2022年12月に発売されたAmazonの電子書籍リーダーKindle Scribe(キンドル スクライブ)のレビューをお届けします。

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Kindleっていいですよ

 Kindle Scribeのレビューの前にまず。Kindleそのものの魅力を大雑把にふたつ紹介します。

本棚のスペースでの悩みからの開放
 みなさんはマンガや小説を購入されますでしょうか? 何十巻もある人気マンガを全巻そろえる、お気に入りのミステリー作家さんの新作は必ず買うなどしていると本棚はいくらあっても足りません。本好きほど本棚や収納スペースについての悩みは多いでしょう。私は数年前の引っ越しを機に、書籍コレクションは電子書籍でそろえることにしました。以降、本棚という概念を気にせずに好きなだけマンガや小説を購入できるようになりました。

読むことに集中したいならKindle端末
 「電子書籍ならばスマホやタブレットで読めばよくないか?」と思われるかもしれませんが、Kindleをはじめとした電子書籍リーダーの購入はおすすめしたいです。Kindleが“読むことに特化したデバイス”であることがなによりも利点です。LINEやTwitter、YouTube、ブラウザでの調べ物から距離を置いて、作品に没頭できる読書体験が得られるだけでもKindleを購入する価値は十分にあると思います。

 ハードの特徴的にも直接目に光が届かないフロントライト、本物の紙のような読み心地のE-inkディスプレイであることも重要な要素でしょう。

見開きでマンガを楽しもう

Kindle Scribeレビュー。PS5並のお値段だけどマンガ好きには最高のデバイスだし、ビジネスツールにもなるんですよ…
デカい!
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背面はアルミ素材で高級感のある仕上がり。充電端子はUSB-C。

 Kindle Scribeのファーストインプレッションは薄くてデカい。10.2インチディスプレイ(解像度300ppi)を備えて、サイズは196x230mmで、5.8mmの薄さ。シャープな板です。片手持ちはキツいので両手で持つか、机やベッドなどに置いて操作したほうがいいでしょう。

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 ファミ通.comにて連載されていて、昨年ドラマ化もされた『チェイサーゲーム』の単行本と並べてみました。片面表示だと、B6判の単行本よりやや大きく表示されます。ちなみに『チェイサーゲーム』のシーズン2の連載も開始されていますのでぜひチェックしてみてください。

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見開きページで表示。

 Kindle端末で見開きのページをビシッと表示して楽しめるのだけで、マンガ体験を高めてくれます。目に優しいE-inkディスプレイでたくさんのマンガを一気に読める。素敵なことです。

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小説を横画面で表示。

 ほんのちょっと気になるポイントは小説などのテキストデータだと、画面端にある黒丸のマーク(メモ機能のためのショートカット)が常に表示されていること。書き込むこむつもりはない書籍での読書中にも表示されていると目障りに感じてしまいます。アップデートで非表示にできるようにしてほしいです。

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ディスプレイの明るさや色味の暖かさの調整も可能。シーンによって心地よい設定にいじれます。

 1か月ほどで、テニミュ鑑賞に向けて『テニスの王子様』を全巻読み直したり、積んでいた小説も数冊読破しました。Kindle Scribeが我が家に来てから読書量が圧倒的に増えました。デカさは正義です。

 電子書籍リーダーの決定版としておすすめをしたいですが、お値段がッ。いちばん安価なモデル(スタンダードペン、16GB)で47980円、いちばん高価なモデル(プレミアムペン、64GBモデル)で59980円。プレイステーション5(デジタルエディション)が49478円なことを考慮すると、“マンガが楽しく読める”だけでこの金額は、と躊躇してしまいます。

 しかし、これから語るペン入力機能をどう感じるかによって印象はガラリと変わるでしょう。

手書きが生み出すアイディア

 Kindle Scribeの大きな特徴のひとつにペン入力があります。ペンが付属しており、小説みたいなテキスト系は付箋を貼ってメモを書き込むことができます。マンガ、雑誌、一部の実用書など、手書き入力機能に対応していないKindle本もあります。

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ペンはペアリングや充電は不要。本体にマグネットで取り付け可能です。
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 ディスプレイは書きやすいようにザラッとした質感(ペーパーライクフィルムを貼り付けたあとのiPadのような仕上がり)なので、紙と同じような書き心地で書き込んでいけます。先の太さの変更や、書き込む強さによって線の強弱がつく筆圧感知も備えているので、快適なペン入力体験に仕上がっています。

 Kindle本への書き込み以外にノートの作成と、書類データへの書き込みも可能なので、富士通のクアデルノのような電子ノートとして活用できるのです。

 ノートはToDoリスト、スケジュール、罫線、五線譜など多様な形式をそろえています。すべて自動的にクラウドに保存・バックアップされ、スマホのKindleアプリから確認できます。

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Kindle Scribeで書いたサボテン用の鉢のアイディアスケッチ。色分けなどはできませんがこうしたサッと書き込むアイディアメモにはちょうどいいですね。

 書類データはスマートフォンやパソコンからPDFやdocxファイル形式の資料をブラウザを通して、Kindleに転送します。Kindle Scribeで文字入力や添削などが可能です。在宅ワークとなり印刷の手間や無駄な紙資料を削減できるでしょう。

 筆者は企画案や構成を考える際に、思考を整理しつつアイディアをまとめやすいので手書きでメモを書き込むことが多いです。ただ、そのメモを忘れたり、紙資料なのでスペースを食うデメリットもあります。電子ノートは、手書きのよさをそのままに、ペーパーレスでデジタルなデータ管理ができるのがすばらしい。

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ふだんはお調子者(エンタメデバイス)だけど、仕事も抜け目なくこなす(優れた電子ノート)。そんなデバイスです。

 Kindle Scribeは、さまざまな書籍をデカく楽しめるエンタメデバイスでありつつ、デジタルな手書き体験が得られるビジネスシーンやクリエイティブに重宝する電子ノートでもあります。ここに価値を見いだせるのならばおすすめのデバイスです。

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