エレクトロニック・アーツから2023年4月28日に発売予定のアクションアドベンチャーゲーム、『STAR WARS ジェダイ:サバイバー』。ロサンゼルスで行われた本作の体験会に参加し3時間プレイしてきたので、本作のディレクターであるスティグ・アスムッセン氏へのインタビューのやり取りも交えつつ、その内容をお伝えしよう。
前作から5年後、残されたジェダイ“カル”の新たな冒険が始まる
さて本作は、2019年に発売された『STAR WARS ジェダイ:フォールン・オーダー』(以下、JFO)の続編。前作から5年後、帝国の支配が強まる中で事態の打開を目指す主人公カル・ケスティスの新たな冒険が描かれる。
ゲームとしては前作同様、わかりやすくたとえれば『トゥームレイダー』シリーズ的な移動アクションを駆使した探索と、ライトセーバーを使った『SEKIRO』のような剣戟アクションが融合した内容だ。
今回はその序盤、マンティス号で旅をしてきたカルが事故によって惑星“コーボー”に不時着し、相棒のロボットBD-1とともに修復を目指してコーボーを探索するというパートをプレイできた。
開発談「前作で実現できなかったアイデアも盛り込んだ」
――前作の発売前、このシリーズの今後は反響次第ということでした。その後ローンチは成功して、こうして続編がいよいよ発売に近づいています。このプロジェクトはどう始まったのでしょうか? 何を変え、足し、拡張しようと考えたのでしょうか?
スティグ今日遊んでいただいた中にその答えが詰まっているのではないかと思います。作中では前作から5年が経過していますが、それは「このカルはどうも前と違うぞ」とか「BDも違うな、何があったんだろう」といった変化を感じてもらうために意識的にやっています。
カルはより冒険に慣れ、より多くの能力を持っていますし、世界に対して異なるアプローチを取るようになっています。私たちとしてはプレイヤーに親しみをいだいてもらいつつ、新しいゲームとしてフレッシュに感じてほしかったんです。
前作を開発した時には、新たなチームを組み上げて超有名なライセンス作品を手掛けるということ自体がかなり大きな事だったので、十分にやりきれないこともありました。まぁ全部をやるというのはどんなゲームでも難しいことですが、やりたかったけど盛り込みきれなかった大きなアイデアがいくつもあったんです。なので今作は私たちが実現したかったビジョンのバージョン2.0を実現したものとなっています。
スティグ・アスムッセン
前作に引き続きディレクターを務める。元は『ゴッド・オブ・ウォー』シリーズのアート畑出身。
基本はそのままに、より様々なスキルや手段が用意された正当進化
プレイを初めてすぐに驚いたのは、探索・戦闘の双方でカルのジェダイとしての基本的な能力はそのままだったこと。
JFOでのカルは逃亡生活の中でジェダイとしての能力が鈍っており、いわばJFOの冒険を通じて各種能力を思い出し、さまざまなツールを手に入れてジェダイ・ナイトに成長するという形のゲームになっていた。
それに対して今回のデモでは、フォース・プル(引き寄せ)やフォース・プッシュ(弾き飛ばし)、フォース・スロー(スロー化能力)といった能力に加え、ウォールラン(壁走り)などもそのまま使用可能。さらに特定の場所にグラップリングフックを放って飛びつく“アセンション・ケーブル”といった新能力も使えるので、最初からジェダイとして冒険する感じが味わえる。
ちなみに新規プレイヤーには序盤から使える能力が多くて覚えるのが大変に思えるかもしれないが、ポイントポイントで段階を踏んで一個ずつ操作ガイドも出してくれるし、あまりトリッキーな操作でもないので、ガイドに従ってやっていけば慣れるだろう。
二刀流やダブルブレードが独自のスタンスとしてスキルツリーを持つように!
