森羅万象の時間が止まった世界に入ることができる“止界術”と、術に必要な石を巡るSFサスペンスアニメ『刻刻』。現在アマゾンプライムビデオでは全12話が配信中です。

※以下、『刻刻』のネタバレを含みますので、未視聴の方はご注意ください!

『刻刻』(アマゾンプライムビデオ)

 主人公の佑河樹里は就活中の大学生。リストラされた父、引きこもりの兄、シングルマザーの姉がいる閉塞感漂う実家から逃げ出したいと思っていました。

 ある日の夕方、佑河家にかかってきた一本の電話……。姉の息子・真と、真を迎えに行った兄・翼を誘拐したという犯人からでした。

 突然の事態に混乱する樹里と父・貴文。犯人の要求する身代金はどうにか用意できそうなものの、期限までに受け渡し場所に行く時間がありません。

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アニメ『刻刻』公式サイトCHARACTERより

 焦る樹里と貴文を前に、何かを決心したような樹里の祖父。部屋に飾ってあった石を使い、時間の止まった世界“止界”に入ることのできる止界術を発動します。止界術は佑河家に代々伝わる術。しかしその存在を、祖父はほかの家族には伝えていませんでした。

 止界術では“霊回忍(たまわに)”と呼ばれる止界の自然霊と融合した者だけが、止界で活動することができます。樹里と父と祖父だけが動ける止界で真と翼の救出に向かいますが、存在するはずのない動ける人間たちが彼女たちを待ち受けていました。明らかな敵意を持って攻撃を仕掛けてくる相手に動揺した樹里たちは、救出をいったん諦めその場から撤退します。

 止界術や術に必要な石を狙って用意周到に準備をしてきた相手“真純実愛会”に対し、何の準備もせずに止界に入った3人……。それゆえ樹里たちが状況を把握していくのが遅く感じてしまうかもしれません。ただ逆に、それがリアル。実際に理解の範疇を超えたできごとが立て続けに起きたら人はこういう感じになってしまうのではないかと思わせます。

 止界術は作品の重要な要素ですが、派手なバトルや緻密な頭脳戦のような少年マンガ的な展開はありません。むしろ止界を巡るそれぞれの登場人物たちの心理に焦点を当て、ていねいに描いた人間ドラマ的な側面の方が強い作品です。

 派手さはないものの、じょじょに明かされていく謎や見事な伏線回収など巧みなストーリー展開で飽きさせません。

 筆者のおすすめは真純実愛会の一員として登場した間島翔子のエピソード。彼女が真純実愛会に協力した理由や、止界にこだわる理由とは。第6話と第7話で描かれた真実には涙してしまいました。

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アニメ『刻刻』公式サイトCHARACTERより

 最終的に樹里たちと真純実愛会はどのような結末を迎えるのか……。全12話でしっかり完結しているため視聴しやすい作品です。

 物語の最後は、ぜひご自身の目で確かめてください。

※Amazon Prime Videoの配信情報は記事制作時のものです。

『刻刻』(アマゾンプライムビデオ)

アニメ「刻刻」ティザーPV1