1997年(平成9年)4月1日に、アニメ『ポケットモンスター』(アニポケ)の放送が始まってから、本日で26周年を迎えました。
いつまでも続くかに思えたサトシとピカチュウの物語でしたが、2023年1月~3月の期間で放送された『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』で、ついに完結。
この3ヵ月で描かれた、世界チャンピオンという目標を果たしたサトシのさらなる冒険は、かつて“ポケモントレーナー”だった僕にとって、非常に感慨深いものとなっていました。
地方在住だったので、東京よりも数ヵ月遅れての放送開始だった『アニポケ』
1997年、僕が住んでいた地方にも瞬く間に『ポケモン』ブームが巻き起こり、僕もゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』を夢中でプレイしていました。
このゲームがアニメ化されると聞いて期待に胸を高鳴らせたものですが、テレビ東京系列での放送だった『アニポケ』は、僕の地方では数ヵ月ほど遅れてのスタートでした。ネット配信が普及してから育った方には、想像するのも難しい話かもしれません(苦笑)。
都会のポケモンファンたちは僕らよりもずっと早く最新エピソードを観ているという事実に、ちょっとした不公平感を覚えながらも、『めざせポケモンマスター』の8センチシングルCDを発売日に購入したり、映画『ミュウツーの逆襲』も公開されたら最寄りの映画館へとすぐに観に行ったり……。ほかにも、とにかくポケモンと名が付くあらゆるものに夢中になっていったことを覚えています。
ここまで書いて思い出したのですが、テレビアニメの放送開始時期は東京とズレていたのに、映画は全国で同時公開されるので、映画で「サトシたちがいつの間にか知らないポケモンをゲットしていた!」みたいなこともあった気がします。似たような経験はポケモン以外のアニメ映画にも当てはまる、当時の“地方あるある”ではないでしょうか?
『ミュウツーの逆襲』のオープニングに登場したドンファンや、“オレンジ諸島編”でサトシたちと旅をするケンジのポケモンであるマリルなど、『ポケモン 赤・緑』には登場しないポケモンたちから、まだ発売前だった『ポケットモンスター 金・銀』でどんな出会いが待っているのかを想像するのも、それはそれは楽しいものでした。
そんな日々がずっと続く……わけではなく、次第に僕は『ポケモン』以外のゲームに夢中になっていき、『アニポケ』を観ないことも増えていきました。それでも、その後もサトシたちの活躍は“風の噂”としてよく耳にしており、なんだか“ビッグになっていく旧友”みたいな感じというか、かつて同じポケモントレーナーだった身としては誇らしいような、長らくそんな感覚だったものです。
『めざせポケモンマスター』で、十数年ぶりに毎週『アニポケ』を観ることに
そんな旧友である(と筆者が勝手に感じていた)サトシとピカチュウの“旅が終わる”という話を耳にしたのは、彼の噂のスケールもいよいよ大きくなり、「世界チャンピオンになった」ことを知ったすぐあとのことでした。
「その気になればいつでも会える」と思っていた彼らの最後の旅……2023年1月、僕は久しぶりに、テレビに映る彼らをこの目で見ることにーーそして、その勇姿を最後まで見届けることにしました。
あのころと違って忙しい日も多く、テレビでリアタイ視聴できないときはYouTubeの見逃し配信を利用。26年で、世の中は本当に便利になったものです。かがくのちからってすげー!
『ポケットモンスター めざせポケモンマスター』で描かれるサトシたちの最後の旅は、この26年間の足跡を辿っていくかのようなものになっていました。旅をともにするのは、最初の仲間だったカスミとタケシ。
また、これまでは新たな地方に向かうたびに仲間のポケモンの多くをオーキド博士に預け、新たな出会いをくり返してきたサトシでしたが、今回は毎週手持ちポケモンを入れ替えており、どの時代に『アニポケ』に親しんでいた人にとっても思い出深いポケモンが登場したことでしょう。
そうした冒険を象徴するような、懐かしくも新しいオープニングテーマ『めざせポケモンマスター -with my friends-』では、これまでのアニメの名場面の数々が、走馬灯のように描かれます。
【公式】「めざせポケモンマスター -with my friends-」
エンディングテーマも、あの8センチシングルCD『めざせポケモンマスター』に収録されていた、オーキド博士(故・石塚運昇さん)が歌う『ひゃくごじゅういち』を中心に、エピソードによっては別の楽曲が流れることも。カスミ(飯塚雅弓さん)の『ラプラスにのって』、そしてタケシ(うえだゆうじさん)が歌う迷曲『タケシのパラダイス』まで!
挿入歌で『おやすみ ぼくのピカチュウ』が流れたときは、懐かしさに打ち震えました。
懐かしの楽曲を中心にアニメ『めざせポケモンマスター』について書いてきましたが、物語については、まだ観ていない方には、ぜひともご自身の目で確かめていただきたいところ。見果てぬ夢、“ポケモンマスター”とは何だったのか? 最終回で、サトシが見付けた答えとはーー?
ところで、『アニポケ』を象徴する楽曲である『めざせポケモンマスター』にはさまざまなバージョンがありますが、あなたはいくつご存じでしょうか?
- 『めざせポケモンマスター』
- 『めざせポケモンマスター'98』
- Whiteberryの『めざせポケモンマスター』
- 『めざせポケモンマスター2001』
- 『めざせポケモンマスター2002』
- 『めざせポケモンマスター -20th Anniversary-』
- 『めざせポケモンマスター -with my friends-』
……ほかにもあるかもしれません。
筆者がとくに好きなのはアコーディオンの音色が心地いい、映画『水の都の護神 ラティアスとラティオス』主題歌の『めざせポケモンマスター2002』だったのですが、先日公開された“THE FIRST TAKE”版の『めざせポケモンマスター』があまりにカッコよく、こちらも同じくらいのお気に入りになりそうです。
サトシ(CV:松本梨香)- めざせポケモンマスター -with my friends- / THE FIRST TAKE
リコとロイの新たな物語も、誰かにとっての“たからもの”になってほしい
サトシたちの旅にはひと区切りが付きましたが、『ポケモン』の世界はまだまだ広がり続けます。この4月からは『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』のパルデア地方を舞台にした新シリーズ『ポケットモンスター』の放送が始まります。
女の子のリコと、男の子のロイ。サトシがいないことへの寂しさはあるものの、このふたりによる新しい冒険がどんなものになるのかは、すごく楽しみです。
【4月14日スタート】新シリーズ「ポケットモンスター」予告映像
「むかし わたしが まだ こどもだったころ ポケットに いれてた たくさんの たからもの」。これはとある楽曲(最後まで懐古的なネタで申し訳ない)の一節ですが、振り返ってみれば、かつて僕がサトシたちに貰ったドキドキ、ワクワクは、まさにこの歌詞で言う“たくさんのたからもの”だったように思います。
これからポケモンに夢中になる子どもたちは、今度はリコやロイたちから“たくさんのたからもの”を受け取るのかもしれません。彼らもまた、大人になって振り返ったとき、『ポケモン』から貰った思い出が、素敵なものとして残っているといいなと思います。
もう僕はポケモントレーナーではありませんが、ひとりのゲームライターとして、これからもときに遠くから、ときどき近くから、『ポケモン』の世界が描く未来を見届けていくつもりです。
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