もうひとつ面白かったのが、JFOではややおまけ的要素だった、2本のライトセーバーを使ったデュアルブレード(二刀流)や両刃のダブルブレードもいきなり使えたこと。
今作ではライトセーバー使った戦闘のスタンスは5種類あり、デモの範囲ではシングル・ダブル・デュアルブレードの3種類から2個をセットしていつでも切り替えられるという形になっていた(残りの2つは十字に構えるクロスガードとブラスター)。
それぞれ独自のスタンスとして確立された形で個別のスキルツリーもあるので、フォース・プルの派生技で周囲を吸い寄せ→ダブルブレードの回転投げ強化版で一網打尽、といったコンボビルドを作るのが楽しそう。
イベントの終わりにおまけ的に披露された戦闘デモでは見たことのない技が多数見られ、何体もの浮かせた敵を一気にロックオンしてブラスターの連射で倒すという燃える展開も。これだけいろいろできると、探索や戦闘を通じてスキルポイントを稼ぐモチベーションも湧きまくりってものだ。
新フォース能力は戦闘にも探索にも役立つ
新能力のひとつは、フォースの力で相手の心を惑わして同士討ちさせる“フォース・コンフュージョン”。これはトルーパーだけでなく敵対生物に使って突撃させることもできる。
もうひとつ似た要素で、特定の生物の心を落ち着かせて、騎乗することができるようになる。騎乗状態からジャンプすることで高所に進んだり、飛行生物にぶら下がって滑空するといったシーンもあって、こちらは探索に役立つ。
なお戦闘に関するものと同様、フォース系能力のスキルツリーもまた、コンセントレーション・テレキネシス・コンフュージョンという3系統のものに増加している。
ちなみに今回のデモでは触れられなかったのだが、操作表にはコンパニオン(同行)キャラのアシスト攻撃の入力も書いてあった。過去のトレイラーで仲間が銃撃を加えてくれているようなシーンがあったが、恐らくあれを発動できるのだろう。
開発談「SWの正史のキャラクターとして、能力を再び奪うわけにはいかなかった」
――前作でのカルは、作品全体を通じてジェダイとしての自分を再起動して、最終的に装備も能力も備わったヒーローとなりました。ゲームでは新作になると毎回能力や装備を失ってやり直しになることもありますが、今作でまたリセットとなるとおかしくなりますよね。このあたりのアプローチについて教えてください。
スティグメトロイドヴァニア系のゲームだと全能力を失うのが伝統的な設計ですよね。でも彼はスター・ウォーズのカノン(正史)のキャラクターなので、そういうわけにはいきません。私たちとしても彼から能力を奪ってしまうようなことはしたくありませんでした。場合によっては5年間のあいだに能力が少し変わっていたりもするかもしれませんが。
となると私たちは新しいものを作らなければいけないのですが、これは楽しい課題でした。作品を通じてプレイヤーがもっと成長できるようにしなければならないし、成長はストーリー上も非常に重要です。そこに成長がなければ楽しい物語にはなりにくい。
なので、もっとたくさんのメカニズムやスキルなどを生み出して、敵や環境に対してもっとさまざまなアプローチを用意しなければいけない。ちゃんと新鮮なものとなるよう、そこにしっかり注力するのが当初からの狙いでした。
――2本のライトセーバーを使うのは前作ではオプションというか、ほとんどイースターエッグ(※本筋から離れた仕込みネタ)のような感じでした。今回は本格的に入っていますね!
スティグそうですね、前回は特殊攻撃のひとつというような扱いでした。あれは入れたかったものではあるんですが、本来はもっとひとつの完成されたスタンスとしてやりたかったんですね。ただ正直に言ってしまうと、作り込む時間が足りなかった。
そういったものはいろいろあったんです。そして続編を作ろうとなった時にアイデアとしてはもう整っていた。なのであれは前作で種を撒いて、私たちが今度こそ時間をかけて仕上げて、前作を遊んだプレイヤーの皆さんが「そうそう、カルこれできたよね!」と受け入れられるものになっています。
――個人的に好きな新アクションはなんですか?
