿、とびっきりの笑顔を見せる“サンダルフォン”や彼と向き合う“ルシフェル”のイラストなどが映し出され、視覚と聴覚の双方向から涙腺が決壊してしまったという騎空士も多かったのではないだろうか。

 心が洗われるようなパフォーマンスのラストに披露されたのは、『サアーダタアロ・タアロマスィール』。インド映画を彷彿とさせるシナリオイベント“ダンシング・アベンジャー”の劇中歌だ。弦楽四重奏による演奏ということで幻想的な空気感を残しつつも、エスニックな風を全身で感じさせてくれる演奏はさすが。トレピリによるシャンシャンという音が見事なアンサンブルとなり、楽しいひとときとなった。筆者個人的には、伊藤友馬氏が笑顔を浮かべながらヴァイオリンを弾いていた姿も印象に残っている。

 ライブはいよいよ後半戦に突入。小野友樹さん(グラン役)、金元寿子さん(ジータ役)、そして東山さんが歌ったのが『OVER THE SKY』(ビィ役の釘宮理恵さんの音声による合いの手ももちろん健在!)。お互いに顔を見合わせながら歌ったり、ほかのメンバーの歌唱パートで拳を突き上げて盛り上げたり、この3人だからこその安心感のあるパフォーマンスを覗かせてくれた。

 この後登場したのは、有観客のナイトパーティーには初登場となる谷山紀章さん(アオイドス役)。薔薇があしらわれたジャケットをたなびかせながら、アオイドスを代表するナンバー『Judgment Night』を熱唱する。花火(ジャーブ)やスモークが立ち上る中で、カタルシスを昇華させるようなシャウトを響かせて会場を魅了していた。

 さらに谷山さんはそのまま『創呪擦罪 骨肉相噛(グラッジ・オブ・ザ・スケープドッグ)』も披露。過去のライブでは“処刑される役”として小野友樹さんが出演していたが、今回のステージでは合いの手を小野さんが担当。ハードコアな旋律で会場のボルテージをドンドン高めていく。そして、小野さんは今回も楽曲のラストに処刑される流れとなり、会場からは爆笑が。もともと谷山さんに憧れて声優を目指したという小野さんにとってはこれ以上ないご褒美だろう。

 谷山さんたちからバトンを渡されたのが、森川智之さん(セルエル役)と井上剛さん(ノイシュ)役。シャンデリアが輝く迎賓の空間に下からせり上がる形で登場し、デュエットソング『Pray for the sky』を歌い上げる。セルエルとノイシュの絆を余すことなく詰め込んだ同曲だが、ステージ上での森川さんと井上さんの連携も見事! 豪華で気品あふれるパフォーマンスを目の当たりにして、筆者はふたりが主催する晩餐会に招かれたかのような贅沢な気持ちになってしまった。なお、このパフォーマンスを見た東山さん(セルエルを推していることでも有名)が、続くMCで興奮して早口になっていたのは言うまでもない。

 ナイトパーティーもラストスパート。ステージ上に和太鼓の轟音が鳴り響いたら……いよいよ『三羽烏漢唄』の時間だ。今回歌ったのは、小野友樹さん、白石稔さん、石井マークさん。3人は地に足をつけたまま、拳を「ソイヤッ!」と突き出して歌う3人には、まるで応援団のような熱い闘志がみなぎっている。曲の展開に合わせて、スタンドマイクを担ぎながらステージ上部から降りてくる姿もまた漢気にあふれている。曲のクライマックスでは、モニターにグラン、ローアイン、エルセムのイラスト(漢らしく上半身は裸)も映し出され、会場ではどよめきが巻き起こっていた。

 そして、続いたのが金元寿子さん、立花理香さん、今井麻美さんによる『Happy New Genesis』。原曲は、ディアンサ(声:水瀬いのり)、リナリア(声:田中美海)、ハリエ(声:小倉唯)、ジオラ(声:高橋ミナミ※)、カンナ(声:内山夕実)によるパーティー感とアイドル感を両立したサマーチューンで、漢らしい『三羽烏漢唄』からは一気に温度差をつけてきた形だ。今回のナイトパーティーでは、3人が高さ約2メートルのトロッコで会場を移動しながらパフォーマンス。ラストは会場の中心で3人が横一列に並び、キラキラとした歌声を響かせた。

