タクティカルFPS『カウンターストライク』(Counter-Strike)シリーズの人気が、20年以上の長い歴史の中で、世界的に最高潮となっている。
2012年8月にリリースされた『カウンターストライク:グローバルオフェンシブ』(CS: GO)はプレイヤー同時接続数の最高記録を2023年4月に更新。世界最高峰のメジャー大会開催中、日本でも“DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIA”という夢の舞台における大型ステージで大会が執り行われた。
筆者は20年以上『カウンターストライク』シリーズを追いかけている。歴史の記録としてこの状況を紹介していきたい。
歴代最高となる同時接続数180万を突破
ゲームのユーザーは、年を重ねるにつれて減少していくのが一般的だ。だが、『カウンターストライク』シリーズは異なっており、右肩上がりでユーザー数が増え続けている。2023年4月28日には、歴代最高となる同時接続数181万8773人を記録した。
SteamDB『Counter-Strike: Global Offensive』ページ
なぜこのようにユーザーが増加しているのだろうか? その理由を紐解いていく。
eスポーツ展開と連動したゲーム内アイテムの魅力
まずゲームが圧倒的におもしろいという前提があり、競技としてのeスポーツ展開も継続的に実施されている。視聴記録も高い水準となっており、現在は『CS: GO』の公式メジャー大会“BLAST.tv Paris Major”という最高峰の世界大会が実施されている状況だ。
メジャー大会が開催されると、出場チームのロゴや選手のサインが入った“ステッカー”と呼ばれるゲーム内アイテムが販売。売上の半分が選手やチームに配分されるため、応援の意味も含めて購入し、自分の武器に貼り付けて装飾を楽しむなどの用途で使用される。
また、これらのアイテムは公式のマーケット“Steam Community Market”やサードパーティーサイトを通じて時価で取引されており、数百円で買った物が数年後に数万円になることもある。こういった目的でゲームを通じてアイテムの取引を行なうユーザーも増加中だ。
ユーザーに開放された高いカスタマイズ性が多くのサービスを提供
『カウンターストライク』シリーズは、さまざまなカスタマイズ性をユーザーに開放している。ゲーム関連データは公式のAPIを通じて提供されており、先に紹介したようなサードパーティーサイトが多数構築されている。
また、武器スキンやマップも自由に作成可能で、ユーザーが作ったマップを自由にプレイできることも魅力だ。
作ったマップの使い道はさまざま。フィンランドの新聞社“ヘルシンギン・サノマット”は、このカスタムマップ機能を使って、ウクライナ情勢に関する検閲されていない情報をロシアの『CS: GO』プレイヤーに発信している。
ロシアでは『CS: GO』の人気が非常に高い。多数のプレイヤーが存在しており、eスポーツでも強豪国のひとつだ。日本サーバーにも距離が近いため、マッチングでロシアのプレイヤーと同じチームになることも多い。
ゲーム自体のおもしろさ以外にもさまざまな要素が提供されており、これらが『CS: GO』に多くのユーザーを引きつけている。
日本での『カウンターストライク』シリーズの勢い再燃
そんな中、日本での勢いも再燃する展開が起きた。きっかけは世界最大の複合型エンタテインメントゲーミング・フェス“DreamHack”の日本上陸だ。世界中で開催されるDreamHackでは『CS: GO』大会の併催が定番となっている。
日本では、有志が開催しているコミュニティ大会“HoneyCombS CUP”と連携し、DreamHack Japan 2023 Supported by GALLERIAの大型ステージで決勝戦が開催された。日本で大型のオフライン大会が開催されるのは2019年以来だ。
DreamHackを展開するESL FACEIT GROUPは、“ESL Pro Tour”や“Intel Extreme Masters”といった世界的な大会を運営している。今回の試合は世界大会水準の試合環境に加えて、過去にない規模のステージで行なわれ、多くのファンも観戦にかけつけた。
日本では同ジャンルのゲーム『VALORANT』が圧倒的な人気を誇っており、いま『CS: GO』でこれだけの規模で大会が開催されるのは信じられないことだ。
会場には『カウンターストライク』シリーズで日本初のプロゲーマーとなったKeNNy氏も観戦に訪れていた。
感想を尋ねたところ、「長年やってきた身としては『カウンターストライク』という文化がいまも根付いているのはうれしいです。この場に来てくれた方や多くの人に『カウンターストライク』を含む、FPSの魅力が伝わって、盛り上がっていくことを期待したいです」と、DreamHack Japan 2023での展開をきっかけに、FPSジャンル自体の発展につながっていくことを期待するコメントを寄せてくれた。
HoneyCombS CUP主催者のbucci氏氏は、大会終了時に「いままでこの『カウンターストライク』という文化をここまで残してきてくれた先人たちのおかげ。『カウンターストライク』を本当に多くの人たちに楽しんでほしいという想いから続いてきた。『カウンターストライク』シリーズ、『カウンターストライク2』をぜひやってください。いっしょにやりましょう!」と、挨拶。先人へのリスペクトを込めたコメントはとても印象的だった。
どのような人気があったとしても、継続しないものは必ず終わりを迎えてしまう。『カウンターストライク』シリーズは継続と発展を20年以上に渡って両立している存在で、学ぶことが非常に多いゲームタイトルだ。
2023年夏には最新作『カウンターストライク2』のリリースが予定されており、いままで以上の展開が期待されている。この人気がどこまでいくのか、みなさんもぜひ見守ってほしい。
現地で撮影した映像をつないで紹介ムービー作りました!
日本CS:GO最後の大型オフライン大会 / DreamHack Japan 2023
#DHJapan https://t.co/lR7kMl1esh
— Yossy (@YossyFPS)
2023-05-17 22:19:53