スティグひとつに選ぶのは難しいですが、“さまざまなスタンス(二刀流やダブルブレードなど)があって、スキルツリーでスタイルを作っていける自由”と言いましょうか。どれかひとつの個別の要素ではなく、要素の組み合わせですね。
先ほど話したようなさまざまな能力があるということが気に入っています。コアとなる能力があり、そこから枝分かれして新たな能力が出てきます。そしてこれらを組み合わせて、移動だったり戦闘だったり、時にはその両方で新たな面白いことを生み出せるようなシステムになっているのはゲームデザイナーとしての腕の見せ所です。
――DualSenseコントローラーのアダプティブトリガー機能などは対応していますか? フォースを感じられたら楽しいと思いますが。(※前作ではアップデートでの後対応)
スティグはい。最初にコントローラーの機能について聞いた時、これは最適だなと思ったものです。細かなニュアンスの振動なども完全にコントロールできます。なので、環境の出す音にしても、戦闘にしても、ストーリーの重要な瞬間にしても、その微細な感覚を味わえます。
め、めちゃくちゃ広いぞ? 探索も超パワーアップ
さてデモでは、移動アクションを駆使してところどころでちょっとした謎解きをしながら進み、立ちはだかるクリーチャーやトルーパーたちを倒して進んでいくと、開けたエリアが登場。
そこには一種の拠点となる村があり、さらにメインミッションで行く場所以外にもいろんな方向にサイドミッションや探索・強化要素が用意されていた。思わず「え、マジでこんな所冒険できるの?」と言ってしまったほどデカく開けていて、(実際はそうではないのだが)ちょっとしたミニオープンワールドに思えたほどだ。
冒険中には各所のNPCからサイドミッション等につながる“噂”を聞くことがあり、BDの新機能である“バイザー”(一人称視点で双眼鏡を覗いている感じになる)でそれらしき場所に目印をつけたりして探しに行くのだが、うまく移動アクションを使ったルート開拓に成功するとめちゃくちゃ楽しい。
デモのプレイタイムでは中盤にあたるタイミングで、この頃になるとそれぞれやっていることがかなり違うので、お互いに隣の画面を覗き込んでは「え、何それ、どこにあんの?」と驚くこともしばしばあった。ひとつの星だけでこれなのだから、かなり楽しめそうだ。
外見カスタマイズや園芸などのサブ要素なども盛り盛り
メインミッション以外の探索では、各種カスタマイズアイテムや、特定アクションの効果などを上げるPerk、ステータスアップなどの能力強化を獲得できる。
フィールドには別空間で移動アクションを駆使して踏破を目指す“フォース・ティア”と呼ばれる空間や、ジェダイとしての力量が問われるパズルルーム“ジェダイ・チェンバー”といった場所が隠されているほか、ランコア(SW世界の大型生物)などのミニボスに遭遇することもあって、新しいルートを見つけると、どこにたどりつくのか、そこで何が手に入るかが本当にワクワクする。
外見カスタマイズはかなり細かくなっていて、従来あったライトセーバーのパーツだけでなく、BD-1も細かくパーツごとにカスタマイズが可能になっているし、カルの外見も服装だけでなく髪型も変更可能だ。
コーボーにある村は本格的に拠点として機能するようで、NPCによるショップなども存在するほか、道中で見つけたNPCを連れてくることで機能が拡張されたりもする。ちなみにショップでは探索で手に入れたアイテムを使って、カルの服や髪、ジュークボックス機能(これも村に招待するNPCと関連する)で流す曲などをアンロックできる。
さらに冒険中に見つけたスター・ウォーズ世界の植物を育てられる園芸要素も引き続き存在し、こちらも村の拠点で種を植えて育てられるようになっている。こういったスペースが他の惑星にも存在するのか、それともジェダイ・オーダーを失ったカルにとっての特別な場所となるのかは気になるところだ。
開発談「より大きなハブを介してさまざまな探索ができる魔法を感じて欲しい」