※“高”はハシゴダカ

 さらに金元さん、立花さん、今井さんはそのまま『Never Ending Fantasy』を熱唱。こちらもディアンサたち5人の巫女たちが歌う原曲のカバーとなる。トロッコの上で360度回りながらファンサービスをする今井さん、カメラに向かってウィンクする立花さん、笑顔ではにかむ金元さんと、それぞれの魅力が溢れていた点も素敵だ。ステージの巨大モニターには、巫女風の衣装を着用したジータ、ユイシス、ヴィーラのイラストも登場。この2曲で彼女たち3人の新たな“イクニア”も誕生したのではないだろうか。

【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!

 バトンを受ける形で、再びステージに登場したのは谷山紀章さん。アオイドスの魅力がこれでもかと詰まったギターロック『Bloody Garden』を歌い上げる。間奏でセンターに躍り出た谷山さんは祈るように膝立ちをしながら渇望を込めた歌声を響かせたり、センターステージに向けて天井から火花が降り注ぐ中でシャウトしたりと見せ場が溢れていた。

 そして、谷山さんは続けざまにミディアムバラード『Unfinished Melody』を披露。感情を振り絞るように訥々と歌う姿に、会場全体がエモーショナルな感情の渦に包まれていく。スタンドマイクを抱きかかえながら響かせる心地よいシャウトはまさに谷山さんという真骨頂という感じで、降り注ぐ花弁を全身で浴びながら歌う姿は圧巻! ラストに笑顔で謝辞を述べる谷山さんに呼応するように、客席では真っ赤なトレピリが輝いていた。

 ナイトパーティーのトリを飾るのは東山奈央さん、金元寿子さん、今井麻美さんによる『キミとボクのミライ』。3人は間奏でナイトパーティーの出演者をつぎつぎと呼び込み、ラストは全員での大合唱に! こうして3年ぶりとなる有観客でのナイトパーティーは幕を下ろした。まだまだ時勢的に声が出せない状況ではあるものの、MCで出演者たちが“トレピリの美しさ”に言及するなど、有観客だからこその感情のやり取りと盛り上がりがあったことは間違いないだろう。

 また来年、彼らがその素晴らしい楽曲とともに新たな景色を見せてくれることに期待したい。

【グラブル】4年ぶりの開催に感動のトレピリが輝いた“グラフェス2022-2023”ナイトパーティーリポート。意外なカバー曲の数々に会場もどよめく!

ナイトパーティー セットリスト
01. マホウのノート/東山奈央、加藤英美里
02. ソラのミチシルベ(※GBVSアレンジ)/米澤 円
03. 彩花の契り/立花理香
04. 死二至ル恋/下屋則子
05. 泡沫夢幻・胡蝶刃/今井麻美
06. ヨゾラのシズク/高森奈津美、東山奈央
07. PRIDE/米澤 円
08. アナザースカイ/今井麻美
09. Lyria(※ピアノアレンジ)/東山奈央
10. カフェdeパーリナイ ダンチョのお悩み俺らがまるっと秒で解決編SP/白石稔、石井マーク、榎木淳弥

フォー・スカイ・カルテット 演奏

11. OVER THE SKY/小野友樹、金元寿子、東山奈央
12. Judgment Night/谷山紀章
13. 創呪擦罪 骨肉相噛(グラッジ・オブ・ザ・スケープドッグ)/谷山紀章、小野友樹
14. Pray for the sky/森川智之、井上剛
15. 三羽烏漢唄/小野友樹、白石稔、石井マーク
16. Happy New Genesis/今井麻美、金元寿子、立花理香
17. Never Ending Fantasy/今井麻美、金元寿子、立花理香
18. Bloody Garden/谷山紀章
19. Unfinished Melody/谷山紀章
20. キミとボクのミライ/東山奈央、金元寿子、今井麻美+オールラインナップ