――前作はマップがとても丁寧に作り込まれていて、新たな能力を手に入れるたびに訪れると新たな発見があるようになっていました。今回のゲームはもっと大きくてもっとさまざまな能力やツールがあります。それ自体はいいことですが、タイトに作られているからこそあった魔法が失われてしまわないか少し不安でもあります。
スティグフェアな疑問だと思います。もっとゲームの深い部分に進んだ時に、私たちが前作で築いたルーツを今作でも大事にしているのがわかると思います。新たに習得したスキルを活用するための細かいルートを意図的にちりばめて用意しています。広く開けた場所であってもそういった側面はあります。メインのルートから外れて進むといったこともできる。
これはあくまでたとえですが、前作ではいろいろ細かいルートがあって、そこを通るとそれぞれ異なるエリアに枝分かれするといったような作りでした。しかしメトロイドみたいにいろいろな所に繋がる大きなハブのようなものはなかった。
より正確に言うと、ハブ的なもの自体はありましたがもっと閉じたものでしたよね。今作でもああいったものはありますが、もっと成長させたものになっています。今作でも同じようにさまざまな場所にアクセスしていく楽しさを味わえます。あなたが言ったような“魔法”を見つけられると私は確信していますし、願わくばもっと魔法を感じてもらえたらいいですね。
3時間じゃ全然足りねぇ! ゲームは間違いなく楽しいので後は最適化を頑張ってほしい
というわけで3時間遊んだ感想は、めちゃくちゃ面白い! アクションアドベンチャーゲームとしてガッチリ仕上がっているし、探索でスター・ウォーズ世界をしゃぶり尽くしたいタイプの人にはさらにたまらないタイトルになっていると思う。ストーリー面のネタバレは避けるが、こちらも先が非常に気になる内容だった。
ひとつ気がかりだったのは、発売前のプログラムということもあって仕方ないかもしれないが、ゲームが時折不安定になっていたこと(ちなみにPC版をXboxコントローラーでプレイした)。こちらは現在最適化や修正を進めているそうなので、ぜひ万全の状態にしてもらいたいところだ。
開発談「クロスオーバーなサプライズの可能性は……」
――前作は最後の方で[某キャラクター]が出てきました。ほとんどステージギミックのようなものでしたが、とても楽しかったです。今回のゲームは時代設定的には『キャシアン・アンドー』や『オビ=ワン・ケノービ』などのドラマとも隣接するものとなっています。そこで、今作でクロスオーバーのサプライズや例のキャラの再登場を期待してもいいでしょうか?
スティグ(ニヤリと笑いながら)本当にその答えを知りたいんですか? もしそういうのがあったとして、ネタバレになっちゃっても? びっくりしたから前作のラストで盛り上がったのに?
ええ、私たちは常にそういった機会をうかがっています。スター・ウォーズの世界で起きた、私たちのゲームが自然な形で正しく関われるような出来事があればね。[某キャラクター]の登場は予測していなかったかもしれませんが、同時に「オーケー、そう来たか」と納得できるものだったはずです。私たちはそういったものを、いつ・どこならできるか探しています。そしてそれがもし起こるのであれば……皆さんのためにそれをバラすことはしません。
――開発状況はどういった感じでしょうか? まだ最適化が必要かもしれませんが、現在特に注力している部分はありますか?
スティグ毎日ゲームを叩いて磨いていますね。バグを見つけたり直したり、発売に向けてベストシェイプに持っていけるよう努力しています。
ただ、これは発売しても変わりません。ソフトウェアではよくあることですが、誰かしら不具合やバグ技を見つけるものですから。発売後もプレイヤーの皆さんからのフィードバックに耳を傾けて、しっかりサポートしていきたいと思っています。(追加質問「コンテンツ的にはもう揃っている?」)はい、コンテンツはロックダウンされています。(※修正以外の追加などが停止されていること)